白薔薇の紋章

サクラ

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第5章 涙

第3話

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「あいつは本当に珠姫の友達なのか?」

「はい…屋上でよく会って話をしてます」

「どんな?」

「普通の話です。神社のことや刀のことは何も話していません」

「そうか…」



しばらくの沈黙のあと
蛍さんが口を開いた。


「学校に行くか」

「はい」



境内から出て
二人で並んで学校へ向かう。


「蛍さんはなんで神社にいたんですか?」

「行かなきゃいけないような気がして」

「え?」

「珠姫もそうだったんじゃないのか?」

「そうですね…」



あと少しで学校というところで
蛍さんの足が止まった。

「?」

「あの女、マリーとか言ったか?」

「はい」

「あいつは…転入生なんかじゃない」

「え?」

「たぶん普通の人間じゃない」



何を言ってるの?
普通の人間じゃないって?
なんで
何の根拠があって…。

「なんでって顔してるな」

「あ、えっと、はい…」


蛍さんはカバンを開けて
一冊の本を取り出した。

「なんですか?」


「今朝、蔵で見つけたんだ」


蛍さんから渡された本は
タイトルもなくところどころ敗れているボロボロの本だった。

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