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第96話 バッドエンドに向かって
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小さい寝息が聞こえ、シバがぐっすりと眠っているのだと分かる。
外は明るみ始め、時計を確認すると朝の五時半だ。
俺の背中に回された手をそっと退け、シバの腕の中から抜けると足音を立てないようにリビングへ向かう。
そして静かに服を着替え、寝間着を洗濯かごに入れた。
(シバ、大好きだよ)
俺は心の中で彼にそう告げると、そっと部屋を出てシバの宿舎を後にした。
「急ごう」
俺は走って騎士棟の馬小屋を目指した。
昨日はシバの寝かしつけによって眠ってしまったが、夜中に緊張で目を覚ましてそのまま考え事をしていた。
アックスがエマの世話をするのは決まって出勤前の朝と退勤後の夕方。今はまさに彼が馬小屋にいる時間なのだ。
走って騎士棟の横を通り目的の場所へ着くと、俺の予想通りアックスがいた。今着いたばかりのようで、俺に背を向けて馬小屋の扉を開けている。
「アックス……」
俺はアックスに走って近寄ると、後ろから声を掛けた。
「セラ?」
アックスは驚いていたが、すぐにいつもの優しい顔に戻る。
「座って話そうか」
俺達は馬小屋近くのベンチに座る。シン…とした空気が流れるが、俺は声を絞り出す。
「昨日はすみませんでした」
俺は頭を下げて謝る。
昨夜、俺は彼に対して失礼なことをした。アックスにそれを謝ることも目的ではあったが、今からバッドエンドを迎えるであろう俺は、シシルだけでも助けてくれとお願いをする為にここへやって来た。
「あれは約束じゃない。もし来てくれるならって言っただろ?」
「でも俺、連絡もせずに……本当にすみません」
「セラは謝らなくていい」
「アックス……」
俺はどう声を掛けて良いのか分からない。告白まで進んだゲームの攻略者の誘いを断る主人公などいないだろう。結ばれなかった俺達はどうなってしまうのか……考えると恐ろしくなる。
(やっぱり他の攻略者達と同様、アックスも闇落ちして俺を酷い目に合わせるのかな)
某動画投稿サイトで、眼鏡側近ウォルと第二王子エヴァンを攻略しようとして失敗に終わった動画を見たことがある。主人公が間違えた会話選択をした場合は、決まって彼らが自分の闇の部分をさらけ出し、主人公を罰した。
俯いて黙っていると、アックスがスッと手を伸ばし俺の頭を撫でてきた。思ってもみなかった行動に、バッと顔を上げる。
「本当に気に病まないでくれ。セラの気持ちはもう分かっている」
アックスは俺を撫でながら優しい声で言う。
「だが時々、セラが俺に友達以上の好意を抱いているんじゃないかと勘違いすることがあったんだ」
「それは……!」
アックスの勘違いではない。 俺はアックスと本当に恋人になるつもりで、好きになってもらおうと行動してきた。
しかし俺が最終的に好きになったのはシバだ。それを説明するわけにもいかず、拳を握ってまた黙ってしまう。
「俺も、自分のセラに対する気持ちが恋愛感情なのか、友人への好意なのか分からなかったんだ」
アックスの顔は真剣で、その言葉が本心であると伝わってくる。
「街でダンスをした日、セラと口がぶつかりそうになっただろ? 何も気にしてない様子のセラを見て、俺はセラとずっと友達でいようと思ったんだ」
(だから帰りの馬車は、ゲームと違って目の前の席に座ったのか……)
「昨日は、ただ自分とセラの気持ちをはっきり確かめ合いたかっただけだ。もしセラが俺を好きなら……と悩んだが、やはり違ったみたいだな」
全てを話してすっきりした顔のアックスは、からかうように口の端を上げる。
「セラ、好きなやつがいるんだろ?」
「……え」
「見てたら分かる。当ててやろうか?」
アックスは意地の悪い顔をわざと作っている。
「アインラス殿か?」
「は、え……ッ!」
いきなりその名前を挙げられ、俺は動揺して変な声が出た。その反応を見てアックスが笑う。
「彼は幸せ者だな」
アックスはそう言って俺の頭をくしゃりと撫でると、俺の顔をまっすぐと見た。
「改めて言うのも照れるが、これからも友として一緒にいてくれないか?」
アックスは少し耳を赤くしつつ、俺に問いかけた。
「俺は、セラと今まで通りの関係でいたいと思っている。セラの良き友としてずっと一緒にいたい」
こんな展開は知らない。照れながらそう話すアックスをじっと見つめてしまう。
(だって、ゲームはどれもハッピーエンドかバッドエンドか二択で。こんなことって……)
一体どうなっているのかと混乱していると、アックスが笑いながら手を差し伸べてきた。
「おい。返事をくれないのか?」
(友情エンドなんて、あり得るの⁉)
この光景が信じられなかった。しかし、これからもアックスと友人として仲良く付き合っていけるのだと思うと、胸が温かくなる。
(アックスが、俺と友達でいたいって言ってくれた……)
片手を差し出しているアックスの手を両手でしっかり握り、真っ黒な瞳を見て言った。
「はい。アックスとずっと一緒にいます……!」
「誰と、ずっと一緒にいると?」
早朝であり誰もいないはずの場所に、聞きなれた低い声が響いた。後ろを振り向くと、無表情で殺気を放つシバがこっちを見て立っていた。
(なんでここに?)
「アインラス様!」
「セラ、来い」
俺は唖然としており、アックスはその様子を窺っている。シバは、アックスの手に添えられた俺の手を掴むと、ぐいっと自分の方へ引いてきた。
「いた……っ、」
いつもはふんわりと優しく握る手がぎゅっと俺の手首を掴む。強い力ではないのに、条件反射で『痛い』と口に出してしまった。
「やめろ。セラが痛がってる」
「トロント殿は黙っていてくれ。私はセラに話がある」
「アインラス殿は勘違いしている。私とセラは、」
「話は本人から聞く」
シバは俺の左手を掴んで立ち上がらせ、アックスは俺を助けるように右の手を掴む。
「アインラス殿、落ち着いてくれ」
「手を離せ」
「セラに乱暴なことをするな」
張りつめた空気の中、俺は深呼吸してシバの顔を見上げた。
すぅ……
「シバ! 愛しています!」
俺の大声が響き、その音量に驚いたのか、二人は俺を見下ろして黙っている。
「全て話しますから、帰りましょう」
黙ってしまったシバを今度は俺が引っ張り、ぺこっとアックスに頭を下げた。
「早く誤解を解いた方がいい」
アックスはさっきまでの剣幕が嘘のように噴き出して笑うと、軽く手を上げて俺達を見送った。
大きなシバの手を掴み、無言で宿舎まで向かう。シバは何も発さず静かに付いて来た。さっきまではバッドエンドへの覚悟のみを胸に宿舎を出たが、こうなってみるとシバに対して罪悪感を感じる。
(恋人になった次の日に別の男の手を取って笑ってるなんて……シバ絶対傷ついたよね)
シバの宿舎に着き、部屋の中へ入る。俺はやっと後ろにいるシバを振り返ると、謝ろうと口を開いた。
「シバ、ごめんなさ、」
「セラ」
「っわ……!」
俺が謝罪の言葉を言い終わる前に、シバが俺を強く抱きしめた。ぎゅう……と存在を確かめるように強く抱かれ、本当に心配を掛けてしまったのだと胸が痛んだ。
「朝起きたら君がいなかった」
「すみません」
シバは俺を胸に抱きながら、静かに続ける。
「起きたら、目覚めのキスをするつもりだった。そして寝坊する君をリビングで待って、一緒に昼食を作ろうと思っていた」
そう告げるとぎゅっと抱きしめていた腕を緩めて視線を合わせる。
「まさかと思い騎士棟へ行ったら、トロント殿の手を取っている君が見えて……心臓が止まったかと思った」
シバは、俺を掴んだ方の手首を優しく撫でる。
「すまない。痛かったか?」
「いえ。びっくりして、つい痛いと言ってしまっただけです」
「声を掛けて話を聞こうと思ったんだ。しかし、セラが私を名前で呼ばなかったから、酷い言い方になってしまった」
急に現れたシバに対して、俺は確かに『アインラス様』と呼んだ。彼は俺がアックスへ向けた言葉と、シバへの呼び方が変わったことで焦ったようだった。
「それはアックスの前ですし。元々、二人きりの時に名前を呼び合う約束でしょう?」
「それはやめる。セラには常に名前で呼んで欲しい」
拗ねた声が可愛らしく、愛しさが溢れてシバの厚い胸に抱き着く。
「君が愛していると言ってくれて安心した。しかし、なぜトロント殿と会っていたのか説明してほしい」
安心したと口では言っているが、納得はしていないようだ。
俺は覚悟を決めた。
「分かりました。長くなりますが良いですか?」
(シバにこれまでのこと、ちゃんと話さなきゃ)
エンディングを無事迎えた俺は、誰にも話せなかったこの一年間の出来事をシバに伝えようと決めた。
外は明るみ始め、時計を確認すると朝の五時半だ。
俺の背中に回された手をそっと退け、シバの腕の中から抜けると足音を立てないようにリビングへ向かう。
そして静かに服を着替え、寝間着を洗濯かごに入れた。
(シバ、大好きだよ)
俺は心の中で彼にそう告げると、そっと部屋を出てシバの宿舎を後にした。
「急ごう」
俺は走って騎士棟の馬小屋を目指した。
昨日はシバの寝かしつけによって眠ってしまったが、夜中に緊張で目を覚ましてそのまま考え事をしていた。
アックスがエマの世話をするのは決まって出勤前の朝と退勤後の夕方。今はまさに彼が馬小屋にいる時間なのだ。
走って騎士棟の横を通り目的の場所へ着くと、俺の予想通りアックスがいた。今着いたばかりのようで、俺に背を向けて馬小屋の扉を開けている。
「アックス……」
俺はアックスに走って近寄ると、後ろから声を掛けた。
「セラ?」
アックスは驚いていたが、すぐにいつもの優しい顔に戻る。
「座って話そうか」
俺達は馬小屋近くのベンチに座る。シン…とした空気が流れるが、俺は声を絞り出す。
「昨日はすみませんでした」
俺は頭を下げて謝る。
昨夜、俺は彼に対して失礼なことをした。アックスにそれを謝ることも目的ではあったが、今からバッドエンドを迎えるであろう俺は、シシルだけでも助けてくれとお願いをする為にここへやって来た。
「あれは約束じゃない。もし来てくれるならって言っただろ?」
「でも俺、連絡もせずに……本当にすみません」
「セラは謝らなくていい」
「アックス……」
俺はどう声を掛けて良いのか分からない。告白まで進んだゲームの攻略者の誘いを断る主人公などいないだろう。結ばれなかった俺達はどうなってしまうのか……考えると恐ろしくなる。
(やっぱり他の攻略者達と同様、アックスも闇落ちして俺を酷い目に合わせるのかな)
某動画投稿サイトで、眼鏡側近ウォルと第二王子エヴァンを攻略しようとして失敗に終わった動画を見たことがある。主人公が間違えた会話選択をした場合は、決まって彼らが自分の闇の部分をさらけ出し、主人公を罰した。
俯いて黙っていると、アックスがスッと手を伸ばし俺の頭を撫でてきた。思ってもみなかった行動に、バッと顔を上げる。
「本当に気に病まないでくれ。セラの気持ちはもう分かっている」
アックスは俺を撫でながら優しい声で言う。
「だが時々、セラが俺に友達以上の好意を抱いているんじゃないかと勘違いすることがあったんだ」
「それは……!」
アックスの勘違いではない。 俺はアックスと本当に恋人になるつもりで、好きになってもらおうと行動してきた。
しかし俺が最終的に好きになったのはシバだ。それを説明するわけにもいかず、拳を握ってまた黙ってしまう。
「俺も、自分のセラに対する気持ちが恋愛感情なのか、友人への好意なのか分からなかったんだ」
アックスの顔は真剣で、その言葉が本心であると伝わってくる。
「街でダンスをした日、セラと口がぶつかりそうになっただろ? 何も気にしてない様子のセラを見て、俺はセラとずっと友達でいようと思ったんだ」
(だから帰りの馬車は、ゲームと違って目の前の席に座ったのか……)
「昨日は、ただ自分とセラの気持ちをはっきり確かめ合いたかっただけだ。もしセラが俺を好きなら……と悩んだが、やはり違ったみたいだな」
全てを話してすっきりした顔のアックスは、からかうように口の端を上げる。
「セラ、好きなやつがいるんだろ?」
「……え」
「見てたら分かる。当ててやろうか?」
アックスは意地の悪い顔をわざと作っている。
「アインラス殿か?」
「は、え……ッ!」
いきなりその名前を挙げられ、俺は動揺して変な声が出た。その反応を見てアックスが笑う。
「彼は幸せ者だな」
アックスはそう言って俺の頭をくしゃりと撫でると、俺の顔をまっすぐと見た。
「改めて言うのも照れるが、これからも友として一緒にいてくれないか?」
アックスは少し耳を赤くしつつ、俺に問いかけた。
「俺は、セラと今まで通りの関係でいたいと思っている。セラの良き友としてずっと一緒にいたい」
こんな展開は知らない。照れながらそう話すアックスをじっと見つめてしまう。
(だって、ゲームはどれもハッピーエンドかバッドエンドか二択で。こんなことって……)
一体どうなっているのかと混乱していると、アックスが笑いながら手を差し伸べてきた。
「おい。返事をくれないのか?」
(友情エンドなんて、あり得るの⁉)
この光景が信じられなかった。しかし、これからもアックスと友人として仲良く付き合っていけるのだと思うと、胸が温かくなる。
(アックスが、俺と友達でいたいって言ってくれた……)
片手を差し出しているアックスの手を両手でしっかり握り、真っ黒な瞳を見て言った。
「はい。アックスとずっと一緒にいます……!」
「誰と、ずっと一緒にいると?」
早朝であり誰もいないはずの場所に、聞きなれた低い声が響いた。後ろを振り向くと、無表情で殺気を放つシバがこっちを見て立っていた。
(なんでここに?)
「アインラス様!」
「セラ、来い」
俺は唖然としており、アックスはその様子を窺っている。シバは、アックスの手に添えられた俺の手を掴むと、ぐいっと自分の方へ引いてきた。
「いた……っ、」
いつもはふんわりと優しく握る手がぎゅっと俺の手首を掴む。強い力ではないのに、条件反射で『痛い』と口に出してしまった。
「やめろ。セラが痛がってる」
「トロント殿は黙っていてくれ。私はセラに話がある」
「アインラス殿は勘違いしている。私とセラは、」
「話は本人から聞く」
シバは俺の左手を掴んで立ち上がらせ、アックスは俺を助けるように右の手を掴む。
「アインラス殿、落ち着いてくれ」
「手を離せ」
「セラに乱暴なことをするな」
張りつめた空気の中、俺は深呼吸してシバの顔を見上げた。
すぅ……
「シバ! 愛しています!」
俺の大声が響き、その音量に驚いたのか、二人は俺を見下ろして黙っている。
「全て話しますから、帰りましょう」
黙ってしまったシバを今度は俺が引っ張り、ぺこっとアックスに頭を下げた。
「早く誤解を解いた方がいい」
アックスはさっきまでの剣幕が嘘のように噴き出して笑うと、軽く手を上げて俺達を見送った。
大きなシバの手を掴み、無言で宿舎まで向かう。シバは何も発さず静かに付いて来た。さっきまではバッドエンドへの覚悟のみを胸に宿舎を出たが、こうなってみるとシバに対して罪悪感を感じる。
(恋人になった次の日に別の男の手を取って笑ってるなんて……シバ絶対傷ついたよね)
シバの宿舎に着き、部屋の中へ入る。俺はやっと後ろにいるシバを振り返ると、謝ろうと口を開いた。
「シバ、ごめんなさ、」
「セラ」
「っわ……!」
俺が謝罪の言葉を言い終わる前に、シバが俺を強く抱きしめた。ぎゅう……と存在を確かめるように強く抱かれ、本当に心配を掛けてしまったのだと胸が痛んだ。
「朝起きたら君がいなかった」
「すみません」
シバは俺を胸に抱きながら、静かに続ける。
「起きたら、目覚めのキスをするつもりだった。そして寝坊する君をリビングで待って、一緒に昼食を作ろうと思っていた」
そう告げるとぎゅっと抱きしめていた腕を緩めて視線を合わせる。
「まさかと思い騎士棟へ行ったら、トロント殿の手を取っている君が見えて……心臓が止まったかと思った」
シバは、俺を掴んだ方の手首を優しく撫でる。
「すまない。痛かったか?」
「いえ。びっくりして、つい痛いと言ってしまっただけです」
「声を掛けて話を聞こうと思ったんだ。しかし、セラが私を名前で呼ばなかったから、酷い言い方になってしまった」
急に現れたシバに対して、俺は確かに『アインラス様』と呼んだ。彼は俺がアックスへ向けた言葉と、シバへの呼び方が変わったことで焦ったようだった。
「それはアックスの前ですし。元々、二人きりの時に名前を呼び合う約束でしょう?」
「それはやめる。セラには常に名前で呼んで欲しい」
拗ねた声が可愛らしく、愛しさが溢れてシバの厚い胸に抱き着く。
「君が愛していると言ってくれて安心した。しかし、なぜトロント殿と会っていたのか説明してほしい」
安心したと口では言っているが、納得はしていないようだ。
俺は覚悟を決めた。
「分かりました。長くなりますが良いですか?」
(シバにこれまでのこと、ちゃんと話さなきゃ)
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