フォギーシティ

淺木 朝咲

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最終章 輪廻と霧の街

不具合

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「…………がああぁッ……っぐ……うぅ………」
 「輪廻サムサラ」の応用により消し去れない「雷霆ゼウス」の力との衝突で円は苦しそうにしていた。だが、その拳は未だにユーイオから離れない。生きる意味を失い、正気まで失った彼の何がこうさせるのだろう。──わからない。何にせよ彼も彼女も、僕も。結局被害者のひとりだっただけだ。だから、この誰も救われない世界はなしはもうおしまい。
僕で………ッ!! こんなことは終わらせないと……!!」
 渾身の力を込めて、ユーイオは円から「吸収アブソルプション」と、それで吸収し続けたその他の異能を「輪廻サムサラ」で枯らしていく。かなり苦しいが、そんなことは気にしていられないし、ここまで誰も死なずに来れたのは今回だけだ。腕が、脳が、体の細胞がバラバラにちぎれて壊れていくような感覚がする。僕はまだ生きていると言えるのだろうか。視界は暗く、聴覚からの情報はひたすら自分の体が軋む音だけだ。
 奪われる、と彼がわかっているからなのだろう。僕がこんなに苦しいのも、脳が焼き切れるような感覚を味わっているのも。今、自分は一体どうなっているのだろう。考える頭があるのだから死んではいないのだろうが、自分の体が壊れていく音以外の何も聞こえないのが不気味でたまらない。ああ、そうか。そうだった。このが繰り返してきた命のひとつだ。僕が自分の異能を消すことは自死だ。どうして、そんなこともわからなかったのか。あるのかもわからない腕を、真っ暗な視界の中でリーエイ達の方向だろう場所へ伸ばした。
「ユーイオ!! ユーイオ!!」
 最後にほんの数秒だけ、大切な家族が必死に僕を呼ぶ声が聞こえたような気がした。その声に僕は、笑えただろうか。



「──死んじゃった、かな」
 何も無い空間。今度ははっきりとその容貌が見える。僕だけの世界。僕だけが立っていて、その周りには何も無い。虚無だ。
「あとちょっとだったのに……異能消したから転生すら出来ないってことだよね、こんな所初めて見たし」
「──出来るよ」
「え?」
 声がした方を見ると、僕と同じ背格好の人間が立っていた。というか僕だ。
「僕らの力は時間とかそういうレベルも超えたものだからね、歪みを一気に消したって世界がそれにすぐに追いつくわけじゃないんだよ」
「………」
 信じられない。そんなわけがない。そんなことは有り得ない。
「僕がこの手で僕らごと消し去ったんだよ……!? だから僕らはここに居るのに………すぐに追いつくわけじゃないって……」
 自分と同じ顔が目の前で頷く。
「僕らにはまだチャンスがあるってこと」



 ──決戦はこちらの勝利に終わった。は跡形もなく消え、召されたのだとその場の誰もが理解出来た。ただ一人、ギリギリ人の形をしているとわかる程の傷を負った者を除いて。
「………」
「「回帰リュトゥール」が起きない……ユーイオ………」
 親として見守り続けてきた二人の異形は今にも心が壊れてしまいそうな表情をしている。動けない彼らに代わって、後ろからその様子を見ていたヴァクターが変わり果てたユーイオの体に慎重に触れた。
「……………」
 守護と呪詛を司る彼は、状況こそ理解したものの、どうしてそうなっているのかまではわからなかった。だからだろう、彼はとても困惑したように言った。
「死んでない…………」
「この状態で?」
「ああ、「回帰」が起きないってのは、つまりユーイオは絶望もしていないし死んでもないってことだよ」
 ヴァクターは焦りと、若干の嬉しさを混じえたような声で言う。だが、がらがらと建物が崩壊を始めた。
「まずい……この街が
「え!?」
「多分最上層者が「停滞スタニアション」まで取り込んでいたんだ……しかもアレは存在するだけで半永久的に効果が持つものだったろ、だから「消滅バニッシュ」しか使えないと勘違いしていても勝手に使えていたんだ」
 何はともあれ、ユーイオが目を覚ますまで僕の拙い異能で四人だけでも生き残る必要がある。
「「結界バリエール」──「反抗リベリオン」」
 崩落する屋敷の瓦礫から四人を守るためにまずは無詠唱の「障壁シュランク」を張って、街の崩壊やユーイオを死から遠ざけるためにかなり強力な「結界」を張る。その瞬間、三人は確かに体が暖かな力に包まれるのを感じた。
「ほんっとヴァクター居なきゃ積みゲーだよこれ~」
「流石俺の自慢の息子だ」
「でも……ユーイオが目を覚ましてくれなきゃ」
「なにか方法は?」
 リーエイの問いにヴァクターが少しイラついたように答える。
「あったらやってるよ。リーエイおじさんも何かない?」
「俺だってあったらやってる。今の俺に出来るのは少しでもこの崩壊を遅らせることと、君の異能の持続時間を延長させることだけでそれはもうとっくに始めてるんだ」
 事実だ。明らかに瓦礫が落ちてくるスピードが遅い。
「うぅ………ユーイオ早く起きてよ!」
 起きてくれないと僕は、とそこまで言葉が出てヴァクターは口を噤んだ。その様子をリーエイが不思議そうに見ている。
「……何するの?」
「──切り札があるんだけど、失敗する可能性がとても高くて」
「使え、ヴァクター」
「え、でも父さん……」
「いいから」
「…………」
 ヴァクターはずっといつ使うべきなのか、どうしてこれが守護として認められているのかどうも理解出来なかったものがあった。
「…………っ」
 失敗する確率は体感で過半数を超えている。呪詛ではなく守護と呼べるものなのかもわからない。けれど、やらないと全員が死ぬ。
「わ、かった……やってみる」
 声が、手が、全身が震える。力の加減を間違えるかもしれない。誰も居なかったことになるかもしれない。でも、それでも。僕がやらないといけないんだ。覚悟を決めて、ボロボロのユーイオを優しく抱きしめる。さて、父さんは僕の切り札がどんなものかわかってやれと言ったんだろうか。──いいや、父さんは昔っからリーエイおじさんの察しの良さに甘えているところが無意識にあるから、きっとわからないままとにかくやれと言ったに違いない。まあ、構わないさ。やれって言ったのは父さんだし。僕だって、随分こいつに絆されてしまったんだ。
「……「生贄ボンケミセール」──「独葬ラポプトーズ」」
 リールは知らなかった。ヴァクターが使う呪詛と守護の力が、ヴァクター本人の命を削って発動されていることを。異形としてのヴァクターの命はもう尽きようとしていることを。そして、「この残り少ない命さえユーイオになら捧げられる」とヴァクターが思っていることさえも。
「リール! ヴァクターは何してんの?!」
「ん? アイツはユーイオを助ける賭けに出て──」
「賭けじゃない。賭けじゃないよリール……アレは命のみたいなものだよ」
「!」
 その言葉を聞いて、リールは血の気が引いた。そして、そのまま急いでユーイオからヴァクターを引き剥がす。
「やめてよ、父さん」
「お前が死ぬのを目の前で見るのだけは耐えられない……お前が死ぬ理由なんてないだろ!!」
「それはユーイオも変わらない!!」
「っ!」
 ヴァクターは自分の腕を掴むリールの手を強く振り払い、ユーイオに触れた。
「リール」
「……リーエイ」
「止めてほしくてあんなことを言ったんじゃないよ、俺は」
「じゃあどうして……!」
「覚悟して、決意したんだ。あの子は」
 ユーイオの命を救う為に、自分が死ぬこと以外方法がないのならヴァクターは自分の死さえ厭わない。それを今、ようやくリールは理解した。
「ヴァクター………」
「…………あと少しなんだ、あと少しでユーイオ助かるから……最後にいい?」
 顔は見えない。見たくないから、背後に佇むことしか出来ない。黙って頷く。それを察知したように続きが始まる。
「父さんが幸せならそれで満足なんだよ、僕は。一番叶って欲しいのは父さんの幸せ。……でも僕は欲張りだから、目の前でこんなことをしてまで、父さんが………死ぬ日まで僕のことを忘れないようにって、呪っちゃってる。ごめんね、いくらでも恨んでいいから………文句ならあの世で好きなだけ聞くからさ……」
「あの世なんて勝手に行かないでよ」
「っ」
 細い指とぬるい体温を持った手に、いきなり手を掴まれる。目を瞑りながら遺言を呪文のように吐き出していたヴァクターは驚いて目を開ける。
「え………」
「ははっ、変な顔」
 誰よりも綺麗な金色と目が合った。笑って三日月のようになっている。
「ユーイオ………ユーイオだ……」
 朽ちかけていた体は嘘のようにほんのり青白い肌を纏い、生気を取り戻している。放心状態に近かったヴァクターは、声を発し、人間よりほんの少しだけ低い体温を取り戻し、目の前で笑うユーイオをもう一度抱きしめた。
「うわっ、びっくりするなぁもう」
「だ、だって……!! ユーイオあんな死体どころか死骸って呼ばれるぐらいボロボロだったから……!!」
「えぇひどぉ……なんか異形異形って言われるより刺さったんだけど……泣いてんの?」
 ぐす、と耳辺りで聞こえてくる。そして、ふるふると首が横に振られた。ぴしぴしと彼の細い髪の毛が頬に当たってくすぐったい。
「………あ、ただいま。リーエイ、リール」
「ユーイオぉぉぉぉぉぉ生きてるなら生きてるって……言ってよねぇぇぇえ」
 号泣しながらリーエイが抱きついてくる。ぐえ、とヴァクターの小さな悲鳴が聞こえた。リールも同じように抱きついてきた。
「正直助からないと思ってた、ヴァクター……お前も無茶はするな! 動いてないが心臓が止まるかと思ったわ!」
「ご、ごめん父さん……でも、多分リーエイおじさんは最初っから気付いてたよ?」
「え」
 リールがリーエイの方を見る。リーエイはああ、と少し気まずそうに声を漏らす。
「だって言ったら絶対止めるじゃん。俺ユーイオと血が繋がってて、ヴァクターとユーイオが逆の立場でも止めなかったと思うもん。それに俺がヴァクターの立場と力を持ってたら、俺も同じことをすると思うし」
「………でも」
「俺がユーイオみたいになって、リールにヴァクターみたいな異能があったら同じようなことやってたでしょ?」
「それは違いないが……」
 納得いかないと言わんばかりにリールは眉間に皺を寄せた。その顔を見てリーエイは笑った。
「仕方ないよ、それが情ってやつだもん」
「──さて、話してる暇ももう無いな。もうあんな事にはならないから安心して。みんなの異能を還すよ」
「………ああ」
 ユーイオが立ち上がる。崩壊が進み、前方は何も見えないまっさらな光に包まれた空間になっているこの街で、自分たち以外に何人がこの光景を見ているのだろう。
「「僕達は人間として生きる。異能を還し、停まった時間は空白のままに、ここに新たなページを開くことを宣誓する。五体満足の身体と本人が望む人相をここに奪還し顕現させる」──「輪廻サムサラ」」
 その異能は、今までの誰よりも正しく、人として願われた力だった。



 ──嗅いだことのない匂いがする。嫌な気分にはならないが、なんとも不思議なものだ。
「ユーイオ、ユーイオ」
「ん………うぅ」
 身体を揺さぶられて、目を開ける。どこか成長したような気がするヴァクターの顔と、青い天井が見えた。見たこともないその青に、僕は身体を起こす。
「ちょ、いきなり動いたら疲れると思うよ」
「……ヴァクター、だよな? ここは……」
「…………これがさ、ユーイオ」
「……!」
 ヴァクターが指す方を見ると、眩しい光とともに深く、鮮やかな青が一面に広がっていた。
「これが青空。あの光が太陽。今僕たちが座り込んでるのが芝生。草のカーペットだよ」
 どうやらこの草が不思議な匂いを発しているらしい。
「変な匂い」
「あははっ、確かに石畳の霧の街には滅多に芝生はなかったね。ユーイオはこの青々しい香りは嫌い?」
「………嫌じゃない。慣れないだけ」
 この匂いも、身体の重さも。
「リーエイたちは?」
「いい歳こいて走り回ってる。行く?」
「うん………っと」
「立てる?」
 立とうとすると、力が上手く入らなかった。入らない、というより入る力がまるで無いようにさえ感じられた。
「ありがと……」
 仕方なく僕は伸ばされたヴァクターの少し大きい手を掴んで、立たせてもらった。
「それにしても……」
「?」
「なんか街に出て一瞬で育った?」
「っ失礼な……いつまでも僕だけあんなガキの格好でいたいわけないだろ」
 八歳の姿から十六歳ほどの姿へ成長したヴァクターは、髪色や目が本来の色を取り戻したおかげでますますリールに似ていた。
「で、全部還せたか?」
 声も低くなったヴァクターに訊かれる。正直に言っていいのだろうか。完璧に成功したとは言えないのだ。とてつもなく身体が重いことから、僕は完全に人間になったのだろう。だが、肝心の三人の異能はともかく代償まで綺麗に取っ払うことが出来た自信がまるでない。むしろごちゃ混ぜにしたような気さえする。
「……全部は、多分無理だった」
「………そうか」
「多分代償が……」
「ちょそれ一番消してほしいやつ! どうなったと思う?」
 ヴァクターが焦り気味に訊く。そこまでは完全に把握している訳ではないが、まずリールの代償──人一倍長く寝ることは、異能が無くなったため必要性が消えた。よって、完全に還せたと判断して間違いないはずだ。
「……そういえばヴァクターの代償ってなんだったっけ」
「あれ? 言ってなかったか? 僕のあらゆる呪詛と守護を司る異能の代償は人に施した呪詛、守護の反動を受ける必要があることと、その反動で負った傷じゃ死なないってこと」
 呪詛の場合は、簡単に言えば人を呪わば穴二つ式だ。呪詛の異能を使えばその力が数日後から数ヵ月後のどこかで自身に降りかかるらしい。守護の異能の場合は、守護の異能で相手が負うことのなかった怪我などを肩代わりするような形らしい。果たしてそれを守護と呼んでいいのかはさておき、様々な力を使い分け出来るからこそ全て自分に返ってくる代償だったのだろうか。どちらにせよ、異能ありきの代償なのだ、もうあるわけがない。
「じゃ問題はリーエイか………」
 彼の代償は異能から来るもの、というより彼自身の自責の念や強い後悔から出来たものと考えた方が近いのかもしれない。もしそうだとすると、異能ありきではないから完全に還せていないかもしれない。
「……多分、リーエイのが残ったな」
「えぇ困るよ」
「リーエイだけにじゃなくて、なんというか、三等分? されてる感じ」
 全員不死身、外見はとてつもなくゆっくり歳をとる状態だとユーイオは予想した。
「えっ死ねないの困る」
「だ、大丈夫。多分心臓と脳がどっちも一気に殺られたら死ねるよ」
「えぇ……」
 明らかに嫌そうな顔をされた。
「だ、だってあの街にいて代償が働いてた時も脳を潰されたらリーエイは死んでたでしょ」
「それは異能が脳に依存してるからで──」
「残留してるって言ったらいい? 扱えるほどの力は残ってない。爪の中に入り込んだ塵みたいな残りカスが三人をそうさせてるって言いたいの。なんで三等分されたかは知らないけど」
「てか三等分三等分って、ユーイオは?」
 ヴァクターはまさか僕に残留したリーエイの代償が働いていないのかと訊いた。表情がコロコロ変わるのが見ていて面白いな。
「僕は体の重さからして明らかに人間……のはず」
 ああ、多分そうだ。今までに感じたことの無い重力と、体の不自由さが何よりの証拠だ。間違いない。
「だからごめん、僕は三人と同じように生きていけなくなる」
「……え」
 何をやっても異能の力で無力化に近いことをして死ななかったユーイオが死んでしまう時が来てしまう、らしい。
「いつまで生きられるかわかんないけど、これからもよろしくね」
「……………ああ」



 ──三年後
 結局僕はふたりに、僕だけ完全に人間になったことを言い出せないまま旅に出ることにした。この三年間で一応、今の世界には慣れたつもりだ。
「気をつけてね、ユーイオ」
「うん」
「いつでも帰ってきていいからね」
「わかったってば」
 リーエイ──人間に戻ったためリエレッツとして生きるらしい──は僕をしつこく見送ってくれた。「いってくる」「帰ってきてもいいよ」のやりとりを五回はした。ヴァクターとリールの親子には「元気に生きろよ」とだけ言われた。わかってる。皆不安なんだ。なんだかんだあの狭い街の中でずっとくっついて暮らしてきたから、僕が独りで長い間無事に過ごせるか、どこか不安に思っているのだろう。
「……じゃ、いってきます」
「いつでも待ってるよ」
「はいはい」
 空港で別れる。リエレッツの故郷に戻ってくる為に一回だけ乗った、飛行機にもう一度乗る。ここはどんな世界になっているのだろう。何が待っているかわからないこの広い世界は、僕にとって希望で満ちていた。
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