45 / 249
第二幕 幼少期
43.お忍び領内視察
しおりを挟む
ジーンシャン領の冬は厳しい。
雪が降り積もり、辺り一面が雪景色となり、気温は零下までさがる。頭の血管が寒さで切れないように、外出時には帽子が必須になるほどだ。
そんな季節に差し掛かった頃、領地統治の授業を担当するセルゲイ・ガラノフ先生(57歳)は、アントニオに街のお忍び視察を提案してきた。
ガラノフ先生は、40歳までジーンシャン魔導騎士団で騎士をした後、大臣となった人物で、55歳で定年を迎えた後は、領内の学校で政治学を教えている。
夏の能力鑑定後から始まったガラノフ先生の領地統治の授業は、それまでずっと座学だった。領民の登録、税収、魔導騎士団や文官や召使い達の給与、誰に何を頼めるかといった命令の下し方、逆に誰がどんなお願いをしてくるか、公式行事で領主がする仕事などを教わっていた。
セルゲイ
「領民に顔が割れていない今うちに、領民側からみた、ありのままのジーンシャン領を見て回りましょう」
そう言って、アントニオの頭に帽子を被せた。
グリエルモ
「私も昔、街にお忍びで視察に行った時は、帽子を被れるこの季節に行ったんだよ。私の髪は一般的な金髪の色と違って、ジーンシャン家特有の金属的なキラキラした金髪だからね。質素な服に着替えても、すぐにジーンシャン家の者だとわかってしまう。そこで、すっぽり髪を隠せる帽子を被っていても不自然ではない、この季節を狙って視察に行っていた。
平民に変装して街を見て回ると、領民が領主に対して何を望んでいるのかがよく分かる。
トニーの髪の色も、ジーンシャン領ではとくに珍しいからね。念のため、変装して行きなさい。ユニコーン騎兵達がヤンとの決闘の話をあちらこちらで話しているせいで、街にもトニーの噂が広がっているようだし」
アントニオ
「なぜ、ジーンシャンでは焦茶が珍しいのですか? 王都でも珍しいみたいでしたが?」
グリエルモ
「ここは他の地域より魔素が濃いからね。焦茶や漆黒の髪の人達は、魔素に負けて具合が悪くなってしまうことが多いんだよ。
王都では貧民街に行くと焦茶の髪の人は結構いるし、王都より南の国では珍しい髪色ではないんだ」
アントニオ
「そうなんですね! 南の国か...行ってみたいな」
グリエルモ
「南は治安があまり良くないから、行くなら、大人になってからだよ」
アントニオ
「はい。分かりました!」
グリエルモ
「私は顔が割れているから、街の視察には一緒に行けない。気を付けて行くんだよ?」
セルゲイ
「呼び名も変えて行きましょう。継承無しでアントンと呼ばせて頂きますが、宜しいですか?」
アントニオ
「はい。アントンで大丈夫です」
メアリー
「本当に護衛を付けなくて大丈夫?」
グリエルモ
「街では魔導騎士団のメンバーは有名人だ。そのメンバーが護衛についたら、領主の息子と名乗っているようなものだから、かえって目立って危険だ」
セルゲイ
「年老いても、魔法の腕は落ちておりません。私にお任せ下さい」
メアリー
「分かりました。宜しく頼みます」
アントニオは、安価で街の子供に人気がある鼠色の庶民的なコート、ベージュのムートンブーツ、先程被せてもらった紫色の耳当て付きのニット帽を着込んだ。
ガラノフ先生に連れられて、アントニオは生まれて初めて街へと繰り出すこととなる。
ジーンシャン城は城下町よりも少し高い丘の上にあり、広い敷地を有している。
城下町も城壁に囲まれているが、丘の上にある城の周りにも、さらに城壁があり、二重で敵の侵略を防げるようになっているのだ。
丘の上の城内には、アントニオ達が暮らす屋敷の他に、兵士や召使いが住む宿舎、魔導騎士団の訓練場、飛竜やユニコーンの厩舎などがある。中々の広さがあり、アントニオは森や山へ行く以外は、城内で暮らしていた。
城門から出るのは初めてだ!
空間移動魔法や飛竜を使って、外出したことはあるが、普通に城門から出るのは初めてだったのだ。
アントニオとセルゲイが屋敷を出て、ゲートハウスになっている城門に差し掛かると、関所の検問で兵士が通行許可証の提示を求めて来た。
兵士
「ガラノフ様、先程いらしたばかりですのに、もう、お帰りですか?」
セルゲイ
「今日はこの子に街を見せたら、また戻って来る」
セルゲイは統治の講師として渡されている通行許可証と、臨時で発行された通行許可証の二枚を兵士に見せる。
臨時の通行許可証には『セルゲイ・ガラノフに同伴する子供の通行を許可する。 ジーンシャン辺境伯領主グリエルモ・ジーンシャン』と記載されている。
兵士
「お孫さんですか?」
セルゲイ
「いや、知人から預かった子だ」
そう言われて、キョロキョロしている子供の顔を兵士はまじまじと見つめた。
何処かで見たような...
アントニオと目が合って笑い掛けられると、見覚えのあるその顔に、兵士の心臓は跳ね上がった。
兵士
「あ! トニー様! これは、失礼致しました! どうぞお通り下さい!」
気が付いた兵士が慌てて姿勢を正し敬礼すると、周りにいた他の兵士達も姿勢を正し敬礼した。
アントニオ
「有難うございます。でも、今日は平民のアントンとして城下町に行くのです。内緒にして下さいね」
兵士
「は、はい! もちろんであります!」
変装していても流石に、城内の兵士にはバレるか。
バレてガッカリする反面、自分に気が付いてもらえて嬉しいアントニオだった。
セルゲイに手を引かれ、城門をくぐり抜け、城下町へとのびる斜面を降って行く。
風はそんなに強くないが、早朝ということもあって、防寒具を着込んでいても、なかなかの寒さである。雪は降っていないが、空が薄い雲で覆われている。
坂を下りきった所に、また関所がある。関所を守る兵士達とまた、先程と同じようなやり取りを繰り返して、ようやく城下町へと入ることが出来た。
関所を出たところは、大きな広場になっており、今は何もないが、待ち合わせをする人や、立ち話をする人など、それなりの人で賑わっている。
この広場は、お祭りや市場が開催される日は、仮設の店舗が立ち並んで、人々でごった返すらしい。
セルゲイ
「国民の平均月収は約12万イェ二。1日の食費は単身者であっても1,000イェ二以下で済ませるのが一般的です。今日はアントンも、1日の食費を1,000イェ二以下に抑えて下さい。下層の領民が一家族で1日の食事を1,000イェ二以下に抑えている事を考えると、そんなに難しくはないでしょう?」
アントニオ
「はい! 先生」
前世で貧民だったアントニオは自信たっぷりに答えた。
セルゲイ
「まずは、朝御飯を食べてみましょう」
アントニオは、お金を使うのも初めてだ。楽器店での支払いはバルドとリンがしてくれたので、まだ自力で買い物をしたことがなかった。
ドキドキしながら、広場に面したカフェの看板メニューを覗き込む。
『コーヒー 120イェ二
紅茶 120イェ二
リンゴジュース 100イェ二
薬草ハーブティー 290イェ二
ワイン 200イェ二
ビール 170イェ二
ミックスサンドイッチ 180イェ二
魔牛サンドイッチ 320イェ二
本日のパスタ340イェ二』
1日で1,000イェ二ということは、朝昼晩とお茶の時間を考えると、一回の食事は250イェ二以下に抑えなくてはいけない。ディナーは高くなると予想されるから、朝御飯はもっと抑えないと、後でお金が足りなくなってしまう。
アントニオ
「高いですね...」
セルゲイ
「この広場に面したお店は、他の場所よりも高い店が多い。高給取りの魔導騎士団が利用するからです。そもそも、平民はあまり朝から外食をしませんからね」
さっきは難しくないような事を言っていたけど、難しい問題じゃないか!
アントニオは、どうやって1日のやり繰りをすればいいのか分からず、頭を悩ませた。
いつも涼しい顔で難しい問題を解くアントニオが悩んでいる。そんな姿をみて、ガラノフ先生は大変に機嫌を良くした。
この子も人の子であったのだ!
アントニオはそんな先生の様子を見て、この人、凄いドSだな、と思うのであった。
アントニオ
「広場から離れたカフェやパン屋さんなら、もっと安く買えますか?」
セルゲイ
「そうですね。ですが、パン屋には食べる場所がありませんから、外で食べる事になりますし、暖かい物は食べられません」
アントニオ
「では、安いカフェに行きたいです」
セルゲイ
「この広場は城壁の外へ出る正門とつながっていますが、この大通りに面しているお店は、高い店が多いのです。安い店を探すのでしたら、大通りを外れた裏通りか、城壁の外に行くと良いでしょう」
最近は、戦後の復興も進み、ジーンシャン領の人口が増えている。ジーンシャン領は、他の地域よりも魔素が濃いことで、良質な薬草や魔石(魔法属性を宿した石)、魔獣のジビエ(狩猟肉)や毛皮が手に入る。
資源が豊富であるため、仕事も豊富だ。
魔石が充実している事で、魔石を使った魔道具の生産が盛んであり、ライト、水洗トイレやお風呂、ホットカーペットにエアコン、キッチン、掃除機といった、家電ならぬ生活魔道具が安価で手に入る。
何より、強力な魔導騎士団と憲兵がいるため、治安がいい。
寒くて、王都から遠いというデメリットはあるが、魔王軍の進軍がない今、ジーンシャン領は住み心地の良い豊かな場所であるのだ。
その為、移民が増え、城壁内に住めなかった人々は城壁の外に街を作り住むようになった。
セルゲイ
「城壁の外は多少治安が悪くなりますが、物価はかなり安いですよ」
アントニオ
「では、朝御飯は城壁内の裏通りで食べて、昼食は城壁外のお店で食べたいです」
セルゲイ
「分かりました。参りましょうか」
雪が降り積もり、辺り一面が雪景色となり、気温は零下までさがる。頭の血管が寒さで切れないように、外出時には帽子が必須になるほどだ。
そんな季節に差し掛かった頃、領地統治の授業を担当するセルゲイ・ガラノフ先生(57歳)は、アントニオに街のお忍び視察を提案してきた。
ガラノフ先生は、40歳までジーンシャン魔導騎士団で騎士をした後、大臣となった人物で、55歳で定年を迎えた後は、領内の学校で政治学を教えている。
夏の能力鑑定後から始まったガラノフ先生の領地統治の授業は、それまでずっと座学だった。領民の登録、税収、魔導騎士団や文官や召使い達の給与、誰に何を頼めるかといった命令の下し方、逆に誰がどんなお願いをしてくるか、公式行事で領主がする仕事などを教わっていた。
セルゲイ
「領民に顔が割れていない今うちに、領民側からみた、ありのままのジーンシャン領を見て回りましょう」
そう言って、アントニオの頭に帽子を被せた。
グリエルモ
「私も昔、街にお忍びで視察に行った時は、帽子を被れるこの季節に行ったんだよ。私の髪は一般的な金髪の色と違って、ジーンシャン家特有の金属的なキラキラした金髪だからね。質素な服に着替えても、すぐにジーンシャン家の者だとわかってしまう。そこで、すっぽり髪を隠せる帽子を被っていても不自然ではない、この季節を狙って視察に行っていた。
平民に変装して街を見て回ると、領民が領主に対して何を望んでいるのかがよく分かる。
トニーの髪の色も、ジーンシャン領ではとくに珍しいからね。念のため、変装して行きなさい。ユニコーン騎兵達がヤンとの決闘の話をあちらこちらで話しているせいで、街にもトニーの噂が広がっているようだし」
アントニオ
「なぜ、ジーンシャンでは焦茶が珍しいのですか? 王都でも珍しいみたいでしたが?」
グリエルモ
「ここは他の地域より魔素が濃いからね。焦茶や漆黒の髪の人達は、魔素に負けて具合が悪くなってしまうことが多いんだよ。
王都では貧民街に行くと焦茶の髪の人は結構いるし、王都より南の国では珍しい髪色ではないんだ」
アントニオ
「そうなんですね! 南の国か...行ってみたいな」
グリエルモ
「南は治安があまり良くないから、行くなら、大人になってからだよ」
アントニオ
「はい。分かりました!」
グリエルモ
「私は顔が割れているから、街の視察には一緒に行けない。気を付けて行くんだよ?」
セルゲイ
「呼び名も変えて行きましょう。継承無しでアントンと呼ばせて頂きますが、宜しいですか?」
アントニオ
「はい。アントンで大丈夫です」
メアリー
「本当に護衛を付けなくて大丈夫?」
グリエルモ
「街では魔導騎士団のメンバーは有名人だ。そのメンバーが護衛についたら、領主の息子と名乗っているようなものだから、かえって目立って危険だ」
セルゲイ
「年老いても、魔法の腕は落ちておりません。私にお任せ下さい」
メアリー
「分かりました。宜しく頼みます」
アントニオは、安価で街の子供に人気がある鼠色の庶民的なコート、ベージュのムートンブーツ、先程被せてもらった紫色の耳当て付きのニット帽を着込んだ。
ガラノフ先生に連れられて、アントニオは生まれて初めて街へと繰り出すこととなる。
ジーンシャン城は城下町よりも少し高い丘の上にあり、広い敷地を有している。
城下町も城壁に囲まれているが、丘の上にある城の周りにも、さらに城壁があり、二重で敵の侵略を防げるようになっているのだ。
丘の上の城内には、アントニオ達が暮らす屋敷の他に、兵士や召使いが住む宿舎、魔導騎士団の訓練場、飛竜やユニコーンの厩舎などがある。中々の広さがあり、アントニオは森や山へ行く以外は、城内で暮らしていた。
城門から出るのは初めてだ!
空間移動魔法や飛竜を使って、外出したことはあるが、普通に城門から出るのは初めてだったのだ。
アントニオとセルゲイが屋敷を出て、ゲートハウスになっている城門に差し掛かると、関所の検問で兵士が通行許可証の提示を求めて来た。
兵士
「ガラノフ様、先程いらしたばかりですのに、もう、お帰りですか?」
セルゲイ
「今日はこの子に街を見せたら、また戻って来る」
セルゲイは統治の講師として渡されている通行許可証と、臨時で発行された通行許可証の二枚を兵士に見せる。
臨時の通行許可証には『セルゲイ・ガラノフに同伴する子供の通行を許可する。 ジーンシャン辺境伯領主グリエルモ・ジーンシャン』と記載されている。
兵士
「お孫さんですか?」
セルゲイ
「いや、知人から預かった子だ」
そう言われて、キョロキョロしている子供の顔を兵士はまじまじと見つめた。
何処かで見たような...
アントニオと目が合って笑い掛けられると、見覚えのあるその顔に、兵士の心臓は跳ね上がった。
兵士
「あ! トニー様! これは、失礼致しました! どうぞお通り下さい!」
気が付いた兵士が慌てて姿勢を正し敬礼すると、周りにいた他の兵士達も姿勢を正し敬礼した。
アントニオ
「有難うございます。でも、今日は平民のアントンとして城下町に行くのです。内緒にして下さいね」
兵士
「は、はい! もちろんであります!」
変装していても流石に、城内の兵士にはバレるか。
バレてガッカリする反面、自分に気が付いてもらえて嬉しいアントニオだった。
セルゲイに手を引かれ、城門をくぐり抜け、城下町へとのびる斜面を降って行く。
風はそんなに強くないが、早朝ということもあって、防寒具を着込んでいても、なかなかの寒さである。雪は降っていないが、空が薄い雲で覆われている。
坂を下りきった所に、また関所がある。関所を守る兵士達とまた、先程と同じようなやり取りを繰り返して、ようやく城下町へと入ることが出来た。
関所を出たところは、大きな広場になっており、今は何もないが、待ち合わせをする人や、立ち話をする人など、それなりの人で賑わっている。
この広場は、お祭りや市場が開催される日は、仮設の店舗が立ち並んで、人々でごった返すらしい。
セルゲイ
「国民の平均月収は約12万イェ二。1日の食費は単身者であっても1,000イェ二以下で済ませるのが一般的です。今日はアントンも、1日の食費を1,000イェ二以下に抑えて下さい。下層の領民が一家族で1日の食事を1,000イェ二以下に抑えている事を考えると、そんなに難しくはないでしょう?」
アントニオ
「はい! 先生」
前世で貧民だったアントニオは自信たっぷりに答えた。
セルゲイ
「まずは、朝御飯を食べてみましょう」
アントニオは、お金を使うのも初めてだ。楽器店での支払いはバルドとリンがしてくれたので、まだ自力で買い物をしたことがなかった。
ドキドキしながら、広場に面したカフェの看板メニューを覗き込む。
『コーヒー 120イェ二
紅茶 120イェ二
リンゴジュース 100イェ二
薬草ハーブティー 290イェ二
ワイン 200イェ二
ビール 170イェ二
ミックスサンドイッチ 180イェ二
魔牛サンドイッチ 320イェ二
本日のパスタ340イェ二』
1日で1,000イェ二ということは、朝昼晩とお茶の時間を考えると、一回の食事は250イェ二以下に抑えなくてはいけない。ディナーは高くなると予想されるから、朝御飯はもっと抑えないと、後でお金が足りなくなってしまう。
アントニオ
「高いですね...」
セルゲイ
「この広場に面したお店は、他の場所よりも高い店が多い。高給取りの魔導騎士団が利用するからです。そもそも、平民はあまり朝から外食をしませんからね」
さっきは難しくないような事を言っていたけど、難しい問題じゃないか!
アントニオは、どうやって1日のやり繰りをすればいいのか分からず、頭を悩ませた。
いつも涼しい顔で難しい問題を解くアントニオが悩んでいる。そんな姿をみて、ガラノフ先生は大変に機嫌を良くした。
この子も人の子であったのだ!
アントニオはそんな先生の様子を見て、この人、凄いドSだな、と思うのであった。
アントニオ
「広場から離れたカフェやパン屋さんなら、もっと安く買えますか?」
セルゲイ
「そうですね。ですが、パン屋には食べる場所がありませんから、外で食べる事になりますし、暖かい物は食べられません」
アントニオ
「では、安いカフェに行きたいです」
セルゲイ
「この広場は城壁の外へ出る正門とつながっていますが、この大通りに面しているお店は、高い店が多いのです。安い店を探すのでしたら、大通りを外れた裏通りか、城壁の外に行くと良いでしょう」
最近は、戦後の復興も進み、ジーンシャン領の人口が増えている。ジーンシャン領は、他の地域よりも魔素が濃いことで、良質な薬草や魔石(魔法属性を宿した石)、魔獣のジビエ(狩猟肉)や毛皮が手に入る。
資源が豊富であるため、仕事も豊富だ。
魔石が充実している事で、魔石を使った魔道具の生産が盛んであり、ライト、水洗トイレやお風呂、ホットカーペットにエアコン、キッチン、掃除機といった、家電ならぬ生活魔道具が安価で手に入る。
何より、強力な魔導騎士団と憲兵がいるため、治安がいい。
寒くて、王都から遠いというデメリットはあるが、魔王軍の進軍がない今、ジーンシャン領は住み心地の良い豊かな場所であるのだ。
その為、移民が増え、城壁内に住めなかった人々は城壁の外に街を作り住むようになった。
セルゲイ
「城壁の外は多少治安が悪くなりますが、物価はかなり安いですよ」
アントニオ
「では、朝御飯は城壁内の裏通りで食べて、昼食は城壁外のお店で食べたいです」
セルゲイ
「分かりました。参りましょうか」
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する
白雪の雫
ファンタジー
何となく思い付いた話なので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合展開です。
聖女として召喚された巫女にして退魔師なヒロインが、今回の召喚に関わった人間を除いた命を使って元の世界へと戻る話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺 あおい
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる