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第三幕 学生期
122.持久走2
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最初の黄色い札の通過順は以下の通りになった。
①エーリク・ハッキネン
②ユーリ・ブラウエル
③クリスタ・ヒューゲル
④マーク・ホワイトリー
⑤ルーカス・ミラー
⑥リアナ・ジャニエス
⑦ディーデリック・バース
⑧アントニオ・ジーンシャン
⑨ラドミール・ベナーク
⑩フィオナ・グリーンウェル
2番目を走っていたユーリは、後ろから追い上げてきたクリスタにも抜かれて非常に焦り出した。
くそ! 平民の分際で! 女の癖に無駄に長い脚しやがって! なんとかしなくては! それにしても、王立学校の外壁沿いの道は曲がりくねっていて、視界が悪い! 走りにくいったら...
そうだ! スラッカリー先生は魔法を使っていいと仰っていた。
ユーリは氷魔法で、こっそり急なカーブの道を凍らせた。
ふふ...これで、後から来た奴はすっ転ぶぞ!
__________
ディーデリックは奴隷生活で鍛えた脚力のお陰で、マークやルーカスを抜くことに成功していた。そして、ユーリに迫る勢いでカーブに差し掛かった。
その途端、足元が滑って派手に転んだ。
地面が凍っている!?
ディーデリック
「くっ、卑怯な!」
ディーデリックは慌てて起き上がり後を追う。
後ろから追いついたルーカスは、ディーデリックの叫び声をきいて異変に気が付き、足元に気を付けて進んだ。だが、進むのに手間取り時間がかかってしまう。
マークも同様に気を付けたが、凍った地面に慣れていなかったため転んでしまう。
マーク
「いってぇ~!! 誰だよ!? 氷属性の坊ちゃんだな!?」
そのすぐ後からアントニオも、ほとんど時間差なく、その現場に差し掛かった。
あれ? あそこ、滑るのかな?
アントニオは勢いを殺さずに、ポンポン跳ねて氷の道の上を通過した。
何せ雪国のジーンシャン出身である。凍った道には慣れている。
続くリッカルドもジーンシャン領出身である。アントニオ同様、ポンポン跳ねて凍った道を超えた。
その後に続くヴィクトーは火の魔法で前方の地面を戻して進んでいった。
マーク
「げ! アントニオ様、はや!」
ルーカス
「うわっ! もう、追いつかれた?! あの人、順番最後じゃなかったのか!?」
__________
ディーデリックがユーリを追い越そうとすると、ユーリはまたもや魔法で妨害しようとするそぶりを見せた。
すかさず、ディーデリックは魔法でユーリの足元の土をへこませた。
ユーリは足を引っ掛けてド派手に転ぶ。
ユーリが目の前に転がっているのでアントニオはジャンプして、ユーリの上を超えた。
護衛の2人も同様にユーリの上をジャンプで超える。
ユーリ
「くそ!」
悔しがるユーリの横をルーカスも追い越していく。
ルーカスは、自業自得だなぁ~とユーリに軽蔑の目を向けながら去っていった。
__________
ディーデリックは目障りなユーリを追い越して、気が少し緩んだ。
その瞬間、風が後ろから前へと通り過ぎる。
次の瞬間、ディーデリックの目にはアントニオの背中が見えた。
ディーデリックは信じられない、その光景に我が目を疑った。
ディーデリックは王都に住む同世代の子供の中では、群を抜いて俊足であった。だから、抜く事ばかりを考えていて、抜かれることを考えていなかったのである。
頭が真っ白になり、咄嗟に先程、ユーリにやったように、魔法でアントニオの足元をへこませた。
だが、アントニオの歩幅は広く、穴を軽々と超え走り去っていった。
アントニオは、ディーデリックが転ばそうとした事にも気が付かなかった。
しかし、護衛の2人は、はっきりと目撃していた。
リッカルド
「今年の学生は過激だな。俺の代は普通に走っただけだったけど...さっきの、あれも友達だからで、済ませていいのか?」
ヴィクトー
「私の代は魔法戦士科では普通に走っていたが、魔法科では魔法妨害があったらしい。リュシアンの奴、抜いた後で仕返しに大量のトラップを仕掛けたと言っていた。実戦を想定している授業ならば、多少の進路妨害は致し方あるまい。だが、トニー様に仕掛けてくるなど...やはり、あいつは要注意人物だな。」
リッカルド
「なるほど...了解。」
__________
二つ目のポイントに1位で到着したエーリクは余裕で、赤い札をゲットした。
俺の1位は間違いない!
1位を取ったら、ハッキネン領にいる父と母に、自慢の手紙を書こう! 王立学校でも1位を取ったと!
__________
2位を走るクリスタは、エーリクに越されてしまったことを後悔していた。
自分も脚力に自信があったけど、やっぱり、王立学校はレベルが高い。
後ろから来るクラスメイトに抜かされたら、再び追い抜かす事は難しいんだわ。
もっと魔力が残っていれば...風魔法で1位のエーリクも抜かせるのに! ...でも、あいつも風魔法か...。
あいつも背が高くて同じくらいの身長だし、魔法の属性も同じ、魔力量も同じくらいみたい。ライバルだわ。
でも、ちょっとだけエーリクの方が優秀みたい...悔しい!
ダメダメ! ネガティヴになっちゃダメよ! しっかりしなくては!
何のために王立学校に入学したと思っているの?
クリスタは、グレーザー伯爵家に仕える騎士の娘で、何度か父親に連れられ、城に訪れたことがあった。そこで、グレーザー伯爵の甥にあたるハンス・グレーザーと出会った。
ハンスは他の同世代の汗臭い男の子達とは違い、近付くといい香りがした。
その上、ハンスはグレーザー伯爵の直系の子息達よりも優秀で、魔法でも剣術でも城で1番だった。
次期伯爵なら上級貴族のお嬢さんにしか結婚の可能性がないが、ハンスは伯爵の甥で爵位継承の可能性がほとんどないため、下級騎士家の女の子でも、結婚出来る可能性が大いにあった。
グレーザー領の女の子達は皆、ハンスに夢中で、クリスタも、その内の一人だったのだ。
ハンス様を追いかけて、ここまで来たんじゃない! ハンス様はジーンシャン魔導騎士団に入ることを目標にしている。だから、私もジーンシャン魔導騎士団に入れるように頑張らなくちゃ!
他の学生に負ける訳にはいかない!
考えごとをしながら走っていると、突然、クリスタの横を風が通り過ぎる。
焦茶の後頭部が見えたと思うと、凄い勢いで遠ざかっていった。
何故!? アントニオ様が?
1番最後に出発したんじゃないの!?
護衛の2人も通り過ぎていく。
何て速さなの!? 信じられない! まさか、護衛騎士に風の魔法をかけてもらった?
確かに、魔法は使っていいと言われたけど、人にかけてもらうのはいいの!?
不正を許さないジーンシャン家の次期領主様が、そんなことをして許されるの!?
釈然としないまま走っていると、ディーデリックにも追い越され、クリスタは涙目になった。
え!?
もしかして、金髪じゃない人って戦士科並みに足が速いのかしら?
それなのにディーデリックは私より魔力も高い。しかも、すでに、アントニオ様にとりいってるし!
う、羨ましいやつ。
でも...次期辺境伯のアントニオ様に負けてもセーフよね?
__________
リアナは焦っていた。1番最初にスタートしたのに皆にどんどん抜かされて、順位を落としていったからだ。
とうとう、ラドミール にも追いつかれてしまう。
ラドミール
「女性は大変だな。ハンデがあっても、妨害でもしないと負けるんだろうな。」
伯爵家のラドミールは、男爵令嬢のリアナが身分下で言い返せないのをいいことに、皮肉をいって走り去った。
ラドミールは、札を隠したのはリアナだと思ったのだ。
リアナはラドミールの姿が見えなくなってからボヤく。
リアナ
「何よ! あいつ! 嫌な奴!」
だけど...なんか意味深な言い方だったわね。 妨害ねぇ~...
正直なところ、私は足が遅い。だから、前にいる連中には追いつける気がしないわ。後ろを走っているのは伯爵家のフィオナだけよね? このままだと、フィオナにも抜かされてしまうかも?
でも、ビリには絶対になりたくない!
...もし、通過するときに札が見つからなかったら...フィオナはどうするかしら? 探して遅れるんじゃない?
それに、もし、追い抜かれても、札がなければ失格でしょ? あの子のビリが確定する。
リアナは、札の置かれたポイントに差し掛かると、2枚残った赤い札を2枚ともポケットにしまった。
あの澄ました顔が、どんな風に変化するのか、見ものだわ!
__________
後からポイントにやってきた、フィオナは非常に苛立っていた。
今度のポイントにも札が置かれていない。
またなの!? こんなことしても無駄だっていうのに! いったい、どこの誰よ!
フィオナは、また、ペンで台にサインをすると、再び走り出した。
①エーリク・ハッキネン
②ユーリ・ブラウエル
③クリスタ・ヒューゲル
④マーク・ホワイトリー
⑤ルーカス・ミラー
⑥リアナ・ジャニエス
⑦ディーデリック・バース
⑧アントニオ・ジーンシャン
⑨ラドミール・ベナーク
⑩フィオナ・グリーンウェル
2番目を走っていたユーリは、後ろから追い上げてきたクリスタにも抜かれて非常に焦り出した。
くそ! 平民の分際で! 女の癖に無駄に長い脚しやがって! なんとかしなくては! それにしても、王立学校の外壁沿いの道は曲がりくねっていて、視界が悪い! 走りにくいったら...
そうだ! スラッカリー先生は魔法を使っていいと仰っていた。
ユーリは氷魔法で、こっそり急なカーブの道を凍らせた。
ふふ...これで、後から来た奴はすっ転ぶぞ!
__________
ディーデリックは奴隷生活で鍛えた脚力のお陰で、マークやルーカスを抜くことに成功していた。そして、ユーリに迫る勢いでカーブに差し掛かった。
その途端、足元が滑って派手に転んだ。
地面が凍っている!?
ディーデリック
「くっ、卑怯な!」
ディーデリックは慌てて起き上がり後を追う。
後ろから追いついたルーカスは、ディーデリックの叫び声をきいて異変に気が付き、足元に気を付けて進んだ。だが、進むのに手間取り時間がかかってしまう。
マークも同様に気を付けたが、凍った地面に慣れていなかったため転んでしまう。
マーク
「いってぇ~!! 誰だよ!? 氷属性の坊ちゃんだな!?」
そのすぐ後からアントニオも、ほとんど時間差なく、その現場に差し掛かった。
あれ? あそこ、滑るのかな?
アントニオは勢いを殺さずに、ポンポン跳ねて氷の道の上を通過した。
何せ雪国のジーンシャン出身である。凍った道には慣れている。
続くリッカルドもジーンシャン領出身である。アントニオ同様、ポンポン跳ねて凍った道を超えた。
その後に続くヴィクトーは火の魔法で前方の地面を戻して進んでいった。
マーク
「げ! アントニオ様、はや!」
ルーカス
「うわっ! もう、追いつかれた?! あの人、順番最後じゃなかったのか!?」
__________
ディーデリックがユーリを追い越そうとすると、ユーリはまたもや魔法で妨害しようとするそぶりを見せた。
すかさず、ディーデリックは魔法でユーリの足元の土をへこませた。
ユーリは足を引っ掛けてド派手に転ぶ。
ユーリが目の前に転がっているのでアントニオはジャンプして、ユーリの上を超えた。
護衛の2人も同様にユーリの上をジャンプで超える。
ユーリ
「くそ!」
悔しがるユーリの横をルーカスも追い越していく。
ルーカスは、自業自得だなぁ~とユーリに軽蔑の目を向けながら去っていった。
__________
ディーデリックは目障りなユーリを追い越して、気が少し緩んだ。
その瞬間、風が後ろから前へと通り過ぎる。
次の瞬間、ディーデリックの目にはアントニオの背中が見えた。
ディーデリックは信じられない、その光景に我が目を疑った。
ディーデリックは王都に住む同世代の子供の中では、群を抜いて俊足であった。だから、抜く事ばかりを考えていて、抜かれることを考えていなかったのである。
頭が真っ白になり、咄嗟に先程、ユーリにやったように、魔法でアントニオの足元をへこませた。
だが、アントニオの歩幅は広く、穴を軽々と超え走り去っていった。
アントニオは、ディーデリックが転ばそうとした事にも気が付かなかった。
しかし、護衛の2人は、はっきりと目撃していた。
リッカルド
「今年の学生は過激だな。俺の代は普通に走っただけだったけど...さっきの、あれも友達だからで、済ませていいのか?」
ヴィクトー
「私の代は魔法戦士科では普通に走っていたが、魔法科では魔法妨害があったらしい。リュシアンの奴、抜いた後で仕返しに大量のトラップを仕掛けたと言っていた。実戦を想定している授業ならば、多少の進路妨害は致し方あるまい。だが、トニー様に仕掛けてくるなど...やはり、あいつは要注意人物だな。」
リッカルド
「なるほど...了解。」
__________
二つ目のポイントに1位で到着したエーリクは余裕で、赤い札をゲットした。
俺の1位は間違いない!
1位を取ったら、ハッキネン領にいる父と母に、自慢の手紙を書こう! 王立学校でも1位を取ったと!
__________
2位を走るクリスタは、エーリクに越されてしまったことを後悔していた。
自分も脚力に自信があったけど、やっぱり、王立学校はレベルが高い。
後ろから来るクラスメイトに抜かされたら、再び追い抜かす事は難しいんだわ。
もっと魔力が残っていれば...風魔法で1位のエーリクも抜かせるのに! ...でも、あいつも風魔法か...。
あいつも背が高くて同じくらいの身長だし、魔法の属性も同じ、魔力量も同じくらいみたい。ライバルだわ。
でも、ちょっとだけエーリクの方が優秀みたい...悔しい!
ダメダメ! ネガティヴになっちゃダメよ! しっかりしなくては!
何のために王立学校に入学したと思っているの?
クリスタは、グレーザー伯爵家に仕える騎士の娘で、何度か父親に連れられ、城に訪れたことがあった。そこで、グレーザー伯爵の甥にあたるハンス・グレーザーと出会った。
ハンスは他の同世代の汗臭い男の子達とは違い、近付くといい香りがした。
その上、ハンスはグレーザー伯爵の直系の子息達よりも優秀で、魔法でも剣術でも城で1番だった。
次期伯爵なら上級貴族のお嬢さんにしか結婚の可能性がないが、ハンスは伯爵の甥で爵位継承の可能性がほとんどないため、下級騎士家の女の子でも、結婚出来る可能性が大いにあった。
グレーザー領の女の子達は皆、ハンスに夢中で、クリスタも、その内の一人だったのだ。
ハンス様を追いかけて、ここまで来たんじゃない! ハンス様はジーンシャン魔導騎士団に入ることを目標にしている。だから、私もジーンシャン魔導騎士団に入れるように頑張らなくちゃ!
他の学生に負ける訳にはいかない!
考えごとをしながら走っていると、突然、クリスタの横を風が通り過ぎる。
焦茶の後頭部が見えたと思うと、凄い勢いで遠ざかっていった。
何故!? アントニオ様が?
1番最後に出発したんじゃないの!?
護衛の2人も通り過ぎていく。
何て速さなの!? 信じられない! まさか、護衛騎士に風の魔法をかけてもらった?
確かに、魔法は使っていいと言われたけど、人にかけてもらうのはいいの!?
不正を許さないジーンシャン家の次期領主様が、そんなことをして許されるの!?
釈然としないまま走っていると、ディーデリックにも追い越され、クリスタは涙目になった。
え!?
もしかして、金髪じゃない人って戦士科並みに足が速いのかしら?
それなのにディーデリックは私より魔力も高い。しかも、すでに、アントニオ様にとりいってるし!
う、羨ましいやつ。
でも...次期辺境伯のアントニオ様に負けてもセーフよね?
__________
リアナは焦っていた。1番最初にスタートしたのに皆にどんどん抜かされて、順位を落としていったからだ。
とうとう、ラドミール にも追いつかれてしまう。
ラドミール
「女性は大変だな。ハンデがあっても、妨害でもしないと負けるんだろうな。」
伯爵家のラドミールは、男爵令嬢のリアナが身分下で言い返せないのをいいことに、皮肉をいって走り去った。
ラドミールは、札を隠したのはリアナだと思ったのだ。
リアナはラドミールの姿が見えなくなってからボヤく。
リアナ
「何よ! あいつ! 嫌な奴!」
だけど...なんか意味深な言い方だったわね。 妨害ねぇ~...
正直なところ、私は足が遅い。だから、前にいる連中には追いつける気がしないわ。後ろを走っているのは伯爵家のフィオナだけよね? このままだと、フィオナにも抜かされてしまうかも?
でも、ビリには絶対になりたくない!
...もし、通過するときに札が見つからなかったら...フィオナはどうするかしら? 探して遅れるんじゃない?
それに、もし、追い抜かれても、札がなければ失格でしょ? あの子のビリが確定する。
リアナは、札の置かれたポイントに差し掛かると、2枚残った赤い札を2枚ともポケットにしまった。
あの澄ました顔が、どんな風に変化するのか、見ものだわ!
__________
後からポイントにやってきた、フィオナは非常に苛立っていた。
今度のポイントにも札が置かれていない。
またなの!? こんなことしても無駄だっていうのに! いったい、どこの誰よ!
フィオナは、また、ペンで台にサインをすると、再び走り出した。
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