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第三幕 学生期
126.マナーの授業
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午前の授業(能力測定)が終わり、アントニオはお昼御飯の約束をしているヤンとタイラと合流すると、急いで寮の部屋に向かった。
食事をとる目的もあるが、汗をかいて気持ち悪いからシャワーを浴びたい。
アントニオはシャワーを浴びると、替えの制服に着替えた。
アントニオ
「リッカルドとヴィクトーもシャワーを使って下さい。ヤン、その間に制服をクリーニング出来るか洗濯室の作業員さんに聞いてきて!」
ヤン
「かしこまりました!」
ヴィクトー
「いえ、私達は護衛ですから、お気になさらず!」
アントニオ
「でも、次の授業はマナーの授業なのです。マナーの授業は社交界を想定して行われるのでしょう? 汗臭いまま行ったら、マナーに反します!」
リッカルド
「トニー様は着替えられたのですから問題ないのでは?」
アントニオ
「実際の社交界を考えて下さい。連れて来た護衛が汚れて汗臭かったら、パーティーのホストやゲストは不愉快に思うでしょう? お願いだから、シャワーを浴びて下さい!」
リッカルド
「はい」
ヴィクトー
「承知致しました。」
実は、護衛の2人は、在学中のマナーの成績は可しかとったことがなかった。他の多くの学生達もそうだったし、大貴族の御子息、御息女でも良をとることしか出来ていなかったので、どんなに頑張っても優などのいい成績は取れないのだと思っていた。
誰かがミス・ウェリントンから優をもらったという話をきかない。その上の秀など、とんでもない話だ。
アントニオ
「軍服の洗濯中はガウンを着ていて下さい。」
アントニオは護衛2人に自分のガウンを一枚ずつ渡した。
ヤン
「マナーの授業って匂いも関係あるのですか? ...知らなかった。」
タイラ
「俺も...」
護衛の2人も全く同意見であった。
もしも、知っていて、配慮していたら、成績は変わっていただろうか?
アントニオ
「ヤン、申し訳ありませんが、洗濯を急いでもらってもいいですか?」
ヤン
「もちろんです!」
ヤンは、リッカルドとヴィクトーの軍服を預かり、洗濯室に持って行った。
ヴィクトーがシャワーしている間に、アントニオは花瓶にさしていた花で花束を作る。
タイラ
「何をなさっているのですか?」
アントニオ
「だって、社交界のパーティーに行くならホストに手土産が必要でしょう?」
タイラ
「えぇ!?」
リッカルド
「授業でも?」
アントニオ
「さぁ? でも、念のため準備しないと...そういえば、タイラ様はマナーの成績があまりよくないと仰っていませんでした? 手土産が足りなかったのでは? 実際の社交界のパーティーには持って行かれるでしょう?」
タイラ
「うっ...そうかもしれません。」
アントニオは青紫色の矢車菊で小ぶりなブーケを作った。メッセージカードを添える。
アントニオ
「よし! あとは帽子と手袋と...」
リッカルド
「そんな物が必要なんですか!?」
アントニオ
「えぇ!? 社交界の基本では? ねぇ? タイラ様。」
タイラ
「そうですが、授業では...授業でも必要だったのか...?」
アントニオは、皆が社交界のマナーを知っていながら、それを授業では無視していることに驚いた。
ん? もしかして、教科書に書いてある事をちゃんと守れば、いい成績がとれるんじゃないかな? 皆、ミス・ウェリントンはゴルゴーン(見た人を石化させる怪物)みたいに怖いって言ってたけど、皆がマナーを守っていないのでは?
そんな事を考えながら、アントニオは、クローゼットから、白い手袋、黒い三角帽子(トリコーン)の学生帽を取り出した。
アントニオ
「手袋とポケットチーフはリッカルドやヴィクトーの分も用意していますよ。」
リッカルド
「有難うございます。」
アントニオ
「ポケットチーフは何色がいいですか? リッカルドは金色でいいですか? ヴィクトーは赤がいいかな? 私は黒にして、えっと...ブローチも使います?」
アントニオが、色取り取りのシルクチーフと宝石箱を抱えてリビングの机に広げる。
タイラもリッカルドも、目を丸くして見つめた。アントニオが宝石箱を持っている事にも驚いたが、宝石箱には、大きな宝石のついたブローチやカフスなど、国宝級のジュエリーが並ぶ。
ジーンシャン家に伝わるジュエリーを始め、主にお誕生日にプレゼントされたジュエリーが並んでいるのだが、エミお祖母様がお姫様時代に使っていた品(メアリーが受け継いだ物だが、『ブローチはドレスに穴が空くから私は使わないわ』と言ってアントニオにくれた)、バルドが魔王時代に使っていた品、リンが集めたコレクションの一部など、ド級のジュエリーが並んでいる。
リッカルド
「こんな凄いもの使えませんよ!」
アントニオ
「あ、やっぱり派手ですよね。大きな宝石が付いているものは、ちょっとした規模程度のパーティーでは使えないですものね。私も父上と母上の誕生日や建国記念などのお祭りでしか使っていないし...ですが、こちらの宝石(いし)の付いていない物ならおかしくないのでは?」
石の付いていない純金や白金のブローチを指差す。
リッカルド
「いえ! こんなに高価な物は使えません!」
アントニオ
「でも、どれも、先程出したお茶の湯呑みよりは安いですよ?」
タイラ、リッカルド
「「え!?」」
2人は改めて湯呑みを見た。湯呑みにはリンドウの間に隠れている龍が描かれている。
なかなか個性的で面白い図柄だと思った。
だが、これが、あの宝石よりも高価なのか??
そう思った次の瞬間、突然、描かれた龍が動き出して笑った。
ビックリして2人が湯呑みを落としそうになったのは言うまでもない。
ヴィクトーがシャワーを浴び終えて戻った時も、ヴィクトーは、2人と同様の反応を見せることとなる。
ヤンが戻ると、ご飯を皆で急いで食べ、歯を磨き、髪を整えた。靴を磨くのも忘れずに行う。
洗濯が終わり、部屋に軍服が届けられると、すぐに着替えた。
そうして、大忙しで準備を終えて、タイラやヤンに別れを告げるとミス・ウェリントンの待つ、社交室へと向かった。
食事をとる目的もあるが、汗をかいて気持ち悪いからシャワーを浴びたい。
アントニオはシャワーを浴びると、替えの制服に着替えた。
アントニオ
「リッカルドとヴィクトーもシャワーを使って下さい。ヤン、その間に制服をクリーニング出来るか洗濯室の作業員さんに聞いてきて!」
ヤン
「かしこまりました!」
ヴィクトー
「いえ、私達は護衛ですから、お気になさらず!」
アントニオ
「でも、次の授業はマナーの授業なのです。マナーの授業は社交界を想定して行われるのでしょう? 汗臭いまま行ったら、マナーに反します!」
リッカルド
「トニー様は着替えられたのですから問題ないのでは?」
アントニオ
「実際の社交界を考えて下さい。連れて来た護衛が汚れて汗臭かったら、パーティーのホストやゲストは不愉快に思うでしょう? お願いだから、シャワーを浴びて下さい!」
リッカルド
「はい」
ヴィクトー
「承知致しました。」
実は、護衛の2人は、在学中のマナーの成績は可しかとったことがなかった。他の多くの学生達もそうだったし、大貴族の御子息、御息女でも良をとることしか出来ていなかったので、どんなに頑張っても優などのいい成績は取れないのだと思っていた。
誰かがミス・ウェリントンから優をもらったという話をきかない。その上の秀など、とんでもない話だ。
アントニオ
「軍服の洗濯中はガウンを着ていて下さい。」
アントニオは護衛2人に自分のガウンを一枚ずつ渡した。
ヤン
「マナーの授業って匂いも関係あるのですか? ...知らなかった。」
タイラ
「俺も...」
護衛の2人も全く同意見であった。
もしも、知っていて、配慮していたら、成績は変わっていただろうか?
アントニオ
「ヤン、申し訳ありませんが、洗濯を急いでもらってもいいですか?」
ヤン
「もちろんです!」
ヤンは、リッカルドとヴィクトーの軍服を預かり、洗濯室に持って行った。
ヴィクトーがシャワーしている間に、アントニオは花瓶にさしていた花で花束を作る。
タイラ
「何をなさっているのですか?」
アントニオ
「だって、社交界のパーティーに行くならホストに手土産が必要でしょう?」
タイラ
「えぇ!?」
リッカルド
「授業でも?」
アントニオ
「さぁ? でも、念のため準備しないと...そういえば、タイラ様はマナーの成績があまりよくないと仰っていませんでした? 手土産が足りなかったのでは? 実際の社交界のパーティーには持って行かれるでしょう?」
タイラ
「うっ...そうかもしれません。」
アントニオは青紫色の矢車菊で小ぶりなブーケを作った。メッセージカードを添える。
アントニオ
「よし! あとは帽子と手袋と...」
リッカルド
「そんな物が必要なんですか!?」
アントニオ
「えぇ!? 社交界の基本では? ねぇ? タイラ様。」
タイラ
「そうですが、授業では...授業でも必要だったのか...?」
アントニオは、皆が社交界のマナーを知っていながら、それを授業では無視していることに驚いた。
ん? もしかして、教科書に書いてある事をちゃんと守れば、いい成績がとれるんじゃないかな? 皆、ミス・ウェリントンはゴルゴーン(見た人を石化させる怪物)みたいに怖いって言ってたけど、皆がマナーを守っていないのでは?
そんな事を考えながら、アントニオは、クローゼットから、白い手袋、黒い三角帽子(トリコーン)の学生帽を取り出した。
アントニオ
「手袋とポケットチーフはリッカルドやヴィクトーの分も用意していますよ。」
リッカルド
「有難うございます。」
アントニオ
「ポケットチーフは何色がいいですか? リッカルドは金色でいいですか? ヴィクトーは赤がいいかな? 私は黒にして、えっと...ブローチも使います?」
アントニオが、色取り取りのシルクチーフと宝石箱を抱えてリビングの机に広げる。
タイラもリッカルドも、目を丸くして見つめた。アントニオが宝石箱を持っている事にも驚いたが、宝石箱には、大きな宝石のついたブローチやカフスなど、国宝級のジュエリーが並ぶ。
ジーンシャン家に伝わるジュエリーを始め、主にお誕生日にプレゼントされたジュエリーが並んでいるのだが、エミお祖母様がお姫様時代に使っていた品(メアリーが受け継いだ物だが、『ブローチはドレスに穴が空くから私は使わないわ』と言ってアントニオにくれた)、バルドが魔王時代に使っていた品、リンが集めたコレクションの一部など、ド級のジュエリーが並んでいる。
リッカルド
「こんな凄いもの使えませんよ!」
アントニオ
「あ、やっぱり派手ですよね。大きな宝石が付いているものは、ちょっとした規模程度のパーティーでは使えないですものね。私も父上と母上の誕生日や建国記念などのお祭りでしか使っていないし...ですが、こちらの宝石(いし)の付いていない物ならおかしくないのでは?」
石の付いていない純金や白金のブローチを指差す。
リッカルド
「いえ! こんなに高価な物は使えません!」
アントニオ
「でも、どれも、先程出したお茶の湯呑みよりは安いですよ?」
タイラ、リッカルド
「「え!?」」
2人は改めて湯呑みを見た。湯呑みにはリンドウの間に隠れている龍が描かれている。
なかなか個性的で面白い図柄だと思った。
だが、これが、あの宝石よりも高価なのか??
そう思った次の瞬間、突然、描かれた龍が動き出して笑った。
ビックリして2人が湯呑みを落としそうになったのは言うまでもない。
ヴィクトーがシャワーを浴び終えて戻った時も、ヴィクトーは、2人と同様の反応を見せることとなる。
ヤンが戻ると、ご飯を皆で急いで食べ、歯を磨き、髪を整えた。靴を磨くのも忘れずに行う。
洗濯が終わり、部屋に軍服が届けられると、すぐに着替えた。
そうして、大忙しで準備を終えて、タイラやヤンに別れを告げるとミス・ウェリントンの待つ、社交室へと向かった。
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