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第三幕 学生期
177.アルベルト邸でディナー4
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オデット夫人がディーデリックに視線を向ける。
オデット
「同じ服を着ていても、レオとは違う雰囲気になるのですね。とってもカッコイイわ。着こなしが上品で、センスがとってもいい」
ジュリア
「レオは、お店のマネキンが着ている通りにしか着ないからね」
ディーデリック
「これは、トニーが選んでくれたのです」
メアリー
「トニーが? まぁ、とっても仲良くなったのね? 嬉しいわ。」
オデット
「ブローチも素敵ね。よく似合っているわ。」
ディーデリック
「有難うございます。」
メアリー
「本当に! 凄く洗練された品物ね。それもレオのお下がりなのですか?」
オデット
「いえ、我が家のジュエリーではないわ。我が家はそんな高価なジュエリーを、社交界デビュー前の子供に渡しませんし」
メアリー
「では、トニーが貸してあげたの?」
アントニオ
「いいえ、私は貸していません。それはディックの物ですよ」
ジュエリーは、アントニオがルドやリンと宝石店で購入し、ディーデリックにあげた物で、貸したものでは確かにない。
自分があげたと言わなかったのは、それがメアリーの意に沿わない賄賂のような物だったからである。
グリエルモ
「オッケル男爵はディックの事を大切にしているんだね。」
ディーデリック
「どうして、そう、思われるのですか?」
ジュゼッペ
「その位のハイジュエリーは宝石店からレンタルすれば1日だけでも100万イェ二以上はかかりますし、購入したらその十倍以上はしますからね」
メアリー
「ジュエリーを預けるなんて、信頼されているし、大事にされているのね」
ディーデリック
「いえ、それほどでは。」
リッカルド
「またまた! ご謙遜を! 特待生で学費や寮費がタダでも、王立学校に入学するまでの勉強費用は、かなりかかりますからね。 普通、平民は馬なんて買えないし、乗ったことすらない人がほとんどですよ。賢者様みたいに、龍人に習って、子爵家に養子縁組したとかでなければ、魔力が高くても普通の庶民では王立学校に入学出来ません。」
実は、オッケル男爵は、ディーデリックにお金をかけて教育したわけではなかった。
馬の世話をさせたり、男爵子息達の勉強の監視などをさせていたので、自然と入学に必要な能力が身に付いたのだ。男爵家の衛兵達も、訓練と称してディーデリックをストレス発散用の動くサンドバッグ扱いにしていた。大事にするどころか、疲労した体で、やっと掃除した部屋を、男爵家の子供はワザと散らかして、さらなる労働を強要したりもしていたのだ。
だが、外面がよく王家の覚え宜しいオッケル男爵家の悪口を、赤毛の奴隷が口にしたところで、誰が信じるというのだろう? 信じたところで、奴隷が主人にどんな扱いを受けていても、きっと誰にもどうすることも出来ないだろう。
ディーデリックは、それ以上は反論せず、作り笑いをした。
次に運ばれてきた料理は、イカスミのリゾット。
こんなものが食べれるのかと疑問に思ったが、恐る恐る口に入れる。
磯の香りがするイカスミ とパスタの甘みが調和して意外にも、とっても美味しい。
その後、口を拭くおしぼりが配られたのだが、真っ白で上等な布地に黒いソースをつけてしまう事に罪悪感を覚え、ディーデリックは手が震えた。
今度は魔牛ステーキが運ばれて来た。
魔牛の肉など、オッケル男爵家では、身分上の客人が来る特別な日にしか出てこない。当然、ディーデリックの口には入らない品物だ。
ディーデリックとアウロラの分だけ、給仕が目の前で一口サイズに切り分けてくれる。
物凄くいい香りだ。
ディーデリックが感動のあまり、食べるのをためらっていると、オデット夫人が心配そうに声をかけてくれる。
オデット
「魔牛だけど、仔牛肉だから柔らかいですよ。」
エドアルド
「本当!? 硬い大人のじゃなくて? やった~!」
レオナルド
「大人の魔牛の方が魔素をいっぱい蓄えているから、体にはいいだろ。」
エドアルド
「でも、仔牛の方が断然美味しいじゃん!」
魔牛はジーンシャンの特産品で、とても強い魔獣である。ジーンシャン魔導騎士団の魔獣討伐隊によって、ようやく倒せる魔獣であるため、その肉は他領では大変な高価で取引される。その上、基本的には、大きくなって驚異なった魔牛しか狩らないので、ジーンシャン領の人間であっても、仔牛を口に出来る機会は滅多にない。
一口、ディーデリックが口に入れると、柔らかい肉からジューシーな肉汁が口の中に広がり、山の香りが漂った。
ディーデリック
「山の香りがする。」
アントニオ
「魔牛は薬草ハーブなども食べて育ちますので、普通の牛より香りがいいですよね。薬草ハーブティーとの食べ合わせもいいのですよ。」
そう言って、アントニオは薬草ハーブのアイスティーを給仕に注文した。
給仕が茶器一式をカートにのせてくると、ジュゼッペが席を立ち、アントニオの横まで来て、薬草ハーブティーを淹れた。
ジュゼッペ
「アウロラ。」
アウロラがグラスに触れると、ホットティーが瞬時にアイスティーになった。
ジュゼッペ
「トニー様、どうぞ。」
アントニオ
「有難うございます。」
エドアルド
「いいなぁ~! 僕も!」
レオナルド
「俺も!」
カリーナ
「私も!」
オデット
「貴方達は駄目よ! 今日は魔法を使ってないでしょう?」
メアリー
「ディックは召し上がる?」
ディーデリック
「いいのですか?」
アントニオ
「ジュゼッペ、ディックにもお願い。」
ジュゼッペがディーデリックの横まで来てお茶を淹れてくれる。今度は、隣の席のメアリーがグラスに触れてアイスティーにした。
何度も言うが、ディーデリックは奴隷だ。
次期男爵や辺境伯夫人が、召使いのように自分のためにお茶を淹れてくれるなんてことは、通常ではありえない。異常な事態に、ディーデリックの脳は考える事を停止した。
夢の中にいるような感覚で、ただひたすらに、その時間に身をゆだねた。
ヤン
「俺は?」
メアリー
「ヤンも魔法を使っていないわよね?」
ヤン
「はい。」
エドアルド
「じゃあ、なんでトニーはいいの?」
メアリー
「今日は歌魔法を歌ってくれたから、沢山魔力を消費したのよ。」
リッカルド
「歌ったのですか!? 今日!?」
アントニオ
「はい。」
リッカルド
「そんな! ずっと、楽しみにしていたのに、よりによって今日!?」
リッカルドは頭を抱えて悔しがった。
ジュゼッペ
「今日は、もう、歌われないのですか?」
アントニオ
「御免なさい。まだ、やっぱり病み上がりで本調子ではないのです」
アントニオの今日は歌わない宣言に、リッカルドだけでなく全員がガッカリした。
ディーデリックは、どうして昨日の音楽の授業に出なかったのだろうと後悔した。来週は絶対出よう。
口直しの梨のシャーベットが運ばれて来る。
甘いのにさっぱりしていて、食べやすい。
ディーデリックはコースが終わったと思った。満腹になったし、後は食後の休憩をしたら終わりかと思った。
しかし、再び、次の料理のお皿が運ばれて来た。
色々な生野菜と焼き野菜の入ったサラダだ。
美味しいとは思うが、ディーデリックは正直、もう、お腹が限界いっぱいだった。2、3口食べたが、フォークを動かす手が止まってしまった。
オッケル男爵家にいた頃でも、残飯なら食べ放題だったため、ディーデリックは年頃の子供より沢山食べる方であった。異常な分量のように感じたが、ジーンシャン家の人々は女性までもが高身長で、まだまだ食べる気満々の様子だ。しかも、133cmしかないカリーナまでが、野菜料理をペロリと食べている。
小さな女の子なのに、次の料理を早く持って来いと催促していたし、凄い...
ディーデリックの食が進んでいない様子を見て、また、ジーンシャン家の人々は心配し始めた。
オデット
「口に合わなかったかしら?」
アウロラ
「食べ難いですか?」
メアリー
「お腹の調子が悪いの? シャーベットで冷やしちゃったかしら?」
ディーデリック
「いえ、そうではなくて、もう、お腹がいっぱいなんです。」
ジュリア
「あら、そうなの? 少食だね。じゃあ、デザートを持って来て!」
ディーデリックは自分の耳を疑った。
あれ? 私はさっき、お腹がいっぱいだって、言わなかったっけ?
ディーデリックの目の前に、苺スープに浸かったパンナコッタがアイスクリーム付きで置かれる。
レオナルド
「ディックはお腹がいっぱいって言ったんだよ。無理矢理食べさせるのはマナー違反だよ。」
ジュリア
「でも、デザートは別腹だし、食べたいでしょう?」
アントニオ
「それは、人によると思いますよ?」
エドアルド
「ディックがいらないなら、僕が食べてもいい?」
オデット
「駄目よ。 子供のうちから甘いのを食べ過ぎるのは体によくないわ。」
ジュリア
「ディックだって一口くらい食べたいでしょう?」
ディーデリックは冷や汗をかきながらも笑顔を作る。
グリエルモ
「ここのシェフのデザートは美味しいよ。」
ディーデリック
「では、一口だけ。」
口に入れるとビックリするほど美味しかったが、吐き気がするほど限界だ。空腹な時に食べたかった。
グリエルモ
「ディックの食べられない料理は、私が食べてもいいかな?」
ディーデリック
「もちろんです! どうぞ!」
レオナルド
「野菜料理なら、俺も半分もらっていいですか?」
オデット夫人
「野菜料理ならいいわ。」
メアリー
「デザートは私がもらってもいい?」
アントニオ
「母上は駄目です。」
メアリー
「そ、そうだったわ。ダイエットするんだったわね...はぁ」
ヤン
「俺はもう14歳だから、デザートを多めに食べてもいいですよね?」
リッカルド
「ヤンがいいなら、私にも権利がありますか?」
アルベルト
「私も立候補していいかな?」
ジュゼッペ
「なんだか、収集がつかなくなって来ましたね。アウロラ!」
アウロラ
「えぇ~!? 私が分配を考えるのですか? 面倒臭さ! 奪いあわないで、皆で取り分けて食べて下さいよ。」
グリエルモ
「そうだね。そうしよう。」
希望者で仲良く分けて食べ、食後のドリンクを楽しんで、ディナーは終了した。
オデット
「同じ服を着ていても、レオとは違う雰囲気になるのですね。とってもカッコイイわ。着こなしが上品で、センスがとってもいい」
ジュリア
「レオは、お店のマネキンが着ている通りにしか着ないからね」
ディーデリック
「これは、トニーが選んでくれたのです」
メアリー
「トニーが? まぁ、とっても仲良くなったのね? 嬉しいわ。」
オデット
「ブローチも素敵ね。よく似合っているわ。」
ディーデリック
「有難うございます。」
メアリー
「本当に! 凄く洗練された品物ね。それもレオのお下がりなのですか?」
オデット
「いえ、我が家のジュエリーではないわ。我が家はそんな高価なジュエリーを、社交界デビュー前の子供に渡しませんし」
メアリー
「では、トニーが貸してあげたの?」
アントニオ
「いいえ、私は貸していません。それはディックの物ですよ」
ジュエリーは、アントニオがルドやリンと宝石店で購入し、ディーデリックにあげた物で、貸したものでは確かにない。
自分があげたと言わなかったのは、それがメアリーの意に沿わない賄賂のような物だったからである。
グリエルモ
「オッケル男爵はディックの事を大切にしているんだね。」
ディーデリック
「どうして、そう、思われるのですか?」
ジュゼッペ
「その位のハイジュエリーは宝石店からレンタルすれば1日だけでも100万イェ二以上はかかりますし、購入したらその十倍以上はしますからね」
メアリー
「ジュエリーを預けるなんて、信頼されているし、大事にされているのね」
ディーデリック
「いえ、それほどでは。」
リッカルド
「またまた! ご謙遜を! 特待生で学費や寮費がタダでも、王立学校に入学するまでの勉強費用は、かなりかかりますからね。 普通、平民は馬なんて買えないし、乗ったことすらない人がほとんどですよ。賢者様みたいに、龍人に習って、子爵家に養子縁組したとかでなければ、魔力が高くても普通の庶民では王立学校に入学出来ません。」
実は、オッケル男爵は、ディーデリックにお金をかけて教育したわけではなかった。
馬の世話をさせたり、男爵子息達の勉強の監視などをさせていたので、自然と入学に必要な能力が身に付いたのだ。男爵家の衛兵達も、訓練と称してディーデリックをストレス発散用の動くサンドバッグ扱いにしていた。大事にするどころか、疲労した体で、やっと掃除した部屋を、男爵家の子供はワザと散らかして、さらなる労働を強要したりもしていたのだ。
だが、外面がよく王家の覚え宜しいオッケル男爵家の悪口を、赤毛の奴隷が口にしたところで、誰が信じるというのだろう? 信じたところで、奴隷が主人にどんな扱いを受けていても、きっと誰にもどうすることも出来ないだろう。
ディーデリックは、それ以上は反論せず、作り笑いをした。
次に運ばれてきた料理は、イカスミのリゾット。
こんなものが食べれるのかと疑問に思ったが、恐る恐る口に入れる。
磯の香りがするイカスミ とパスタの甘みが調和して意外にも、とっても美味しい。
その後、口を拭くおしぼりが配られたのだが、真っ白で上等な布地に黒いソースをつけてしまう事に罪悪感を覚え、ディーデリックは手が震えた。
今度は魔牛ステーキが運ばれて来た。
魔牛の肉など、オッケル男爵家では、身分上の客人が来る特別な日にしか出てこない。当然、ディーデリックの口には入らない品物だ。
ディーデリックとアウロラの分だけ、給仕が目の前で一口サイズに切り分けてくれる。
物凄くいい香りだ。
ディーデリックが感動のあまり、食べるのをためらっていると、オデット夫人が心配そうに声をかけてくれる。
オデット
「魔牛だけど、仔牛肉だから柔らかいですよ。」
エドアルド
「本当!? 硬い大人のじゃなくて? やった~!」
レオナルド
「大人の魔牛の方が魔素をいっぱい蓄えているから、体にはいいだろ。」
エドアルド
「でも、仔牛の方が断然美味しいじゃん!」
魔牛はジーンシャンの特産品で、とても強い魔獣である。ジーンシャン魔導騎士団の魔獣討伐隊によって、ようやく倒せる魔獣であるため、その肉は他領では大変な高価で取引される。その上、基本的には、大きくなって驚異なった魔牛しか狩らないので、ジーンシャン領の人間であっても、仔牛を口に出来る機会は滅多にない。
一口、ディーデリックが口に入れると、柔らかい肉からジューシーな肉汁が口の中に広がり、山の香りが漂った。
ディーデリック
「山の香りがする。」
アントニオ
「魔牛は薬草ハーブなども食べて育ちますので、普通の牛より香りがいいですよね。薬草ハーブティーとの食べ合わせもいいのですよ。」
そう言って、アントニオは薬草ハーブのアイスティーを給仕に注文した。
給仕が茶器一式をカートにのせてくると、ジュゼッペが席を立ち、アントニオの横まで来て、薬草ハーブティーを淹れた。
ジュゼッペ
「アウロラ。」
アウロラがグラスに触れると、ホットティーが瞬時にアイスティーになった。
ジュゼッペ
「トニー様、どうぞ。」
アントニオ
「有難うございます。」
エドアルド
「いいなぁ~! 僕も!」
レオナルド
「俺も!」
カリーナ
「私も!」
オデット
「貴方達は駄目よ! 今日は魔法を使ってないでしょう?」
メアリー
「ディックは召し上がる?」
ディーデリック
「いいのですか?」
アントニオ
「ジュゼッペ、ディックにもお願い。」
ジュゼッペがディーデリックの横まで来てお茶を淹れてくれる。今度は、隣の席のメアリーがグラスに触れてアイスティーにした。
何度も言うが、ディーデリックは奴隷だ。
次期男爵や辺境伯夫人が、召使いのように自分のためにお茶を淹れてくれるなんてことは、通常ではありえない。異常な事態に、ディーデリックの脳は考える事を停止した。
夢の中にいるような感覚で、ただひたすらに、その時間に身をゆだねた。
ヤン
「俺は?」
メアリー
「ヤンも魔法を使っていないわよね?」
ヤン
「はい。」
エドアルド
「じゃあ、なんでトニーはいいの?」
メアリー
「今日は歌魔法を歌ってくれたから、沢山魔力を消費したのよ。」
リッカルド
「歌ったのですか!? 今日!?」
アントニオ
「はい。」
リッカルド
「そんな! ずっと、楽しみにしていたのに、よりによって今日!?」
リッカルドは頭を抱えて悔しがった。
ジュゼッペ
「今日は、もう、歌われないのですか?」
アントニオ
「御免なさい。まだ、やっぱり病み上がりで本調子ではないのです」
アントニオの今日は歌わない宣言に、リッカルドだけでなく全員がガッカリした。
ディーデリックは、どうして昨日の音楽の授業に出なかったのだろうと後悔した。来週は絶対出よう。
口直しの梨のシャーベットが運ばれて来る。
甘いのにさっぱりしていて、食べやすい。
ディーデリックはコースが終わったと思った。満腹になったし、後は食後の休憩をしたら終わりかと思った。
しかし、再び、次の料理のお皿が運ばれて来た。
色々な生野菜と焼き野菜の入ったサラダだ。
美味しいとは思うが、ディーデリックは正直、もう、お腹が限界いっぱいだった。2、3口食べたが、フォークを動かす手が止まってしまった。
オッケル男爵家にいた頃でも、残飯なら食べ放題だったため、ディーデリックは年頃の子供より沢山食べる方であった。異常な分量のように感じたが、ジーンシャン家の人々は女性までもが高身長で、まだまだ食べる気満々の様子だ。しかも、133cmしかないカリーナまでが、野菜料理をペロリと食べている。
小さな女の子なのに、次の料理を早く持って来いと催促していたし、凄い...
ディーデリックの食が進んでいない様子を見て、また、ジーンシャン家の人々は心配し始めた。
オデット
「口に合わなかったかしら?」
アウロラ
「食べ難いですか?」
メアリー
「お腹の調子が悪いの? シャーベットで冷やしちゃったかしら?」
ディーデリック
「いえ、そうではなくて、もう、お腹がいっぱいなんです。」
ジュリア
「あら、そうなの? 少食だね。じゃあ、デザートを持って来て!」
ディーデリックは自分の耳を疑った。
あれ? 私はさっき、お腹がいっぱいだって、言わなかったっけ?
ディーデリックの目の前に、苺スープに浸かったパンナコッタがアイスクリーム付きで置かれる。
レオナルド
「ディックはお腹がいっぱいって言ったんだよ。無理矢理食べさせるのはマナー違反だよ。」
ジュリア
「でも、デザートは別腹だし、食べたいでしょう?」
アントニオ
「それは、人によると思いますよ?」
エドアルド
「ディックがいらないなら、僕が食べてもいい?」
オデット
「駄目よ。 子供のうちから甘いのを食べ過ぎるのは体によくないわ。」
ジュリア
「ディックだって一口くらい食べたいでしょう?」
ディーデリックは冷や汗をかきながらも笑顔を作る。
グリエルモ
「ここのシェフのデザートは美味しいよ。」
ディーデリック
「では、一口だけ。」
口に入れるとビックリするほど美味しかったが、吐き気がするほど限界だ。空腹な時に食べたかった。
グリエルモ
「ディックの食べられない料理は、私が食べてもいいかな?」
ディーデリック
「もちろんです! どうぞ!」
レオナルド
「野菜料理なら、俺も半分もらっていいですか?」
オデット夫人
「野菜料理ならいいわ。」
メアリー
「デザートは私がもらってもいい?」
アントニオ
「母上は駄目です。」
メアリー
「そ、そうだったわ。ダイエットするんだったわね...はぁ」
ヤン
「俺はもう14歳だから、デザートを多めに食べてもいいですよね?」
リッカルド
「ヤンがいいなら、私にも権利がありますか?」
アルベルト
「私も立候補していいかな?」
ジュゼッペ
「なんだか、収集がつかなくなって来ましたね。アウロラ!」
アウロラ
「えぇ~!? 私が分配を考えるのですか? 面倒臭さ! 奪いあわないで、皆で取り分けて食べて下さいよ。」
グリエルモ
「そうだね。そうしよう。」
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