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第三幕 学生期
178.ジーンシャンの人間
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自室に戻り、ディーデリックが、部屋でくつろいでいると、ノックする音が聞こえた。
召使い
「お茶のセットです。喉が渇いた時にお召し上がり下さい。冷蔵庫の中のジュースやお水もご自由にどうぞ。」
ディーデリック
「有難うございます。」
しばらくすると、また扉がノックされた。
今度は、別の召使いが、寝間着を複数持ってやってきたようだ。
召使い
「寝間着は綿とシルクのどちらがよろしいですか?」
普段は、人前で着れなくなったシャツなどを着て寝ているため、ディーデリックはパジャマを着た事がなかった。
シルクのパジャマは高級過ぎて汚したら怖いし、落ち着かないかな。
ディーデリック
「えっと、では綿で。」
召使い
「流石! お目が高い! 超長綿のサテンパジャマは最高ですよね! 実はシルクのパジャマよりも、ちょっとお値段が高いんですよ。」
ディーデリック
「そ、そうなんですか...」
召使い
「袖丈はどうされます? 半袖? 長袖?」
ディーデリック
「長袖にします。」
召使い
「あ、お客様は、南の出身ですか?」
ディーデリック
「王都生まれです。」
召使い
「わぁお! 都会っ子! 私はジーンシャンの出身なんですよ。ジーンシャンは北の端っこにあるから、こっちに来ると真冬じゃない限り、皆、半袖のパジャマを着てますよ。じゃあ、ボトムの丈も長ズボンがいいですよね?」
ディーデリック
「はい。」
若い男の召使いなのだが、やたらと気さくに話しかけられ、ディーデリックはドギマギした。ジーンシャン家は召使い達までがほぼ金髪である。
召使い
「お客様ってトニー様のお友達なんでしょう? やっぱり、すっごい魔法とか使えちゃうんですか?」
ディーデリック
「アントニオ様の友人ですが、アントニオ様のような凄い魔法は使えません。」
召使い
「属性はなんですか? 私は炎属性なのでお部屋が寒い時は言って下さいね! といっても、このお部屋は魔道具がフル完備なので、魔力があれば何も困らないんですけどね。」
ジーンシャン領は魔道具の生産地なだけあって、ジーンシャン家の屋敷は床暖、壁暖、エアコン、ポット、製氷機、食器洗い機、ドライヤー、空気清浄機、全自動掃除機、洗濯乾燥機に至るまで、部屋に完備されていた。お客様が掃除する必要は全くないが、泊まりに来た、お客様が、輸入契約をしてくれる事を期待して、アルベルトが置いているのだ。
属性を言ったら、魔物扱いされるだろうか?
しかし、辺境伯家の召使いは、召使いなのに金髪だし、確実に自分よりも身分が上だ。尋ねられたら答えなければ、不敬にあたるだろう。
ディーデリック
「私は...土属性です。」
恐る恐る言うと、召使いの目は輝いた。
召使い
「やっぱり!? 赤い髪をしてらっしゃるから、賢者様や聖女様みたいに、特別な人なんじゃないかと思ったんですよ!」
召使いはディーデリックが希望したパジャマをクローゼットにかけた。
召使い
「こっちは普通のクローゼットですけど、隣のクローゼットは魔道具なんですよ! お客様の学生服をちょっとお借りしますね。」
普通のクローゼットから学生服を魔道具のクローゼットに移して、扉を閉め、魔力を通す。
召使い
「高温のスチームが出て、あっという間に除菌、消臭、シワ伸ばしをしてくれるんです! 火と風と水の魔石が使ってあるから、結構な魔力消費ですけど、王立学校の学生さんなら余裕でしょ?」
召使いがあまりにも親切なので、疑問に思った事を口にする。
ディーデリック
「あの、何にも思わないのですか?」
召使い
「何がです?」
ディーデリック
「髪の色とか、属性とか...」
召使い
「めっちゃ思いますよ。正直な話し...」
ディーデリック
「そうですよね。」
召使い
「めっちゃ羨ましいです!」
ディーデリック
「!?」
召使い
「私なんて、普通の金髪でしょ? だけど、歴史に出てくる英雄は皆、特殊な髪の色です。ジーンシャン家の勇者様達も、聖女様も、賢者様も、王族の方々も、漆黒の一族の英雄達も、皆、普通の金髪じゃないんです! 極め付けは、焦茶のトニー様でしょ!? 1番劣等なのって、本当は私のような普通の金髪なんじゃないかって思うんです。
トニー様の力が、全世界に知れ渡ったら、今度、迫害されるようになるのは、金髪なんじゃないかって、思う時があります。」
ディーデリック
「まさか!?」
召使い
「でも、私は希望を持っているんです! カーン伯爵がトニー様の先生になったでしょう? カーン伯爵は髪の色を変える魔法を使えるんですよ! それに、なんてったって、ジーンシャン領は魔道具を作らせたら世界一ですから! ジーンシャン領とカーン領が手を組めば、髪の色を変える魔道具を作り出すことが出来るはずです!
そうしたら、いつか、髪色の差別がなくなる時代が来る!」
ディーデリック
「差別がなくなる...!?」
召使い
「それが出来るのは、神の御使いであるトニー様だけだって、ここの屋敷の皆は話しているんですよ。
ロベルト様がジーンシャンを救った英雄で、グリエルモ様が王国を救った英雄なら、トニー様はきっと、全世界を救う英雄になる!私はそう思っているんです。」
召使いは、熱い理想を語るだけ語って帰っていった。
『髪色の差別がなくなる時代が来る』
その言葉は、今までにもあったような、小さな希望、小さな灯火(ともしび)の光ではなかった。
永遠に続くと思われた長い夜を、真昼に変えるほどの、強く大きな光、希望の太陽の光であった。
________
ディーデリックの部屋に、再びノックの音が響いた。
扉を開けると、そこには、勇者様と聖女様の姿があった。
ディーデリックは、脱いでいたジャケットを慌てて着ようとした。
グリエルモ
「ラフなままで大丈夫だよ。」
メアリー
「もう、休もうとされていたのに御免なさいね。」
ディーデリック
「いいえ!」
メアリー
「入ってもいいかしら?」
ディーデリック
「どうぞ。」
グリエルモとメアリーは扉を閉め、ディーデリックをソファーに座るように促すと、自らもソファーに腰掛けた。
グリエルモ
「単刀直入に言うと、ディックにジーンシャンの子になって欲しいんだ。」
メアリー
「ジーンシャン領には、戦争で子供を亡くした夫婦が大勢いるのです。ディックは、ご両親がいないでしょう? 財産や身分があるのに、子供がいなくて寂しい思いをしている夫婦の養子になる気はないかしら?」
ディーデリック
「養子ですか?」
グリエルモ
「そうだよ。もちろん、そういった家族的な繋がりを好まないなら、城の部屋を用意してもいいんだ。」
ディーデリック
「どうして、そんな事をして下さるのですか? 私がアントニオ様の友達だからですか?」
メアリー
「もちろんそうよ! それで、トニーを説得してくれないかしら? 一緒にジーンシャン領に帰ろうって!」
グリエルモ
「学校は、ジーンシャン領で1番の武官学校に全額免除の特待生でかよえばいい。近年では、王立学校に並ぶ名門だよ。
オッケル男爵も、学校卒業後の雇用を約束しているのかも知れないけど、ディックが望むなら、ジーンシャン辺境伯領でも雇用を約束するよ。」
メアリー
「どうかしら? 悪い話ではないでしょう?」
グリエルモ
「トニーは上手く隠しているつもりになっているけど、学校でイジメを受けていることは、リッカルドからの報告で知っている。それに、ついこの間も、暗殺未遂事件があったばかりなんだ。」
メアリー
「トニーを安全なジーンシャン領に連れて帰りたいの! お願い! トニーのためなのよ!」
ディーデリックは、アントニオの境遇に同情し、また、夢のような話ということもあって、一瞬頷きそうになった。
夢のような話だ! トニーも安全に暮らせるし、私の雇用も約束されるなら、王立学校にこだわらないでジーンシャン領の学校に通ってもいいんじゃないか?
だが、現実は夢のように甘くない。自分の立場を思い出し、ディーデリックは落胆した。
ディーデリック
「とても、いいお話しですね...ですが...私はオッケル男爵家から離れられないのです。」
ディーデリックは奴隷だ。
王立学校を卒業した後、他領のスパイをするとか、魔導騎士のノウハウを学ぶとか、適当な理由をつけてジーンシャン魔導騎士団や王立魔導騎士団に入り、お金を稼ごうと思っていたが、今は子供でそれが出来ない。
自分を買い戻すまでは自由がないし、自分を買い戻すお金がない。今、オッケル男爵に出奔しようとしている事がバレれば、お金を貯める間もないくらい一生こき使われるに違いない。
そして何より、ジーンシャン家の人々に自分が奴隷階級だとバレるのが怖ろしかった。
あれだけ丁重に扱ってくれたのに、奴隷階級だとバレたら、一体どうなってしまうのだろうか...きっとお怒りになって、養子の話しもどうせなくなる。トニーの友達には相応しくないと言われるかもしれない。
ディーデリックに断られ、メアリーは落ち込んだが、グリエルモは納得した。
ディックが、社交の場で恥をかかないように、あんな立派なジュエリーを貸し与える位だ。きっと、オッケル男爵に子供の頃から可愛いがられて育ち、オッケル男爵に忠誠を誓っているのだろう。
グリエルモ
「メアリー、諦めよう。」
メアリー
「そんな! あなたはトニーが帰らなくてもいいの!?」
グリエルモ
「そんな事は思っていないよ。だけど、ディックには、ディックの都合があるだろう?」
辺境伯夫妻が帰った後、ディーデリックは、チャンスすら自らの手で掴めない運命に涙した。
召使い
「お茶のセットです。喉が渇いた時にお召し上がり下さい。冷蔵庫の中のジュースやお水もご自由にどうぞ。」
ディーデリック
「有難うございます。」
しばらくすると、また扉がノックされた。
今度は、別の召使いが、寝間着を複数持ってやってきたようだ。
召使い
「寝間着は綿とシルクのどちらがよろしいですか?」
普段は、人前で着れなくなったシャツなどを着て寝ているため、ディーデリックはパジャマを着た事がなかった。
シルクのパジャマは高級過ぎて汚したら怖いし、落ち着かないかな。
ディーデリック
「えっと、では綿で。」
召使い
「流石! お目が高い! 超長綿のサテンパジャマは最高ですよね! 実はシルクのパジャマよりも、ちょっとお値段が高いんですよ。」
ディーデリック
「そ、そうなんですか...」
召使い
「袖丈はどうされます? 半袖? 長袖?」
ディーデリック
「長袖にします。」
召使い
「あ、お客様は、南の出身ですか?」
ディーデリック
「王都生まれです。」
召使い
「わぁお! 都会っ子! 私はジーンシャンの出身なんですよ。ジーンシャンは北の端っこにあるから、こっちに来ると真冬じゃない限り、皆、半袖のパジャマを着てますよ。じゃあ、ボトムの丈も長ズボンがいいですよね?」
ディーデリック
「はい。」
若い男の召使いなのだが、やたらと気さくに話しかけられ、ディーデリックはドギマギした。ジーンシャン家は召使い達までがほぼ金髪である。
召使い
「お客様ってトニー様のお友達なんでしょう? やっぱり、すっごい魔法とか使えちゃうんですか?」
ディーデリック
「アントニオ様の友人ですが、アントニオ様のような凄い魔法は使えません。」
召使い
「属性はなんですか? 私は炎属性なのでお部屋が寒い時は言って下さいね! といっても、このお部屋は魔道具がフル完備なので、魔力があれば何も困らないんですけどね。」
ジーンシャン領は魔道具の生産地なだけあって、ジーンシャン家の屋敷は床暖、壁暖、エアコン、ポット、製氷機、食器洗い機、ドライヤー、空気清浄機、全自動掃除機、洗濯乾燥機に至るまで、部屋に完備されていた。お客様が掃除する必要は全くないが、泊まりに来た、お客様が、輸入契約をしてくれる事を期待して、アルベルトが置いているのだ。
属性を言ったら、魔物扱いされるだろうか?
しかし、辺境伯家の召使いは、召使いなのに金髪だし、確実に自分よりも身分が上だ。尋ねられたら答えなければ、不敬にあたるだろう。
ディーデリック
「私は...土属性です。」
恐る恐る言うと、召使いの目は輝いた。
召使い
「やっぱり!? 赤い髪をしてらっしゃるから、賢者様や聖女様みたいに、特別な人なんじゃないかと思ったんですよ!」
召使いはディーデリックが希望したパジャマをクローゼットにかけた。
召使い
「こっちは普通のクローゼットですけど、隣のクローゼットは魔道具なんですよ! お客様の学生服をちょっとお借りしますね。」
普通のクローゼットから学生服を魔道具のクローゼットに移して、扉を閉め、魔力を通す。
召使い
「高温のスチームが出て、あっという間に除菌、消臭、シワ伸ばしをしてくれるんです! 火と風と水の魔石が使ってあるから、結構な魔力消費ですけど、王立学校の学生さんなら余裕でしょ?」
召使いがあまりにも親切なので、疑問に思った事を口にする。
ディーデリック
「あの、何にも思わないのですか?」
召使い
「何がです?」
ディーデリック
「髪の色とか、属性とか...」
召使い
「めっちゃ思いますよ。正直な話し...」
ディーデリック
「そうですよね。」
召使い
「めっちゃ羨ましいです!」
ディーデリック
「!?」
召使い
「私なんて、普通の金髪でしょ? だけど、歴史に出てくる英雄は皆、特殊な髪の色です。ジーンシャン家の勇者様達も、聖女様も、賢者様も、王族の方々も、漆黒の一族の英雄達も、皆、普通の金髪じゃないんです! 極め付けは、焦茶のトニー様でしょ!? 1番劣等なのって、本当は私のような普通の金髪なんじゃないかって思うんです。
トニー様の力が、全世界に知れ渡ったら、今度、迫害されるようになるのは、金髪なんじゃないかって、思う時があります。」
ディーデリック
「まさか!?」
召使い
「でも、私は希望を持っているんです! カーン伯爵がトニー様の先生になったでしょう? カーン伯爵は髪の色を変える魔法を使えるんですよ! それに、なんてったって、ジーンシャン領は魔道具を作らせたら世界一ですから! ジーンシャン領とカーン領が手を組めば、髪の色を変える魔道具を作り出すことが出来るはずです!
そうしたら、いつか、髪色の差別がなくなる時代が来る!」
ディーデリック
「差別がなくなる...!?」
召使い
「それが出来るのは、神の御使いであるトニー様だけだって、ここの屋敷の皆は話しているんですよ。
ロベルト様がジーンシャンを救った英雄で、グリエルモ様が王国を救った英雄なら、トニー様はきっと、全世界を救う英雄になる!私はそう思っているんです。」
召使いは、熱い理想を語るだけ語って帰っていった。
『髪色の差別がなくなる時代が来る』
その言葉は、今までにもあったような、小さな希望、小さな灯火(ともしび)の光ではなかった。
永遠に続くと思われた長い夜を、真昼に変えるほどの、強く大きな光、希望の太陽の光であった。
________
ディーデリックの部屋に、再びノックの音が響いた。
扉を開けると、そこには、勇者様と聖女様の姿があった。
ディーデリックは、脱いでいたジャケットを慌てて着ようとした。
グリエルモ
「ラフなままで大丈夫だよ。」
メアリー
「もう、休もうとされていたのに御免なさいね。」
ディーデリック
「いいえ!」
メアリー
「入ってもいいかしら?」
ディーデリック
「どうぞ。」
グリエルモとメアリーは扉を閉め、ディーデリックをソファーに座るように促すと、自らもソファーに腰掛けた。
グリエルモ
「単刀直入に言うと、ディックにジーンシャンの子になって欲しいんだ。」
メアリー
「ジーンシャン領には、戦争で子供を亡くした夫婦が大勢いるのです。ディックは、ご両親がいないでしょう? 財産や身分があるのに、子供がいなくて寂しい思いをしている夫婦の養子になる気はないかしら?」
ディーデリック
「養子ですか?」
グリエルモ
「そうだよ。もちろん、そういった家族的な繋がりを好まないなら、城の部屋を用意してもいいんだ。」
ディーデリック
「どうして、そんな事をして下さるのですか? 私がアントニオ様の友達だからですか?」
メアリー
「もちろんそうよ! それで、トニーを説得してくれないかしら? 一緒にジーンシャン領に帰ろうって!」
グリエルモ
「学校は、ジーンシャン領で1番の武官学校に全額免除の特待生でかよえばいい。近年では、王立学校に並ぶ名門だよ。
オッケル男爵も、学校卒業後の雇用を約束しているのかも知れないけど、ディックが望むなら、ジーンシャン辺境伯領でも雇用を約束するよ。」
メアリー
「どうかしら? 悪い話ではないでしょう?」
グリエルモ
「トニーは上手く隠しているつもりになっているけど、学校でイジメを受けていることは、リッカルドからの報告で知っている。それに、ついこの間も、暗殺未遂事件があったばかりなんだ。」
メアリー
「トニーを安全なジーンシャン領に連れて帰りたいの! お願い! トニーのためなのよ!」
ディーデリックは、アントニオの境遇に同情し、また、夢のような話ということもあって、一瞬頷きそうになった。
夢のような話だ! トニーも安全に暮らせるし、私の雇用も約束されるなら、王立学校にこだわらないでジーンシャン領の学校に通ってもいいんじゃないか?
だが、現実は夢のように甘くない。自分の立場を思い出し、ディーデリックは落胆した。
ディーデリック
「とても、いいお話しですね...ですが...私はオッケル男爵家から離れられないのです。」
ディーデリックは奴隷だ。
王立学校を卒業した後、他領のスパイをするとか、魔導騎士のノウハウを学ぶとか、適当な理由をつけてジーンシャン魔導騎士団や王立魔導騎士団に入り、お金を稼ごうと思っていたが、今は子供でそれが出来ない。
自分を買い戻すまでは自由がないし、自分を買い戻すお金がない。今、オッケル男爵に出奔しようとしている事がバレれば、お金を貯める間もないくらい一生こき使われるに違いない。
そして何より、ジーンシャン家の人々に自分が奴隷階級だとバレるのが怖ろしかった。
あれだけ丁重に扱ってくれたのに、奴隷階級だとバレたら、一体どうなってしまうのだろうか...きっとお怒りになって、養子の話しもどうせなくなる。トニーの友達には相応しくないと言われるかもしれない。
ディーデリックに断られ、メアリーは落ち込んだが、グリエルモは納得した。
ディックが、社交の場で恥をかかないように、あんな立派なジュエリーを貸し与える位だ。きっと、オッケル男爵に子供の頃から可愛いがられて育ち、オッケル男爵に忠誠を誓っているのだろう。
グリエルモ
「メアリー、諦めよう。」
メアリー
「そんな! あなたはトニーが帰らなくてもいいの!?」
グリエルモ
「そんな事は思っていないよ。だけど、ディックには、ディックの都合があるだろう?」
辺境伯夫妻が帰った後、ディーデリックは、チャンスすら自らの手で掴めない運命に涙した。
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