社会人２●年 アラフォーの対処法

29.きまずいペアルックへの対処法

　『ペアルック』といえば昭和で絶滅していたと昭和世代は思っていましたが、そうでもないようで。
　もちろんそのままもあるそうですが、シミラールックなどもあるそうで。
　でも、『シミラールック』と打ち込んで、一発変換できなかったアラフォーのPC。
　『アラフォー』は一発変換できるのにね……

　自主的に仲の良い方々がされるならよいのです。
　まさか、
『ちょっとあなたと気が合わなそうなんだけど、ペアルックしてみる？』
『別に』
　なんて会話の元にペアルックするわけはないでしょう。
（ワンチャン、ツンデレの可能性あり、でしょうか。）

　ので、お話したいのは『気まずい』ペアルック。
　そう、『うっかり他人様と同じ（様な）服着て同じ空間におりますけど』なパターンです。

　実際のところオートクチュール一点ものを身に着けている人の方が圧倒的に少ないわけで（ですよね？そうですよね？）、大なり小なり量産品を身に着けているのが現実なわけです。
　冷っとするのが職場でのユ〇クロシャツ。
　ちょっとかっちりな日にアラフォーも身に着けているのですが、後輩女子もちらほら。
　色・形のが丸被り、という悲劇には至っていませんが、『あ、あのシャツ持ってる』と思ったことが数回。
　二十代女子とアラフォーで服が被った場合、ダメージを受けるのは確実にアラフォーなので、薄氷の上を歩いていた春夏と秋。

　次に危険なのが、体を動かす習い事の場。
　アラフォーはアラフォーらしくヨガ教室に通っているのですが（OLっぽーいっ）、そうすると２，３０人が一室に一時間ほど密閉されるわけです。
　するとですね、被る時があるのですよ。ウェア。
　いや、まぁ、気にしなければそうなんでしょけれど、教室の一面は鏡張り。
　同じウェアが前後にいたりすると、まぁ、常に視界に入るわけで。
　その二人が同じくらいのシルエットならよいのですけれど、アラフォーはアラフォーだからなぁ……。
　察してくださいませ。
　脇腹とかさ……背油とかさ……白雪姫の継母様がご所有の鏡にように、一切の忖度のない姿が映し出されるわけですよ。
　その一時間御レッスン中は、仏像のような半眼で過ごすアラフォーです。
　ヨガ的には逆にOK？

　このように人生の小波を乗り越えてきたアラフォーですが、先日なかなかな体験をいたしました。

　ふらりと一人お出かけなので、チノパンにTシャツに上着。
　オリーブ色、というか国防色の緑のひざ丈綿コート。
　メンズライクですが、ポケットがいっぱいでとても便利。
　そんなどーしよーもないラフさで電車に乗ろうとホームで並んでいたのです。
　ふと前に並んでいる男性の方を見ると、同じくオリーブ色（国防色）の綿コート。
　一応アラフォーのは下ぱっつん形で、前の方のはいわゆるモッズコート。
　ちょっと形が違う。
　違うよね？
　そのまま目線を下に落とすと、チノパン。
　形は違えど、黒い肩かけカバン。

　…………。

　前に立っている方は、まったくの見ず知らずの方です。
　ただ同じ空間にいるだけの他人です。
　しかしながらこれって、シミラーコーデに見える……の、か……？

　いえ、まったく知らないの方ですけど。
　なんか間違って見てる方、いないですよね？
『あれ、前の男の人。後ろの人全然無視だし。イヤフォンしてスマホいじっているの冷たくない？　俺様系？』とか誤解されてる方いないですよね？
　なんだか申し訳なく思ってくるアラフォー。
（すべてアラフォーの妄想の産物です。）

　やがて自然に摂理が進み、電車が到着します。
　ドアが開いて、人々は乗り込んでいく。
　前の方が右に進んでいったので、アラフォーは自然の摂理で左に。

　結局お顔も知れないままお別れとなりました。
　もう二度と会うことはない、もしくは会っていてもわからない貴方。
　お互い、お出かけの際にはもうちっとマシな出で立ちでいましょうね。

　全く知らない彼氏に心の中で話しかけ、電車に揺られていく休日のアラフォーでありました。