異世界でも油こそ正義!!

雑食ベアー

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準備編

第2話 WAKE UP!?

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【サポートプログラムを開始いたします】

 目を開けるとそこは見知らぬ白い空間
ミチオに戸惑いと疑問が浮かび、突如、頭に衝撃が走る!

【はじめまして、アゲノ ミチオ様】

(うぉ!)
甲高い女性の声にノイズがかかった音声が頭に響く

【この度は管理者より、ミチオ様のサポートを任じられたものでございます】

「その前に、このノイズを何とかしてくれ!」

【かしこまりました。少々お待ちください..】
【精神の波長を精査、接続開始..】
【接続が無事に完了しました。ミチオ様いかがですか?】

「ようやく落ち着いたよ」

【それでは、プログラムの「この世界について」をレクチャーいたします】

「その前に、君をなんと呼べばよい?」

【名前は存在しませんので、お好きにお呼びください】

「う~ん、じゃ! アレクサで!」

【禁則事項に触れました】

「あ、冗談だからね.. 質問だけどヴァージョンとかあるの?」

【Ver.1.05となります】

「あ~ ならば、05だからレコで」

【かしこまりました。以降はこのレコがお受けいたします♪  では、改めましてサポートプログラムを開始いたします】

「レコ、質問がたくさんあるのだけど?」

【ご質問については、一通りのレクチャーを終えてからとなります】

「アッ! ハイ」

 その後、レコによる世界の説明を受けた。
内容をまとめると、下記のようになる。

◆◆

・時代
 前の世界での産業時代ぐらいで、科学ではなく魔法を利用して大量生産などが可能となった。

・大陸
 東西に1つずつ、それぞれ東大陸・西大陸と通称されている。
俺が落ちた場所は東大陸の自由都市国家になる。

・種族
 人族の他に亜人族がいるが、繁殖力の関係で人族が大半となっている状態。
約100年以前までは、人族と亜人族の争いが絶えなかった。

・魔法
 魔法が盛んで前の世界での科学並みに発展している。
約100年以前では上流階級の嗜みであったが、技術のブレイクスルーが発生。
それまで一部の種族しか使用できなかった魔法が全ての種族にて利用が可能となった。また、魔法を維持・運用する技術も発展したので上流階級にとっては踏んだり蹴ったり。

・通貨
 国ごとに発行されているが基本的には東大陸共同貨・西大陸共同貨の2種類を指す。つまり東大陸共同通貨が必要になる。

・文化
 魔法が一般化したことで、魔法使いの人材不足が解消。
人海戦術で公共事業や魔道具の開発などを実行した為、雇用が右肩上がりとなる。
しかし、これにより食事を作る時間が不足し、簡単で日持ちする食文化となった。

◆◆

「異世界と言えばやっぱり魔法だよね~ レコ先生、俺でも魔法は使えるの?」

【現状では使えませんが、プログラム終了までには生活魔法まで使用可能となります】

「なんだって! 早くプログラムよろしく!!」

【承知いたしました。では、次のプログラム(権能について)を開始します】

「権能? 何の!?」

【第9世界の管理者が保有している権能の一部がミチオ様だけ特別に付与される事となりました。権能内容につきましてはこちらになります】

★言語パック(LV.MAX)
 第9世界における言語の読み書きが可能
LV.1:読み書き
LV.2:翻訳
LV.3:ネイティブ

★油は正義!(LV.1)
 揚げ物に関する事に対して補正が掛る。
LV.1:絶対温感

★食の伝道師(LV.1)
 料理に必要な食材や調味料、器具などを日本から仕入れができる。
LV.1:コンビニ セポマと契約

★魔法(LV.1)
 魔力を利用して魔法を使用することができる。
LV.1:生活魔法

「これって完全に料理人ムーヴだな……」

【管理人よりメッセージがありますので、読み上げます】

◆◆

揚野 満生 様
 このメッセージが読まれているのでしたら、お解りでしょうがこの世界では食文化がまったく栄えておりません。
ミチオ様のいた世界でのイギリス料理よりもひどい状況です。
そんな所に揚げ物LOVEなミチオ様が耐えられるとは思えません。
なので食文化の向上と発展をミチオ様の手でお願い申し上げます。
本来ならば、もっと権限を強化または付与したいのですが、
これ以上行うとミチオ様が消滅する可能性がありますので止めときました。
代わりにあるものをサービスをしておきます。
それを元にして何卒、なにとぞ豊かな食生活を我に!!!!
差出人 第9世界 管理人より

◆◆

(うわ~ ドン引き~)

【それでは、権能の使い方をご教授いたします】

「よろしくお願い致します」

【権能には2種類あり、常時発生と使用発生があります】

「あ! パッシブとアクティブね」

【ミチオ様ですと、言語パックがパッシブとなります】

「それ以外はアクティブと」

【また食の伝道師に関しては使用方法が異なり、専用の端末が必要となります】

「端末?」

【お持ちのスマホをアップデートするか、新たに作成するかのどちらかになります】

「う~~ん 使い慣れたスマホかな?」

【かしこまりました。スマホのアップデートを実行いたします】

 すると、ミチオのカバンが光りだした。

【アップデートに少し時間が掛りますので、他の権能について説明いたします】

◆◆

★魔法
・生活魔法:魔力を消費して効果を念じることで発生する。
 種類(種火・水生成・そよ風・小石生成)

★油は正義!
・絶対温感:対象の温度が精密に判定される。

◆◆

「レコ、権能のレベルって上げることが可能なの?」

 PIPIPI.. アップデート完了..
アラームと共に機械的な音声が鳴り響く、よく見るとミチオのカバンから発していた光が収まっていた。

【権能レベルを上げるにはSPが一定量必要になり、SPを得るにはミチオ様の作った料理を食べて貰う必要があります。丁度よいので端末の使用方法と共にレクチャーいたします】

【それではミチオ様、端末をお取りください】

 俺はレコの言う通りカバンからスマホを「なんじゃこりゃ!」と叫びながら手に持った。なんという事でしょうか! 匠の手によってスマホの外見がなんと!
スチームパック風な端末に変わっていました。

【アップデートの効果になります。では、アップデートの内容をご説明いたします】

◆◆

★Ver 1.0
・外見の変更
・本体とコンソロールの魔子化
・OSの書き換え
・内部データとストレージを初期化
・電力ではなく魔力による充電システムに変更(永久バッテリー化)
・音声認識機能搭載
・AIコンシェルジュ【Reco】を搭載
・新規専用アプリ:ステータスチェッカー 登録
・新規専用アプリ:食の伝道師 登録
・新規専用アプリ:カスタマーサービスセンター 登録
※以後、お客様の都合に関係なく強制的に機能の変更が掛る場合があります。

◆◆

「強制アップデートあるの!」

【では、ステータスチェッカーを起動してみてください、するとミチオ様のステータスが表示されます】

「え~と、操作は従来のスマホと同じか.. アイコンをぽちっとな」

名前:揚野 満生
性別:男
年齢:20
種族:元第4世界住人
権能:
★言語パック(SP:MAX)
LV.1:読み書き
LV.2:翻訳
LV.MAX:ネイティブ
★油は正義!(SP:0/1,000)
LV.1:絶対温感
LV.2:????
★食の伝道師(SP:0/50)
LV.1:コンビニ セポマと契約
LV.2:????
★魔法(SP:0/2,000,000)
LV.1:生活魔法
LV.MAX:????
★残SP:0p

「セポマって、ここは普通3大コンビニのどれかじゃないの?」

 コンビニエンスストア セポマは北海道を中心に拡大展開をしているご当地コンビニの一つだが、
全国のコンビニ顧客満足度No1を獲得している良い意味でおかしいコンビニだ。

【次にアプリ、食の伝道師を起動してください。購入可能店舗と商品が表示されます】

 ポチ! ホームに戻って、アプリを起動してみた。
う~ん、これって某通販サイトだな.. そこにストアとしてセポマが入っている感じ..

【今回はキッチンを貸しますから、セポマよりフライドポテトの材料を購入してください】

 カートに必要な食材と調味料を入れていく
・じゃがいも(男爵)
・塩
・植物油

「これでヨシ!」
購入画面に遷移したが残金が0だ。

「レコ、残金0で購入できないのだけど、どうすれば?」

【こちらの貨幣を端末にかざしてください】

 そう言って目の前に出現した見たことのない紙幣らしきもの(10,000Rと書かれている)をスマホに近づけると..
チャリーン!っという音が鳴る。そしてスマホの画面では残金の場所が10,000となった。

【今のがチャージになります。チャージは食の伝道師アプリが起動している状態でないと行われません。また、返金は不可能です】

「まぁ、一先ず購入っと! ターップ」
 すると目の前で光と共にパッケージされた材料が床にまとまっていた。

【購入したものはパッケージされて出てきますので床に配置されても大丈夫です。
では、材料が出来ましたので料理をお願い致します。ミチオ様】

(塩のみのフライドポテトか~ 本当はザンギが良かったけどしかたない)
ミチオは出てきた材料をもキッチンに持っていくのであった。

 ここでオモチャが兵列を組んで行進するテーマをかけると怒られるので、
BGM無しで行くぜ!

「さて、今回 作るのはこちら! オードソックスなフライドポテト!!
更に家庭でも簡単に作れるズボラ式! 画面のみんなも試してみよう!!」

★ズボラなフライドポテト(皮付きフライドポテト)
【材料】
・じゃがいも 1個
・塩 適量
・揚げ油 適量

【器具】
・菜箸
・揚げ物鍋
・揚げ物すくい
・パット
・ステンレスのボウル
・キッチンペーパー
・皿
・包丁

【手順】
1.じゃがいもを水で洗い、芽を取り除く(表面の土を落とす程度)
2.じゃがいもを8等分に切り、キッチンペーパーで水分を拭く
3.揚げ物鍋に揚げ油を入れ加熱する。
4.油に菜箸つけて気泡がでたら180度なっているので2を投下する。
5.じゃがいもが浮き上がったら、じゃがいもをボウルに移します。
6.ボウルに少量の塩を入れて混ぜます。
※塩はあとで足せますが、引くことはできませんので少な目にしましょう!
7.皿に盛り合わせて、完成!

「揚げたてとおビール様の相性は抜群! 調味料や切り方を変えることで味も変わります。」
フライドポテトが完成したら、目の前に文字が表示された。

◆◆

★フライドポテト(品質:A 摂取SP量:1+1p)
状態:揚げたて・塩分控えめ

◆◆

【料理が完成するとその料理の能力が表示されます】

「レコ、摂取SP量のプラス1はどうして?」

【状態の揚げたてによるボーナスです。冷めるとボーナスが無くなります】

「やはり揚げ物は揚げたてが正義!」

【これにて、初期サポートは終了となります。もう一つのアプリは使用可能になった時にお教え致しますのでご安心下さいませ】

「わかった。ありがとう レコ」

【それでは、これからもよろしくお願いします】
白い空間が段々と黒い空間に変化していき、俺は意識を失った。
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