【BL】カントボーイ～気高き王太子のアソコが女の子になっちゃった～【R-18】

第十四章 その後の生活

１３９．記者会見

　俺に恋焦がれていた、だと！？　俺のアソコが女性器になったのは、ルークが頼んだことだったなんて……！？

　こんなことってあるのだろうか。信じられずに俺はひどく動揺しながら呆然とし、これまでのことを思い出していた。

　従者になった当時のルークはいつでも冷淡ですまし込んだ男だった。俺に気に入られて出世しようと企む他の使用人とは違って媚びてこないから、俺はそんなルークのことをいけ好かない奴だと思っていた。ルークの方だって俺のことをわがまま放題に育ったろくでもない王太子だと思って見下しているに違いないと思っていたんだが……。

　でもそれはいつも優勝していた剣術大会でルークに負けたという最悪な出会いのせいで、俺の方が一方的に抱いていた嫉妬から発生した思い込みだったのかもしれない。

　ルークはいつでも真面目で献身的だが元々そういう性格だからなんじゃなくて、もしかして好意を寄せる俺にだから尽くしていたというのか……。

　バサバサとカラスが飛んでいく音で我に返った。
　ルークがいたバルコニーの窓が閉まる音がした。こちらへ来るかもしれない。俺も急いで部屋へ戻った。

＊＊＊

「不躾なことをお伺いしますが、カトリーナ様との結婚のお話がなしとなった今、シュライフェ様は今後のことをどうお考えなのでしょうか？」

　許嫁だったカトリーナに「婚約破棄された」だとか、「逃げられた」だとか相変わらず不名誉な言い回しをして面白おかしく書き立てている記者たちを、俺はあえて城に招いて会見を開いてやった。

「ん？　今後のことって……どういう意味？」
　質問の意図がわからず、俺は記者に聞き返した。

「シュライフェ様の結婚へのお気持ちや、すでにお付き合いのある恋人や婚約者がいらっしゃるのかどうかを是非お伺いしたいのですが」

「もう俺には誰かと結婚する気はない」

　おお……、と会場に集まっていた記者やカメラマンたちの間でどよめきが起こった。それと同時にカメラのフラッシュが光り、けたたましいシャッター音が聞こえた。

「それは、シュライフェ様が婚約を破棄して逃げていったカトリーナ様のことを今でも愛しているということでしょうか？」

　俺は軽く目を閉じてゆったりと深呼吸をして、こう述べた。
「はは、想像に任せる。……とにかく俺はもう恋人を作る気はない。生涯独身で、この城で暮らすつもりだ」

　記者たちは次々に質問を投げかけようとして来ていたが、俺は静かに席を立って会場を後にした。