41 / 73
【VerΑ編第3章〜大竜星祭】
41話「サーベラス」
しおりを挟むマイホーム内、第二回群体の名前どうする会議中。
前と同じ丸テーブルに私と二人が座っている。
「ねえ、いいの? ほんとにほんとにいいの?」
「あたしは気に入った! こういうゲームはな、中二してなんぼや!」
「俺も同意見だ。なるほど……ケルベロスか……思いつかなかったな」
私の提案した【サーベラス】に二人とも大きく賛同してくれた。
「そのユーナって子? の噂は良く聞くけど……それも良くない噂を……でもなんか聞いてると噂と違うなあ」
「そうなの? とっても良い子だったよ?」
「ラノアが誘いたいなら俺は構わない。俺だって途中で加入した」
私がユーナちゃんを私達の【群体】に誘いたいと言ったら、蔵人さんは賛成してくれた。
「……別にな、噂を鵜呑みにするわけちゃうし、ラノアの事を信じてないわけではない……けどあたしは保留」
そうミリーが申し訳なさそうに、でもきっぱりと言い切った。
私は、全然嫌な気持ちがしなかった。だって、私が逆の立場だった同じ事を言っていたと思う。
「どれぐらいのプレイヤーなのか。信頼できるほどの人物なのか。それはあたし自身で見極めたい。ワガママ言うてるのは分かってる……けど」
「ううん、いい。それでいい。私もね、そう思う」
「で、あれば、決まったな。【大竜星祭】は確か助っ人は有りなんだろ?」
「どうせ、このままやと四人目を探す時間もないし」
「じゃあ、とりあえず作ろっか、【群体】」
結局、ミリーは私に長をやれと言ってきた。蔵人さんもそれには納得らしい。
元ランキング1位なんだから当然やろ、と言われて私も納得してしまった。あんまり人の上に立つとか得意じゃないんだけどなあ……まあこの二人ならこれまで通りでいけるはず。
「じゃあええっと群体名は【サーベラス】……っと。よし、では使うよ!」
私は書いたその申請書を掲げると、それがひとりでに燃え上がった。
すると、光が辺りを覆った。
「おお!」
光が消えると、ミリーが歓声を上げた。
「おお、ちゃんと表示されたな」
どうやら私の頭の上に群体名が表示されたようだ。
メニュー欄にも項目が追加されていた。
ええっと、ふむふむなるほど。
私は説明を読んで、群体機能の一つである招待を二人に送った。
「お! きたきた!」
それぞれが受け取った招待を受け入れた。
すると、二人の頭上の表示が変わった。
【ミリー:サーベラス】
【蔵人:サーベラス】
よし、これで私達は真の意味で仲間だ!
「晴れて、【サーベラス】結成!!」
私達は笑顔で持っている飲み物で乾杯した。
「さあ……いよいよ明日から始まる【大竜星祭】。相変わらず1位候補は【暴王】や」
「俺らなら……勝てる」
二人がにやりと不敵に笑った。この二人、似てるんだよねえ。
その時に、通知音。見れば、ユーナからだった。
『ラノアちゃんへ。群体結成おめでとう! ユーナの案を採用してくれて嬉しいにゃん。イベント頑張ってにゃん』
私は、急いでそれへと返信した。
『ユーナちゃんありがとう。あのね、実はもう一人メンバー探す時間なくてね、良かったらだけど、ユーナちゃん私達のパーティに入らない? あ、もちろん勝てたりしたら賞金とかアイテムとかは山分けするから!』
「どしたの?」
急に黙った私を訝しげに見るミリー。
「ユーナちゃんからお祝いメッセージきたの。だからパーティに誘ってみる」
「なるなる。パーティ組む分にはあたしは歓迎だよ……さて噂が本当かどうか」
「俺も構わない。しかし、俺らと違って、明日のリアルの予定が空いているかどうか。今回はイベント用に更にゲーム内時間を加速させるとはいえ、まる一日拘束されるからな」
「うん、まあ元々もう三人で挑もうって話になってたし、その時はその時!」
「あーそうだ。ラノア、忘れんうちに参加申請しといてな。それ群体長しか出来ひんから」
「分かった。すぐやっとく」
私は忘れる前に参加申請を済ませた。特に難しい事はなく、すぐ終わった。
明日は長くなるという事で、今日は早めに解散した。
だけど、結局、その日ユーナちゃんから返信はなかった。
☆☆☆
【大竜】前々前世オンライン【星祭】 Part823
544 名前:前世は負け犬
明日か……そわそわしてきた
545 名前:前世は負け犬
ああ、俺も参加してえええええええええ
546 名前:前世は負け犬
やっぱり優勝候補は【暴王】
547 名前:前世は負け犬
ベルザックって群体から元ランカー引き抜いたって話だぜ
ガチっぽいな暴王
548 名前:前世は負け犬
実況版予め立てとかね?
ぜったい一瞬で埋まるっしょ
549 名前:前世は負け犬
>>548
任せた
暴王、ベルザック、ルミナスアルク、凱風快晴、チンドン屋
この辺りが有力候補か
個人的には凱風快晴に頑張ってほしい
550 名前:前世は負け犬
あーあ良いなあ。俺の群体出る気なくてやる気でない
あー参加群体のリスト見てるが……少数の群体も参加表明してるな
最小は……三人でサーベラスか
まあただの賑やかしだろ
551 名前:前世は負け犬
ちなソロ参加できるぞ。勝てるかどうかは知らん
552 名前:前世は負け犬
ラノミリコンビ出るかな?
あの侍野郎まじで裏山
553 名前:前世は負け犬
そういや最近神聖猫姫天使ってコテハンいなくなったな
まあ別にいいけど
…………
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる