45 / 73
【VerΑ編第3章〜大竜星祭】
45話「地の利——sideオビ1」
しおりを挟む【イベント】前々前世オンライン【Day1】 Part825
612 名前:前世は負け犬
ふざけんな。爆弾でワンパンかよ
613 名前:前世は負け犬
ああああああここ見てたら猿に殺されたあああああああ
ふざけろ
614 名前:前世は負け犬
>>613
みるなよ
615 名前:前世は負け犬
レアモブ見付けた!
すげえこいつだけで5000ぽいんとげっつ
616 名前:前世は負け犬
>>615
詳細はよ
617 名前:前世は負け犬
>>616
マップ北の崩れた大橋の下
ラッキーメタルバグって奴がそう
618 名前:前世は負け犬
ちょっと行ってみよ
マップ東は湖で水棲前世持ちじゃねえとしんどいな
619 名前:前世は負け犬
あーお前らマップ南の要塞は近寄らないほうがいいな
手前に強いドラゴンうじゃうじゃいるし、中入ってもなんもねえわ
時間の無駄だなそれよりマップ北が穴場っぽいぞ
620 名前:前世は負け犬
>>617
>>619
あーあせっかくの穴場が
621 名前:前世は負け犬
ぽまえら情報サンクスw
………………
☆☆☆
【イベントフィールド:所在地不明の古戦場】
【マップ南方:敗北者の要塞】
すぐ近くで爆発音が聞こえる
それを聞いて、崩れた壁から外を見つめていた一人の男が振り返った。
年齢は三十代を少し過ぎたぐらいだろうか? 往年のアクションスターを思わせる渋い顔つきだが、背後にはふさふさとして尻尾が垂れ下がっていて、頭部に丸っこい獣耳が生えており顔とのギャップを感じさせた。
金属で出来た軽鎧を身に包んでおり、腰には短刀が2本ぶら下がっている。
男の頭上には【オビ1:ソーレス】と表示されている。
「どうだ?」
「順調ですよ。流石っすね。狙い通り、狩り場に獲物が集まってきてます。【ユンニャン】の【群体】には連絡済」
それに答えたのはウィンドウを開いている少年だった。少年の頭からは、太い一本角が生えている。少年の頭上には、【由犀:ソーレス】と表示されていた。
少年——由犀はオビ1とは反対に岩のような重鎧を着込んでおり、脇には巨大なハンマーが置いてあった。
「はん、高度な情報戦すら出来ないアホは死んでも仕方ない。エンザとカルナを呼び戻しておけ……多分プレイヤーが近くまで来てる」
「まじっすか? すぐに通信送ります」
由犀が慌てたようにウィンドウを操作しはじめた。
「……まあこんだけ爆弾が降ってたら、近くの建物に避難するだろうが……運が悪い」
オビ1はそう呟くとあちこちが崩れている部屋の、床に空いた穴の縁に向かった。
「一足先に歓迎してくる。お前ら三人は後詰めで来い」
「はは、僕の分、残しておいてくださいよ? 僕ら【ソーレス】の初舞台なんですから」
「はっ、せいぜい相手の強さに期待しておけ」
オビ1はそれだけ言い残して、穴へと飛び降りた。一つ下の階に降りた彼は、崩れた壁の隙間から、この要塞へと走ってくる人影を見つけた。
「三人? ……飛び入りじゃないのなら……【サーベラス】か? いや、一人が隠れている可能性もある。いずれにせよ……」
オビ1が見守る中、その三人がこの要塞の正面から入ってこようとしている。
「正面突破は愚策だ」
三人が要塞の入口にたどり着いた瞬間に響く爆発音。
「新規マップに入る時は慎重に念入りに下調べするのが——常識だろルーキー共」
それと同時に正面入口の壁が崩れる音。
爆発したのは、正面入口にオビ1が仕掛けた【投擲爆弾】を使った簡易トラップ。
さらに壁が崩れるように配置し、万が一爆発を逃れた奴がいても仕留められようにしている。
オビ1自身はこれまでいくつものVRゲームを渡り歩いてきたが、得意とする戦法はいつも同じだった。
地の利を活かした、ゲリラ戦。
自ら攻める事はせず、相手を狩り場へと追い込み、殲滅させる。
その為なら嘘情報をネットに流し、事前に協力関係を結んでいた【群体】の狩り場へと誘導するなど、手段を選ばない。
戦いは始まる前から既に勝敗は決まっている。
それがオビ1の持論だった。
「ランダム転移で俺のパーティの初期位置をこんな最高なところにした運営を恨め」
今の爆発で、この要塞に眠る敵も起動しただろう。
仮に全滅していなかったとしても、あのクソみたいなモブ敵を倒して消耗、疲弊したところを討つだけだ。
オビ1は勝利を確信しながらも、ここからいかに脱出するかのプランを練りあげていた。
トラップは各所に仕掛けたしあと半日は動かないつもりだったが、なぜか胸騒ぎが収まらない。
「……震えているのか? この俺が?」
自嘲気味に言葉を吐き出したオビ1が群体チャットでそれぞれに指示を送った。
「I have a bad feeling about this……嫌な予感がする」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
外れスキル【畑耕し】で辺境追放された俺、チート能力だったと判明し、スローライフを送っていたら、いつの間にか最強国家の食糧事情を掌握していた件
☆ほしい
ファンタジー
勇者パーティーで「役立たず」と蔑まれ、役立たずスキル【畑耕し】と共に辺境の地へ追放された農夫のアルス。
しかし、そのスキルは一度種をまけば無限に作物が収穫でき、しかも極上の品質になるという規格外のチート能力だった!
辺境でひっそりと自給自足のスローライフを始めたアルスだったが、彼の作る作物はあまりにも美味しく、栄養価も高いため、あっという間に噂が広まってしまう。
飢饉に苦しむ隣国、貴重な薬草を求める冒険者、そしてアルスを追放した勇者パーティーまでもが、彼の元を訪れるように。
「もう誰にも迷惑はかけない」と静かに暮らしたいアルスだったが、彼の作る作物は国家間のバランスをも揺るがし始め、いつしか世界情勢の中心に…!?
元・役立たず農夫の、無自覚な成り上がり譚、開幕!
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さくら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。
霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半……
まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。
そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。
そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。
だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!!
しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。
ーーそれは《竜族語》
レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。
こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。
それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。
一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた……
これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。
※30話程で完結します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる