29 / 44
孤独
29.失踪
しおりを挟む
リレイが、居ない。
慌ててベッドの布団をめくっても、見えるのは綺麗に整えられたシーツだけ。昨日は確かに隣のベッドへ入ったはずだ。また明日って言い合って、寝息だって立てて眠っていたはずなのに。
サイドテーブルに置いていた装備も、壁にかけていた荷物も、残っているのはハーファのものだけになっている。一緒に置いていたはずの相棒のものがひとつ残らず消え去っていた。
ふと机の下に一枚だけ紙切れが落ちているのが見える。これは昨日の記憶にはない。リレイの置いていったものだろうかと、恐る恐る中身を改めた。
「……なんで……」
メモの中身に愕然とする。
一緒に行こうって、約束したのに。
消えた相棒の足取りを追うべく、慌てて部屋を飛び出した。
宿屋の支払いは昨日の内に終わっていたらしい。しかも数日先の分まで払っているというのだから、どう考えてもおかしい。最初から置いていくつもりだったとしか考えられない。
情報を求めてギルドへ行っても、街の人間に聞き込みをしても、昨日ハーファと居た以外にリレイの姿を見たという話は出てこなかった。
目的地はリレイしか知らないのに。
こんなことなら、どの方角へ行くのかくらいは聞いておくべきだった。いつも目的地へのルート把握すら頼りきっていたのがいけなかった。
……まさか一人置いていかれるなんて、思わなかったから。
『あの家には一人で行くことにした。街で待っていてくれ。すぐ戻る』
紙には、少し崩された綺麗な字でそう書かれていた。
「家ってどこだよ馬鹿……っ!」
すぐ戻ると言われても、待っていられない。
そう言って出掛けたハーファの両親は帰ってこなかった。【眼】で感じた危険を知らせに向かった途中で、山から降り注いだ土にのまれて消えた背中が最後に見た姿だった。
流石に、あの時と状況が違うとは理解している。けれど不安が先に立って我慢がきかない。追い立てられるように街中を走り回って、誰か一人くらいは相棒を見た人間がいないかと聞き込んで回った。
けれど……姿を見た人間すら居ない。
外からやって来た冒険者ですら、すれ違う姿を見ていないと言う。
いくら探し回っても、街には相棒の痕跡が何も残っていなかった。まるで最初から居なかったみたいに。
ついてくって、言ったのに。
また明日って、約束したのに。
「うそつき魔術師ぃ……ッ!」
一緒に居たいのに。
ハーファを置いて居なくなってしまった。追いかけるヒントすら何も残さずに、空に溶けるみたいに行方をくらませて。
焦りが積もって目の奥がつんと熱くなってくる。少し遅れて視界がゆらゆらと揺れ始め、ついには足が止まって。溢れてくるものを堪えようと眉間に力を入れても、少しずつ目の縁に溜まっていく。
「リレイ……リレ、イっ……」
どうして置いていかれてしまったんだろう。
今までのパーティみたいな喧嘩なんかしてないのに。深いことがしたいと言われた時に拒んだのがいけなかったのか。やっぱり蹴り飛ばしてしまったのがいけなかったのか。
でも……その後は普通に過ごしていた。お互いにごめんって言い合って、少し気まずかったけど一緒に行動していた。
なのに、どうしてこうなったのか。思い当たる理由もない。
また一人になってしまった――それだけしか、今のハーファには分からない。
「パーティ組みたいって、言ったのは……自分じゃねぇか」
リレイから寄ってきたくせに。
ハーファがパーティで居たいと伝えた時は微笑んでたくせに。
嫌になったんならそう言えばよかったじゃないか。散々好き勝手にキスをしておいて。抱きしめておいて。舌を入れるキスより深いことをしたいって、覆いかぶさってきたのは何だったんだ。
ふと見た左の手首には銀の腕輪が光っている。外すなと言われた腕輪。こんなものまで贈っておいて。
……なんで急に消えるんだ。
「どういう了見だよ……今更トンズラなんて許さねぇからな……!」
こんな消え方は許さない。絶対に見つけ出してやる。
ぼろぼろと目から落ちてくる水を拭いながら、ハーファは再び顔を上げた。
更に半日。
思いつく限り動き回ってみたけれど、何の手がかりも見つけられなかった。もう追い付ける見込みは無いに等しい。姿を見失ってから時間が経ちすぎてしまった。
もちろん、リレイが戻ってくる気配は……ない。
どうすることも出来ずに呆然と街の外れで立ち尽くすハーファの元へ、ひとつの足音が向かってくる。
「君がトルリルイエのお友達かな?」
トルリルイエ――リレイの本来の名前だ。
その名を呼んだ声に、何かの手がかりかもしれないと勢い良く振り向いた。
後ろに立っていたのは濃い灰色の髪を後ろに撫で付けた男。ワースラウルの服装をもっと豪華にしたような出で立ちで、その腰にはやはり剣が差してある。
見るからに前衛職だけれど、その表情は柔和で余裕を感じさせる。どう見ても戦いを生業にしている人間の装備を身にまとっているのに。そんな気配なんて少しも感じさせない、不思議な人間。
もしかしたら、と。直感が囁く。
「……アンタは」
「トルリルイエの父親だ。彼の母親が危篤でね。急ぎ連絡を取りたいのだけれど」
予想通りの答えに、すとんと納得がいった。薄い茶色の瞳とその顔立ちは、年齢こそ違うけれど相棒の持つ雰囲気とよく似ている。
リレイがもし魔術師ではなく騎士だったら、こんな風になっていたのかもしれない。
「……もう、家に向かってると思う。ワースラウルが知らせにきたから」
ハーファの答えにリレイの父親はふわりと笑みを浮かべた。その微笑みもよく似ていて変な感じだ。リレイを見つめている時みたいな眩しさは感じないけれど。
「そうか……伝わっていたのなら良かった」
リレイに似た雰囲気の顔が目を細めてハーファを見つめる。相棒とよく似た微笑み。全くの別人だけれど、すぐにでも座り込んでしまいそうなハーファにはそれだけでも十分だった。
ほんの少しだけ、沈み込んだ気持ちが浮かんでくる。
けれど。
「それなら君はどうして、トルリルイエの事を尋ねて回っていたんだい?」
恐らく、悪気なく放たれた言葉。
しかしそれはハーファの奥底へ鋭く突き刺さった。
慌ててベッドの布団をめくっても、見えるのは綺麗に整えられたシーツだけ。昨日は確かに隣のベッドへ入ったはずだ。また明日って言い合って、寝息だって立てて眠っていたはずなのに。
サイドテーブルに置いていた装備も、壁にかけていた荷物も、残っているのはハーファのものだけになっている。一緒に置いていたはずの相棒のものがひとつ残らず消え去っていた。
ふと机の下に一枚だけ紙切れが落ちているのが見える。これは昨日の記憶にはない。リレイの置いていったものだろうかと、恐る恐る中身を改めた。
「……なんで……」
メモの中身に愕然とする。
一緒に行こうって、約束したのに。
消えた相棒の足取りを追うべく、慌てて部屋を飛び出した。
宿屋の支払いは昨日の内に終わっていたらしい。しかも数日先の分まで払っているというのだから、どう考えてもおかしい。最初から置いていくつもりだったとしか考えられない。
情報を求めてギルドへ行っても、街の人間に聞き込みをしても、昨日ハーファと居た以外にリレイの姿を見たという話は出てこなかった。
目的地はリレイしか知らないのに。
こんなことなら、どの方角へ行くのかくらいは聞いておくべきだった。いつも目的地へのルート把握すら頼りきっていたのがいけなかった。
……まさか一人置いていかれるなんて、思わなかったから。
『あの家には一人で行くことにした。街で待っていてくれ。すぐ戻る』
紙には、少し崩された綺麗な字でそう書かれていた。
「家ってどこだよ馬鹿……っ!」
すぐ戻ると言われても、待っていられない。
そう言って出掛けたハーファの両親は帰ってこなかった。【眼】で感じた危険を知らせに向かった途中で、山から降り注いだ土にのまれて消えた背中が最後に見た姿だった。
流石に、あの時と状況が違うとは理解している。けれど不安が先に立って我慢がきかない。追い立てられるように街中を走り回って、誰か一人くらいは相棒を見た人間がいないかと聞き込んで回った。
けれど……姿を見た人間すら居ない。
外からやって来た冒険者ですら、すれ違う姿を見ていないと言う。
いくら探し回っても、街には相棒の痕跡が何も残っていなかった。まるで最初から居なかったみたいに。
ついてくって、言ったのに。
また明日って、約束したのに。
「うそつき魔術師ぃ……ッ!」
一緒に居たいのに。
ハーファを置いて居なくなってしまった。追いかけるヒントすら何も残さずに、空に溶けるみたいに行方をくらませて。
焦りが積もって目の奥がつんと熱くなってくる。少し遅れて視界がゆらゆらと揺れ始め、ついには足が止まって。溢れてくるものを堪えようと眉間に力を入れても、少しずつ目の縁に溜まっていく。
「リレイ……リレ、イっ……」
どうして置いていかれてしまったんだろう。
今までのパーティみたいな喧嘩なんかしてないのに。深いことがしたいと言われた時に拒んだのがいけなかったのか。やっぱり蹴り飛ばしてしまったのがいけなかったのか。
でも……その後は普通に過ごしていた。お互いにごめんって言い合って、少し気まずかったけど一緒に行動していた。
なのに、どうしてこうなったのか。思い当たる理由もない。
また一人になってしまった――それだけしか、今のハーファには分からない。
「パーティ組みたいって、言ったのは……自分じゃねぇか」
リレイから寄ってきたくせに。
ハーファがパーティで居たいと伝えた時は微笑んでたくせに。
嫌になったんならそう言えばよかったじゃないか。散々好き勝手にキスをしておいて。抱きしめておいて。舌を入れるキスより深いことをしたいって、覆いかぶさってきたのは何だったんだ。
ふと見た左の手首には銀の腕輪が光っている。外すなと言われた腕輪。こんなものまで贈っておいて。
……なんで急に消えるんだ。
「どういう了見だよ……今更トンズラなんて許さねぇからな……!」
こんな消え方は許さない。絶対に見つけ出してやる。
ぼろぼろと目から落ちてくる水を拭いながら、ハーファは再び顔を上げた。
更に半日。
思いつく限り動き回ってみたけれど、何の手がかりも見つけられなかった。もう追い付ける見込みは無いに等しい。姿を見失ってから時間が経ちすぎてしまった。
もちろん、リレイが戻ってくる気配は……ない。
どうすることも出来ずに呆然と街の外れで立ち尽くすハーファの元へ、ひとつの足音が向かってくる。
「君がトルリルイエのお友達かな?」
トルリルイエ――リレイの本来の名前だ。
その名を呼んだ声に、何かの手がかりかもしれないと勢い良く振り向いた。
後ろに立っていたのは濃い灰色の髪を後ろに撫で付けた男。ワースラウルの服装をもっと豪華にしたような出で立ちで、その腰にはやはり剣が差してある。
見るからに前衛職だけれど、その表情は柔和で余裕を感じさせる。どう見ても戦いを生業にしている人間の装備を身にまとっているのに。そんな気配なんて少しも感じさせない、不思議な人間。
もしかしたら、と。直感が囁く。
「……アンタは」
「トルリルイエの父親だ。彼の母親が危篤でね。急ぎ連絡を取りたいのだけれど」
予想通りの答えに、すとんと納得がいった。薄い茶色の瞳とその顔立ちは、年齢こそ違うけれど相棒の持つ雰囲気とよく似ている。
リレイがもし魔術師ではなく騎士だったら、こんな風になっていたのかもしれない。
「……もう、家に向かってると思う。ワースラウルが知らせにきたから」
ハーファの答えにリレイの父親はふわりと笑みを浮かべた。その微笑みもよく似ていて変な感じだ。リレイを見つめている時みたいな眩しさは感じないけれど。
「そうか……伝わっていたのなら良かった」
リレイに似た雰囲気の顔が目を細めてハーファを見つめる。相棒とよく似た微笑み。全くの別人だけれど、すぐにでも座り込んでしまいそうなハーファにはそれだけでも十分だった。
ほんの少しだけ、沈み込んだ気持ちが浮かんでくる。
けれど。
「それなら君はどうして、トルリルイエの事を尋ねて回っていたんだい?」
恐らく、悪気なく放たれた言葉。
しかしそれはハーファの奥底へ鋭く突き刺さった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
ふつつかものですが鬼上司に溺愛されてます
松本尚生
BL
「お早うございます!」
「何だ、その斬新な髪型は!」
翔太の席の向こうから鋭い声が飛んできた。係長の西川行人だ。
慌てん坊でうっかりミスの多い「俺」は、今日も時間ギリギリに職場に滑り込むと、寝グセが跳ねているのを鬼上司に厳しく叱責されてーー。新人営業をビシビシしごき倒す係長は、ひと足先に事務所を出ると、俺の部屋で飯を作って俺の帰りを待っている。鬼上司に甘々に溺愛される日々。「俺」は幸せになれるのか!?
俺―翔太と、鬼上司―ユキさんと、彼らを取り巻くクセの強い面々。斜陽企業の生き残りを賭けて駆け回る、「俺」たちの働きぶりにも注目してください。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。
下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。
大国の第一王子・αのジスランは、小国の第二王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。
ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄するから受け入れてほしいと言われる。
理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、
「必ず僕の国を滅ぼして」
それだけ言い、去っていった。
社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募するお話に、真紀ちゃん(攻)視点を追加して、倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~
トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。
突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。
有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。
約束の10年後。
俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。
どこからでもかかってこいや!
と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。
そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変?
急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。
慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし!
このまま、俺は、絆されてしまうのか!?
カイタ、エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる