26 / 27
無口な百合は今日も放課後弄ばれる
しおりを挟む
「駄目…!!!」
未久と末樹の動きが止まる。
まるで全ての世界が一瞬止まった様に。
今までどれだけ弄んでも聞いた事のない。
必死な大きな声。
「駄目!!」
いつも目を逸らす地味な少女が。
いつも2人に弄ばれる百合が。
2人を涙目で強く見据える。
「何が?」
「私!離さないから…!」
未久に連れられて教室を出そうに動いた末樹の手をぎゅっと握る。
「ああ、今日はもういいわ。今日の分は振り込んどいてあげるから、また仕切りな
「違う!!!」
この教室に入る時と同じ様に、優しく、力強く、末樹の手を握る。
計画とか、誰のおかげとか、よく分からない。
分からないけど、分からないけど――末樹の表情に陰りがあるから。
太陽が沈もうとしているから。
駄目、違う、そうじゃない。
「私!!好きだから!!末樹ちゃんの事!!離さないから!!」
また時が止まる。
「だから駄目!!連れて行かないで!!駄目!!」
もう何を言っているか分からない。
でも駄目なんだ。
今末樹が未久についていけば、もうずっと末樹に会えない気がする。
明日から会う末樹は末樹ではない、末樹という名の未久になる気がする。
分からない。
怖い。
でもだから――。
「百合ちゃ――!?」
繋いだ手をぐっとひっぱりとても軽い身体を百合のそばに寄せ、
ぎゅっと、力強く、優しく、抱きしめる。
「百合ちゃん…」
百合の身体をそっと離し、百合を見つめ優しく太陽の様に暖かく微笑む。
その微笑みは窓から見える夕焼けのせいだろうか、真っ赤だった。
「百合ちゃん、私の事…好き?」
「好き…!好き…!」
「それって友達として?それとも…愛?」
「あ………愛してる!!!」
同じく夕焼けのせいだろうか真っ赤な少女は必死に叫ぶ。
学校中に響き渡る様に、叫ぶ。
「未久ちゃん」
「ぁ…」
一部始終を受け入れられない様に立ちすくしていた未久は、
自分が『愛している』少女に声をかけられ我にかえる。
「ありがとう……」
その『愛している』妹が、今までに見た事のないとびきりの笑顔で涙を流す姿に声がでなくなる。
何が幸せにするだ。
妹の幸せは結局2番目の優先事項だったんだ。
妹を自分の力で幸せにする――そのエゴが私の幸せであり、結局自分が1番だったんだ。
でも妹は最後は自分の力で告白させた。
姉が作った95%、残りの5%は妹の、自分の力で手に入れたんだ。
もう妹は私の――私だけの女の子ではない。
「未久ちゃん…こっちにきて」
「……」
未久はゆっくり末樹に近付き
「んっ…」
口づけを交わした。
百合とする様なキスではなく、唇と唇がそっとくっつくだけのキス。
それは末樹から未久へのメッセージ。
2人にしか分からないメッセージ。
「……末樹」
未久は後ろを振り向く、教室の出口へ向かう。
「私、今日友達の家に泊まるから」
教室に残る末樹と百合に表情を見せない様に。
「今日私達の家、誰もいないから」
自分でもなぜか分からないこの笑顔を見せない様に。
「今日の為に用意しておいた拘束具と色んな玩具、リビングに置いてあるから」
「――っ!?」
教室をそっと出て行った。
――教室に残された2人は座り込む。
夕焼けは徐々に薄れていく。
末樹は繋いだ手をぎゅっと握り、百合に顔を寄せる。
百合は自然と目を瞑る。
その姿に末樹は微笑み、百合の小さな耳にそっと息を吹きかける。
「んっ…!あぅ…」
不意を突かれた百合はいつもの様に顔を赤く染める。
末樹はその姿を愛しく想う。
「百合ちゃん…愛してる!」
2人はキスをした。
無口な百合は今日も放課後弄ばれる ~完~
未久と末樹の動きが止まる。
まるで全ての世界が一瞬止まった様に。
今までどれだけ弄んでも聞いた事のない。
必死な大きな声。
「駄目!!」
いつも目を逸らす地味な少女が。
いつも2人に弄ばれる百合が。
2人を涙目で強く見据える。
「何が?」
「私!離さないから…!」
未久に連れられて教室を出そうに動いた末樹の手をぎゅっと握る。
「ああ、今日はもういいわ。今日の分は振り込んどいてあげるから、また仕切りな
「違う!!!」
この教室に入る時と同じ様に、優しく、力強く、末樹の手を握る。
計画とか、誰のおかげとか、よく分からない。
分からないけど、分からないけど――末樹の表情に陰りがあるから。
太陽が沈もうとしているから。
駄目、違う、そうじゃない。
「私!!好きだから!!末樹ちゃんの事!!離さないから!!」
また時が止まる。
「だから駄目!!連れて行かないで!!駄目!!」
もう何を言っているか分からない。
でも駄目なんだ。
今末樹が未久についていけば、もうずっと末樹に会えない気がする。
明日から会う末樹は末樹ではない、末樹という名の未久になる気がする。
分からない。
怖い。
でもだから――。
「百合ちゃ――!?」
繋いだ手をぐっとひっぱりとても軽い身体を百合のそばに寄せ、
ぎゅっと、力強く、優しく、抱きしめる。
「百合ちゃん…」
百合の身体をそっと離し、百合を見つめ優しく太陽の様に暖かく微笑む。
その微笑みは窓から見える夕焼けのせいだろうか、真っ赤だった。
「百合ちゃん、私の事…好き?」
「好き…!好き…!」
「それって友達として?それとも…愛?」
「あ………愛してる!!!」
同じく夕焼けのせいだろうか真っ赤な少女は必死に叫ぶ。
学校中に響き渡る様に、叫ぶ。
「未久ちゃん」
「ぁ…」
一部始終を受け入れられない様に立ちすくしていた未久は、
自分が『愛している』少女に声をかけられ我にかえる。
「ありがとう……」
その『愛している』妹が、今までに見た事のないとびきりの笑顔で涙を流す姿に声がでなくなる。
何が幸せにするだ。
妹の幸せは結局2番目の優先事項だったんだ。
妹を自分の力で幸せにする――そのエゴが私の幸せであり、結局自分が1番だったんだ。
でも妹は最後は自分の力で告白させた。
姉が作った95%、残りの5%は妹の、自分の力で手に入れたんだ。
もう妹は私の――私だけの女の子ではない。
「未久ちゃん…こっちにきて」
「……」
未久はゆっくり末樹に近付き
「んっ…」
口づけを交わした。
百合とする様なキスではなく、唇と唇がそっとくっつくだけのキス。
それは末樹から未久へのメッセージ。
2人にしか分からないメッセージ。
「……末樹」
未久は後ろを振り向く、教室の出口へ向かう。
「私、今日友達の家に泊まるから」
教室に残る末樹と百合に表情を見せない様に。
「今日私達の家、誰もいないから」
自分でもなぜか分からないこの笑顔を見せない様に。
「今日の為に用意しておいた拘束具と色んな玩具、リビングに置いてあるから」
「――っ!?」
教室をそっと出て行った。
――教室に残された2人は座り込む。
夕焼けは徐々に薄れていく。
末樹は繋いだ手をぎゅっと握り、百合に顔を寄せる。
百合は自然と目を瞑る。
その姿に末樹は微笑み、百合の小さな耳にそっと息を吹きかける。
「んっ…!あぅ…」
不意を突かれた百合はいつもの様に顔を赤く染める。
末樹はその姿を愛しく想う。
「百合ちゃん…愛してる!」
2人はキスをした。
無口な百合は今日も放課後弄ばれる ~完~
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる