【完結】神獣ママのえいさいきょういく

マール

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イベント番外編

勇者パパの愛情たっぷり

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 異世界にはチョコレートがない。
 
 チョコレートは昔媚薬だったらしい。滋養強壮ってことで、あながち間違いじゃない。

 でも、まあ、無くて良かったよ。
 だって、チョコレートはワンコの大敵。麻薬のような症状が出たり、お腹を壊したりするんだ。

 うちの可愛い嫁さんルーシーリトル・ニコル愛しい息子 に毒薬を盛るなんて、そんな恐ろしいことできっこない。

 のんびりそんなこと思いながら、可愛い嫁さんルーシーリトル・ニコル可愛い息子 の会話に耳を傾ける。
 今日はもふもふバージョンのようだ。可愛いなあ。プリチーだなあ。

「さあ、リトル・ニコル息子よ 。今日は決戦の日だぞ」
「けっせんびー」
 片腕上げる狼マッチョ獣人と両手を挙げた狼耳としっぽの付いた小さな子供。かわいいなあ。

「ブラッシング」
「おけです」
 可愛い嫁さんルーシーの軍隊長のようなキビキビした声。重低音とハスキーボイスに惚れ惚れする。人間形態のテノールのハスキーボイスもクルものがあるよね。
 リトル・ニコル可愛い息子 もしゅぴっと大きなブラシを掲げている。ホントかわいい。うちの子かわいい。

「匂いづけ」
「おけです」
 くんくんと嫁さんルーシーリトル・ニコル可愛い息子 の頭を嗅ぐ。髪の毛にマズルが潜り込んで可愛いの二乗だ。ニコルも嫁さんルーシーの胸に顔を埋めてぐりぐりしてる。静電気でお顔に毛が張り付いてる。なんなの、母子して萌え殺す気なの。

「身嗜み」
「おけですよ」
 ブラッシングも匂いづけも身嗜みじゃないのかな。1人ずつくるんと回って、続けて2人で並んでくるくる回って、可愛いんだけど。追いかけっこかな。バターになっちゃわない? バターは虎だっけ? 夜はバター大活躍……。ダメだ鼻血が出る。

 自分が錯乱し始めているのを感じる。よし、まだ余裕ある。多分余裕ある。魔王との決戦より神経使う。なにこれ最強かな。
 まだ2人でぐるぐるしてる。パパも交ぜて欲しいね。

「「よしッッ」」

 いい笑顔で向き合って親指立ててるし。なにもう可愛いの限界突破かな。もうボク死んでもいいかな。天国かな。

「コタぁー」
「ルーシー!!」

 嫁さんルーシーが飛び込んできた。ボクより20cmも大柄なマッチョ獣人だけど、ボクは勇者だから1mmも揺らがないね。全力で受け止めるよ。
 胸に飛び込んでぐりぐりされる。可愛い。可愛いよ。うちの嫁さん。息子も背中に引っ付いてきたけど、嫁さんルーシーに襟首掴まれてポーンと投げられてる。大丈夫なの、うちの子。馴れてるね、うちの子。
 でも、嫁さんルーシーの嫉妬って可愛いよね。

「コタ。愛してるよ」
「ボクも。愛してるよ。可愛いお嫁さんルーシー


 そうして熱烈に可愛い嫁さんに頭ごと甘噛みされたのだった。
 滅茶苦茶に可愛い。うちの嫁さんは異世界一だね。




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