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第14話 忘れられない過去
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―― 翌朝
正秀はリビングのソファーで目を冷ました。
今日は日曜日なので早く起きる必要はなかったが、母親が朝食の準備で音を立て始めたので起きてしまった。
「ふぁ~あ…… おはよう。母さん」
「あら、おはよう正ちゃん。 ……昨日はそんな所で寝てたの?」
「おう。さすがに初めて会った女の子と同じ部屋に寝るのはどうかと思ってさ」
「ふふっ。そう……」
「うーん…… やっぱり病院へ連れて行った方がいいのかなぁ?」
「プディカベリーちゃん本人はどうだったの?」
「ど、どうって…… よし。顔を洗ってから鈴ちゃんの様子でも見に行ってみるぜ」
「はい。行ってらっしゃい。すぐに朝食もできるから、大丈夫そうならプディカベリーちゃんも連れてらっしゃい」
「おう」
正秀はドタドタと廊下を走り、洗面所へ行った後に自室へと向かった。
……………
………
…
本人は大丈夫とは言っていたが、怪我の具合が心配だ。
普通の人間ならば骨折して平気なわけがない。
今になって少女の身を案じながら部屋へと入る。
「うお!?」
鈴雲を見ると上半身だけベッドから落ち、お腹を出しながら寝ていた。
相当に寝相が悪いらしい。
「凄い格好で寝てるな……」
正秀は鈴雲を抱き上げるとベッドの上へと戻す。
「鈴ちゃん。もう朝だぜ」
「う…… ううん…… うるさいですね、アッチへ行って下さい……」
「いや…… アッチじゃなくて。おーい」
身体を揺すると眉間にシワを寄せて反対向きに寝返ってしまった。
それでも、しつこく起こし続けるとようやく目を開いた。
「んん…… 誰ですか……?」
「俺だよ、正秀。まだ寝ぼけてるのか?」
「あー……」
鈴雲は上半身を起こし、辺りをキョロキョロと見渡すと、昨日のことを思い出してきた。
正秀の顔を見ると、オナニーを手伝ってもらったことまで思い出し、頬を染める。
「やっと、起きたか」
「は、はい…… その…… おはようございます」
恥ずかしそうに、布団で顔を半分隠しながら挨拶をした。
「おう。おはようだぜ」
「えっと……」
何か言いたそうだが、正秀は布団を持つ手を見て骨折はどうなっただろうか? と、思った。
普通なら即病院行きだが、彼女は魔法少女だ。
もしかしたら、回復魔法も使えるのかとも思う。
「なあ。怪我は大丈夫なのか?」
「え? あ…… あー……?」
正直、鈴雲も色欲の神が言っていた回復力は半信半疑であった。
だが、今は痛みも無く腕も自由に動く。
ベッドから降りると立ち上がってからピョンピョンと跳ねてみた。
「……大丈夫みたいです」
「へー。さすが魔法少女なんだぜ。一晩であんな酷い怪我も治るのか」
「は、はあ。みたいですね」
「なら良かった。母さんが朝ご飯を用意してるから行こうぜ。食べるだろ?」
「え、えっと……」
申し出は嬉しかったが、昨日会ったばかりの他人の家…… しかも、家族と同じ食卓は気まずかった。
今まで独りぼっちで生活をしていたので、他人と会話すら恥ずかしい。
だから断ろうとしたが……
ぐぅ~
タイミング良くお腹が鳴ってしまった。
「や、あの…… 今のは……」
「腹減ってるだろ? 早く行こうぜ」
「いえ…… 私は……」
「遠慮するなよ」
そう言って正秀は鈴雲の手を取ると、無理矢理に連れて行くのだった。
……………
………
…
二人がリビングへ行くと、姉がパンツにTシャツ一枚の格好で既にパンを齧っている。
「あら、正秀。ようやく起きたの? 日曜だからって、だらけてちゃダメよ」
「姉ちゃんこそ、そのだらしない格好をどうにかしてくれよ」
「なになに? お姉さんの姿に興奮しちゃった? ふふっ、プディカベリーちゃんだったけ? 正秀は取らないから安心して」
「ばっ、ばか! 俺と鈴ちゃんはそんなんじゃないってばっ!」
「えー、だって昨夜は一緒に寝たんでしょー?」
「寝てないって!」
「えー、怪しぃ~」
ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる姉は、どう見ても面白がっている。
「ほらほら、二人共とも下らないお喋りしてないで早く食べなさい。プディカベリーちゃんも困ってるでしょ」
と、姉の冷やかしを母は止めてくれた。
「はーい」
「お、おう…… じゃ、鈴ちゃんは、そっちに座りなよ」
「はい……」
席に着くと正秀の母親が目玉焼きやソーセージの乗った皿を置いてくれる。
鈴雲は出来たての食事を前にして、何ともいえない感情が湧いていた。
(こんなのを食べるのはいつぶりでしょうか……?)
レンジで温めていない食事などカップラーメンと牛丼屋の弁当くらいだ。
それ以外は、コンビニ弁当しか食べていない。
食べ物が皿に乗っていることなど、久しく忘れていた。
とても美味しそうな目玉焼きにフォークを延ばす。
「ところで正秀さあ。りりちゃんって誰? その娘昨日と違うじゃない?」
鈴雲は口に目玉焼きを入れようとしたが、姉の質問で自己紹介をしていないのを思い出した。
昨日は魔法少女に変身したまま、部屋に連れて行かれたので、鈴音鈴雲として会うのは初めてである。
「あ、あう」
黄身がベチャリとテーブルに落ちたのを見て、やっと気が付いた。
自己紹介もだが、助けてくれたお礼も、いただきますも言っていない。
「あ、す、すいません!」
慌てて落ちた黄身を素手で掴むと、舐めるように食べた。
そんな少女の姿を、家族は驚いた表情で見ていた。
「り、鈴ちゃん…… そんな落ちたのを食べなくても…… な? なあ? 母さん」
「ええ、そうよ。玉子くらい何個でも焼いてあげるわ」
言われて気が付き、あまりの恥ずかしさに、鈴雲は俯いたまま何も言えなかった。
幸せそうな家族を前に、自分の惨めな生活を考えると涙があふれた。
「う、うぅ…… ぐすっ、ごめんなさい…… ごめんなさい…… うっ……」
「ど、どど、どうしたんだよ! まだ、どっか痛いのか?」
急に泣き出す少女に正秀は焦った。
スポーツ万能、成績優秀で顔も良い彼は結構もてるが、彼女は居ない。
女性に対して知識不足なせいで、オロオロするしかなかった。
「あわわわ…… 拾い食いしたせいでお腹が痛いのか?」
「そんなわけないでしょ! バカ正秀っ」
と、姉にツッコまれることしか言えない。
そこへ、母親が鈴雲の元へ近寄ると、優しく抱きかかえた。
そ何も言わずに、そっと頭を撫でる。
「あ…… あぁ…… うわァァァァァン!」
忘れていた温もりを思い出した鈴雲は泣きじゃくった。
正秀の母親の胸で、恥ずかしさも忘れて泣いた。
複雑な思いが頭をめぐり、昔を思い出す……
自分の親には愛想を尽かされたのを知っている。
物心ついた頃から可愛い子だと育てられ、人形の様に綺麗に着飾られた。
言葉遣いも躾けられ、常に敬語で話し、お父様、お母様と呼ぶようにも教えられた。
あれは小学五年生の時だった。
写真を撮りに行くからと、ホテルへ連れて行かれた。
そこでは面積の少ない水着を着せられ、恥ずかしいポーズをさせられて何枚も写真を撮られた。
その日だけではない…… それからは月に数回は同じ様に撮りに行かされた。
次第に水着だけではなく裸でも撮られる様になった。
恥ずかしくて嫌だったが、両親はとても喜んでくれた、抱きしめてくれた。
だから我慢した……
だけど、ある日。
学校の皆にバレた。
一人の男子生徒が自分の写真が載った雑誌を持って来たのだ。
冷やかされ、虐められ、学校での居場所は無くなった。
それでも、我慢した……
両親が喜んでくれるから。
自分の居場所は、そこにしか無いのを理解していたから。
辛かった、苦しかった、悲しかった、自殺も考えた。
でも助けてはくれない、誰も助けてはくれない。
もう限界だった……
心が折れ、精神を病んだ時。
やっと開放された。
あの地獄から……
そして、使い物にならなくなった少女を置いて、両親は離れて行った。
「悲しいときは、たくさん泣くといいわ。そうすれば、次はきっと笑えるから」
正秀の母親の言葉に、鈴雲は嗚咽を漏らしながら泣き続けるのだった。
正秀はリビングのソファーで目を冷ました。
今日は日曜日なので早く起きる必要はなかったが、母親が朝食の準備で音を立て始めたので起きてしまった。
「ふぁ~あ…… おはよう。母さん」
「あら、おはよう正ちゃん。 ……昨日はそんな所で寝てたの?」
「おう。さすがに初めて会った女の子と同じ部屋に寝るのはどうかと思ってさ」
「ふふっ。そう……」
「うーん…… やっぱり病院へ連れて行った方がいいのかなぁ?」
「プディカベリーちゃん本人はどうだったの?」
「ど、どうって…… よし。顔を洗ってから鈴ちゃんの様子でも見に行ってみるぜ」
「はい。行ってらっしゃい。すぐに朝食もできるから、大丈夫そうならプディカベリーちゃんも連れてらっしゃい」
「おう」
正秀はドタドタと廊下を走り、洗面所へ行った後に自室へと向かった。
……………
………
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本人は大丈夫とは言っていたが、怪我の具合が心配だ。
普通の人間ならば骨折して平気なわけがない。
今になって少女の身を案じながら部屋へと入る。
「うお!?」
鈴雲を見ると上半身だけベッドから落ち、お腹を出しながら寝ていた。
相当に寝相が悪いらしい。
「凄い格好で寝てるな……」
正秀は鈴雲を抱き上げるとベッドの上へと戻す。
「鈴ちゃん。もう朝だぜ」
「う…… ううん…… うるさいですね、アッチへ行って下さい……」
「いや…… アッチじゃなくて。おーい」
身体を揺すると眉間にシワを寄せて反対向きに寝返ってしまった。
それでも、しつこく起こし続けるとようやく目を開いた。
「んん…… 誰ですか……?」
「俺だよ、正秀。まだ寝ぼけてるのか?」
「あー……」
鈴雲は上半身を起こし、辺りをキョロキョロと見渡すと、昨日のことを思い出してきた。
正秀の顔を見ると、オナニーを手伝ってもらったことまで思い出し、頬を染める。
「やっと、起きたか」
「は、はい…… その…… おはようございます」
恥ずかしそうに、布団で顔を半分隠しながら挨拶をした。
「おう。おはようだぜ」
「えっと……」
何か言いたそうだが、正秀は布団を持つ手を見て骨折はどうなっただろうか? と、思った。
普通なら即病院行きだが、彼女は魔法少女だ。
もしかしたら、回復魔法も使えるのかとも思う。
「なあ。怪我は大丈夫なのか?」
「え? あ…… あー……?」
正直、鈴雲も色欲の神が言っていた回復力は半信半疑であった。
だが、今は痛みも無く腕も自由に動く。
ベッドから降りると立ち上がってからピョンピョンと跳ねてみた。
「……大丈夫みたいです」
「へー。さすが魔法少女なんだぜ。一晩であんな酷い怪我も治るのか」
「は、はあ。みたいですね」
「なら良かった。母さんが朝ご飯を用意してるから行こうぜ。食べるだろ?」
「え、えっと……」
申し出は嬉しかったが、昨日会ったばかりの他人の家…… しかも、家族と同じ食卓は気まずかった。
今まで独りぼっちで生活をしていたので、他人と会話すら恥ずかしい。
だから断ろうとしたが……
ぐぅ~
タイミング良くお腹が鳴ってしまった。
「や、あの…… 今のは……」
「腹減ってるだろ? 早く行こうぜ」
「いえ…… 私は……」
「遠慮するなよ」
そう言って正秀は鈴雲の手を取ると、無理矢理に連れて行くのだった。
……………
………
…
二人がリビングへ行くと、姉がパンツにTシャツ一枚の格好で既にパンを齧っている。
「あら、正秀。ようやく起きたの? 日曜だからって、だらけてちゃダメよ」
「姉ちゃんこそ、そのだらしない格好をどうにかしてくれよ」
「なになに? お姉さんの姿に興奮しちゃった? ふふっ、プディカベリーちゃんだったけ? 正秀は取らないから安心して」
「ばっ、ばか! 俺と鈴ちゃんはそんなんじゃないってばっ!」
「えー、だって昨夜は一緒に寝たんでしょー?」
「寝てないって!」
「えー、怪しぃ~」
ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる姉は、どう見ても面白がっている。
「ほらほら、二人共とも下らないお喋りしてないで早く食べなさい。プディカベリーちゃんも困ってるでしょ」
と、姉の冷やかしを母は止めてくれた。
「はーい」
「お、おう…… じゃ、鈴ちゃんは、そっちに座りなよ」
「はい……」
席に着くと正秀の母親が目玉焼きやソーセージの乗った皿を置いてくれる。
鈴雲は出来たての食事を前にして、何ともいえない感情が湧いていた。
(こんなのを食べるのはいつぶりでしょうか……?)
レンジで温めていない食事などカップラーメンと牛丼屋の弁当くらいだ。
それ以外は、コンビニ弁当しか食べていない。
食べ物が皿に乗っていることなど、久しく忘れていた。
とても美味しそうな目玉焼きにフォークを延ばす。
「ところで正秀さあ。りりちゃんって誰? その娘昨日と違うじゃない?」
鈴雲は口に目玉焼きを入れようとしたが、姉の質問で自己紹介をしていないのを思い出した。
昨日は魔法少女に変身したまま、部屋に連れて行かれたので、鈴音鈴雲として会うのは初めてである。
「あ、あう」
黄身がベチャリとテーブルに落ちたのを見て、やっと気が付いた。
自己紹介もだが、助けてくれたお礼も、いただきますも言っていない。
「あ、す、すいません!」
慌てて落ちた黄身を素手で掴むと、舐めるように食べた。
そんな少女の姿を、家族は驚いた表情で見ていた。
「り、鈴ちゃん…… そんな落ちたのを食べなくても…… な? なあ? 母さん」
「ええ、そうよ。玉子くらい何個でも焼いてあげるわ」
言われて気が付き、あまりの恥ずかしさに、鈴雲は俯いたまま何も言えなかった。
幸せそうな家族を前に、自分の惨めな生活を考えると涙があふれた。
「う、うぅ…… ぐすっ、ごめんなさい…… ごめんなさい…… うっ……」
「ど、どど、どうしたんだよ! まだ、どっか痛いのか?」
急に泣き出す少女に正秀は焦った。
スポーツ万能、成績優秀で顔も良い彼は結構もてるが、彼女は居ない。
女性に対して知識不足なせいで、オロオロするしかなかった。
「あわわわ…… 拾い食いしたせいでお腹が痛いのか?」
「そんなわけないでしょ! バカ正秀っ」
と、姉にツッコまれることしか言えない。
そこへ、母親が鈴雲の元へ近寄ると、優しく抱きかかえた。
そ何も言わずに、そっと頭を撫でる。
「あ…… あぁ…… うわァァァァァン!」
忘れていた温もりを思い出した鈴雲は泣きじゃくった。
正秀の母親の胸で、恥ずかしさも忘れて泣いた。
複雑な思いが頭をめぐり、昔を思い出す……
自分の親には愛想を尽かされたのを知っている。
物心ついた頃から可愛い子だと育てられ、人形の様に綺麗に着飾られた。
言葉遣いも躾けられ、常に敬語で話し、お父様、お母様と呼ぶようにも教えられた。
あれは小学五年生の時だった。
写真を撮りに行くからと、ホテルへ連れて行かれた。
そこでは面積の少ない水着を着せられ、恥ずかしいポーズをさせられて何枚も写真を撮られた。
その日だけではない…… それからは月に数回は同じ様に撮りに行かされた。
次第に水着だけではなく裸でも撮られる様になった。
恥ずかしくて嫌だったが、両親はとても喜んでくれた、抱きしめてくれた。
だから我慢した……
だけど、ある日。
学校の皆にバレた。
一人の男子生徒が自分の写真が載った雑誌を持って来たのだ。
冷やかされ、虐められ、学校での居場所は無くなった。
それでも、我慢した……
両親が喜んでくれるから。
自分の居場所は、そこにしか無いのを理解していたから。
辛かった、苦しかった、悲しかった、自殺も考えた。
でも助けてはくれない、誰も助けてはくれない。
もう限界だった……
心が折れ、精神を病んだ時。
やっと開放された。
あの地獄から……
そして、使い物にならなくなった少女を置いて、両親は離れて行った。
「悲しいときは、たくさん泣くといいわ。そうすれば、次はきっと笑えるから」
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