魔闘少女プディカベリー 〜淫欲なる戦い〜

おっぱいもみもみ怪人

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第16話 鈴雲の部屋を掃除する青年

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 ―― 午後七時

 日は沈み、窓の外はすっかり暗くなっていた。

 あれから正秀は一生懸命に部屋の片付けをしていたが、まだ半分くらいしか終わってない。
 鈴雲りりたんが騒いで思う様に捗らなかったからだ。
 しかし、夕方頃には疲れたのだろうか? ようやく大人しくなって、文句を言いながらも作業を眺めていた。

 「いつまでやってるつもりですか? いい加減、帰らないとお母様も心配するんじゃないですか?」

 「ああ、だな。でも、メッセージは送っといたから大丈夫だぜ」

 「そうですか…… と言うより、私の方が迷惑なのですが」

 「何か用事でもあるのか?」

 「……いえ。特に用事があるわけではありませんが、一人暮らしの女子の部屋に入り浸っているのは如何いかがなものかと……」

 「そうだけどりりちゃんが悪いんだぜ? こんなに部屋を散らかしてるから」

 「だからって、平気で人の下着を触らないで下さいませんか?」

 「んー? これか?」

 と、汚れたパンツを広げてみせた。

 「こ、コラッ! 見せなくていいです!」

 「こんな猫ちゃんやクマさんのパンツだから問題無いだろ」

 「ギャァァァー! いいじゃないですか! 小学校の時から買ってないので仕方ないですよっ!」

 「んー? お小遣いが無いのか? 何なら俺が買ってやってもいいぜ」

 「結構です! 仕送りはじゅうぶんに貰っているので問題ありません」

 「ふーん、いい親じゃないか」

 「はっ…… 別に……」

 親の話をすると、鈴雲りりたんが不機嫌そうな顔になったのを正秀は気が付いた。
 この部屋以外は人の住んでいる気配はないし、本人も一人で生活していると言っていた。
 親と何らかのしがらみがあるのは、容易に想像できる。

 「俺の父さんはな、自衛隊員なんだ」

 「あ、そうですか」

 「潜水艦の艦長でさ、滅多に帰って来ないんだ。一度仕事に行ったら数ヶ月は帰ってこない」

 「仕事なら仕方ありませんね」

 「ああ。頭ではわかってるつもりだけど…… でもなぁ、やっぱり寂しくも思うぜ」

 「まあ、普通はそうかも知れませんが……」

 「姉ちゃんと兄貴は大学生でさ、二人とも俺をからかってばかりでマジで困るぜ。あ、でも兄貴は大学の近くで部屋を借りて今は一人暮らしだけどな」

 「…………」

 「昨日だってさ、俺。あんな時間に大門に居ただろ?」

 「はい。どうせ、いかがわしいお店にでも行ってたのでしょう?」

 「そうなんだよなー。兄貴の奴さ、お前もそろそろ一発やっとく歳だろ、俺がいい店で筆卸をさせてやるからって、無理矢理連れて行ったんだぜ? 危ないとこで何とか逃げ出せたけどな」

 「ぷっ。馬鹿な兄弟ですね、あははは」

 「ま。そのお陰で、こうして鈴ちゃんと出会えたから良かったぜ」

 「何ですかそれ。私を口説いているつもりですか? ははっ」

 「へへっ、どうだろうな…… さっ、俺は話したぜ。次は鈴ちゃんのことも聞かせてくれよ」

 「え?」

 「一人で戦ってるんだろ? 淫人と」

 正秀は片付けの手を休めると、目を見て言ったが……

 「私のことなんて……」

 と、鈴雲は目を逸らした。

 (正秀さんはどうして、こんな私に……)

 人とまともに会話をするのは何年ぶりだろうかと思う。
 考えてみれば、コンビニでの応対と淫人に襲われていたお姉さんくらだったかと。

 「話したくないのか? でもな、嫌でも話してくれよ。な? 頼むよ」

 「何ですかそれ……」

 「本人を前にして悪いけどさ、プディカベリーの戦いは俺も動画で見てるぜ。あんな酷い目に合って…… いや違うな…… 同情とかする気はないさ。俺は子供の頃に見ていた戦隊ものに憧れていた。俺もヒーローになりたいってな。それに、みんなを護る父さんの仕事にも憧れている。だから俺もそうなりたいって考えている」

 「正秀さんは、何が言いたいのですか……」

 「簡単なことさ。俺の趣味に付き合ってくれよ」

 「はあ?」

 「目の前のヒロインを助けないなんて、ヒーロー失格だろっ。正義の変身ヒロインを悪の手から護るなんて、こんなチャンスをのがせるわけ無いぜ!」

 正秀は嬉々としてガッツポーズを取りながら言った。

 「えっと…… もしかして馬鹿ですか?」

 「馬鹿じゃないぜ。こう見えても勉強の成績はトップクラスなんだぜ?」

 「くっ…… ふふふっ…… あはははははー」

 鈴雲は声を上げて笑った。
 もう笑い方など忘れていたのに、真面目な顔をして意味不明なことを話す正秀を前にすると、笑いが止まらない。
 笑い過ぎて涙が流れる。

 「何だよぉ、そんなに笑うことないだろ……」

 「あははは…… 涙が止まりませんよ。ははっ…… あれ? どうしてでしょう? うっ、うう……」

 馬鹿な人を前にして笑うが、あふれ出る涙が止まらない。
 心の奥底から笑うことが幸せなことだ気が付いた。

 正秀は涙を拭う鈴雲りりたんを優しく抱き寄せる。

 「りりちゃん。君はもう一人じゃないんだ」

 「そんなセリフ、正秀さんには似合いませんよ」

 「いいじゃないか、少しくらいカッコ付けさせてくれよ」

 「ほんと…… 変な人ですね……」

 そして、プディカベリーは全てを正秀に打ち明けた……

 子供の頃から親に金儲けの道具として扱われ、学校では虐めに合い心を病んだこと。
 使い物にならなくなった自分を置いて、親は海外へ行ってしまったこと。
 依頼、引き籠もりで自堕落な生活を続けていた時に、色欲の神によって淫人と戦うハメになったことまで話した。

 「……と、そんなとこですね。何も面白くはないでしょう……」

 「よし、解除」

 プディカベリーは光に包まれ一瞬全裸になると鈴雲へと戻った。

 「聞いてますか?」

 「変身っ!!」

 鈴雲は光に包まれ一瞬全裸になるとプディカベリーへと変身した。

 「ちょっと……」

 「よし、解じ……」

 「ええいっ! いい加減にして下さい!」

 プディカベリーは正秀の持っていた鈴雲のスマホを取り上げながら叫んだ。

 「あっ、なんだよ。もうちょっと貸してくれたっていいだろ」

 「ダメです」

 「ちぇっ、ケチ」

 「あ? 誰がケチですかっ!」

 鈴雲の話が魔法少女に関することになったとこで、正秀は説明書兼変身装置であるスマホを借りてみた。
 説明書を一通り読み終わり、実際に変身させてみると、これが意外と楽しい。
 話はそっちのけで、変身させて遊んでいたのだ。

 「しかし、魔法少女…… 魔闘少女だっけか、中々にスゲー格好だな。スカートも短いし、胸元や背中も…… 近くで見るとなぁ……」

 「は!? 変な目で見ないで下さい! 警察呼びますよ!」

 などと二人がじゃれ合っている時であった。
 突如、スマホが鳴り響く!

 「うおっ! 何だ!? 何だ!?」

 「あ゛……」

 と、プディカベリーが驚いている隙に、またスマホを取って画面を見る正秀。

 「これって淫人警報か?」

 「みたいですね……」

 「場所は柴田の駅のとこだな」

 「また、そんなとこで……」

 柴田とは名古屋市の南方に位置し、栄などには出るには遠いので近場で楽しもうとした人々の要望によって歓楽街化してしまった街である。
 治安が悪いとも言われるが、某組が牛耳る為に、それほど悪くはないとも言われている。

 「ここからだと、結構距離があるな」

 「はぁ…… 面倒ですね」

 普段なら遠い場所はパスしたいプディカベリーであったが、正秀が目を輝かせて見ている。

 (戦うのは私なのですが、この人は……)

 仕方なく出撃することにした。
 しかし、どうしてか悪い気分ではなかった。

 「どうするんだ?」

 「行ってきますよ! 行けばいいのでしょ!」

 「い、いや、無理にとは……」

 「あなたは早く家に帰って下さい。ここからは私の戦いです」

 「鈴ちゃん……」

 「さようなら」

 そう言って、プディカベリーは自室に男を残したまま、窓から飛び出す!
 夜の街へと平和を守る為に……

 そして、見送る正秀は気が付いた。

 自分の手に鈴雲のスマホが握られたままであることを……
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