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秋の章
幸せな気持ちになりました。
しおりを挟む翌日ーー
決心が鈍らぬ内にと、千春は談話室に来ていた。
アクラス達はいつもこの時間、ここに来るはず…。
千春が待っていると、いつもの騒がしい声が聞こえてきた。
「…千春殿?」
千春の姿に1番に気づいたのはアクラスだった。
「…アクラスさん、お話があります。
今お時間いいですか?」
千春は少し頰を染めながらアクラスを見る。
「あぁ。もちろん大丈夫だ。向こうに行こう。」
そう言って2人は中庭の方へと歩いていった。
「…おぉっ!?これはもしや⁈」
「あぁ、そのもしや。だぞ、おそらく!」
「っ団長、良かったなぁー。」
「良かったですねぇ。」
談話室にいた者達はこの展開を喜んだ。
ーーー
2人は中庭の木の下に並んで座った。
「…それで話とは?」
「あの、ずっと待っていてくれてありがとうございました。
あの時の返事をと思って…。」
「そうか、…聞かせてくれ。」
「私…。アクラスさんのこと、好きです!
10歳も年下の子供ですけど、これからもっとアクラスさんに見合う女性になってみせます!
だから、これからずっと一緒に…」
言い終わらぬ内に千春は強く抱き寄せられた。
「…本当だな?」
「はい。私をアクラスさんの恋人にしてください!」
「もちろんだ、ありがとう。俺も貴女が…
千春殿が好きだ。」
「っ…私、幸せです。」
嬉しさと、すぐ近くに感じる温もりに心がいっぱいなった千春は、真っ赤になりながらも満面の笑みを浮かべた。
「…貴女は今でも十分に魅力的だ。こんなにも愛おしく思うんだ。それに、俺こそ貴女に見合う男にならなければならない。」
「そんな、アクラスさんは十分素敵です!かっこよすぎて困ってたんですよっ。ちょっとした事にもドキドキするし。だから、これ以上かっこよくなられたら困りますので、ダメです!」
「そうか?その割にはあの時、普通に添い寝をしてたように思うが。安心しきって擦り寄ってきていたぞ?」
「あ、あれは怖かったからですし、まだはっきりと自覚してなかったから…!!
それに、擦り寄るだなんてっ
今は恥ずかしすぎてそんな事出来ません!!」
「それは残念だ。それなら、早く慣れて貰わないとな。」
「え、」
そう言うとアクラスは千春の手をとり、その掌へと口付けを落とした。
それからゆっくりと手首、腕、頰へと口付けていく。
それは懇願、欲望、恋慕、親愛ーー。
「これから、千春殿と共に生きていける事がこんなにも嬉しい。
…俺を選んでくれて、ありがとう。」
「…っ」
そして最後に、
唇へと口付けたのだった。
たくさんの愛情を込めて。
その後、2人の事は瞬く間に城中へと知れ渡り、行き交う人々からの祝福と揶揄いにしばらくは顔の火照りが治らない千春であった。
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