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幼少期
説明1
しおりを挟む「‥って訳でね、ミーシャって名前は私が付けたんだよ!なかなか良い名前でしょ!」
名前を私が付けたことも話した。
「そうだね。確かに良い名前だ。」
「ああ、良い名前だ!」
お母さんとお父さんは良い名前だと褒めてくれた。
お父さんは追加で私の頭を撫でる撫でる。
頭がとれちゃうよパパン!
子供の!赤ちゃんの頭だから!もっと気を付けて!
「でもスー。知っておかなくちゃ駄目なことがあるんだ。」
お母さんは真剣な眼差しで私を見て言った。
うう、なんだろう?
緊張する。
「どんなこと?」
「それはね、妖精や精霊にあだ名とかではない本当の名前をつけることは契約と言われる儀式だということだよ。多分スーとミーシャは契約をしていると思うんだ。」
そうなの!
全然気づかなかった。
ミーシャの方を見るとそうだよ~って感じで頷いた。
「言ってよ!」
「ええ~。だってスー戸惑って止めちゃうかもしれなかったし?」
止める?
どういうこと?
「妖精や精霊と言われるものたちは滅多に契約をしない。気まぐれに助ける事や傍にいることはあるけどね。スー、何でか分かる?」
なんでだろ?
ファンタジーで契約といえば相手に逆らえなくなるとかがメジャーだよね。
「言うこと聞かないといけなくなるから?」
「そんなことは無いよ。妖精や精霊は例え契約していても気が乗らない事はやってくれない。」
おお、妖精も精霊も結構フリーダムだ!
じゃあなんで?
私が首をかしげているとお母さんが私の目を真っ直ぐ見つめて話はじめた。
「それはね、寿命ができてしまうからだよ。」
‥寿命?
「本来妖精や精霊には寿命が無いんだ。けれど契約をすると寿命ができてしまう。何故なら契約者が死ぬと、契約している妖精や精霊も消えてしまうからだ。」
‥それって、それって、私の死がミーシャの死になるってこと?
私がミーシャを殺すことになるってこと?
「ミーシャ!なんで言ってくれなかったの!私、わたしが、ミーシャを殺しちゃう!そんなの嫌!いやだ、いやだょ‥。」
ミーシャは私の親を一瞥した。
するとお母さんがお父さんを引っ張り洞窟の外に出ていった。
お父さんはそっと私を撫でていってくれた。
けど今の私の頭はミーシャの命のことで一杯だ。
私の頭はずっとぐるぐるぐるぐるどうして?を回してる。
目元が熱くなる。
顔が見られないように下を向く。
すると頬に手が触れる。
「スー。こっち向いて?」
「‥やだ」
「スー。うちはわかってて名前を受け入れたんだからね。そこに後悔なんて1つも無いよ。」
まだ下を向いたままで聞く。
「‥どうして?」
「スーと同じ時を生きれると思ったからだよ。妖精や精霊はそもそも死なないし竜だって寿命が個体によって何百年も差がでる事もある。」
そう言って私の涙をてでぬぐった。
私の方が大きいからミーシャの手はべたべただろう。
ミーシャは私の顔の下に来てこっちを見上げる。
「それでね、うちは考えたんだ。契約をすればうちらの死ぬタイミングは同じになる。遺して逝く悲しみも、残される悲しみも、心配する必要がない。」
確かに私もミーシャに先に逝ってしまわれたら。
きっと寂しくて悲しくて泣きすぎて涙が枯れてしまうかもしれない。
ミーシャが死んでしまうところを想像して涙がもっと溢れた。
するとミーシャが慰めるように頬を撫でる。
「それにね、妖精や精霊の契約の意味は″最期まで貴方と共に″だよ。うちは永遠を生きたいわけじゃない。スーと同じ時を生きたいの。事後承諾になっちゃうけど、最期までうちと一緒にいてくれる?」
こっちを見てくる瞳には心配の色なんて1つもない。
私が断らないってわかってる。
ずるいなあ。
よし。少し仕返ししてやろう。
「‥こちらこそ最期の時までよろしくね、でも寿命のこと言ってくれなかったことは許さないから!ことあるごとにむし返してやる!」
「ええ~」
ミーシャはええ~とか言いながら笑ってる。
私もその顔を見て笑う。
「あっ、それにな別に死にはしないけど妖精とか精霊にも″死″みたいなものはあって、そのときは世界に溶けちゃうんだよ。」
唐突にミーシャはそんなことを言い出した。
「はあ?」
「えーっとね。自然の中の力みたいな存在になって自我が無くなるんだよ。」
それって生きてるって言うのか?
「それって生きてるの?消えてない?」
「それな~、元人間のうちから考えると消えてる感じだね。因みにスーと会ったときもう少しでそうなるところだったからw」
「ハアァァ!?」
「だからスーはうちの命を助けたぐらいに思っといてくれれば良いよ~」
軽っなんでそんな軽いの!?
消えかかってたんじゃ無いの!?
「軽すぎじゃない!?」
「そーうー?」
‥まあ、もういいや感情爆発しすぎて疲れた!
寝る!
「ミーシャ、私寝るね!」
「おやすみ~」
私は布の上に行って丸まった。
眠りに向かっていく意識のなかで、ミーシャが私に寄りかかってきたのがわかった。
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