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わたしがわたしになるまで
【第50話:ユアとアミュアと】
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ユアは夜霧でかけ続けていた。
アミュアを城塞で見失ってから既に2日経過した。
城塞のまわりを丁寧に探したが、痕跡すら見つからない。
最初に思いついたのはカーニャのことだった。
王都にいるはずなので、探して会いに行った。
予定通り活動しているのか、ハンターオフィスで尋ねると宿を教えてくれた。
夜になり戻ったカーニャと合流し、事情を説明。
なきじゃくるユアを一晩中慰めるカーニャであった。
「大丈夫。必ずまた会えるから頑張って探そうユア」
「うん、ごめんね取り乱したりして。明日はスリックデンの方にいってみるよ。」
そうして一緒に探すとも言ってくれるカーニャに丁寧に礼を述べ去ったユアであった。
アミュアを見失って7日がたった。
ユアはスリックデンに来ていた。
ハンターオフィスでもヴァルディア家でも情報はなかった。
私も一緒に探すと言いいだすミーナを落ち着かせるのにも1日かかった。
「きっとミーナが夢を諦めたら、アミュアは悲しむと思う。だからあたしに任せて」
「はい、アミュアをお願いユアさん。私も頑張っていると伝えてほしいです‥‥」
理屈で自分を納得させたミーナに、頼もしく思えるユアであった。
カーニャの両親にも励まされ、いつでも尋ねるようにと母エリセラにはハグしてもらうユアであった。
「カーニャさんから聞きました。辛いことが沢山あったのですってねユアさん。どうか淋しくなったらいつでも甘えに来てくださいね」
そういってポンポンと背中を叩いてくれたのだった。
ちょっと恥ずかしかったユアは真っ赤になって、手を振りわかれたのだった。
そして半月が過ぎ、ユアはルメリナを訪れる。
ハンターオフィスにも、すみれ館のセリナさんからも情報はなかった。
ルメリナ中を探し、最後にハンターオフィスにもう一度寄った。
きびしい顔でマルタスが告げる。
「・・・あきらめるな。あきらめたらそこでお前らの旅も終わるんだぞ」
じわっと涙がでそうになるユアは、ぎゅっと我慢してカウンターのまえにいた。
いつの間にかユアの周りに沢山のハンターや職員が詰めかけている。
皆が無言で、一言だけ労ってと、次々ユアを撫でたり、頭をぽんとしたりする。
ユアはついに我慢できなくなり、笑顔で涙をながすのだった。
ルメリナハンターオフィスからは、匿名の緊急依頼でアミュア捜索の依頼もでるのであった。
その賞金額はすごい金額で、これはアミュアを心配したすべての人が出し合ったお金であった。
しばらくルメリナのすみれ館を起点に、あちこち探すこととしたユア。
ここに至るまでの半月余りに、沢山の知り合い達が励ましてくれた。
ユアは本来のしなやかな強さを取り戻し、あふれる熱意でアミュアを探すのであった。
最初に向かったのはアミュアに出会ったあのラウマ像の祠だった。
森に入ってしばらくすると、懐かしい気配が感じられた。
「アミュアァァーーー!!」
ユアの喉がアミュアの名を絶叫する。
祠の前の階段でラウマと話し込んでいたアミュアも、ユアの気配と遠くで呼ぶ声を聞いた。
「ユア‥‥」
急に立ち上がったアミュアを首を傾け見るラウマには、まだその気配はわからないのであった。
ドンッ
突然無詠唱で飛行魔法を発動し、ユアの気配を目指すアミュア。
コロンとラウマは魔力におされて転がるのであった。
「ユアアァァ!!」
横っ飛びに飛行魔法で飛んできたアミュアは、何故か強化魔法までまとって殺人的速度でユアに迫った。
ドオォォォン!!
土煙があがり、驚いた夜霧の上からユアを攫い地面に激突するアミュア。
ユアも驚愕しつつ、しっかり受け止めアミュアを抱きしめる。
地面に押し付けたユアの胸に顔をうずめ、しくしくと泣くアミュア。
ユアは上体を起こし、ふわりとアミュアを抱きしめた。
「アミュア‥探したよ。心配した」
「ごめ‥ごめん‥グス‥ごめんなさい」
ラウマと出会い地上に出てから、ずっとユアがいない不安と戦っていたアミュアであった。
ユアの温度はアミュアのそんな強がりを、簡単に溶かしてしまったのだ。
そしてアミュアのいつもより熱くなった温度もまた、ユアのこれまでの全てに報いてくれた。
ユアの目にも涙が浮かぶのであった。
溶け合うように抱き合ったふたりは、互いの気配と暖かさでやっと落ち着く。
抱きしめ合う手の強さが、互いを安心させるのだった。
手をつなぎ歩く二人。
アミュアは昔と違い少し大きくなったが、それは始まりの日と同じ構図であった。
「えぇ?‥半月以上たっているんですか?」
アミュアは不審顔。
「あちこち探して、今日はルメリナから来たんだよ」
夜霧を影に戻したユアは、眉をさげて微笑む。
「みんなに心配かけちゃった」
いままでのアミュア探しの旅をユアは説明した。
「本当にそんなに時間が経っていたんですね。わたしには昨日の事のように思えるのに」
あっと思い出したように付け加えるアミュア。
「ノアと二人でラウマさまに会っていたんです」
そうしてアミュアはラウマと不思議な空間での話をするのだった。
祠まではまだ少し距離があった。
「そういう訳で、ラウマさまが人としてあの祠にいるのです」
「なるほど、もしかして服を半分こしたの?」
「そうです」
といって自分の格好を思い出したアミュアはちょっともじもじ恥ずかしそうにするのだった。
がんばって着ているが、結構無理な衣服であった。
無人島で遭難した人のような格好である。
「あ、それなら‥‥」
といって腰のポーチから取り出したのは、懐かしいひまわりのティーシャツであった。
ゆれるひまわりのマークがにっこりとしていて。
二人もまたにこにことなるのであった。
アミュアを城塞で見失ってから既に2日経過した。
城塞のまわりを丁寧に探したが、痕跡すら見つからない。
最初に思いついたのはカーニャのことだった。
王都にいるはずなので、探して会いに行った。
予定通り活動しているのか、ハンターオフィスで尋ねると宿を教えてくれた。
夜になり戻ったカーニャと合流し、事情を説明。
なきじゃくるユアを一晩中慰めるカーニャであった。
「大丈夫。必ずまた会えるから頑張って探そうユア」
「うん、ごめんね取り乱したりして。明日はスリックデンの方にいってみるよ。」
そうして一緒に探すとも言ってくれるカーニャに丁寧に礼を述べ去ったユアであった。
アミュアを見失って7日がたった。
ユアはスリックデンに来ていた。
ハンターオフィスでもヴァルディア家でも情報はなかった。
私も一緒に探すと言いいだすミーナを落ち着かせるのにも1日かかった。
「きっとミーナが夢を諦めたら、アミュアは悲しむと思う。だからあたしに任せて」
「はい、アミュアをお願いユアさん。私も頑張っていると伝えてほしいです‥‥」
理屈で自分を納得させたミーナに、頼もしく思えるユアであった。
カーニャの両親にも励まされ、いつでも尋ねるようにと母エリセラにはハグしてもらうユアであった。
「カーニャさんから聞きました。辛いことが沢山あったのですってねユアさん。どうか淋しくなったらいつでも甘えに来てくださいね」
そういってポンポンと背中を叩いてくれたのだった。
ちょっと恥ずかしかったユアは真っ赤になって、手を振りわかれたのだった。
そして半月が過ぎ、ユアはルメリナを訪れる。
ハンターオフィスにも、すみれ館のセリナさんからも情報はなかった。
ルメリナ中を探し、最後にハンターオフィスにもう一度寄った。
きびしい顔でマルタスが告げる。
「・・・あきらめるな。あきらめたらそこでお前らの旅も終わるんだぞ」
じわっと涙がでそうになるユアは、ぎゅっと我慢してカウンターのまえにいた。
いつの間にかユアの周りに沢山のハンターや職員が詰めかけている。
皆が無言で、一言だけ労ってと、次々ユアを撫でたり、頭をぽんとしたりする。
ユアはついに我慢できなくなり、笑顔で涙をながすのだった。
ルメリナハンターオフィスからは、匿名の緊急依頼でアミュア捜索の依頼もでるのであった。
その賞金額はすごい金額で、これはアミュアを心配したすべての人が出し合ったお金であった。
しばらくルメリナのすみれ館を起点に、あちこち探すこととしたユア。
ここに至るまでの半月余りに、沢山の知り合い達が励ましてくれた。
ユアは本来のしなやかな強さを取り戻し、あふれる熱意でアミュアを探すのであった。
最初に向かったのはアミュアに出会ったあのラウマ像の祠だった。
森に入ってしばらくすると、懐かしい気配が感じられた。
「アミュアァァーーー!!」
ユアの喉がアミュアの名を絶叫する。
祠の前の階段でラウマと話し込んでいたアミュアも、ユアの気配と遠くで呼ぶ声を聞いた。
「ユア‥‥」
急に立ち上がったアミュアを首を傾け見るラウマには、まだその気配はわからないのであった。
ドンッ
突然無詠唱で飛行魔法を発動し、ユアの気配を目指すアミュア。
コロンとラウマは魔力におされて転がるのであった。
「ユアアァァ!!」
横っ飛びに飛行魔法で飛んできたアミュアは、何故か強化魔法までまとって殺人的速度でユアに迫った。
ドオォォォン!!
土煙があがり、驚いた夜霧の上からユアを攫い地面に激突するアミュア。
ユアも驚愕しつつ、しっかり受け止めアミュアを抱きしめる。
地面に押し付けたユアの胸に顔をうずめ、しくしくと泣くアミュア。
ユアは上体を起こし、ふわりとアミュアを抱きしめた。
「アミュア‥探したよ。心配した」
「ごめ‥ごめん‥グス‥ごめんなさい」
ラウマと出会い地上に出てから、ずっとユアがいない不安と戦っていたアミュアであった。
ユアの温度はアミュアのそんな強がりを、簡単に溶かしてしまったのだ。
そしてアミュアのいつもより熱くなった温度もまた、ユアのこれまでの全てに報いてくれた。
ユアの目にも涙が浮かぶのであった。
溶け合うように抱き合ったふたりは、互いの気配と暖かさでやっと落ち着く。
抱きしめ合う手の強さが、互いを安心させるのだった。
手をつなぎ歩く二人。
アミュアは昔と違い少し大きくなったが、それは始まりの日と同じ構図であった。
「えぇ?‥半月以上たっているんですか?」
アミュアは不審顔。
「あちこち探して、今日はルメリナから来たんだよ」
夜霧を影に戻したユアは、眉をさげて微笑む。
「みんなに心配かけちゃった」
いままでのアミュア探しの旅をユアは説明した。
「本当にそんなに時間が経っていたんですね。わたしには昨日の事のように思えるのに」
あっと思い出したように付け加えるアミュア。
「ノアと二人でラウマさまに会っていたんです」
そうしてアミュアはラウマと不思議な空間での話をするのだった。
祠まではまだ少し距離があった。
「そういう訳で、ラウマさまが人としてあの祠にいるのです」
「なるほど、もしかして服を半分こしたの?」
「そうです」
といって自分の格好を思い出したアミュアはちょっともじもじ恥ずかしそうにするのだった。
がんばって着ているが、結構無理な衣服であった。
無人島で遭難した人のような格好である。
「あ、それなら‥‥」
といって腰のポーチから取り出したのは、懐かしいひまわりのティーシャツであった。
ゆれるひまわりのマークがにっこりとしていて。
二人もまたにこにことなるのであった。
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