ゲイホストだったけど、異世界でカリスマ男妾になるから てか、男同士でも孕める?

ブラックウォーター

文字の大きさ
49 / 72
第四章 クールなノンケ豪商もホモの悦びに目覚めて

しおりを挟む
「さてと、そう言えば夕飯時ですね。ちょっと遅くなったけど」
「そうだな……。腹が減った。気持ちよすぎて忘れていたが……」
 再び風呂を使い、ベッドの上でふたりで戯れる。外はすっかり暗くなり、夕食の機会を逸していた。
「エドワード様、夕飯はどうするおつもりですか?」
「そういえば……。考えていなかった……。家に帰ってからでは遅いしな」
 エドワードには特に食べるあてがあるでもないらしい。
(これは……好機到来ではないか……?)
 里実の脳に閃きが降りてくる。客にリピーターとなってもらう方法はいろいろある。それこそ性技に限らない。
「よければ食べて行かれませんか?まかない飯ですが、けっこういけますよ?」
「そうだな……。お相伴に預かるとしようか」
 男妾館で出る食事とはどんなものか、興味を持ったらしい。里実はガウンを羽織ると1階の台所へと向かう。ほどなく、食欲を誘うにおいとともに戻ってくる。まかない飯はカレーだった。付け合わせに、レタスをちぎってワインビネガーをかけただけの簡素なサラダがついている。
「珍しい料理だが……うまそうなにおいじゃないか」
 見慣れないビジュアルに戸惑うのも一瞬。エドワードはよだれをたらしそうになる。スパイスと炒められた小麦の香りに、食欲をそそられるのは自明だった。
「では頂きましょう」
「うん。…………。おお、これはうまい!」
 一口食べて、イケメンの豪商が驚きの表情になる。どうやら気に入ってくれたらしい。その後無言でひたすら食べ続けたのがその証左。美味しい料理は人を無口にする。
「いやあ、うまかったよ。男妾っていうのは毎日こんないけるものを食ってるのかい?」
「ははは。日にもよりますがね」
 食後、お茶を頂きながら談笑する。
「しかし……。ここまでうまいものを作れるとなると相当の腕前の料理人だろう?給料も高いんじゃないのかい?」
「いえいえ。全くそんなことは。なにせ、作ったの僕ですから」
 里実の応答に、エドワードの目が点になる。
 嘘は言っていない。まかないは自分の作成したレシピ通りに作られているのだから。
 こちらにも米の類いはあった。ただしタイ米に近い長粒種だったが。いわゆる姫飯(白いご飯)には向かなかったが、チャーハンやカレーには十分使える。香辛料やらニンジンやらジャガイモやらを集めて、試行錯誤の果てに再現したのだ。
 男妾たちにも好評だったので、レシピを紙にしたためて台所の壁に貼り付けてある。まかないは下っ端の男妾立ちの当番制だ。が、みんなが食べたがるカレーを作れて一人前とされるようになった。こうして客に出しても好評だ。
「うーむ……。これだけうまいと毎日でも食いたくなるな……」
「ははは。毎日ではさすがに飽きますよ。まかないのメニューは日替わりですから、また別の日に来て頂ければ美味しい物を食べて頂けますよ」
「他のメニューも……。君が作っているのかい……?」
「全部ではありませんがね。僕が作るものは割と皆好評でして」
 ついドヤ顔になってしまう。
 こちらに来て、高級男妾になっていくつかの発明品を世に出した。懐に余裕ができたので、あちらの世界の食べ物を再現してみることにした。豆腐や湯葉、醤油、味噌、漬物etc……。いずれも好評で、美食好みの貴族たちがレシピを知りたがるほどだ。
「差し支えなければ……。今後のメニューを教えてもらえないか?」
「はい、喜んで」
 できる限り詳しく献立を書いた紙を渡す。
 が、これが少しだけまずかった。
…………………………………………………………………
「うん。このソバというのもいいじゃないか。ハシの使い方がまだ慣れないけど」
 たぬき蕎麦に舌鼓を打つエドワードの表情を、里実は素直に喜べなかった。
(うーむ……リピーターになってもらえたのはいいけれど……)
 彼が男妾館に通うのが、少し頻繁になりすぎている。ちゃんと家で夫として父として役目を務められているのか不安になるほどに。
 無論、豪商でメイドも執事も何人もいる。奥様や赤ん坊のお世話をする人手にはことかかないだろう。だが、夫と父親の代わりは余人には務まらない。
 そして、不安はこの後的中することになる。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

処理中です...