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第四章 クールなノンケ豪商もホモの悦びに目覚めて
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とある晴れた日。王都から少し離れた里山。
「鹿が出てきたぞ!」
「逃がすか!」
エドワードが弓を構え矢をつがえる。空を切る音がする。鏃はみごとに急所を捉え、鹿は倒れ伏した。
「お見事でしたエドワード様」
「ありがとう。夕飯は鹿のシチューだな」
里実とエドワードは笑顔を向け合う。
本日、ふたりはわずかばかりのお供を連れて狩りに来ていた。こちらの世界ではハンティングは高貴な者の嗜みとされている。
(しかしすごいもんだな……)
里実は素直に敬服していた。
あちらの世界と違って、銃の類いはない。飛び道具と言っては弓矢やブーメラン、上等な者でもボウガンくらいしかない。にもかかわらず、イケメンの豪商はみごとに走る鹿を仕留めた。あまつさえ、流鏑馬のごとく馬上から放った矢で。
「エドワード様は狩りは長いんですか?」
「まあね。8歳の時には弓を習わされた。10歳になったら父に連れられて野山を駆けまわっていたからな」
エドワードは木製の水筒から水を飲みながら応じる。彼は努力家だ。恐らく、血のにじむような修練を重ねてここまで腕を上げたのだろう。
「さてと。里実、獲物はこれで十分だろう。少しふたりで馬を走らせまいか?」
「はい。お供します、エドワード様」
お供の者たちに待機を命じて、ふたりで馬を駆る。
(だいぶ慣れてきたな。馬に乗るのも)
黒毛の馬の背に揺られながら思う。単車に乗るのとはまるで違う。振動が常にあり、馬の体温と鼓動を感じられる。最初は高すぎて怖かったが、手綱を握ってみると意外に簡単だった。
「このあたりでいいかな。里実、最近仕事と私生活はどうかな?」
「そうですね。順風満帆……とはなかなか行きませんか……」
互いに口には出さないが、腹を割って話し合おうという空気になる。ふたりで馬を走らせるのは、人払いをするという暗黙の了解がある。王国での風習だ。
「実は、とある高貴な方から身請けしたいと再三の申し出に少し困っていまして……」
リシャールの名前は伏せて打ち明ける。彼から定期的に花が贈られてくる。ペントハウスはすでに植物園状態だ。
「なるほど……。里実を身請けしたい者は星の数ほどいるだろうが、その方は本当に君を愛しているのだろうな」
商売人であるエドワードは、人の機微を読むのがうまい。夜の男妾街を舞う蝶である里実を愛おしむ者の気持ちはわかる。彼自身もすでに虜になっているから特に。
「前から思っていたのだが、君は好いた人がいるのかな?それとも、死に別れた恋人や伴侶に操を立てているとか?」
「そういうわけでは……」
言葉を濁す。悪い癖とはわかっているが、なかなか直せない。幾人もの男や女を手管と巨根で自分に本気にさせてきた。が、決してまともに愛してこなかった。
「まあ、君を本気にさせる甲斐性がない以上は仕方のないこととは思うけどね」
「ははは……。高貴な方に失礼とは思いますが……。まあそんなところでして……」
イケメンの豪商は理解がある。そこに感謝して、愛想笑いを返す。
「ところで話は変わりますが、エドワード様の商売はどんな調子ですか?」
話の軌道を修正する。突っ込んだ恋愛話になるのを避けたかった。
「うむ。それだ。君にぜひ相談したいと思ってね。実は、最近の先物市場のことだが……」
エドワードがビジネスマンの顔になって話し始める。
こちらの世界にも、先物や為替市場があって投機の対象になっている。最近、どこの相場に対しても投機が過熱して上がる一方なのだという。今までこういうことはない、異常事態だ。みんながこぞって現金を証券に変えている。危機感を抱いているのだという。
(うーむ……。よくない兆候だな……)
里実は顎に手を当てて考える。暴騰した相場は往々にして暴落するものと決まっている。要するにバブル崩壊だ。こちらの世界では、17世紀のチューリップ・バブルのような暴落はまだ起きていない。気がかりだった。
「しばらく検討の時間を頂けますか?エドワード様も、軽々に投機を行うのは自重なさるべきかと思います」
「うむ。君もそう思うか。商売仲間から先物を勧められているんだが、不安でね」
エドワードは先見の明がある。右に習えで金を出すようなことはしない。
「あれ……?あれは……」
「どうしたね……?おお……」
話ながら歩いていると、すごいものを見かけてしまう。
狼2匹が交尾をする場面に。しかも、両方ともオスだ。バックから猛り狂ったものを挿入されて、荒々しく勃起している。激しい息づかいとともに、腰がハレンチに打ち合わせられる。野生動物にもホモセックスをするものはいると聞いたことがあるが、実際に見ると生々しい。
(やばい……グロいけど……。エロ過ぎる……)
里実は、股間に血が集まるのを感じる。
「なあ……里実……。♡あんなもの見てしまったら……♡」
「実は僕も変な気分に……♡」
狼のホモ行為に、ふたりの中でスイッチが入ってしまう。見つめ合い、キスを交わす。
「おおおおーーーっ……。♡里実……いいよおっ……!♡もっと動いてえっ!♡」
「エドワード様のケツま×こ……気持ちいいですよ……!♡」
木に手を突いて、下だけ降ろしてホモセックスを始めてしまう。里山とはいえ、誰に見つかるかもわからない場所で。今のふたりは狼と同じ。理性をなくした獣だった。巨根と腸の粘膜が擦れ合う快楽が全部だった。
「鹿が出てきたぞ!」
「逃がすか!」
エドワードが弓を構え矢をつがえる。空を切る音がする。鏃はみごとに急所を捉え、鹿は倒れ伏した。
「お見事でしたエドワード様」
「ありがとう。夕飯は鹿のシチューだな」
里実とエドワードは笑顔を向け合う。
本日、ふたりはわずかばかりのお供を連れて狩りに来ていた。こちらの世界ではハンティングは高貴な者の嗜みとされている。
(しかしすごいもんだな……)
里実は素直に敬服していた。
あちらの世界と違って、銃の類いはない。飛び道具と言っては弓矢やブーメラン、上等な者でもボウガンくらいしかない。にもかかわらず、イケメンの豪商はみごとに走る鹿を仕留めた。あまつさえ、流鏑馬のごとく馬上から放った矢で。
「エドワード様は狩りは長いんですか?」
「まあね。8歳の時には弓を習わされた。10歳になったら父に連れられて野山を駆けまわっていたからな」
エドワードは木製の水筒から水を飲みながら応じる。彼は努力家だ。恐らく、血のにじむような修練を重ねてここまで腕を上げたのだろう。
「さてと。里実、獲物はこれで十分だろう。少しふたりで馬を走らせまいか?」
「はい。お供します、エドワード様」
お供の者たちに待機を命じて、ふたりで馬を駆る。
(だいぶ慣れてきたな。馬に乗るのも)
黒毛の馬の背に揺られながら思う。単車に乗るのとはまるで違う。振動が常にあり、馬の体温と鼓動を感じられる。最初は高すぎて怖かったが、手綱を握ってみると意外に簡単だった。
「このあたりでいいかな。里実、最近仕事と私生活はどうかな?」
「そうですね。順風満帆……とはなかなか行きませんか……」
互いに口には出さないが、腹を割って話し合おうという空気になる。ふたりで馬を走らせるのは、人払いをするという暗黙の了解がある。王国での風習だ。
「実は、とある高貴な方から身請けしたいと再三の申し出に少し困っていまして……」
リシャールの名前は伏せて打ち明ける。彼から定期的に花が贈られてくる。ペントハウスはすでに植物園状態だ。
「なるほど……。里実を身請けしたい者は星の数ほどいるだろうが、その方は本当に君を愛しているのだろうな」
商売人であるエドワードは、人の機微を読むのがうまい。夜の男妾街を舞う蝶である里実を愛おしむ者の気持ちはわかる。彼自身もすでに虜になっているから特に。
「前から思っていたのだが、君は好いた人がいるのかな?それとも、死に別れた恋人や伴侶に操を立てているとか?」
「そういうわけでは……」
言葉を濁す。悪い癖とはわかっているが、なかなか直せない。幾人もの男や女を手管と巨根で自分に本気にさせてきた。が、決してまともに愛してこなかった。
「まあ、君を本気にさせる甲斐性がない以上は仕方のないこととは思うけどね」
「ははは……。高貴な方に失礼とは思いますが……。まあそんなところでして……」
イケメンの豪商は理解がある。そこに感謝して、愛想笑いを返す。
「ところで話は変わりますが、エドワード様の商売はどんな調子ですか?」
話の軌道を修正する。突っ込んだ恋愛話になるのを避けたかった。
「うむ。それだ。君にぜひ相談したいと思ってね。実は、最近の先物市場のことだが……」
エドワードがビジネスマンの顔になって話し始める。
こちらの世界にも、先物や為替市場があって投機の対象になっている。最近、どこの相場に対しても投機が過熱して上がる一方なのだという。今までこういうことはない、異常事態だ。みんながこぞって現金を証券に変えている。危機感を抱いているのだという。
(うーむ……。よくない兆候だな……)
里実は顎に手を当てて考える。暴騰した相場は往々にして暴落するものと決まっている。要するにバブル崩壊だ。こちらの世界では、17世紀のチューリップ・バブルのような暴落はまだ起きていない。気がかりだった。
「しばらく検討の時間を頂けますか?エドワード様も、軽々に投機を行うのは自重なさるべきかと思います」
「うむ。君もそう思うか。商売仲間から先物を勧められているんだが、不安でね」
エドワードは先見の明がある。右に習えで金を出すようなことはしない。
「あれ……?あれは……」
「どうしたね……?おお……」
話ながら歩いていると、すごいものを見かけてしまう。
狼2匹が交尾をする場面に。しかも、両方ともオスだ。バックから猛り狂ったものを挿入されて、荒々しく勃起している。激しい息づかいとともに、腰がハレンチに打ち合わせられる。野生動物にもホモセックスをするものはいると聞いたことがあるが、実際に見ると生々しい。
(やばい……グロいけど……。エロ過ぎる……)
里実は、股間に血が集まるのを感じる。
「なあ……里実……。♡あんなもの見てしまったら……♡」
「実は僕も変な気分に……♡」
狼のホモ行為に、ふたりの中でスイッチが入ってしまう。見つめ合い、キスを交わす。
「おおおおーーーっ……。♡里実……いいよおっ……!♡もっと動いてえっ!♡」
「エドワード様のケツま×こ……気持ちいいですよ……!♡」
木に手を突いて、下だけ降ろしてホモセックスを始めてしまう。里山とはいえ、誰に見つかるかもわからない場所で。今のふたりは狼と同じ。理性をなくした獣だった。巨根と腸の粘膜が擦れ合う快楽が全部だった。
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