なぜか側妃に就職しました。これは永久就職じゃございません。

62 ＪＭＤ 代表取締役 リサ

アドル王子が異様に絡んでくる。
王子の周りには、初め財務大臣や法務大臣の息子がいたが、やがてヤルターシ様だけが残った。

ヤルターシ様は、器用貧乏だ。
全ての能力が高い。

ただ、騎士団員にはなれる。
だが騎士団長にはなれないだろう。
彼の能力はそっちじゃない。
そして、其れを本人がわかっている。

血筋がよく。
腕っ節もあり、頭の回転が早く。
物事を俯瞰して見ることが出来て、
人の感情を誘導する術を持つ。

～～どう考えても宰相閣下じゃないの。

彼を逃す手は無いわ。




学園の令嬢たちのつぎに入会したのは、市場のお姉様方だった。
ようは、健気で可愛いジュノを狙う、貴族の次男坊に対抗するために手を組んだ形だ。
（ジュノは気付いていない。）
そうして市場を使う商人から農民へと野火のように人脈が広がり、ＪＭＤは広がって行った。

それによっていろんな情報が集まる。

『カマキリの卵が高い位置に出来た。
　～～大雪の予測が出る。』

そんなふうに得た情報を精査して、必要な者に売る。
活動資金はこれで充分賄えるようになった。


やがて、ジュノを狙う豪商に私は仕掛けた。
（ジュノは気付いていない）
密かに小麦を大量に買い上げたのだ。
ＪＭＤで精査した天候への情報は、奴に流さなかった。
買い上げの情報だけを流した。
奴は密かに（あからさまに）爆買いされるその動きに、冷夏を予想した。
そして追従する様に買いまくった。

こっちの在庫まで売りつけ、奴は倍どころか五倍近くなった小麦を、冷夏で爆上がりする夢を見て買い集め…。
やがて、王国中の豊作で破産した。
（ざまあみろ。）
（奴はこれまでえげつない拉致監禁を繰り返していた）


私は情報は力だと実感した。



「面白い事をやってるね。」

お父様が私にまとまった資金とブレーンを渡してくれた。
それによってＪＭＤは大きく進化した。

無料で会員登録する。
そして、気がついた事を報告する。
でも、ちょっと気がついた事が集まれば、点は線となる。
商人や生産者への情報になる。
報告者には謝礼が支払われる。
有効な物には、ボーナスが支払われる。

会員登録されているので、安心して人材派遣を申し込まれる。
バイトの斡旋もある。

そうやって王国全土に階級や職種に捉われず、数万の会員が出来た。


もう、ＪＭＤが＂ジュノを愛でる会＂だったという事を知るものは少ない。
（裏では、ちゃんと薄い本がお楽しみとして発行されてるけどね）

ちょっと腐った女子会は、大きく巨大になった。
でも目標はただただジュノの幸せ。


だからジュノが自分から飛びついて王子にキスをした時に、私はとても満たされた。


王子を御せるジュノがいれば、後は舵をとる次代の宰相を捕まえるだけ。
つまり、私の順番が来たということだ。

腕がなる♡




ちなみに映えある2番は王妃が入られた。
8番からは、侍従が連なっている。
その報告で、お抱えの作家と絵師は、薄い本を量産している。
私は日々が楽しい。