異世界で平和ボケしてたオレのドタバタ七日間

ぐるぐる

文字の大きさ
4 / 13

2日目

しおりを挟む
天国の遣いになったけど、いつも通りの朝を迎えた。
使用人として早起きをするけれど、ゆっくり朝食を摂って、温かい飲み物をいただきながら読書をしたりとか、落ち着く時間くらいはあるんだ。

昨日から始まったオレの長生きのためのチャレンジ2日目。
突然覚醒してしまったチートのオレ君、メンタルはチートにならなかったのが残念だよ。

昨日みたいに急に指令出されても心も体も対応しきれないので、いつも通りの朝を迎えた今、今日の行動予定を先に確認したい。

お願い、チートな鑑定、ナビ様!
今日もよろしくお願いしまーす!

という縋る気持ちでお願いすると、ピロンとウィンドウがちゃんと出てきた。

「ふぅ」

安心してため息でちゃったよ。
昨日の出来事はやっぱり夢じゃなかったんだね。



2日目
子爵から手紙を受け取る
起床時間が遅くなったことを次期さまに報告
昼食後、外出
馬と厩番と仲良くなる
ギルドに行く


ざっと簡単に行動予定を見るとこうだった。
なんで馬たちと仲良くしなくちゃいけないのか、謎だけど。
いや、ナビの情報を全て細かく読めば理由はわかるんだけど、文章が長すぎてピンポイントに読みたいところがスっと見つからないんだ・・・・・・
緊張していると文字が頭に入ってこないことってあるよね。

さて、まだ落ち着く時間はある。
いつ何時も何が起きても良いように、チートになった収納スキルを試してみたい!

ナビによると、普通の収納スキルは手に触れないと収納できないのだが、オレの覚醒しちゃった収納スキルは、視界に入っていれば念じるだけで収納できてしまうのだそうだ。
すげーな!

では早速、オレの私物を全部収納しちゃおう!

小さなチェストの引き出しを開けて、引き出しの中の物全部収納!と念じる。
すると、次の瞬間、本当に触っていないのに消えてしまった。

お~

次の引き出しを開けて、今度は数歩下がり、同じように念じる。
するとさっきと同じように消えてしまった。

おお~

次の引き出しは、そこから1番遠いい壁まで下がって念じてみた。
やはり同じように引き出しの中身が消えた、いや、収納スキルで収納されてしまったのだ。

おおお~!

距離があっても視界に入っていればいいんだね!
つい楽しくなって両手を広げ、部屋の端から端まで、私物を指差してどんどん収納していった。
もちろん隠し金庫に入っているオレのお金もね!

おかげで部屋が殺風景になっちゃった。
鏡の前に置きっぱなしにしていたヘアブラシも収納しちゃったからね。
これからは使う時に手に出して、使い終わったらすぐに収納すればいいだけだ。
そうそう、視界に入ってなくても触っていれば収納できる機能は失われてなかったよ。

「床のゴミを全部収納!」

糸くずや抜け毛のゴミがいっぺんに収納されて、再び念じてゴミ箱に出して捨てた。
毎朝の掃除もこれで楽ちんだね!

チートって最高!
魔法って楽しー!



ちょっと浮かれすぎてしまったけど、時間になったので気を引き締めて今日を精一杯生きていきましょう。

AM7時
いつも通りの時間に子爵の部屋に伺い、起床の支度をする。

それは毎日のことなので誰かとすれ違っても問題ない。
堂々といつものように振る舞って、タオルや着替えを用意する。
多少は人の目が気になるけど、鑑定で敵か味方か見分けることもできるからちょっとは安心だ。

「おはようございます」

いつものように子爵の部屋に入室して声をかける。

しかしいつものように返事は返ってこない。
それもそのはず、11時までは寝たふりをするようにオレが指示したんだ。
素晴らしい演技力ですよ!子爵様!

「子爵様、アトラスです。お手紙はできておりますでしょうか」

すると子爵はゆっくりと目を開け、オレを確認した。

「おはよう。ああ、指示通りに出来たとも」

枕の下から取り出した手紙を受け取ると、それはしっかりと封蝋がされていた。
勝手に鑑定が発動。
これは子爵家の家紋だ。
子爵の指に収まったままの立派な指輪に仕掛けがあって、表面の青い宝石をキャップのようにくるくる回すとはずれて、シーリングスタンプが出てくるのだそうだ。

「必ず手渡しするように」

え!!!

子爵の一言に驚きすぎて危うく声が出てしまうところだった。
天国の遣いが驚くとかないよな。
でも驚くだろ!オレが手渡しするってことになっちゃったけど、大丈夫なのか!?侯爵家になんて行ったことないんだけど!

内心慌てているオレに、ナビが次のセリフを早く言えといわんばかりにウィンドウを出してきた。

「承知しました。お預かりいたします。」

魔法で手紙を収納して、これで紛失しないし奪われもしない。

手紙が消えたのを見た子爵はしっかり驚いてくれたよ。

オレも感情を出したいよ!
感情を押し殺して平然とした演技をするってツライ!!!

「では、子爵様は引き続き11時頃まで寝たふりをしてください。
 私は1時間おきに起床の支度伺いに参ります。」

子爵は頷くとゆっくり目を閉じた。
少し乱れた掛布を直してから退室。


子爵の朝食はどうしたらいいんだ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!

風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。 185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク! ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。 そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、 チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、 さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて―― 「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」 オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、 †黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...