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自腹を切ってたまるか!
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子爵の朝食は1時間後に来る時に用意して、部屋に置きっぱなしにすることになった。
ひとまずオレは次期さまに報告だ。
「あの・・・・・・子爵様はいつもの時間に起床されませんでした。
元気になるお薬なんですよね?」
次期さまの前ではオロオロして愚鈍そうに演じる。
っていうか、素の自分で全く問題ない。
「ははは、それは薬がよく効いている証拠だ。
今後もしばらくは寝ている時間が長くなるだろうが、心配することはない。元気になる兆候だからな」
「そ、そうですか。承知しました。
あ、あの、ひとまず何時にお目覚めになるかわからないので、食事をお部屋にご用意しておきたいと思います。」
「いいだろう。今日の午後も薬を受け取りに来い。」
いつもよりちょっと機嫌の良くなった次期さまに一礼して部屋を出た。
そしてオレはこの子爵家に古くから仕える家令なるおじい様に、子爵の状態の報告と、家族に手紙を出すための外出許可をいただいて、8時の時報がなる前にキッチンに来た。
「子爵様の朝食を」
そのひと言でシェフ達が動き出す。
いつもの光景に安堵するが、鑑定すると数名が敵だった。
キッチン内も監視されてるんだな、気をつけなくちゃ。
シェフ達の動きを気にしながら、いつものようにカートやカトラリーやら用意し、ついでに視界に入っている人参数本と、お高そうな未開封のお酒を一本、魔法で収納した。
お酒はバレないようになるべく奥にあったものを。
バレないかなとドキドキしたけど、みんなそれぞれ動いていたから物が消えたという変化に気付いた人は居ないみたいだった。
そしていつものようにトレイを受け取って、カートに載せて再び子爵の部屋へ。
摘めるようだったら少しずつ召し上がるように伝えて自室に戻った。
家族への手紙を書かなくちゃね。
・・・・・・みんな元気にしてるかなぁ会いたいなぁ会いたいよぉ
お休みもらって会いにいきたいなぁお休みもらえるのかなぁ
とりあえず今はオレも子爵様もお元気だよ。心配しないでね。
こっちで落ち着いて力をつけたら、いっぱい稼いでみんなに仕送りできたらいいなぁ
これでいっか。
変なこと書いたら心配かけちゃう。
11時には子爵との約束の通り、起床してもらった。
昼食は朝用意したものを摘むから、新しく用意しなくて良いと言われた。
もともと食が細くなってしまっていたので、そう言われるのではと思っていたけどね。
さて、いよいよ外出だ。
フード付きの外套を着て、顔を隠す。
一応貴族の端くれですからね!トラブルは極力避けねばね。
配達屋さんに向かういつもの道ではなく、ちょっと遠回りを示すナビさま。
これは、馬だな!馬に会いに行くんだな、うんうん。オレは動物が好きだから、死にそうなメンタルを癒すためのアニマルセラピーをナビが考えてくれたんだな、きっと。
さすがオレのナビだ!
馬が広い柵の中で自由に遊んでいるのを見ながら、農場主を訪ねた。
「こんにちはー!ごめんくださーい!」
とんとんとん
優しく戸を叩く。
シーン・・・・・・
留守でしょうか?
もう一度声をかけてみましょう。
「すみませーん!」
ドンドンドン!
さっきより大きく叩いてみた。
それでもうんともすんとも言わないからやっぱり留守なのかなぁ?
「だれだ!!」
急にドアが開いてでっかい図体の怖い人が出てきた!
「ひぃー!」
驚いて尻餅ついちゃった。
「チビがなんの用だ!!」
怖い人はオレの首根っこを掴んで立たせてくれた、のではなく、自分の視線の高さまでオレを片手で持ち上げた!
なんて怪力なんだ!
怖すぎて今すぐ死にそうだよオレは!
ナビが酒を渡せと一所懸命ウィンドウを出してきた。
言葉は出なくなっちゃったけど、酒で解決出来るなら、キッチンで収納してきた酒をこの怖い人に捧げよう。
骨は拾ってください。
「酒か!とりあえず入れ!」
入るも何もオレの首根っこ掴んだまま家に入った怖い人。
拉致ではありませんか!?オレ君、大丈夫???
涙目になっているオレに、怖い人はホットミルクを出してくれた。
「飲め!」
なんでこの人は怒鳴るんだろう・・・・・・
相変わらず声が出ないオレは首を縦にコクコク振って、最小の動作でミルクをいただいた。
「それで、なんの用だ」
怖い人はオレが持ってきた酒を飲んで、声を少し抑えて訊いてきた。
実を言うと、オレも何の用かよくわからない。
ピロンとウィンドウがでてきた。
人参を出せば良いのか。
ゴトゴトゴト
「ふん、馬と遊びたいのか。いいだろう!好きなだけ遊んでけ!」
カカカ!と怖い人は笑って入ってきたドアとは違うドアを指差した。
怖い人の迫力にまだ慣れなくて、オレは逃げるようにそのドアから外に出た。
ああ!人参忘れた!
仕方なく走って戻り、人参を抱えて再び外へ。
怖い人がまたカカカと笑った。
ひとまずオレは次期さまに報告だ。
「あの・・・・・・子爵様はいつもの時間に起床されませんでした。
元気になるお薬なんですよね?」
次期さまの前ではオロオロして愚鈍そうに演じる。
っていうか、素の自分で全く問題ない。
「ははは、それは薬がよく効いている証拠だ。
今後もしばらくは寝ている時間が長くなるだろうが、心配することはない。元気になる兆候だからな」
「そ、そうですか。承知しました。
あ、あの、ひとまず何時にお目覚めになるかわからないので、食事をお部屋にご用意しておきたいと思います。」
「いいだろう。今日の午後も薬を受け取りに来い。」
いつもよりちょっと機嫌の良くなった次期さまに一礼して部屋を出た。
そしてオレはこの子爵家に古くから仕える家令なるおじい様に、子爵の状態の報告と、家族に手紙を出すための外出許可をいただいて、8時の時報がなる前にキッチンに来た。
「子爵様の朝食を」
そのひと言でシェフ達が動き出す。
いつもの光景に安堵するが、鑑定すると数名が敵だった。
キッチン内も監視されてるんだな、気をつけなくちゃ。
シェフ達の動きを気にしながら、いつものようにカートやカトラリーやら用意し、ついでに視界に入っている人参数本と、お高そうな未開封のお酒を一本、魔法で収納した。
お酒はバレないようになるべく奥にあったものを。
バレないかなとドキドキしたけど、みんなそれぞれ動いていたから物が消えたという変化に気付いた人は居ないみたいだった。
そしていつものようにトレイを受け取って、カートに載せて再び子爵の部屋へ。
摘めるようだったら少しずつ召し上がるように伝えて自室に戻った。
家族への手紙を書かなくちゃね。
・・・・・・みんな元気にしてるかなぁ会いたいなぁ会いたいよぉ
お休みもらって会いにいきたいなぁお休みもらえるのかなぁ
とりあえず今はオレも子爵様もお元気だよ。心配しないでね。
こっちで落ち着いて力をつけたら、いっぱい稼いでみんなに仕送りできたらいいなぁ
これでいっか。
変なこと書いたら心配かけちゃう。
11時には子爵との約束の通り、起床してもらった。
昼食は朝用意したものを摘むから、新しく用意しなくて良いと言われた。
もともと食が細くなってしまっていたので、そう言われるのではと思っていたけどね。
さて、いよいよ外出だ。
フード付きの外套を着て、顔を隠す。
一応貴族の端くれですからね!トラブルは極力避けねばね。
配達屋さんに向かういつもの道ではなく、ちょっと遠回りを示すナビさま。
これは、馬だな!馬に会いに行くんだな、うんうん。オレは動物が好きだから、死にそうなメンタルを癒すためのアニマルセラピーをナビが考えてくれたんだな、きっと。
さすがオレのナビだ!
馬が広い柵の中で自由に遊んでいるのを見ながら、農場主を訪ねた。
「こんにちはー!ごめんくださーい!」
とんとんとん
優しく戸を叩く。
シーン・・・・・・
留守でしょうか?
もう一度声をかけてみましょう。
「すみませーん!」
ドンドンドン!
さっきより大きく叩いてみた。
それでもうんともすんとも言わないからやっぱり留守なのかなぁ?
「だれだ!!」
急にドアが開いてでっかい図体の怖い人が出てきた!
「ひぃー!」
驚いて尻餅ついちゃった。
「チビがなんの用だ!!」
怖い人はオレの首根っこを掴んで立たせてくれた、のではなく、自分の視線の高さまでオレを片手で持ち上げた!
なんて怪力なんだ!
怖すぎて今すぐ死にそうだよオレは!
ナビが酒を渡せと一所懸命ウィンドウを出してきた。
言葉は出なくなっちゃったけど、酒で解決出来るなら、キッチンで収納してきた酒をこの怖い人に捧げよう。
骨は拾ってください。
「酒か!とりあえず入れ!」
入るも何もオレの首根っこ掴んだまま家に入った怖い人。
拉致ではありませんか!?オレ君、大丈夫???
涙目になっているオレに、怖い人はホットミルクを出してくれた。
「飲め!」
なんでこの人は怒鳴るんだろう・・・・・・
相変わらず声が出ないオレは首を縦にコクコク振って、最小の動作でミルクをいただいた。
「それで、なんの用だ」
怖い人はオレが持ってきた酒を飲んで、声を少し抑えて訊いてきた。
実を言うと、オレも何の用かよくわからない。
ピロンとウィンドウがでてきた。
人参を出せば良いのか。
ゴトゴトゴト
「ふん、馬と遊びたいのか。いいだろう!好きなだけ遊んでけ!」
カカカ!と怖い人は笑って入ってきたドアとは違うドアを指差した。
怖い人の迫力にまだ慣れなくて、オレは逃げるようにそのドアから外に出た。
ああ!人参忘れた!
仕方なく走って戻り、人参を抱えて再び外へ。
怖い人がまたカカカと笑った。
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