異世界で平和ボケしてたオレのドタバタ七日間

ぐるぐる

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まだ魔獣を見たことない

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子爵のお手紙の謎を考えることをやめて帰宅すると、ちょうどお毒のお時間でした。

お薬という名の毒ね!

「お薬をいただきに参りました」

毒はすでに用意されていて、次期さまから受け取った。

「寝ていても起こしてちゃんと飲ませろ」

病人になんてことするんだ!

「はい、畏まりました。
 あ、ところで、あのー、たまたまギルドで聞いたんですけど
 あそこの森にすごい大型魔獣が出たそうで」

「なに!?」

急に怖い顔して食いついてきてオレは後ずさった。

「ギルドで討伐の冒険者を募っていて、住民の避難も呼びかけられるみたいです」

なんで次期さま、そんな青い顔してんの???

ピロン

『次期は過去に魔獣に襲われて、トラウマがある』

親切なナビが教えてくれた。
なるほど。
ま、オレには関係ないや。
すたこらっさっさ。

「まて!明日もギルドへ行って詳細情報を持って来い!」

ええええー!!!!
それは別料金でお願いします・・・・・・
とはいえ、明日も外出する口実ができたからいっか。

「はい、畏まりました」

意図せず次期さまの弱みを知ってしまったな。

今日はもう薬を服用したらいつもと同じ業務しかないので、オレは自室でリラックスしようと思う。

ちなみに毒は子爵の部屋に入ったら、収納スキルで収納しちゃった。
見事に一滴残らず収納したので、生活魔法で水を少し出して湿らすという偽造を施した。

子爵の食が細い上に食事の時間が取れにくくなるので、オレのおやつ、クッキーをこっそり包んで、定期的に召し上がるように子爵へ渡した。

オレの分がなくなったのでキッチンで補充だな。




3日目の今日は午後1時頃まで寝たふりをするように子爵にお願いをした。

次期さまから魔獣の件をギルドに確認してくるよう急かされて、ひとまずいつもの時間に子爵の様子を伺って出かけることにした。

なんとけちんぼ次期さまから銀貨1枚渡された!
詳細な情報をしっかり貰うための、ギルドへ払うチップだ。

もちろん子爵の食事を用意して、人参もいただく。
今日は自分のおやつ用にクッキーも頼んだ。
チーズがチラ見えしたのでチーズもこっそりもらった。
チーズは農場主の怖いおじさんへのお土産ね。

ギルドへ行く前に寄って行ったらチーズも喜んでくれた。
やったぜ!
明日は果物があれば持って行こう。
ジャーキー号は、オレの生活魔法で出した水で調子が良いだのなんだの色々会話しながら、ブラッシングをさせてもらった。
手の届かない背中は座り込んでやりやすいように気を遣ってくれた。
次は背中に乗せてくれるらしいよ。
頼んでないんだけど。

さて、冒険者ギルドで情報収集だ。
今日は未成年の冒険者やかけだしっぽい冒険者は見当たらず、ベテランそうな人たちがベンチやイスで待機している様子だった。
きっと討伐隊に参加する人たちなんだろうな。

っていうか、冒険者って憧れるわ~
未成年の冒険者の中にはオレと歳が近そうな人たちもたくさんいるらしい。
街中でできるクエストもあるし、森の手前あたりでとれる薬草だとか、危険度が低い仕事はたくさんあるんだそうだ。
そういったクエストもやってみたいし、力をつけたら討伐クエストもいいなぁ
でもスライムすら見たことない温室で育ったオレにはムリだな!
殺生とか、やっぱムリだな!
獣の血とか、ばっちいし!

ちょっとドキドキしながら、比較的手が空いていそうなおねえさんに声をかけてみることにした。
お金を出して詳細情報を求めたら、一枚の紙をもらった。


緊急討伐依頼
 討伐対象・Aランク指定大型魔獣 アースドラゴン
 募集冒険者ランク・B以上
 報酬・ギルド規定による

 後方支援 冒険者ランク指定なし
 報酬・ギルド規定による

 
などなど、細かく書かれていたので、これを次期さまへ渡せばいいんだな。
丁寧にアースドラゴンの絵が描いてあったよ。
アースドラゴンだから翼はなんだね。

他にも昨日の噂できいた、領主への応援やら住民の避難指示やらも、おねえさんが教えてくれた。
早い人だともうすでに避難している住民もいるとか。

オ、オレも、早く帰ろう。

帰宅してすぐに次期さまに紙と一緒に情報を渡したら、顔面が蒼白になってた。
倒れそうだけど、大丈夫???
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