異世界に召喚された俺が召喚したのは異世界の勇者だった?

310番

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王都編

作戦会議

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 俺たちはギルドへ帰り受付に報告をした。そして、少し待つように言われる。

 「ギルド長がお呼びです。」
 「わかりました。」

 俺たちはギルド長のもとへ向かう。

 コンコン

 「入れ」
 「「「「失礼します(する)(するよ)。」」」」

 「早速だが、ゴブリンのスタンピードの恐れがあることは分かった。問題は人攫うの方だ。リリィ確かなのか?」
 「滝の音ですべては聞こえなかったけど、報告したことは確かに聞いた。」
 
 「なるほど、となるとこれはキングではなく、人が関与してるかもしれないぞ。」
 「それは一体?」
 「ゴブリンを操っている人間がいるってことだ。」
 「そんなこと可能なんですか?」
 「おいおいスラを見てみろよ、スライム連れてるじゃねーか。」
 「たしかに。ということは魔物使いのような者がいると。」
 「ああ、しかも恐らくだが、獣魔の成長を促進する能力か道具を持っている可能性がある。」

 「魔法という可能性は?」
 「いや、それはないだろう、そんな魔法は聞いたことがない。成長促進能力があるとすればそいつは十中八九魔物使いだろう。しかも、数からして相当の手練れだ。」

 「そいつさえ倒せばゴブリンは散らばるのでしょうか?」
 「無理だな、統制が効かなくなるだけだろう。きっとそのまま人里に向かう。暴走状態の魔物は自分より強い魔物にも立ち向かう。」

 スラさんを恐れて逃げることを期待してたけど無理か。

 「結局どう対処するんだい?」
 「討伐部隊を編成する。C級一人にD級とE級を二人ずつの五人人チームを5チーム作る。余ったDEは防衛要因として待機だな。もっとも、王がいらっしゃるから防衛の人員は不要かもしれないが。」
 
 たしかに王がゴブリンに負けるなんて想像できない。

 「悪いがお前らのチームにはD級が三人いることもあるし、そのままだ。」
 「それが妥当だね。」

 代表してララが応える。俺たちも反論はない。

 「早速だが俺はこのことを王宮に伝える。それと、冒険者達には明日は討伐チーム以外は王都に残るように伝えておけ。」
 「承知しました。」
 「ララたちは明朝ギルドに来てくれ。」
 「ああ。」

 ギルド長は受付嬢とララに支持すると王宮へ向かった。

 「私たちも今日は解散しよう。」

 そうして、俺とスラさんはビオさんをギルドで待ち、ララ達とは別れた。

 
 「あのタロウさんですよね。」
 ビオさんは時間きっかりとギルドへ来た。
 「はい。」
 「昨日は助けていただきありがとうございました。タロウさん達に出会えなければ私はどうなっていたか。」
 「お気にせず、無事でよかった。」
 「これ良かったらお使いください。」
 
 そういってビオさんは俺たちに袋を渡す。中にはGと傷薬が入っていた。

 「俺たちは当然のことをしたまでだ。これは受け取れん。なぁスズキよ?」
 「ああ。」
 「そんなことを言わずどうか受け取ってください。恩を返せないなんて主人に怒られてしまいます。」

  俺は一瞬ゴブリンの人攫いについて話すか悩んだ。もしかしたらビオさんの旦那さんは生きているかもしれないのだ。

 「なぁ、スラさん。」
 「確定していない。」

 スラさんに話すか相談しようとするもスラさんは首を横に振る。スラさんは俺の言いたいことが分かったようだ。折角乗り超えたビオさんに曖昧な期待を抱かせるべきでないということだろう。

 「どうしたんですか?」
 「いえ、なんでもないです。」

 その後俺を受け取らない俺たちと受け取らせようとするビオさんの対立は続き、折衷案として傷薬だけいただいた。
 
 「そういえばビオさんの旦那さんのお名前を聞いてもいいですか?」
 「……はい、フェルです。」
 「実は俺たちは明日ゴブリンの巣の掃討にいく。フェル殿の敵は取ってこよう。」
 「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

 スラさんの言葉にビオさんは声を震わせながら応えた。

 その後俺たちはビオさんと別れ宿で明日に備えて早めに就寝した。

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