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しおりを挟むそんなことが、メテリア伯爵家であった次の日から、義妹のセザリナは学園に行くのにうきうきしていた。勉強嫌いなセザリナが、学園に行く気になっていること自体、おかしいのだがサヴァスティンカに婚約者ができたことで、ついに勉強を自ら頑張る気になったのかと思いたかった。試験も近い。今のままでは、留年することになる瀬戸際だと言うのを思い出したのかも知れない。
それにしては、うきうきしているのが妙だが、そこから義母もまともにしていた。彼女にしては、まともにしていた方だ。
サヴァスティンカは試験が近いからと慌てることはないが、セザリナとはクラスが違う。学年は同じだが、セザリナは平民しかいないクラスの授業にすらついていけていないのだ。どれだけやる気がないのかと思いたくなるが、アレクサンドリーナはそんな娘に勉強よりも大事なのはいかに子息に好かれるかだと教え込んでいて玉の輿に乗ることこそ、よい令嬢のようにしていた。
その教え通りにしているセザリナに勉強させるのは無理だったが、学園には通っていた。アレクサンドリーナが、ギリギリでも卒業は卒業だからと言うのもあり、卒業できればそれでいいみたいになっていた。
そのため、試験が近かろうがセザリナはお構いなしに誰かを探し回っていたようだ。
そんな奇行をしていて、目立たないわけがない。数日して、ようやくサヴァスティンカの耳に入った。なにせ、セザリナの利用している教室とサヴァスティンカが利用している教室は、離れているのだ。サヴァスティンカは、特待生で更に一緒の人たちがよりすぐりの面々ばかりで、教室も他の教室よりもグレードが高かった。
「サヴァスティンカ。あの、あなたの義妹が色んな教室を覗いているみたいなのだけど」
「え?」
友達にそんなことを言われて、サヴァスティンカはきょとんとしてしまった。友達も、困ったげにしていた。言うか、黙っているかで悩んでいたようだ。
その友達は、特待生以外のところにも友人が多くいた。そのため、サヴァスティンカにどうにかしてもらえないかと相談したようだ。それも、1人や2人ではなかったようだ。
サヴァスティンカは、それに気づかずに本に夢中になってしまっていた。試験が近くとも、特待生たちはのんびりとしていた。まぁ、中にはピリピリしているのもいたが、そんな中でどう話していいかで、友達は頭を悩ませていたことにサヴァスティンカは申し訳なくなってしまった。
「えっと、その、誰か探しているみたいだけど。サヴァスティンカ、どういうことかわかる?」
「……」
サヴァスティンカは、それだけで察してしまって、友達に頷いていた。
「そっか。その、相手がどこの家の人かを知らずに話しかけて動いているみたいで、その、困っている人が多いみたい」
「ありがとう。ちょっと、義妹と話してくるわ」
慌てて義妹を止めに行くも、すれ違ってしまってばかりいて、中々見つけることができなかった。
あちらが動き回っているせいで、会えないようだ。セザリナを探していても、授業があるからと戻らないわけにいかない。
仕方なく戻ると友達は、今度はサヴァスティンカを探していた子息が教室に来ていたと教えてくれた。
「私を? どなた?」
「ラカトゥシュ侯爵家の子息よ。……なんか、凄く怒っていたわ」
「……」
サヴァスティンカは、友達の言葉に物凄く嫌な予感しかしなかった。
メテリア伯爵家も、家の中を警戒していたが、学園でセザリナがそんなことをしているとは、思いもしなかったはずだ。
その話を家に戻ってから父にしたが、時すでに遅しだったようだ。
案の定、ラカトゥシュ侯爵家との婚約の話は白紙になった。3男のアルサルイスは、どうやらサヴァスティンカとセザリナを間違えたようだ。
サヴァスティンカは会ってはいないというのに。これまで会ったこともないような凄く無礼なメテリア伯爵令嬢に会ったと言ったらしく、そんな家に婿入りなんてしたくないと言ったらしい。
するとそれだけで終わらず、ラカトゥシュ侯爵家の次男のオーレルがセザリナと婚約したいと言い出したと言うのだ。
あちらは、やめさせようとしたが、その次男は親の話すらきちんと聞かないらしく、あまりにしつこいため、婚約させることにしたようで、サヴァスティンカの父もそれを聞いて認めたようだ。
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