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しおりを挟む「コンスタンス。それと、エディットも一緒なのね」
幼なじみの妹のことを覚えていたようだ。
「お姉様。お聞きしたいことがあります」
アルレットは何とも言えない顔をしたが、話すことはないと追い返すことはしなかった。
「あの、何があったかをご存じですよね?」
「……そうね。知っているわ。その前にエディット、入学おめでとう」
「っ、」
姉は、ずっと渡す機会を探していたのか。部屋の机の引き出しから、それを取り出してエディットに渡していた。
どうやら、ここに遊び姉が連れて来なかっただけで、妹のようにアルレットは前まで可愛がっていたようだ。
それを手にして、泣きそうな顔をエディットはしながら、お礼を言っていた。
「姉が、言っているのをどうして否定しないんですか?」
そこからエディットは、アルレットが姉を庇っているように思えたようだ。
「婚約が決まって、別れたと聞いていたのよ」
「え? 元々付き合っていたんですか?」
コンスタンスは、思わず会話にまじってしまった。エディットも、アルレットの言葉に驚いていた。
「えぇ。そちらと婚約したいと聞いていたわ。でも、お兄様と婚約することになったから、きっぱり諦めたって言っていたの。それが、あんなことを言うのだもの。物凄く驚いたわ」
「……パーティーに行っていないのに否定しなかったんですか?」
「ドゥニーズは、いるものと思っていたから。そうして、私のせいにして婚約を解消したかったのよ。でも、私のせいにしようとしているのに気づいたお兄様が激怒して、破棄になったのよ。そのせいで、そんな令嬢と婚約するのは面倒だと思われて本命と婚約できなくなった。それで、ずっと怒っているのよ」
そこから、逆恨みが生まれていったようだ。
その上、王太子との婚約でも競うことになったのに負けたと吹聴していたが、ドゥニーズは卑怯な手で負けたかのようにしていた。
でも、実際は……。
「王太子の婚約者の候補にも入ってもいないのよ」
「え?」
「……」
それをアルレットが広まらないようにしたようだ。王太子は、そんなことをするドゥニーズに本当のことを言おうとしていたが、止めたようだ。
「どうして?」
「私には、未だにドゥニーズが大事な友達だからよ」
「っ、」
そんな風に思っているアルレットの気持ちなどお構いなしにドゥニーズは、好き放題しているままのようだ。
実の妹や両親にすら、アルレットのことをボロクソに言い続けているのを信じているようだ。
「2人は友達になったのね」
「はい。他にも、お友達ができました」
「そう。良かったわ。ずっと、2人は気が合うと思っていたのよ」
アルレットは、ドゥニーズにあれこれ言われるのをそのままにするせいで、友達にもほっときすぎると言われているようだ。
エディットは、それを聞いて物凄く怒っていた。
「アルレット様」
「何かしら?」
「姉さんと友達なら、はっきり言ってください。こんなの本当の友達がすることじゃないです」
「……」
エディットの言葉にアルレットは、何とも言えない顔をした。
「アルレット様がしないなら、私が両親にします。みんなに話します」
「そんなことをしたら、婚約の話がなくなってしまうわ」
どうやら、婚約の話が持ち上がっているのをアルレットは知っているようだ。それを気にしているようだ。
「そんなことをしたのが、婚約してからバレた方がもっと大変になる。駄目です。そんなの。私が許せない」
「……」
「お姉様」
「……そうね。これからは、真実ではないことには否定するわ」
それは、ドゥニーズに言われなければ言わないと言っているようなものだが、コンスタンスは本当に悪く言いたくないのがわかってしまった。
それは、エディットにも伝わったようだ。
「なら、私も、そうします」
そう言って、意気込んで帰って行った日にドゥニーズは、いつものようにアルレットのことを家族の前で悪く言ったらしく、それにブチギレたエディットが事実じゃないと言ったことで、大変なことになったのはすぐだった。
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