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第7話 恋する宇宙の便利屋さん
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「乾杯!」
ぐぐぐっ、と一気に瑠偉がジョッキを呷り、見る間にビールを減らして行く。なかなかに良い飲みっぷりだ。俺は一口飲んでからジョッキを置き、突き出しの枝豆を食べ始めた。
「日本の夏って感じするね~。千代晴ちん、ピリ辛きゅうりの冷奴も頼んでいい?」
「ナハトは酒強いのか? カフェオレ飲んでるイメージしかねえけど」
「まあね~。付き合い程度には飲めるよ。日本は特に飲み会とか重視される文化って聞いてたから、日本酒も飲めるようになったし」
「今の時代、日本で暮らす宇宙……じゃなく外国人も楽じゃねえよな。お疲れさん」
ハイボールのグラスを頬にあてて「にゃは」と笑うナハト。見た目がおっかないせいで損をしているコイツも、慣れれば実際悪い奴じゃない。
「ぷはぁ、メロンソーダ美味しいです。二杯目はバニラのアイス待ちます」
「ヘルちゃん、ご飯の前に炭酸飲み過ぎたらお腹膨れちゃうよ~。ゲフッてなるし」
「けぷっ」
ヘルムートを含め、宇宙人てのは意外と単純な奴が多いのかもしれない。
「瑠偉、追加のビール頼むか?」
「あ、お願いします……」
俺はタブレットでビールを注文してから、瑠偉の前に枝豆の皿を滑らせて言った。
「たまには外に出て食事するのも良いだろ。瑠偉は、仕事何してるんだ?」
「ライターと趣味の動画で……」
「すげえな、時代の最先端じゃん」
「あ、いえいえ。そんな大したことないんです、僕は。やっと生活できるようになった、っていうレベルですから」
動画で稼ぐというのも今の時代は競争率が高すぎて、僅かでも収入を得られるのはごく一部だと聞く。大抵は収入が得られるラインに至る前に飽きたり挫折して辞めてしまうからだ。
何にせよ、こつこつ一人で頑張れる根性というのは強みになる。人気を得るための戦略を考えるのも、否定的な意見と戦うのも、全て一人となると相当な精神力が必要だろう。こう見えて瑠偉は強い男なのかもしれない。
「動画ってなに? ボクも一緒に出たい!」
「いやその、ゲーム実況なので顔出しとかはしてないんですよ……」
「えぇ~、勿体ない。瑠偉くんイケメンなのに……顔出してこうよ!」
「いえいえ、そんな。僕なんか……」
「お待たせ致しました。空いたグラス失礼します」
「わっ!」
運ばれてきた「チーズもちもちポテト」と「盛りだくさんソーセージ」に、ヘルムートが歓声をあげる。
「ソーセージ食べていいですかっ?」
「ああ、この一皿はお前の分な。こっちのもう一皿は俺らで分けるよ」
「ヘルちゃんて本当ソーセージ好きだね……」
幸せそうな顔で太いソーセージを頬張るヘルムートを見て、瑠偉が「流石ドイツ人ですね」と感心したように呟いた。
ぐぐぐっ、と一気に瑠偉がジョッキを呷り、見る間にビールを減らして行く。なかなかに良い飲みっぷりだ。俺は一口飲んでからジョッキを置き、突き出しの枝豆を食べ始めた。
「日本の夏って感じするね~。千代晴ちん、ピリ辛きゅうりの冷奴も頼んでいい?」
「ナハトは酒強いのか? カフェオレ飲んでるイメージしかねえけど」
「まあね~。付き合い程度には飲めるよ。日本は特に飲み会とか重視される文化って聞いてたから、日本酒も飲めるようになったし」
「今の時代、日本で暮らす宇宙……じゃなく外国人も楽じゃねえよな。お疲れさん」
ハイボールのグラスを頬にあてて「にゃは」と笑うナハト。見た目がおっかないせいで損をしているコイツも、慣れれば実際悪い奴じゃない。
「ぷはぁ、メロンソーダ美味しいです。二杯目はバニラのアイス待ちます」
「ヘルちゃん、ご飯の前に炭酸飲み過ぎたらお腹膨れちゃうよ~。ゲフッてなるし」
「けぷっ」
ヘルムートを含め、宇宙人てのは意外と単純な奴が多いのかもしれない。
「瑠偉、追加のビール頼むか?」
「あ、お願いします……」
俺はタブレットでビールを注文してから、瑠偉の前に枝豆の皿を滑らせて言った。
「たまには外に出て食事するのも良いだろ。瑠偉は、仕事何してるんだ?」
「ライターと趣味の動画で……」
「すげえな、時代の最先端じゃん」
「あ、いえいえ。そんな大したことないんです、僕は。やっと生活できるようになった、っていうレベルですから」
動画で稼ぐというのも今の時代は競争率が高すぎて、僅かでも収入を得られるのはごく一部だと聞く。大抵は収入が得られるラインに至る前に飽きたり挫折して辞めてしまうからだ。
何にせよ、こつこつ一人で頑張れる根性というのは強みになる。人気を得るための戦略を考えるのも、否定的な意見と戦うのも、全て一人となると相当な精神力が必要だろう。こう見えて瑠偉は強い男なのかもしれない。
「動画ってなに? ボクも一緒に出たい!」
「いやその、ゲーム実況なので顔出しとかはしてないんですよ……」
「えぇ~、勿体ない。瑠偉くんイケメンなのに……顔出してこうよ!」
「いえいえ、そんな。僕なんか……」
「お待たせ致しました。空いたグラス失礼します」
「わっ!」
運ばれてきた「チーズもちもちポテト」と「盛りだくさんソーセージ」に、ヘルムートが歓声をあげる。
「ソーセージ食べていいですかっ?」
「ああ、この一皿はお前の分な。こっちのもう一皿は俺らで分けるよ」
「ヘルちゃんて本当ソーセージ好きだね……」
幸せそうな顔で太いソーセージを頬張るヘルムートを見て、瑠偉が「流石ドイツ人ですね」と感心したように呟いた。
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