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第二話
第2話 6
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
†都心外部†
アイク達が落下する少し前
「伏せろ!」
何かを察したエグザスの一声で、全員が隠れるように身をふせると都心付近のビルが爆発した。
多分…アイク達なのだろう。
「なんか、飛行しているものがあるな。
アイク達との戦闘中に中で加勢されたら面倒だから撃ち落とすか?
この程度の距離なら…。」
「いや、それより目のつかない広場に急いで向かったそうがいい。
…久しぶりにアレを召還しよう。」
B.Kを止めたベルは、ニヤリと笑った後に素早くビルを飛びうつって移動した。
マレ達も後を追うように移動する。
「まて、召還といっても遠すぎたら駄目なんだろ?」
「暴走しても、かまわない。
むしろ、暴走してくれた方が誘導になる。」
ベルは、集合場所だと言われた場所で動きを止めた。
元々、マレの体の効果がなくなった事を考慮しての作戦区域だった為に集合場所にたどり着くのに時間はかかっていない。
ベルはキーウエポンを杖形態にするとクルクルと回し始める。
「皆、離れてて。」
“心の0段”
ベルがキーウエポンを地面に当てるとベルを中心に赤い雷が走った後に大きな魔方陣が広がる。
魔法陣の中の三つの竜巻が周囲の土や岩をに引き寄せて、三体のゴーレムを作る。
逞しい四肢と尾、鋭い爪と牙。
巨大な翼と口をした熊ほどの大きさの龍が吹き荒れる風と一緒にマレ達の目の前に出現した。
「物語より遥かに小型だけど暴れたら、結構な被害になるだろ。
…襲え。」
ベルがそういうと、三体の龍は高く飛び上がって都心のほうに向かっていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
現在
「おい、昔話を話している暇があるのならお前も手伝え。」
B.Kは、そう言いながら座っているベルの後ろで立って獣達を狙撃した。
B.Kの高い狙撃能力により、あっという間に獣達をまいた。
「それにしても、助かった。
サンキュー、二人とも。」
「お礼の前に、お祈りでもしたらどうです?
さぁ…懺悔の時間ですわ。」
アンナは、メキメキとアイクの肩を握った。
ビルを落下した時に言ってたアレって本気だったみたいだ。
優しい笑みで、なんて凶悪な事をしようとしてるのだろう。
「アンナ、よせ!
話せば分かる!!」
「話して分かるなら、祈りなど存在しません。
話して分からないからこその、いるかも分からない神頼みなのでしょ?」
アンナの力は、緩むことなくアイクの肩を締め付ける。
「アイク…獣のバトルパートより肉体がボロボロってどうよ?」
「そんなことより、早く帰ろ?
私はもう、疲れたよ。」
ハゲの話をスルーしたシオは、B.Kの背中に抱きつくように寄りかかった。
シオの様子を見たアンナは、アイクの肩から手を離して周りをみる。
「追っては来ないみたいですね。」
「あぁ。
龍は、野放し状態だからな。
自由勝手に動いているから、動きの予測が出来なくて手間取ってるんじゃねーか?
遠回りにはなったけど、マレとエグザスを回収次第、全速力で砦に戻る。」
ヤスはそういうと、ゴーレムの速度を上げた。
「ベルの作った龍は、無茶苦茶だな。
ここからでも龍が飛んだ方向から火が見える。
この様子だと、あそこ一帯は文字通り火の海だろうな。」
「そりゃそうさ。
アレを作るのも、結構大変なんだよ。」
合流したエグザスは開口一番でそう口にした。
ベルはややグッタリとした表情で、エグザスにそう返事する。
確かにアレだけの特典をつけたら、骨が折れるだろう。
ベルのその様子をB.Kは何処か楽しそうな表情で見ていた。
「しかし、彼処には興味深いものがあったな。
とりあえず、軽く話しておくか。
…あの緑色の石を。」
アイクは潜伏したビルの中にあった、琥珀のように中に何か入った半透明の緑色の石に話た。
それが、なんなのかを仮説を立てて欲しいらしい。
「“守り手がいるほどの神聖な場所”
“たくさん並んでいる”
“半透明の石に入っている何か”
これだけだと何度も言えないが…獣独自の教会みたいなものだろうか。」
エグザスは、一番後ろの場所であぐらをかいてそう言った。
そして、ゆっくりと立ち上がって後ろを眺める。
「俺は、それよりもダイルと名乗った獣が気になる。
アイクが仕留めきれなかった奴だ。
逃げに徹していたとはいえ打ち合って生き残ったんだ、気をつけておいて損はない。
…それに、敵もバカじゃない。
俺達が“ホープ”を手にしたように獣達も何らかの技術を開発している可能性を決して忘れるな。」
「そう…だな。
とりあえず、休息だ。
俺達は、奴等より劣っている。
だからこそ、こまめな休息は必要だ。
全てが劣っている分、奴等に必ず油断ができる。
それだけは、忘れるな。
ほら、家だぞ。」
エグザスとアイクがそう会話していると拠点である砦が見えて来た。
エグザスの言いたい事も皆、分かっているのか砦が見えても表情が暗いままだった。
だけど、その中でマレの体がゆっくりと倒れた。
「ちょ、大丈夫!?」
シオは、そういうとマレの体を上手く受け止めて心配そうに顔を覗いた。
だけど、シオの心配とは裏腹に段々とマレの瞼が閉じていく。
意識を失う寸前に思い出したようにマレは呟いた。
「体…かけっぱなしだった。」
後日、マレは意識を失う寸前にメキメキという音が聞こえたと言っていたらしい。
†都心外部†
アイク達が落下する少し前
「伏せろ!」
何かを察したエグザスの一声で、全員が隠れるように身をふせると都心付近のビルが爆発した。
多分…アイク達なのだろう。
「なんか、飛行しているものがあるな。
アイク達との戦闘中に中で加勢されたら面倒だから撃ち落とすか?
この程度の距離なら…。」
「いや、それより目のつかない広場に急いで向かったそうがいい。
…久しぶりにアレを召還しよう。」
B.Kを止めたベルは、ニヤリと笑った後に素早くビルを飛びうつって移動した。
マレ達も後を追うように移動する。
「まて、召還といっても遠すぎたら駄目なんだろ?」
「暴走しても、かまわない。
むしろ、暴走してくれた方が誘導になる。」
ベルは、集合場所だと言われた場所で動きを止めた。
元々、マレの体の効果がなくなった事を考慮しての作戦区域だった為に集合場所にたどり着くのに時間はかかっていない。
ベルはキーウエポンを杖形態にするとクルクルと回し始める。
「皆、離れてて。」
“心の0段”
ベルがキーウエポンを地面に当てるとベルを中心に赤い雷が走った後に大きな魔方陣が広がる。
魔法陣の中の三つの竜巻が周囲の土や岩をに引き寄せて、三体のゴーレムを作る。
逞しい四肢と尾、鋭い爪と牙。
巨大な翼と口をした熊ほどの大きさの龍が吹き荒れる風と一緒にマレ達の目の前に出現した。
「物語より遥かに小型だけど暴れたら、結構な被害になるだろ。
…襲え。」
ベルがそういうと、三体の龍は高く飛び上がって都心のほうに向かっていった。
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現在
「おい、昔話を話している暇があるのならお前も手伝え。」
B.Kは、そう言いながら座っているベルの後ろで立って獣達を狙撃した。
B.Kの高い狙撃能力により、あっという間に獣達をまいた。
「それにしても、助かった。
サンキュー、二人とも。」
「お礼の前に、お祈りでもしたらどうです?
さぁ…懺悔の時間ですわ。」
アンナは、メキメキとアイクの肩を握った。
ビルを落下した時に言ってたアレって本気だったみたいだ。
優しい笑みで、なんて凶悪な事をしようとしてるのだろう。
「アンナ、よせ!
話せば分かる!!」
「話して分かるなら、祈りなど存在しません。
話して分からないからこその、いるかも分からない神頼みなのでしょ?」
アンナの力は、緩むことなくアイクの肩を締め付ける。
「アイク…獣のバトルパートより肉体がボロボロってどうよ?」
「そんなことより、早く帰ろ?
私はもう、疲れたよ。」
ハゲの話をスルーしたシオは、B.Kの背中に抱きつくように寄りかかった。
シオの様子を見たアンナは、アイクの肩から手を離して周りをみる。
「追っては来ないみたいですね。」
「あぁ。
龍は、野放し状態だからな。
自由勝手に動いているから、動きの予測が出来なくて手間取ってるんじゃねーか?
遠回りにはなったけど、マレとエグザスを回収次第、全速力で砦に戻る。」
ヤスはそういうと、ゴーレムの速度を上げた。
「ベルの作った龍は、無茶苦茶だな。
ここからでも龍が飛んだ方向から火が見える。
この様子だと、あそこ一帯は文字通り火の海だろうな。」
「そりゃそうさ。
アレを作るのも、結構大変なんだよ。」
合流したエグザスは開口一番でそう口にした。
ベルはややグッタリとした表情で、エグザスにそう返事する。
確かにアレだけの特典をつけたら、骨が折れるだろう。
ベルのその様子をB.Kは何処か楽しそうな表情で見ていた。
「しかし、彼処には興味深いものがあったな。
とりあえず、軽く話しておくか。
…あの緑色の石を。」
アイクは潜伏したビルの中にあった、琥珀のように中に何か入った半透明の緑色の石に話た。
それが、なんなのかを仮説を立てて欲しいらしい。
「“守り手がいるほどの神聖な場所”
“たくさん並んでいる”
“半透明の石に入っている何か”
これだけだと何度も言えないが…獣独自の教会みたいなものだろうか。」
エグザスは、一番後ろの場所であぐらをかいてそう言った。
そして、ゆっくりと立ち上がって後ろを眺める。
「俺は、それよりもダイルと名乗った獣が気になる。
アイクが仕留めきれなかった奴だ。
逃げに徹していたとはいえ打ち合って生き残ったんだ、気をつけておいて損はない。
…それに、敵もバカじゃない。
俺達が“ホープ”を手にしたように獣達も何らかの技術を開発している可能性を決して忘れるな。」
「そう…だな。
とりあえず、休息だ。
俺達は、奴等より劣っている。
だからこそ、こまめな休息は必要だ。
全てが劣っている分、奴等に必ず油断ができる。
それだけは、忘れるな。
ほら、家だぞ。」
エグザスとアイクがそう会話していると拠点である砦が見えて来た。
エグザスの言いたい事も皆、分かっているのか砦が見えても表情が暗いままだった。
だけど、その中でマレの体がゆっくりと倒れた。
「ちょ、大丈夫!?」
シオは、そういうとマレの体を上手く受け止めて心配そうに顔を覗いた。
だけど、シオの心配とは裏腹に段々とマレの瞼が閉じていく。
意識を失う寸前に思い出したようにマレは呟いた。
「体…かけっぱなしだった。」
後日、マレは意識を失う寸前にメキメキという音が聞こえたと言っていたらしい。
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