Nora First Edition

第九話

第9話 10

ー素敵ハウス SAIDー


～数時間前～


ブルーマが兜を外すとそこには、眼鏡をかけていないベルの顔があった。
眠けは完全に冴えてしまったが…体の方は金縛りにあったのかという位に動かない。



「お前が大好きなベルの肉体だロ？
それに抱かれるんだ、本望じゃないカ。

何、緊張しなくていイ。
この手に触れれば一瞬ダ。」

「B.Kちゃん！」



“アクアショット”



ティアの声が響くと、水の魂がブルーマに飛んでいく。

ブルーマは左手に白色の雷を纏わせるとティアの攻撃を防いだ。
攻撃を無効化した原理は、先程の鴉と同じなのだろう。


ブルーマは、ため息を深くつくとティアの方に体を向ける。



「そういえば、お前さんの存在を完全に忘れてたナ。

盛り上がってるところ申し訳ないんだけド…。
此方の感動の再会の邪魔はしないで欲しいナ！！」



“技の1段”


ブルーマは、槍の先端に炎を溜めて振り抜く。
槍の刃に変化した炎はティアに向かっていった。


ブルーマは炎を飛ばしたら直ぐにティアの後ろに転移する。


“技の3段”



ブルーマは、槍を叩きつけるようにして振り下ろした。


ティアは、炎を直ぐに水で防ぎすぐに横に飛び込むように避けたが…ブルーマの攻撃はそれだけでは終わらなかった。


ブルーマの周囲に沢山の氷の柱が出現する。
そして槍を頭上で回転させた後に氷の柱を砕くように回転させて振り抜く。


ティアは出現した氷の柱を転がるようにして何とか避けたが、ブルーマに飛ばされた氷片は避けられずにダメージを受けてしまった。


「っつ！！」


“アクアトラップ”


ティアは、氷片を受け止めきると受け身をとって立ち上がり大きく両手を広げて周囲に水の糸を展開。

ブルーマの周りを囲むように水の糸を展開していた。



「シュンは、油断していたようだけど…お前だロ？
森羅万象の最恐の“ディアボロ”？」


「…何の事？
私は…ティア。
アリエス先生の生徒の一人だよ！」



“アクアランス”


ティアは、周囲にある帯を槍のように鋭くしてブルーマに向かって伸ばして行くがブルーマは、槍を回転させて難なく弾いた。

そして、ティアの出現させる水に極力当たらないように距離を空ける。

「お前の攻撃は、厄介ダ。
防御不可の液体攻撃。
無理に防ごうとすると、器官を支配されて窒息。

それに加え、攻撃は敵の体に蓄積されていク。
ダメージは、回を重ねる度に強く大きくなル。」


「よくご存知で。
貴方の能力は実体化…だったかしら？」


“アクアショット”



ティアは、右手を振り上げた。
放たれた水の弾は、水の糸を通過する度に速度と威力を上げていく。


「しかも、B.Kとの話も聞いていたんダ。」


ブルーマは、ヤレヤレとため息をついて左手を上げる。
そして再び白い雷を手に纏わせ、左手で受け止めるように水の弾を消した。


「見て分かるだロ？
俺の能力は、最早ホープだけじゃなイ。

インフィニティーが使えるし、お前さんの攻撃もホープを使えば対処も問題なイ。」



“心の0段”


ブルーマの槍が水の糸に触れると、まるで氷のように姿を現せた。
オーラを纏った左手で、その水に触れる。


すると、触れられた所から水の糸が消滅していく。



「ぁあ、一応森羅万象で対価の問題も解決してるから変に持久戦なんてしようとすんなヨ。」


ブルーマは、めんどくさそうな表情でティアにそう言う。