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第十話
第10話 3
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「まぁ、とりあえず意識が戻ったら連れてこいと言われていル。
ついてこイ。」
とりあえず力が使えない以上、抵抗しても無意味だから俺はシュンに大人しくついていく。
部屋を出てある程度歩くと、シュンがいきなり俺に話しかける。
「…眼鏡がないのに、随分しっかり歩けるんだナ。
お前もかなり馴染んできたと言うことカ。」
「はぁ…何が言い…。」
俺の話の途中でシュンは、手鏡を出す。
そんなの何処から出したのか、何故シュンが持っていたのかは疑問には思ったが…それさえも吹き飛ばすものだった。
俺の瞳が金色に変わっている。
「…あー。
獣人化って奴か。」
「あァ。
訛りが出ていないと言う事は、完全では無いって事だろウ。
だが、“ロゼ”に刺された傷の治癒や視力の上昇は間違いなく獣人化の恩恵ダ。
だが、鎖を力づくで外せないのを見ると筋力の上昇まではいってないみたいだナ。」
獣人化というワードを聞いて力づくで鎖を引きちぎろうとしたが無理だった。
勿論、バレないようにやったつもりだったがシュンにはバレバレだったな。
はぁ…めんどくさい。
「ほら、ついたゾ。」
シュンに連れて来られたのは、中央研究室と書かれた札のある部屋だった。
扉は自動で空いて、先頭を俺が歩かされた。
「ようこソ。
私の“可愛い人間〔モルモット〕
”。
そして、私の可愛い息子になるのダ。
そこにいるシュンと、私の横にいるサマー。
そして、たった今新しく誕生するアキと共にな。」
部屋の中心にある椅子には、グラムとその横にはサマーと呼ばれた獣鎧がいた。
新しく?
俺は、グラムが向けた視線の先を見る。
視線の先には、行方不明で死亡扱いとなったジュリが病院の患者が着るような白い服を着て横たわっていた。
手足には金属の金具がついている。
俺達の間には、強化ガラスのような物が貼られているようで俺が侵入することは出来なさそうだ。
「っ!
ジュリ!!」
無意識の内に、俺は強化ガラスにタックルするように近づく。
どうやら、声は無線だかなんだか知らないが通信で届いておりスピーカー越しで俺の声が響いた。
しかし、ジュリが目覚める様子はない。
薬で眠らされているのか、それとも意識がないだけなのかは分からない。
しかし、生きた俺をここまで連れてきたことは少なくとも生きてはいる。
そしてこの後することも容易に想像はできた。
「っ、やめろ!
その実験なら活きの良い俺だけで十分だ!
あいつには、帰る場所も待っている人間もいる!
だから、俺の実験成果だけで満足してくれないか!?」
「断ル。
人間の指図を受ける気など、毛頭無いのでナ。」
グラムが指を鳴らすと、シュンとサマーが俺を抑えて再び強化ガラスの側まで移動させた。
まるで、人間が獣人に変化させられる様を見せつけるように丁寧に頭まで固定されたよ。
そのせいで、グラムがどうやったのかは知らないが不気味な笑い声とカチッとスイッチのレバーを倒す音は分かった。
その瞬間に、チューブから電撃が流れる。
頭から身体へ。
チューブから渡ってきた雷はジュリの全身を覆う。
不謹慎なのかもしれないが、俺達が使っている体の雷に良く似ていた。
薬物を投与され、恋人に斬って貰い、それでも死に切れず生きたまま生体実験…。
それを思う度に、俺の身体中が熱くなってきた。
…あぁ、俺は…怒っているのか。
そう理解した瞬間に俺の両手の鎖が砕けた。
ついてこイ。」
とりあえず力が使えない以上、抵抗しても無意味だから俺はシュンに大人しくついていく。
部屋を出てある程度歩くと、シュンがいきなり俺に話しかける。
「…眼鏡がないのに、随分しっかり歩けるんだナ。
お前もかなり馴染んできたと言うことカ。」
「はぁ…何が言い…。」
俺の話の途中でシュンは、手鏡を出す。
そんなの何処から出したのか、何故シュンが持っていたのかは疑問には思ったが…それさえも吹き飛ばすものだった。
俺の瞳が金色に変わっている。
「…あー。
獣人化って奴か。」
「あァ。
訛りが出ていないと言う事は、完全では無いって事だろウ。
だが、“ロゼ”に刺された傷の治癒や視力の上昇は間違いなく獣人化の恩恵ダ。
だが、鎖を力づくで外せないのを見ると筋力の上昇まではいってないみたいだナ。」
獣人化というワードを聞いて力づくで鎖を引きちぎろうとしたが無理だった。
勿論、バレないようにやったつもりだったがシュンにはバレバレだったな。
はぁ…めんどくさい。
「ほら、ついたゾ。」
シュンに連れて来られたのは、中央研究室と書かれた札のある部屋だった。
扉は自動で空いて、先頭を俺が歩かされた。
「ようこソ。
私の“可愛い人間〔モルモット〕
”。
そして、私の可愛い息子になるのダ。
そこにいるシュンと、私の横にいるサマー。
そして、たった今新しく誕生するアキと共にな。」
部屋の中心にある椅子には、グラムとその横にはサマーと呼ばれた獣鎧がいた。
新しく?
俺は、グラムが向けた視線の先を見る。
視線の先には、行方不明で死亡扱いとなったジュリが病院の患者が着るような白い服を着て横たわっていた。
手足には金属の金具がついている。
俺達の間には、強化ガラスのような物が貼られているようで俺が侵入することは出来なさそうだ。
「っ!
ジュリ!!」
無意識の内に、俺は強化ガラスにタックルするように近づく。
どうやら、声は無線だかなんだか知らないが通信で届いておりスピーカー越しで俺の声が響いた。
しかし、ジュリが目覚める様子はない。
薬で眠らされているのか、それとも意識がないだけなのかは分からない。
しかし、生きた俺をここまで連れてきたことは少なくとも生きてはいる。
そしてこの後することも容易に想像はできた。
「っ、やめろ!
その実験なら活きの良い俺だけで十分だ!
あいつには、帰る場所も待っている人間もいる!
だから、俺の実験成果だけで満足してくれないか!?」
「断ル。
人間の指図を受ける気など、毛頭無いのでナ。」
グラムが指を鳴らすと、シュンとサマーが俺を抑えて再び強化ガラスの側まで移動させた。
まるで、人間が獣人に変化させられる様を見せつけるように丁寧に頭まで固定されたよ。
そのせいで、グラムがどうやったのかは知らないが不気味な笑い声とカチッとスイッチのレバーを倒す音は分かった。
その瞬間に、チューブから電撃が流れる。
頭から身体へ。
チューブから渡ってきた雷はジュリの全身を覆う。
不謹慎なのかもしれないが、俺達が使っている体の雷に良く似ていた。
薬物を投与され、恋人に斬って貰い、それでも死に切れず生きたまま生体実験…。
それを思う度に、俺の身体中が熱くなってきた。
…あぁ、俺は…怒っているのか。
そう理解した瞬間に俺の両手の鎖が砕けた。
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