Nora First Edition

第十二話

第12話 7

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「ぅぁあああ！！」



キーウェポンを無造作に離して、頭を抱えているシオに向かってアキは大きく跳躍するとシオのそばまで移動してシオの頭を掴み見張り台から投げ捨てた。



体で体を強化していた為に死にはしていない。
ゴロゴロと転がって、うつぶせになって止まっている。




「…大丈夫。
私達と同じ存在になれば、そんな恐怖もなくなって皆一緒。

前の仲間同士になるんだヨ。」


アキは、直ぐに倒れているシオの側まで行くと優しくそう言った。

ジュリだった頃に、辛くなって慰めてもらった優しい声。
それが、シオを悪い意味で支配していく。


その声に惹かれ、そして誘導される。
…その方が、楽だと。




そんな事を考えていると、カナの方から大きな音が響く。


「まだ…まだァ！！
自分は、負ける訳にも諦める訳にもいかないのでス！

全ては…皆の笑顔と約束の為にッ！」


ボロボロになりながらも、カナは立ち上がっていた。
馬鹿だ馬鹿だと言われているカナもこの絶望が分からない訳ではないだろう。


だが、それでも彼女は諦めないと言った。

圧倒的なインフィニティの力に負けそうになっていても、昔の仲間に刃を向ける事になっても。




『自分は、エグザスみたいに冷静で頭が良い訳ではないですが姉弟として、負けないように頑張ります！』



ノラに正式に入団した頃のカナはそう言っていた。
一度、敗北した今もそれを守っている。




ブルーマにカナの攻撃が跳ね返されて倒れカナが自分の攻撃で地面に伏せても立ち上がっている。



「…出力…足り…いだ…でス。

…だ…上ら…れ…ス。」




カナはそう言うと、フラフラと立ち上がった。
インフィニティを起動させて、自分の持つ力の全てを解放させた。

…その時に、カナは膝をついて血を吐き出したのだ。




…っ！




「…ここが、お前の限界なんだよ最強。」




あのカナが簡単にやられた。
その時に、あの日の記憶がフラッシュバックされる。


絶対に負けないと信じていた者の死。
力が無く、どんなに頑張っても救う事が出来なかった大切だった人。




綺麗で長い赤髪が特徴だった、自分達の姉や母のような人。



…サヤ姉ぇ！