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第ニ章
アネゴと秋のミーティング
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月曜に5度目となるファンミーティングという名のデートに、キテレツ眼鏡でダサい服、冴えないリュックを背負って行けと指示した通り、秋ちゃんは任務を遂行した。
私からの助言として『もしも、冴えない秋ちゃんの姿を見て、オオカミ男が笑ったり、もしくは気づかないということがあれば、速攻デートを取りやめ家に帰れ』という指示を出していたが
その結果。
【合 格】
ゴジック体を想像させるごつめ強めの口調で
オオカミ男を秋ちゃんの彼氏として【合 格】と私が公認する結果となった。
非常に嬉しいことであり、その祝賀も兼ねて、味よし、コスパよし、イケメンよしのご飯屋で今日は二人でミーティングという名の恋の進行状況を確認する。
秋ちゃんから映画デートの日の一連の流れを聞けば
・大学までオオカミ男が秋ちゃんをお迎え。100点
・冴えない秋ちゃんとご対面。結果、すぐに秋ちゃんと気づき笑顔で歓迎。100点
・そのまま秋ちゃんの腰を抱き助手席へとエスコート。100点
・映画館貸し切り。100点
・カップルシートで鑑賞。100点
・オオカミ男の演技に感激涙する秋ちゃん。100点
・鑑賞後、オオカミ男からの暴露により実は最初から秋ちゃんが小学校からの同級生だと知っていた。120点
・最後にオオカミ男からの告白。300点
合計1,000,000,000点で文句なしの満点合格の映画デートだった。
そんな完璧な告白を受けた秋ちゃんの心情は『ピンチでパンチ』の状態だったけど、『チャンスはキャッチ』だと大学の友人のアドバイスのもと、色んな思いが込み上げ泣きながら、オオカミ男の申し入れに黙って頷くのが精いっぱいだったようだ。
まぁ、拒まなかっただけ上出来としよう。(秋ちゃんには基本私は甘い)
冴えない秋ちゃんをイメチェンし、天使のように可愛くなった秋ちゃんに速攻で告って振られ、その後はどこか姉のように慕ってくれる可愛い後輩の成長を見守ることに徹しているのは、人として彼のことが好きだからだ。
本当は冴えなかった頃の秋ちゃんでも最初から私は彼に好意的だった。
バイトの面接のあの日。
彼の志望動機を聞いた時。
彼は言った。
両親を亡くし、どうしようもない絶望と虚無に日々襲われ何ひとつ希望も支えも信じられるものも自分の傍に見つからなかった時、祖父母が用意してくれた沢山の本を読むことで心が救われた。本に没頭している時だけは唯一悲しみを手放すことが出来た。その時間があったから、僕は生きることを諦めずに済んだ。
だから僕を救ってくれた本に対して僕は恩返しがしたい。僕が本に対してどんな恩返しが出来るのかと考えた時、読書療法に辿り着いた。「読書セラピー」欧米では「ビブリオセラピー」
『読書がストレス軽減に効果がある』としてさまざまな研究や論文で発表されていて、1週間に最大で3時間半の読書をする人は、本を読まない人と比べて、その後の12年間で死亡率が17%も低くなることが分かっているし、読書をすることで将来的な認識能力の衰退が32%も遅くなるという研究結果が発表され、さらには睡眠の導入としての読書の効果・アルツハイマー病のリスクの低下・うつ病改善が見込まれるとされていて、現在欧米では「ビブリオセラピー」と呼ばれる心理療法としての読書が広まり、イギリスでは医師が薬ではなく本を処方する医療システムが政府公認されている。そんな医療的な意味での読書の勧めに自分も将来携わることで本の良さが多くの人に認められて、それが僕なりの本に対する恩返しで、他者に対する僕なりの関わり方だと考えたので図書館でのアルバイトを希望した。
彼のその言葉に私は深く共感した。
私も読書医療に携わりたくて今司書として働きながら知識を積み重ねている。
だから、面接で秋ちゃんが読書医療について触れ時、自分と同じ思いで司書を目指しているんだと知り、嬉しかったし、この子と共に働きたいと心から思った。
だから秋ちゃんはもともと外見がどうであれ、とても素敵な子だった。
それを知ってる私は、秋ちゃんに安易に近づく輩を許せなかった。
ちゃんと秋ちゃんの本質を知り、秋ちゃんを大事にしてくれる人でないと、絶対許さない。
秋ちゃんの容姿に惹かれ軽い気持ちで近づき後で秋ちゃんを傷つけるようならいくらイケメンのオオカミ男でも八つ裂きにしてやると本気で思っていたが、流石アルファの人間。そんな愚か者ではなかった。
そんなことを噛みしめるように思っていると
「お待たせいたしました」
イケメン店員のイケボと共に、私お勧めの品がテーブルに置かれた。
白いシャツの袖を捲り上げたイケメン店員の筋肉を拝みながら「ありがとうございます」と普段より1オクターブ高い声でお礼を言って会釈する。
「わぁー美味しそう」
秋ちゃんがテーブルの上の皿を覗き込み微笑みを浮かべた。
「でしょ!これが私お勧めの、ピリ辛肉みそあんかけチャーハン!あまりに大好きすぎてびっくりしたぐらい大好きで超美味しいから、秋ちゃんも食べてみて」
そんな私の興奮気味のレスポンスにクスクスと笑いながら「頂きます」と丁寧に手を合わせてからゆっくりレンゲでチャーハンを掬い上げ、少し冷ましたところで、一口食べる。
「、、んんーーー、美味しい、、美味しいです」
そう言って対面に座る私の方へと視線を向けた秋ちゃんの眼鏡が湯気で曇っていて
私は思わず笑った。
キテレツ眼鏡の秋ちゃん。
なんだ別に眼鏡でも可愛いじゃん。
ダサ可愛い。そんなジャンルもありだと私は初めて知った。
「ところで秋ちゃん、どうしてキテレツ眼鏡なの?」
私の言うことに従順な彼は、図書館でのバイト中は必ずコンタクト着用を約束させていた。
だから今日のバイト中はコンタクトを着用していた。しかしバイトが終わり彼はわざわざコンタクトを外し眼鏡に付け替え、こうして私と食事をとっている。
秋ちゃんは、小さな口で、もぐもぐとチャーハンを咀嚼し飲み込んだ後
少し困ったように首を傾げながら、
「…なんか、よく分からないんですけど、三ツ矢君から眼鏡着用を指示されて…それで、バイト以外は大学でも今は眼鏡で行ってます」
・・・
「ほほぉー」
なるほど
独占欲つよつよマンのオオカミってことか。
オオカミはがっつりめの肉食動物だし。
五回のデート。手つなぎ、ハグのみ。よく耐えた。
だとしたら次のデートはきっと・・・
「秋ちゃん」
「はい」
「セックスって知ってる?」
私からの助言として『もしも、冴えない秋ちゃんの姿を見て、オオカミ男が笑ったり、もしくは気づかないということがあれば、速攻デートを取りやめ家に帰れ』という指示を出していたが
その結果。
【合 格】
ゴジック体を想像させるごつめ強めの口調で
オオカミ男を秋ちゃんの彼氏として【合 格】と私が公認する結果となった。
非常に嬉しいことであり、その祝賀も兼ねて、味よし、コスパよし、イケメンよしのご飯屋で今日は二人でミーティングという名の恋の進行状況を確認する。
秋ちゃんから映画デートの日の一連の流れを聞けば
・大学までオオカミ男が秋ちゃんをお迎え。100点
・冴えない秋ちゃんとご対面。結果、すぐに秋ちゃんと気づき笑顔で歓迎。100点
・そのまま秋ちゃんの腰を抱き助手席へとエスコート。100点
・映画館貸し切り。100点
・カップルシートで鑑賞。100点
・オオカミ男の演技に感激涙する秋ちゃん。100点
・鑑賞後、オオカミ男からの暴露により実は最初から秋ちゃんが小学校からの同級生だと知っていた。120点
・最後にオオカミ男からの告白。300点
合計1,000,000,000点で文句なしの満点合格の映画デートだった。
そんな完璧な告白を受けた秋ちゃんの心情は『ピンチでパンチ』の状態だったけど、『チャンスはキャッチ』だと大学の友人のアドバイスのもと、色んな思いが込み上げ泣きながら、オオカミ男の申し入れに黙って頷くのが精いっぱいだったようだ。
まぁ、拒まなかっただけ上出来としよう。(秋ちゃんには基本私は甘い)
冴えない秋ちゃんをイメチェンし、天使のように可愛くなった秋ちゃんに速攻で告って振られ、その後はどこか姉のように慕ってくれる可愛い後輩の成長を見守ることに徹しているのは、人として彼のことが好きだからだ。
本当は冴えなかった頃の秋ちゃんでも最初から私は彼に好意的だった。
バイトの面接のあの日。
彼の志望動機を聞いた時。
彼は言った。
両親を亡くし、どうしようもない絶望と虚無に日々襲われ何ひとつ希望も支えも信じられるものも自分の傍に見つからなかった時、祖父母が用意してくれた沢山の本を読むことで心が救われた。本に没頭している時だけは唯一悲しみを手放すことが出来た。その時間があったから、僕は生きることを諦めずに済んだ。
だから僕を救ってくれた本に対して僕は恩返しがしたい。僕が本に対してどんな恩返しが出来るのかと考えた時、読書療法に辿り着いた。「読書セラピー」欧米では「ビブリオセラピー」
『読書がストレス軽減に効果がある』としてさまざまな研究や論文で発表されていて、1週間に最大で3時間半の読書をする人は、本を読まない人と比べて、その後の12年間で死亡率が17%も低くなることが分かっているし、読書をすることで将来的な認識能力の衰退が32%も遅くなるという研究結果が発表され、さらには睡眠の導入としての読書の効果・アルツハイマー病のリスクの低下・うつ病改善が見込まれるとされていて、現在欧米では「ビブリオセラピー」と呼ばれる心理療法としての読書が広まり、イギリスでは医師が薬ではなく本を処方する医療システムが政府公認されている。そんな医療的な意味での読書の勧めに自分も将来携わることで本の良さが多くの人に認められて、それが僕なりの本に対する恩返しで、他者に対する僕なりの関わり方だと考えたので図書館でのアルバイトを希望した。
彼のその言葉に私は深く共感した。
私も読書医療に携わりたくて今司書として働きながら知識を積み重ねている。
だから、面接で秋ちゃんが読書医療について触れ時、自分と同じ思いで司書を目指しているんだと知り、嬉しかったし、この子と共に働きたいと心から思った。
だから秋ちゃんはもともと外見がどうであれ、とても素敵な子だった。
それを知ってる私は、秋ちゃんに安易に近づく輩を許せなかった。
ちゃんと秋ちゃんの本質を知り、秋ちゃんを大事にしてくれる人でないと、絶対許さない。
秋ちゃんの容姿に惹かれ軽い気持ちで近づき後で秋ちゃんを傷つけるようならいくらイケメンのオオカミ男でも八つ裂きにしてやると本気で思っていたが、流石アルファの人間。そんな愚か者ではなかった。
そんなことを噛みしめるように思っていると
「お待たせいたしました」
イケメン店員のイケボと共に、私お勧めの品がテーブルに置かれた。
白いシャツの袖を捲り上げたイケメン店員の筋肉を拝みながら「ありがとうございます」と普段より1オクターブ高い声でお礼を言って会釈する。
「わぁー美味しそう」
秋ちゃんがテーブルの上の皿を覗き込み微笑みを浮かべた。
「でしょ!これが私お勧めの、ピリ辛肉みそあんかけチャーハン!あまりに大好きすぎてびっくりしたぐらい大好きで超美味しいから、秋ちゃんも食べてみて」
そんな私の興奮気味のレスポンスにクスクスと笑いながら「頂きます」と丁寧に手を合わせてからゆっくりレンゲでチャーハンを掬い上げ、少し冷ましたところで、一口食べる。
「、、んんーーー、美味しい、、美味しいです」
そう言って対面に座る私の方へと視線を向けた秋ちゃんの眼鏡が湯気で曇っていて
私は思わず笑った。
キテレツ眼鏡の秋ちゃん。
なんだ別に眼鏡でも可愛いじゃん。
ダサ可愛い。そんなジャンルもありだと私は初めて知った。
「ところで秋ちゃん、どうしてキテレツ眼鏡なの?」
私の言うことに従順な彼は、図書館でのバイト中は必ずコンタクト着用を約束させていた。
だから今日のバイト中はコンタクトを着用していた。しかしバイトが終わり彼はわざわざコンタクトを外し眼鏡に付け替え、こうして私と食事をとっている。
秋ちゃんは、小さな口で、もぐもぐとチャーハンを咀嚼し飲み込んだ後
少し困ったように首を傾げながら、
「…なんか、よく分からないんですけど、三ツ矢君から眼鏡着用を指示されて…それで、バイト以外は大学でも今は眼鏡で行ってます」
・・・
「ほほぉー」
なるほど
独占欲つよつよマンのオオカミってことか。
オオカミはがっつりめの肉食動物だし。
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だとしたら次のデートはきっと・・・
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「はい」
「セックスって知ってる?」
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