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16 検査結果 4
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ササナギに張り倒されて再び我に返るティメール師団長が、誤魔化すようにゴホンと咳払いをした。
今更遅いよ?
「失礼しました。ええと、何ですっけ? あ、そうそう。とにかく器は凄いんですが先日まで隷属魔法で縛られていた弊害でしょう。今のムツキ様の体内魔力量はほんのわずかしかありません」
「……よく分からないんだけど、魔力って普通はどういう風に回復させるの? さっきナツメは休まないと回復しないからって言ったよね?」
ティメール師団長の言うことは何となく理解できた。
そもそも最初に捕まったときに魔法が使えないって決めつけられてたから、もしかしたら隷属魔法で魔力回復できないような縛りがあったのかもしれない。実際、魔導具はおろか生活魔法すら使えなかったわけだし。
今となってはどうだったのかなんて分からないけれど。
そして元々この世界の住人じゃない俺は基本的な常識なんて全然分からないから、ミリィによるセッ……セックスでミリィから、つまり致した相手から分けて貰うっていうのしか知らないんだよね。
俺の問いに応えてくれたのはミリィとササナギ。
「あー、上限にもよるが基本的には食事や睡眠でほとんど回復する。あとは魔力回復薬というモノがあるが一度に使用できる上限が決まっているんだ」
「MPポーションはそれなりに強い薬で、体質に合わなかったり飲み過ぎると、人によっては吐き気や頭痛などを起こす。二日酔いみたいなモノだな」
ああ、エナジードリンクとお酒を合わせたような? やっぱり適量があるんだな。
「ただ、奴隷だったときはこの世界に身体が馴染んでいなくて魔力がゼロだったからなんともなかったが、今は魔力が解放されただろう?」
「うん」
「魔力の器がちゃんと出来たことで今度は最低コレだけはないと魔力枯渇で危険だという状態になっているんだ。ただ、初日に私が魔力を多く含む精を注いで私の魔力がムツキに蓄えられていたからぎりぎり大丈夫だったらしい」
「……ふーん?」
つまり、暴走した昨日の俺の魔力は自前じゃなくてミリィから貰ったモノだったってことか。
俺は今、自分の貯金がゼロってことね。
「でも昨日の魔力暴走で私の魔力を使い切ってしまった。その上ムツキは上限が桁違い過ぎて、自然回復を待っている余裕がなくて命の危険があったから───」
「───ああ、それで夕べのセックスに繋がった訳か。……なるほど」
アレは手っ取り早く安全に魔力を譲渡して回復させる手段だったわけだ。
つまり単なる医療行為ってことで……。何だ、そういうことか。
「何を思ってるのか何となく分かるが。精を注ぐのだって魔力の相性があって、拒否反応で具合が悪くなったり不快感や嫌悪感も出る場合があるんだぞ」
「───えっ!? 誰でもいいんじゃないのか!?」
ミリィが眉にしわを寄せてものすごく不本意そうな声で付け足す。
それを聞いた俺は思わず叫んでいた。
「そんなわけあるか。誰にでもするわけないだろう。愛あればこその行為だ。今までもないけど、コレから一生ムツキ以外にはしないよ」
そう言うミリィのあとに、それまで黙って聞いていたナツメが顔を赤くして話しかけてきた。
「……あの、ムツキはミリオネア様とは、その……拒否とか拒絶とか、大丈夫だったんでしょ?」
「え? そりゃあ、別に何とも……。何ならとても気持ちい───って違う! 今のなし!」
思わず口が滑った。恥ずかしい!
「それだよ、それ! 相性がよすぎると感じやすくて僕も……その、凄いんだよね───エッチが」
「……え、ええええ!? マジ!?」
「……マジ」
いくらこの五人プラス近衛騎士しかいないとはいえ、お互いの赤裸々な性生活の暴露に俺とナツメは羞恥でゆでだこ状態になったのだった。
反対に超冷静なミリィとササナギは優雅にお茶を口にしているし、ティメール師団長は和やかに俺たちの魔力の相性具合をたぶんノートにメモしてた。
近衛騎士は空気になって───いや生暖かい目で見ていたと思う。
「はいはい。独身の私にはとても耳に痛くて興味深い内容ですが、進まないのでココで仕切り直しましょう!」
「お前が言うな」
「話の進行を足止めした張本人だろうに」
ティメール師団長がノートを閉じて朗らかにそう言うとササナギとミリィがそうツッコミを入れた。
俺とナツメもハッとして、一度落ち着こうとお茶を飲む。
「まあまあ。それじゃあ次行きましょうか」
何とも言えない空気の中、全く気にした様子のないティメール師団長が手を打ってそう言った。
……この人、鋼の心臓の持ち主か、それともマイペース過ぎるのか。
ミリィ達もあまり気にしていないようだから俺も慣れないといけないのか……慣れるかな?
*何とか今日は更新出来ましたが、コレから年末年始はたぶん不定期になります。他の作品もコミで。
今更遅いよ?
「失礼しました。ええと、何ですっけ? あ、そうそう。とにかく器は凄いんですが先日まで隷属魔法で縛られていた弊害でしょう。今のムツキ様の体内魔力量はほんのわずかしかありません」
「……よく分からないんだけど、魔力って普通はどういう風に回復させるの? さっきナツメは休まないと回復しないからって言ったよね?」
ティメール師団長の言うことは何となく理解できた。
そもそも最初に捕まったときに魔法が使えないって決めつけられてたから、もしかしたら隷属魔法で魔力回復できないような縛りがあったのかもしれない。実際、魔導具はおろか生活魔法すら使えなかったわけだし。
今となってはどうだったのかなんて分からないけれど。
そして元々この世界の住人じゃない俺は基本的な常識なんて全然分からないから、ミリィによるセッ……セックスでミリィから、つまり致した相手から分けて貰うっていうのしか知らないんだよね。
俺の問いに応えてくれたのはミリィとササナギ。
「あー、上限にもよるが基本的には食事や睡眠でほとんど回復する。あとは魔力回復薬というモノがあるが一度に使用できる上限が決まっているんだ」
「MPポーションはそれなりに強い薬で、体質に合わなかったり飲み過ぎると、人によっては吐き気や頭痛などを起こす。二日酔いみたいなモノだな」
ああ、エナジードリンクとお酒を合わせたような? やっぱり適量があるんだな。
「ただ、奴隷だったときはこの世界に身体が馴染んでいなくて魔力がゼロだったからなんともなかったが、今は魔力が解放されただろう?」
「うん」
「魔力の器がちゃんと出来たことで今度は最低コレだけはないと魔力枯渇で危険だという状態になっているんだ。ただ、初日に私が魔力を多く含む精を注いで私の魔力がムツキに蓄えられていたからぎりぎり大丈夫だったらしい」
「……ふーん?」
つまり、暴走した昨日の俺の魔力は自前じゃなくてミリィから貰ったモノだったってことか。
俺は今、自分の貯金がゼロってことね。
「でも昨日の魔力暴走で私の魔力を使い切ってしまった。その上ムツキは上限が桁違い過ぎて、自然回復を待っている余裕がなくて命の危険があったから───」
「───ああ、それで夕べのセックスに繋がった訳か。……なるほど」
アレは手っ取り早く安全に魔力を譲渡して回復させる手段だったわけだ。
つまり単なる医療行為ってことで……。何だ、そういうことか。
「何を思ってるのか何となく分かるが。精を注ぐのだって魔力の相性があって、拒否反応で具合が悪くなったり不快感や嫌悪感も出る場合があるんだぞ」
「───えっ!? 誰でもいいんじゃないのか!?」
ミリィが眉にしわを寄せてものすごく不本意そうな声で付け足す。
それを聞いた俺は思わず叫んでいた。
「そんなわけあるか。誰にでもするわけないだろう。愛あればこその行為だ。今までもないけど、コレから一生ムツキ以外にはしないよ」
そう言うミリィのあとに、それまで黙って聞いていたナツメが顔を赤くして話しかけてきた。
「……あの、ムツキはミリオネア様とは、その……拒否とか拒絶とか、大丈夫だったんでしょ?」
「え? そりゃあ、別に何とも……。何ならとても気持ちい───って違う! 今のなし!」
思わず口が滑った。恥ずかしい!
「それだよ、それ! 相性がよすぎると感じやすくて僕も……その、凄いんだよね───エッチが」
「……え、ええええ!? マジ!?」
「……マジ」
いくらこの五人プラス近衛騎士しかいないとはいえ、お互いの赤裸々な性生活の暴露に俺とナツメは羞恥でゆでだこ状態になったのだった。
反対に超冷静なミリィとササナギは優雅にお茶を口にしているし、ティメール師団長は和やかに俺たちの魔力の相性具合をたぶんノートにメモしてた。
近衛騎士は空気になって───いや生暖かい目で見ていたと思う。
「はいはい。独身の私にはとても耳に痛くて興味深い内容ですが、進まないのでココで仕切り直しましょう!」
「お前が言うな」
「話の進行を足止めした張本人だろうに」
ティメール師団長がノートを閉じて朗らかにそう言うとササナギとミリィがそうツッコミを入れた。
俺とナツメもハッとして、一度落ち着こうとお茶を飲む。
「まあまあ。それじゃあ次行きましょうか」
何とも言えない空気の中、全く気にした様子のないティメール師団長が手を打ってそう言った。
……この人、鋼の心臓の持ち主か、それともマイペース過ぎるのか。
ミリィ達もあまり気にしていないようだから俺も慣れないといけないのか……慣れるかな?
*何とか今日は更新出来ましたが、コレから年末年始はたぶん不定期になります。他の作品もコミで。
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