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18 対策会議 1
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「───というわけで、もう少し確認作業をしてから対策を練りましょう!」
思い空気をぶち壊して笑いに変えたティメール師団長。
相変わらずの能天気な感じで話を進めるティメール師団長に今は救われる。
「念のために確認なんですが、ムツキ様、もう一度コレに触れてくれます?」
そう言ってヒョイッと、どこから出したのか昨日の水晶を取り出してテーブルに置く師団長に目が点になる。
「……え、今どこから? というか持ち出して大丈夫なの?」
ビックリして思わず聞き返す。
だって何かあったときのためにあの頑丈そうな部屋で使ったんだよね?
「それは私が管理してるので問題ないです。あとどこからというのは、コレですね。異空間収納という魔法で作った空間です」
ニコニコして見せてくれたソレは、何もない空中に小さな魔法陣が浮かんだモノで、その魔法陣に無造作に手を突っ込むと、何か分からないが手に握っている蔓のようなモノを俺に見せてくれた。
「え、何それ、凄い! 便利! 俺の住んでた国で流行ってる異世界を舞台にした小説に出てくる憧れの魔法!」
わくわくして前のめりになりよく見ようとしたら渋い顔のミリィに腰を掴まれて止められた。
え? 何?
「───お・ま・え・は! 何を見せてるんだ! このド阿呆!」
ササナギがこめかみに青筋を立てて再度ティメール師団長の後頭部をど突いた。うん、叩いたじゃなくて文字通りど突いたという表現が正しい。
俺は訳も分からずビクッとしてミリィにしがみついた。
「えっ!? なななに!?」
「……気にするな」
「え? え? ナツメ?」
「……黙秘で」
ミリィに聞いたらそう流されて、ナツメに聞いたらこっちも渋い顔でそう言った。
いやいや可愛い顔が台無しだよ、ナツメ。
「えええ? いや、手に取ったのはたまたまですって! ああムツキ様、コレはドレインフラワーという植生魔物の触手で種類によっては媚薬の材りょ───」
「───止めんか、バカ者!」
何かのスイッチが入ったのか、言い訳がましく怒濤の説明を並べ立ててきて、さすがのミリィも怒鳴った。
───うん。せっかく皆が誤魔化してくれたのにほとんど喋っちゃったね。俺も察したよ。
いやでも、それくらいの話、気にしないから大丈夫だよ?
俺ってどれだけ無知だと思われてんの?
さすがに経験はなくてもそれなりの知識は持ってるけどなあ。見た目子供だから?
こっそり溜め息を吐いてからミリィの袖を引いた。
「大丈夫だから。ソレよりも鑑定をして確認するんでしょ?」
「あ、ああ、そうだな。とりあえずソレはしまえ、師団長」
「はいはい。すみませんでした」
全く悪びれた様子のない師団長に苦笑して、俺は再び水晶に触れようとして───。
「……あれ、コレ、今俺の魔力って……」
「ああ、今は少しだけムツキ様の魔力が回復してますから大丈夫です」
「そうなんだ。じゃあ、はい」
またミリィの魔力で鑑定がおかしくなっても困るから聞いたら、大丈夫だと返事があったので今度こそ触れる。
すると前回のように何かが少し抜ける感覚があった。
「もう手を離して大丈夫です。ありがとうございます。───ふむ。やはり……」
「……やっぱりどこか変?」
「いえ、前回と同じく、ないはずの属性に水と風がありますね。これもやはり殿下の魔力で付加された属性です」
気になって聞くとそういう応えが返ってきた。
「先ほどナツメ様に聖魔法をかけて貰いましたよね? ですがそういった外部からの魔法は付加されないようですね」
そういえば治癒して貰ったんだっけ。ああいう外からかけられた魔法は受け付けないってことなのかな?
「ということは、中に注がれた魔力のみ付加されると?」
ミリィも同じことを思ったようだ。
「でしょうね。念のためにエンドフィール御夫夫にも鑑定をお願いしてよろしいでしょうか?」
「かまわん。あと俺たちのことも面倒だから私的な場では名前で呼べ」
「僕も、その、直属の上司ですし、かまいません」
「では遠慮なく呼ばせていただきますね。ササナギ様とナツメ君もお願いします。ナツメ君はご懐妊中ですから毎日魔力を注いでますよね?」
「……ああ」
「……はい」
……めちゃくちゃ聞きにくい内容なのに何でもないようにサラッと聞いたよ、この人。
ていうか妊娠中もセックス必須なんだ?
しかし師団長は魔法関係に関しては単なる研究とか実験体としか思ってないんだろうな……。
さすがに明け透け過ぎてササナギもナツメもちょっと気まずげだよ。
「……ということは条件は殿下方と同じなはずですが───。ああ、やはりムツキ様だけの特別な能力ですね」
「……確かに俺達の属性に変化はないな」
「そうですね。試しにナツメ君がムツキ様に魔力譲渡をして貰うことは可能ですか?」
「えっ!?」
ソレってどういう!? まさか身体を合わせて中出ししろってこと!?
思わず驚きの声をあげたら師団長が慌てて教えてくれた。
「───あ、直接どうこうじゃなくてですね、手を握ったりという接触で意識して魔力を相手に流すということです!」
「───おお、はい。そうなんだ。分かりました」
「ごめんね、何も知らないと驚くよね? あとで僕が色々詳しく教えてあげるからね。あの、イヤな感じとか具合が悪くなったらすぐに言ってね」
「うん、よろしく」
そういう譲渡が一般的ってことかな?
そんなことを考えていると、繋いだ手からじんわりと暖かく優しい日だまりのようなモノが流れ込んできた。
「……あったかい」
「そう? 自分じゃよく分からないけど」
「凄く優しくて……泣きたくなる」
顔もよく覚えていない両親が抱きしめてくれたときのような、どこまでも優しくて包み込むような魔力だった。
これはナツメが聖魔法を使えるのも納得だよ。
まさしく癒しだった。
*今日の午前中にポチッと間違えてこれの次話の書きかけを一瞬だけ投稿してしまったのですが、すぐに取り消したので大丈夫かと思います。が、万が一気付いた方はスルーしてこのあとの更新をお待ち下さい。
思い空気をぶち壊して笑いに変えたティメール師団長。
相変わらずの能天気な感じで話を進めるティメール師団長に今は救われる。
「念のために確認なんですが、ムツキ様、もう一度コレに触れてくれます?」
そう言ってヒョイッと、どこから出したのか昨日の水晶を取り出してテーブルに置く師団長に目が点になる。
「……え、今どこから? というか持ち出して大丈夫なの?」
ビックリして思わず聞き返す。
だって何かあったときのためにあの頑丈そうな部屋で使ったんだよね?
「それは私が管理してるので問題ないです。あとどこからというのは、コレですね。異空間収納という魔法で作った空間です」
ニコニコして見せてくれたソレは、何もない空中に小さな魔法陣が浮かんだモノで、その魔法陣に無造作に手を突っ込むと、何か分からないが手に握っている蔓のようなモノを俺に見せてくれた。
「え、何それ、凄い! 便利! 俺の住んでた国で流行ってる異世界を舞台にした小説に出てくる憧れの魔法!」
わくわくして前のめりになりよく見ようとしたら渋い顔のミリィに腰を掴まれて止められた。
え? 何?
「───お・ま・え・は! 何を見せてるんだ! このド阿呆!」
ササナギがこめかみに青筋を立てて再度ティメール師団長の後頭部をど突いた。うん、叩いたじゃなくて文字通りど突いたという表現が正しい。
俺は訳も分からずビクッとしてミリィにしがみついた。
「えっ!? なななに!?」
「……気にするな」
「え? え? ナツメ?」
「……黙秘で」
ミリィに聞いたらそう流されて、ナツメに聞いたらこっちも渋い顔でそう言った。
いやいや可愛い顔が台無しだよ、ナツメ。
「えええ? いや、手に取ったのはたまたまですって! ああムツキ様、コレはドレインフラワーという植生魔物の触手で種類によっては媚薬の材りょ───」
「───止めんか、バカ者!」
何かのスイッチが入ったのか、言い訳がましく怒濤の説明を並べ立ててきて、さすがのミリィも怒鳴った。
───うん。せっかく皆が誤魔化してくれたのにほとんど喋っちゃったね。俺も察したよ。
いやでも、それくらいの話、気にしないから大丈夫だよ?
俺ってどれだけ無知だと思われてんの?
さすがに経験はなくてもそれなりの知識は持ってるけどなあ。見た目子供だから?
こっそり溜め息を吐いてからミリィの袖を引いた。
「大丈夫だから。ソレよりも鑑定をして確認するんでしょ?」
「あ、ああ、そうだな。とりあえずソレはしまえ、師団長」
「はいはい。すみませんでした」
全く悪びれた様子のない師団長に苦笑して、俺は再び水晶に触れようとして───。
「……あれ、コレ、今俺の魔力って……」
「ああ、今は少しだけムツキ様の魔力が回復してますから大丈夫です」
「そうなんだ。じゃあ、はい」
またミリィの魔力で鑑定がおかしくなっても困るから聞いたら、大丈夫だと返事があったので今度こそ触れる。
すると前回のように何かが少し抜ける感覚があった。
「もう手を離して大丈夫です。ありがとうございます。───ふむ。やはり……」
「……やっぱりどこか変?」
「いえ、前回と同じく、ないはずの属性に水と風がありますね。これもやはり殿下の魔力で付加された属性です」
気になって聞くとそういう応えが返ってきた。
「先ほどナツメ様に聖魔法をかけて貰いましたよね? ですがそういった外部からの魔法は付加されないようですね」
そういえば治癒して貰ったんだっけ。ああいう外からかけられた魔法は受け付けないってことなのかな?
「ということは、中に注がれた魔力のみ付加されると?」
ミリィも同じことを思ったようだ。
「でしょうね。念のためにエンドフィール御夫夫にも鑑定をお願いしてよろしいでしょうか?」
「かまわん。あと俺たちのことも面倒だから私的な場では名前で呼べ」
「僕も、その、直属の上司ですし、かまいません」
「では遠慮なく呼ばせていただきますね。ササナギ様とナツメ君もお願いします。ナツメ君はご懐妊中ですから毎日魔力を注いでますよね?」
「……ああ」
「……はい」
……めちゃくちゃ聞きにくい内容なのに何でもないようにサラッと聞いたよ、この人。
ていうか妊娠中もセックス必須なんだ?
しかし師団長は魔法関係に関しては単なる研究とか実験体としか思ってないんだろうな……。
さすがに明け透け過ぎてササナギもナツメもちょっと気まずげだよ。
「……ということは条件は殿下方と同じなはずですが───。ああ、やはりムツキ様だけの特別な能力ですね」
「……確かに俺達の属性に変化はないな」
「そうですね。試しにナツメ君がムツキ様に魔力譲渡をして貰うことは可能ですか?」
「えっ!?」
ソレってどういう!? まさか身体を合わせて中出ししろってこと!?
思わず驚きの声をあげたら師団長が慌てて教えてくれた。
「───あ、直接どうこうじゃなくてですね、手を握ったりという接触で意識して魔力を相手に流すということです!」
「───おお、はい。そうなんだ。分かりました」
「ごめんね、何も知らないと驚くよね? あとで僕が色々詳しく教えてあげるからね。あの、イヤな感じとか具合が悪くなったらすぐに言ってね」
「うん、よろしく」
そういう譲渡が一般的ってことかな?
そんなことを考えていると、繋いだ手からじんわりと暖かく優しい日だまりのようなモノが流れ込んできた。
「……あったかい」
「そう? 自分じゃよく分からないけど」
「凄く優しくて……泣きたくなる」
顔もよく覚えていない両親が抱きしめてくれたときのような、どこまでも優しくて包み込むような魔力だった。
これはナツメが聖魔法を使えるのも納得だよ。
まさしく癒しだった。
*今日の午前中にポチッと間違えてこれの次話の書きかけを一瞬だけ投稿してしまったのですが、すぐに取り消したので大丈夫かと思います。が、万が一気付いた方はスルーしてこのあとの更新をお待ち下さい。
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