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第一章 フォレスター編
ちょっとソコまで その2
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ようやく西門を出て平原へ来た。こっちはこの先、森が続いている。
「人は住んでないの?」
「そうだな、人はいないかな?」
クラビスが言った言葉が引っかかった。
「人は? 人以外はいるってこと?」
フェイがニコッと笑う。
「そう。豊かな森があるってことは・・・?」
「エルフがいる?!」
「正解。馬鹿に出来ないね、異世界の想像物は。もしかするとアルカスみたいに向こうに行ったヤツがいて広めたとか?」
クラビスが感心しているが。
「俺みたいってより、転生者とかじゃないかなあ? 違う世界に生まれ変わって、ある日記憶が甦るって物語もある」
「ああ、そうかもね。不思議だな」
「話を聞くと色々面白いよね」
そんな雑談をしながらやって来た平原。
所々に初心者っぽい冒険者が薬草採取をしているのが見える。
こっちを気にしてか、チラチラ視線が来る。
まあ、高ランクが2人もいたら気になるよね。一緒にいるのがちんちくりんな・・・考えるのは止めよう。
2人は慣れてるのか、気にも止めない。
「薬草はまた今度。そもそもお前は鑑定もちだし、慌てて憶えなくてもいい」
クラビスにそう言われて、それもそうかと思う。
鑑定さん、君に任せた。
「もう少し奥に行くと魔物のエンカウント上がるよ」
フェイが教えてくれる。
じゃあそっちに移動を・・・と歩みを進めたら。
「あのっ、SランクのクラビスさんとAランクのフェイさんですよね? こんなところでどうしたんですか?」
俺達に声をかけてきた勇者がいた。ナルホド、憧れの存在にいても立ってもいられなかったって感じ?
なんかモヤッとしたんだけど。
まあ俺は眼中にないみたい。別にいいけどね。面倒くさいし。
「・・・そうだけど。君に言う必要ある?」
クラビスがすうっと表情を消して無感情に言った。
・・・クラビスって普段はこんな感じなのか?
俺に対する態度がアレだから気にしてなかったけど、そういえばよく皆にビックリされてた。アレって、そう言うこと?
俺だけに甘々・・・。
思い至って顔が熱くなった。よかった、フード被ってて!
そんなことを考えているうちに、さっきの勇者(冒険初心者)が更に話しかけてきた。
「え、だってこんな場所に来る必要ない人達でしょ? 気になって・・・」
「関係ない」
バッサリ斬り捨てるクラビス。
取り付く島もないなあ、なんて思ってたら矛先がこっちに向いた。
「おい! さてはお前、金にモノをいわせて、2人を護衛にしたな!! ここはガキが来るところじゃねえ!! お遊びなら帰れ!」
あちゃあ・・・。
いやそもそも、金で動くような人たちじゃないと思う。
そりゃあ俺、フードで顔が見えないし、ちっさくてガキっぽいし、装備も真新しいし?
見た目ならいいとこのお坊ちゃんだけどね。(実際お貴族様)
気持ちは分かるけど、ソレは悪手だ。
その証拠に。
「あ~あ・・・。知らんぞ?」
フェイが目元を片手で押さえて天を仰いだ。
クラビスが静かに怒ってる。
俺には向いてないが、威圧っぽいのが出てる気がする。
「・・・ヒッ」
さっきの子は真っ青な顔でガタガタ震えて、座り込んでいた。
腰が抜けてしまったようだ。自業自得だ。
そしてとばっちりを喰らった周りの初心者諸君、ついでにたまたま居合わせた中堅ぽい冒険者さん、ご愁傷様です。
メッチャ青ざめてる。
・・・仕方ないなあ。溜息を吐いて声をかける。
「クラビス。俺は大丈夫だから止めたげて?」
「・・・・・・アルカスがいいなら。おいお前、二度はない。憶えておけ」
凍り付きそうな絶対零度の目で、もの凄い低い声でそう言った。
やっぱり、こっちが普段のクラビスなんだな。
再び溜息を吐いて、ギルドカードを出して少年(いや成人だが俺的には少年の部類)に見えるように掲げて、ついでにフードも取ってやった。
「俺は確かに登録したばかりの初心者だが、19才だ。そんでもって俺はクラビスの『嫁』だから。俺の旦那に粉かけんじゃねえよ」
さっき俺を無視してクラビスに話しかけたとき、なんかモヤッとしたんだけど、アレって嫉妬だったんだな。
「え、嘘」
ギョッとして俺を見る少年。周りの人達も『嘘だろ?!』みたいな顔。
・・・・・・ソレって歳? 嫁? どっちに対して?! 分かんねえよ!
そんでもってフェイさんや、またツボってるね?
崩れ落ちそうなくらい腹を抱えているが声になってない。腹筋大丈夫なんだろうか? まあ割れてるらしいし、大丈夫なんだろう。
クラビスも落ち着いたようだ。大惨事にならなくてよかった。
俺の旦那に・・・のくだりで機嫌が直ったようです。よきよき。
俺? もう自分でガッツリ『嫁』の自覚しているから。気にしないよ? 慣れたぜ!
・・・たまに遠い目をするのはシカタナイデスヨ。
「ほら、さっさと奥に行くぞ」
クラビスが促す。
「イエッサー」
「何、そのかけ声」
何とか笑いをおさめたフェイが聞いてきたので教える。
「了解しましたって意味の、外国語。陸軍が上官の命令に返事するときに使うみたい。ちなみに海軍はアイアイサーって言うらしいよ。後はアイアイキャプテンとか」
「へえ、面白い」
なんて話ながら奥の森の方へ歩いて行った。
残された冒険者達は呆然としていた。
年齢や嫁にも驚いたが、子供だと思っていた小柄な子が『アルカス様』だと気付いたからだ。
黒髪にエメラルドグリーンの瞳は夜にはきっとルビーレッドになるのだろう。
少しずつ噂にはなっていた。行方不明のフォレスター家の末っ子が見つかったと。
だが諸事情でまだ表には出てこないと。
クラビスが従者兼護衛なのは周知の事実。そのクラビスが付き従っていることに気づくべきだった。
たとえ子供のような体格であっても。
身に着けていた物はかけ出しの冒険者が持つ物ではなかったし、クラビスの他にフェイもいた。さすがにいいところの子供でもあの2人を護衛には出来ない。
消去法で、必然的に領主関係と知れた。
よく考えずに突っ走った彼の自業自得である。
「人は住んでないの?」
「そうだな、人はいないかな?」
クラビスが言った言葉が引っかかった。
「人は? 人以外はいるってこと?」
フェイがニコッと笑う。
「そう。豊かな森があるってことは・・・?」
「エルフがいる?!」
「正解。馬鹿に出来ないね、異世界の想像物は。もしかするとアルカスみたいに向こうに行ったヤツがいて広めたとか?」
クラビスが感心しているが。
「俺みたいってより、転生者とかじゃないかなあ? 違う世界に生まれ変わって、ある日記憶が甦るって物語もある」
「ああ、そうかもね。不思議だな」
「話を聞くと色々面白いよね」
そんな雑談をしながらやって来た平原。
所々に初心者っぽい冒険者が薬草採取をしているのが見える。
こっちを気にしてか、チラチラ視線が来る。
まあ、高ランクが2人もいたら気になるよね。一緒にいるのがちんちくりんな・・・考えるのは止めよう。
2人は慣れてるのか、気にも止めない。
「薬草はまた今度。そもそもお前は鑑定もちだし、慌てて憶えなくてもいい」
クラビスにそう言われて、それもそうかと思う。
鑑定さん、君に任せた。
「もう少し奥に行くと魔物のエンカウント上がるよ」
フェイが教えてくれる。
じゃあそっちに移動を・・・と歩みを進めたら。
「あのっ、SランクのクラビスさんとAランクのフェイさんですよね? こんなところでどうしたんですか?」
俺達に声をかけてきた勇者がいた。ナルホド、憧れの存在にいても立ってもいられなかったって感じ?
なんかモヤッとしたんだけど。
まあ俺は眼中にないみたい。別にいいけどね。面倒くさいし。
「・・・そうだけど。君に言う必要ある?」
クラビスがすうっと表情を消して無感情に言った。
・・・クラビスって普段はこんな感じなのか?
俺に対する態度がアレだから気にしてなかったけど、そういえばよく皆にビックリされてた。アレって、そう言うこと?
俺だけに甘々・・・。
思い至って顔が熱くなった。よかった、フード被ってて!
そんなことを考えているうちに、さっきの勇者(冒険初心者)が更に話しかけてきた。
「え、だってこんな場所に来る必要ない人達でしょ? 気になって・・・」
「関係ない」
バッサリ斬り捨てるクラビス。
取り付く島もないなあ、なんて思ってたら矛先がこっちに向いた。
「おい! さてはお前、金にモノをいわせて、2人を護衛にしたな!! ここはガキが来るところじゃねえ!! お遊びなら帰れ!」
あちゃあ・・・。
いやそもそも、金で動くような人たちじゃないと思う。
そりゃあ俺、フードで顔が見えないし、ちっさくてガキっぽいし、装備も真新しいし?
見た目ならいいとこのお坊ちゃんだけどね。(実際お貴族様)
気持ちは分かるけど、ソレは悪手だ。
その証拠に。
「あ~あ・・・。知らんぞ?」
フェイが目元を片手で押さえて天を仰いだ。
クラビスが静かに怒ってる。
俺には向いてないが、威圧っぽいのが出てる気がする。
「・・・ヒッ」
さっきの子は真っ青な顔でガタガタ震えて、座り込んでいた。
腰が抜けてしまったようだ。自業自得だ。
そしてとばっちりを喰らった周りの初心者諸君、ついでにたまたま居合わせた中堅ぽい冒険者さん、ご愁傷様です。
メッチャ青ざめてる。
・・・仕方ないなあ。溜息を吐いて声をかける。
「クラビス。俺は大丈夫だから止めたげて?」
「・・・・・・アルカスがいいなら。おいお前、二度はない。憶えておけ」
凍り付きそうな絶対零度の目で、もの凄い低い声でそう言った。
やっぱり、こっちが普段のクラビスなんだな。
再び溜息を吐いて、ギルドカードを出して少年(いや成人だが俺的には少年の部類)に見えるように掲げて、ついでにフードも取ってやった。
「俺は確かに登録したばかりの初心者だが、19才だ。そんでもって俺はクラビスの『嫁』だから。俺の旦那に粉かけんじゃねえよ」
さっき俺を無視してクラビスに話しかけたとき、なんかモヤッとしたんだけど、アレって嫉妬だったんだな。
「え、嘘」
ギョッとして俺を見る少年。周りの人達も『嘘だろ?!』みたいな顔。
・・・・・・ソレって歳? 嫁? どっちに対して?! 分かんねえよ!
そんでもってフェイさんや、またツボってるね?
崩れ落ちそうなくらい腹を抱えているが声になってない。腹筋大丈夫なんだろうか? まあ割れてるらしいし、大丈夫なんだろう。
クラビスも落ち着いたようだ。大惨事にならなくてよかった。
俺の旦那に・・・のくだりで機嫌が直ったようです。よきよき。
俺? もう自分でガッツリ『嫁』の自覚しているから。気にしないよ? 慣れたぜ!
・・・たまに遠い目をするのはシカタナイデスヨ。
「ほら、さっさと奥に行くぞ」
クラビスが促す。
「イエッサー」
「何、そのかけ声」
何とか笑いをおさめたフェイが聞いてきたので教える。
「了解しましたって意味の、外国語。陸軍が上官の命令に返事するときに使うみたい。ちなみに海軍はアイアイサーって言うらしいよ。後はアイアイキャプテンとか」
「へえ、面白い」
なんて話ながら奥の森の方へ歩いて行った。
残された冒険者達は呆然としていた。
年齢や嫁にも驚いたが、子供だと思っていた小柄な子が『アルカス様』だと気付いたからだ。
黒髪にエメラルドグリーンの瞳は夜にはきっとルビーレッドになるのだろう。
少しずつ噂にはなっていた。行方不明のフォレスター家の末っ子が見つかったと。
だが諸事情でまだ表には出てこないと。
クラビスが従者兼護衛なのは周知の事実。そのクラビスが付き従っていることに気づくべきだった。
たとえ子供のような体格であっても。
身に着けていた物はかけ出しの冒険者が持つ物ではなかったし、クラビスの他にフェイもいた。さすがにいいところの子供でもあの2人を護衛には出来ない。
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