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第三章 辺境編
久々のギルドは居心地が悪かった
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結局二度寝をして、起きたのは9時過ぎ。
なんかねえ、二度寝ってさあ、気持ちいいんだよね?
起きるときはめちゃくちゃ怠いんだけど。
甲斐甲斐しくクラビスに世話をされて、遅い朝食。
他の皆は早いうちに起きて、各自仕事をしたり用事を済ませたり。
遅くなってゴメンね?
クラビスのせい!(たぶん)
「食休みしてからギルドに行こうと思ってる」
「例の調査の依頼だね」
「ギルドで確認してから正式に受けるつもりだから、行くときはリリーとフェイ、ウィステリア様も一緒の予定だ」
「皆は分かってるの?」
「連絡済みだ。11時頃集まるだろう。それまでは少しゆっくりしていいぞ」
と言っても、特に何もないなあ。
あっ、馬モフりたい!
「もふもふ!」
それにクラビスが苦笑した。
「本当に好きだなあ。もう馬に嫉妬する気持ちも無いわ」
「クラビスがもふもふしてたら、それはそれで・・・」
猫耳、尻尾、手と足は肉球もふもふの毛・・・。
それはそれでいい!
「いいんだ?」
「はっ! 声に出てた?!」
「しっかりと。まぁ馬は今からはちょっと無理かな? ゴメンね?」
いや、我が儘言わないよ!
大丈夫。
俺はマテを出来る子!
なんて雑談をしているうちに皆ゾロゾロ集まってきた。
「おそようさん!」
「・・・ウン、オソヨウデス」
コレ、絶対朝のアレコレ分かってるよね?!
恥ずかしい!
「新婚ほやほや蜜月なんだぞ。起きてるだけいいほうだ!」
いやそれもどうなの、リリーさんや?
「初々しいの」
そんな爺目線で見ないでウィステリアさん。
生暖かい使用人の目・・・。
・・・うん、もういいや、別に。
気にしたら負けだ!
それよりもギルドに行かねば!
そして久々に歩いてギルドに着いたんだけど。
何で俺、絡まれてんのかね・・・?
「おいおい坊主、ここはお前みたいなボンボンのガキが来る所じゃねえんだよ!」
「ママのおっぱいでも貰っておうちで寝んねしてな!」
・・・うん、すげーテンプレ。
唖然として反応出来なかったわ。
何でこうなったかというと・・・。
ギルドに到着。
受付でギルマスに面会を申し込む。
ギルマスの予定を確認中。
クラビスが買取カウンターに素材を売りに行く。
俺が食堂兼酒場を見たくてフェイに連れてって貰う(フェイってところがミソ)。
酔っ払った冒険者2人に絡まれる。←今ここ。
何でクラビスと離れた途端にこんなのに絡まれるんだ?
こういう時こそ『強運者』仕事して!
フェイ、俺達ローブのフードで顔が見えないからいいけど、笑い堪えてぷるぷる震えているの、絶対に怖がってると思われてるよ。
そんで、リリーとウィステリアは依頼の掲示板を見に行ってて、気付いてコッチを見てるけど笑ってるよね? 酷くない?!
「俺は! 20歳の大人! ガキじゃねえ!」
「ぶはっ・・・!!」
とうとう吹き出したよ、この人。
もう何度目だよ、この件!!
手慣れちまったギルドカードの提示。
ガッツリ見せてフードをとる。
「小っさくて悪かったな! 人は外見じゃねえ!」
ぜえぜえ息を切らして大声で叫んでやった!
絡んだ冒険者は唖然として固まっている。
背後に気を付けな!
クラビスが笑ってない目で見ているぜ?
「お前ら、俺の嫁に何言いがかりつけてんだ」
「・・・ひぃ・・・」
ギギギと振り返る二人。
クラビスと目があった瞬間、死んだ。
目線で殺せるクラビス、格好いい・・・!
「はいはい、ごちそうさま」
「じゃねえよ。お前がついていながら何絡まれてんだよ? ホント、一瞬でも目が離せねえな」
クラビス、むっちゃ口悪い。ギャップが・・・!
「いやあ、止める間もなく? 面白かった」
「フェイってそういうヤツだよな? 知ってた」
ニヤリと笑うフェイの顔が悪役だよ。
やっぱりクラビスといるのが一番。
「クラビスの嫁でよかった!」
「そうだろう。愛してるよ、アルカス!」
「俺も愛してる!」
「おい、ここ冒険者ギルド」
フェイのツッコミで我に返った。
途端にカーッと顔が赤くなった。
リリー達も苦笑している。
「うわーうわーやらかした! クラビス、ギルマスは?! 早く行こう!!」
恥ずかしい!
そんなわたわたしてるアルカスを見ながら、ここを拠点としている馴染みの冒険者はほのぼのとし、最近来たばかりの冒険者や新人はアルカスの事を知らないので??としていた。
絡んだ冒険者はもちろん後者で、酔っ払った勢いもあるが、周りを良く見ていなかったせいで、アルカスについていたのが特級、S、Aクラスの冒険者と気付いていなかった。
気付いていればこんな目には遭わずにすんだのに・・・と、呆れた目を向けられていた。
ここはフォレスター領のお膝元の街イース。
誰も彼もがフォレスター家の内情を知っている。
行方不明だったアルカス様の帰還をどれ程喜んだか。
それこそ目に入れても痛くない程の可愛がりよう。
だから街の者も皆、アルカス様を可愛がり、見守っている。
冒険者ギルドからポイ捨てされた二人がその後どうなったかは想像に難くない。
なんかねえ、二度寝ってさあ、気持ちいいんだよね?
起きるときはめちゃくちゃ怠いんだけど。
甲斐甲斐しくクラビスに世話をされて、遅い朝食。
他の皆は早いうちに起きて、各自仕事をしたり用事を済ませたり。
遅くなってゴメンね?
クラビスのせい!(たぶん)
「食休みしてからギルドに行こうと思ってる」
「例の調査の依頼だね」
「ギルドで確認してから正式に受けるつもりだから、行くときはリリーとフェイ、ウィステリア様も一緒の予定だ」
「皆は分かってるの?」
「連絡済みだ。11時頃集まるだろう。それまでは少しゆっくりしていいぞ」
と言っても、特に何もないなあ。
あっ、馬モフりたい!
「もふもふ!」
それにクラビスが苦笑した。
「本当に好きだなあ。もう馬に嫉妬する気持ちも無いわ」
「クラビスがもふもふしてたら、それはそれで・・・」
猫耳、尻尾、手と足は肉球もふもふの毛・・・。
それはそれでいい!
「いいんだ?」
「はっ! 声に出てた?!」
「しっかりと。まぁ馬は今からはちょっと無理かな? ゴメンね?」
いや、我が儘言わないよ!
大丈夫。
俺はマテを出来る子!
なんて雑談をしているうちに皆ゾロゾロ集まってきた。
「おそようさん!」
「・・・ウン、オソヨウデス」
コレ、絶対朝のアレコレ分かってるよね?!
恥ずかしい!
「新婚ほやほや蜜月なんだぞ。起きてるだけいいほうだ!」
いやそれもどうなの、リリーさんや?
「初々しいの」
そんな爺目線で見ないでウィステリアさん。
生暖かい使用人の目・・・。
・・・うん、もういいや、別に。
気にしたら負けだ!
それよりもギルドに行かねば!
そして久々に歩いてギルドに着いたんだけど。
何で俺、絡まれてんのかね・・・?
「おいおい坊主、ここはお前みたいなボンボンのガキが来る所じゃねえんだよ!」
「ママのおっぱいでも貰っておうちで寝んねしてな!」
・・・うん、すげーテンプレ。
唖然として反応出来なかったわ。
何でこうなったかというと・・・。
ギルドに到着。
受付でギルマスに面会を申し込む。
ギルマスの予定を確認中。
クラビスが買取カウンターに素材を売りに行く。
俺が食堂兼酒場を見たくてフェイに連れてって貰う(フェイってところがミソ)。
酔っ払った冒険者2人に絡まれる。←今ここ。
何でクラビスと離れた途端にこんなのに絡まれるんだ?
こういう時こそ『強運者』仕事して!
フェイ、俺達ローブのフードで顔が見えないからいいけど、笑い堪えてぷるぷる震えているの、絶対に怖がってると思われてるよ。
そんで、リリーとウィステリアは依頼の掲示板を見に行ってて、気付いてコッチを見てるけど笑ってるよね? 酷くない?!
「俺は! 20歳の大人! ガキじゃねえ!」
「ぶはっ・・・!!」
とうとう吹き出したよ、この人。
もう何度目だよ、この件!!
手慣れちまったギルドカードの提示。
ガッツリ見せてフードをとる。
「小っさくて悪かったな! 人は外見じゃねえ!」
ぜえぜえ息を切らして大声で叫んでやった!
絡んだ冒険者は唖然として固まっている。
背後に気を付けな!
クラビスが笑ってない目で見ているぜ?
「お前ら、俺の嫁に何言いがかりつけてんだ」
「・・・ひぃ・・・」
ギギギと振り返る二人。
クラビスと目があった瞬間、死んだ。
目線で殺せるクラビス、格好いい・・・!
「はいはい、ごちそうさま」
「じゃねえよ。お前がついていながら何絡まれてんだよ? ホント、一瞬でも目が離せねえな」
クラビス、むっちゃ口悪い。ギャップが・・・!
「いやあ、止める間もなく? 面白かった」
「フェイってそういうヤツだよな? 知ってた」
ニヤリと笑うフェイの顔が悪役だよ。
やっぱりクラビスといるのが一番。
「クラビスの嫁でよかった!」
「そうだろう。愛してるよ、アルカス!」
「俺も愛してる!」
「おい、ここ冒険者ギルド」
フェイのツッコミで我に返った。
途端にカーッと顔が赤くなった。
リリー達も苦笑している。
「うわーうわーやらかした! クラビス、ギルマスは?! 早く行こう!!」
恥ずかしい!
そんなわたわたしてるアルカスを見ながら、ここを拠点としている馴染みの冒険者はほのぼのとし、最近来たばかりの冒険者や新人はアルカスの事を知らないので??としていた。
絡んだ冒険者はもちろん後者で、酔っ払った勢いもあるが、周りを良く見ていなかったせいで、アルカスについていたのが特級、S、Aクラスの冒険者と気付いていなかった。
気付いていればこんな目には遭わずにすんだのに・・・と、呆れた目を向けられていた。
ここはフォレスター領のお膝元の街イース。
誰も彼もがフォレスター家の内情を知っている。
行方不明だったアルカス様の帰還をどれ程喜んだか。
それこそ目に入れても痛くない程の可愛がりよう。
だから街の者も皆、アルカス様を可愛がり、見守っている。
冒険者ギルドからポイ捨てされた二人がその後どうなったかは想像に難くない。
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