【完結】水と夢の中の太陽

エウラ

文字の大きさ
65 / 90
第三章 辺境編

コカトリス

しおりを挟む
アルカスが落ち着くのを待って、森の入り口から離れた平原に移動した。

騎士達は辺りの警戒と馬の世話をしている。

どうやら落ち着いたらしいアルカスがごめんなさいと謝罪を口にした。

「謝る必要は無い。逆にこちらが助かったのだ。辛い思いをしてまで持ち帰った情報は役に立ったよ、感謝するのはこちらだ」

アーサーが心から言ったので安心したようだ。

「それにしてもコカトリスとは・・・ちょっと想定外だったな」

フェイが思案顔で言う。
何かに追われて出た可能性は持っていたが、予想外の大物で戸惑う。
一度戻ってギルドに報告をしてから対策を練らなくてはならない。

ただ、そのコカトリスも割と浅い場所に居る事が分かった今、このまま放置して戻るわけにもいかない。
いつこちらに被害が出るか分からないのだ。

皆が最適案を出しあぐねている中、アルカスがクラビスに言った。

「クラビス、使っていい魔石とかって有る?」
「ああ、そんなのはごろごろ有るが、どうするんだ?」
「ごろご・・・・・・、ああ、えっと、その魔石に俺の結界魔法を込めて、四隅に置いてね、こう、ピラミッド型・・・ええと、四角錐に発動して閉じ込めるのって出来そうかな?って」

ほら、俺の結界ってこの間見せたように頑丈じゃない?
さすがに森全体は大変だからさあ。
・・・って言ったら、皆が目から鱗が落ちたようだった。

「その手があった!」

アーサーがキラン!とした目で叫んだ。
フェイがすかさずクラビスに尋ねる。

「クラビス、魔石は出来るだけデカくて良質で大きさが揃ってるヤツで!」
「ああ、ちょうど竜種のヤツが4個有る。これでいけるか?」
「え、そんなのあるの?! しかも4つ?!」

最後のはアルカスだ。
そりゃあ竜種の魔石4個は驚くだろう。

「さすがはクラビスだの。当然のように持っているとは」
「・・・有り得ねえ。一つでも凄いのに・・・・・・」

ウィスタリアとリリーも感心しきりだ。

「じゃあ、これ使わせてもらうね。・・・・・・うーん。ほいっ!」
「何、その間抜けなかけ声・・・・・・」
「アルカスらしいが」
「煩いなあ。出来れば何でもいいんだよ!」

フェイの言葉にぷんすか口を尖らせるアルカスに笑いが溢れる。
出来上がった結界の魔石は、鑑定の結果、国宝級の出来になっていた。

皆、乾いた笑いしか出なかったという・・・。

そして、じゃあこの魔石を誰が設置しに行くかという話になり。

アーサーをこっそり呼んで、防音結界を張って暴露した。もちろん皆の許可は取った。

曰く、転移魔法を使えるので、べんりなマップくんを使って四方に魔石を転移して起動させると。
魔石は基本アルカスの魔力が尽きるまで起動できる。
破壊出来ないように魔石自体にも防御結界機能をつけてあるので、ほとんど破壊不可なこと。

それらを説明して、転移魔法が普通に使えることは秘密にして貰った。

「そんなこと、当然だ。この剣に誓って何があろうと約束は守る」

男前な台詞にちょっとどきどきして、クラビスににっこり笑顔を貰った。
うん。目が笑ってねえ!

お仕置き確定だな・・・・・・。

ともかく、そんなわけで結界魔石をちゃちゃっと転移して起動してみました。

・・・・・・うん。ちゃんと起動してます。大丈夫!

そういうわけで、ひとまずアーサーの邸に戻ることになった。

ああ、俺のスローライフが遠退くぜ・・・・・・。




*もう一つの長編小説とたまたま戦闘シーンが被ってしまい、こんがらがったので向こうが落ち着くまで時間がかかりました。スミマセン*
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ
BL
 神の家でステンドグラスを作っていた俺は地上に落とされた。俺の出来る事は硝子細工だけなのに。  硝子じゃお腹も膨れない!硝子じゃ魔物は倒せない!どうする、俺?!  設定はふんわりしております。 少し痛々しい。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

世界が僕に優しくなったなら、

熾ジット
BL
「僕に番なんていない。僕を愛してくれる人なんて――いないんだよ」 一方的な番解消により、体をおかしくしてしまったオメガである主人公・湖川遥(こがわはる)。 フェロモンが安定しない体なため、一人で引きこもる日々を送っていたが、ある日、見たことのない場所――どこかの森で目を覚ます。 森の中で男に捕まってしまった遥は、男の欲のはけ口になるものの、男に拾われ、衣食住を与えられる。目を覚ました場所が異世界であると知り、行き場がない遥は男と共に生活することになった。 出会いは最悪だったにも関わらず、一緒に暮らしていると、次第に彼への見方が変わっていき……。 クズ男×愛されたがりの異世界BLストーリー。 【この小説は小説家になろうにも投稿しています】

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない

春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。 路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。 「――僕を見てほしいんです」 奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。 愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。 金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

処理中です...