【完結】水と夢の中の太陽

エウラ

文字の大きさ
83 / 90
第五章 終章

お祝いですってよ! 奥さん!!

しおりを挟む
エルフの里でのひと騒動が落ち着き、ぐったりしていた約2名が復活したので、フォレスター領に帰ることになった。

その際、フェイはエルバートに転移魔法を見せて直ぐに戻れる事をアピールしていた。
そうでもしないと軟禁を通り越して監禁されそうだから。

エルバートって、『ヤンデレ』気質だよね?
うちのクラビス旦那様と同じ匂いがするんだよ・・・。

上手いこと手綱を握らないとヤベえ。
フェイ、頑張れ!


里の皆(と精霊王達)は別れを惜しんでくれた。
精霊王のお陰で気軽に来られるとはいえ、なんやかんや賑やかで楽しかったから寂しい。

フェイはエルバートに人前でキス(しかもディープなヤツ)かまされて、真っ赤になって怒ってた。
うんうん、恥ずかしいよね?
俺の気持ち分かった?
そんでもって『コイツは俺のモノだから手ぇ出すなよ』の牽制ッスね。

分かるけど、フェイは初心者だからな。
手加減してあげなよ、エルバート。
かく言う俺も初心者に毛が生えたようなモンだから。
羞恥心は人並みにあるから!

だからクラビス!

エルバートと同じ事すんじゃねぇ---!


『お前ら、絶対わざとやってるだろう!』

心の声はフェイと一緒だった。


ぐったりした俺達は移動する気力もなく、早々に転移魔法でフォレスター領の森の入り口近くに移動した。
門を出て行ったから、門から中に入らないと大騒ぎになるのです。

雑談をしながら門をくぐり抜けて、久々の街に、帰ってきたなぁと感慨深く思う。

まだほんの数ヶ月なのに、ここが俺の故郷って思えてるなんて。

チラッとクラビスを見るとニコッと返された。
当たり前にくれる笑顔それが、ココにいていいんだと、いつも思わせてくれて・・・。

「幸せだなぁ」

ポツリと言った独り言にもクラビスは反応してくれて。

「俺も幸せだよ」
「---もう、クラビス無しじゃ生きていけないかも・・・」
「! やった。それって最高!!」

ぱあっと破顔して喜ぶクラビスが可愛い。

「・・・・・・お前らなぁ・・・」

フェイがジト目で見てくるが、お前ももうすぐこうなる運命だよ。
エルバートは絶対クラビスと同類だからな。



フォレスター家に着くと、何故か家族総出で出迎えられた。

「---ただいま。皆してどうしたの? 父さん達も仕事は良いの?」
「仕事はある程度片付けてきたから大丈夫。アルカスに会いたかったし、何よりフェイが婚姻したんだ。お祝いしてやりたくてな!」
「ああ! なるほど!!」
「---え、俺、ですか?」

フェイがキョトンとして言った。
何を今更。

「俺の中ではフェイはとっくにポジだったけど? 最初から家族だと思ってたけど。ね-?」
「ね---!」

クラビス、お茶目でかわっ・・・げふんげふん。

「---あ、ありがとう・・・ございます」
「・・・ぅわあ、デレたフェイ、可愛い・・・」
「可愛い言うな!」

真っ赤になっちゃって。

「あ、そうだ。お祝いするならエルバート旦那様も呼ぼうよ。ついさっきお別れしたばかりだけど」
「それは良いの。準備が出来次第、サプライズじゃの!」

ほのほの笑ったウィステリアに、父さん達も賛同してパーティーの準備に取りかかった。

気恥ずかしくて所在なさげに彷徨くフェイを客間に押し込んで、俺達も準備に混ざった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ
BL
 神の家でステンドグラスを作っていた俺は地上に落とされた。俺の出来る事は硝子細工だけなのに。  硝子じゃお腹も膨れない!硝子じゃ魔物は倒せない!どうする、俺?!  設定はふんわりしております。 少し痛々しい。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

世界が僕に優しくなったなら、

熾ジット
BL
「僕に番なんていない。僕を愛してくれる人なんて――いないんだよ」 一方的な番解消により、体をおかしくしてしまったオメガである主人公・湖川遥(こがわはる)。 フェロモンが安定しない体なため、一人で引きこもる日々を送っていたが、ある日、見たことのない場所――どこかの森で目を覚ます。 森の中で男に捕まってしまった遥は、男の欲のはけ口になるものの、男に拾われ、衣食住を与えられる。目を覚ました場所が異世界であると知り、行き場がない遥は男と共に生活することになった。 出会いは最悪だったにも関わらず、一緒に暮らしていると、次第に彼への見方が変わっていき……。 クズ男×愛されたがりの異世界BLストーリー。 【この小説は小説家になろうにも投稿しています】

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない

春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。 路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。 「――僕を見てほしいんです」 奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。 愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。 金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

処理中です...