歴史・時代小説一覧
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1941年、クリスマス直前のマドリード。
矢嶋志貴は、上官の梶公使と共に、一人の青年と面会していた。母国の運命を、少しでも悲劇から遠ざけるために、彼の協力が必要だったのだ。
国を跨いだ諜報網を持つ、有能だが危険な男──テオバルド・アルヴァ・コルテス。しかし彼は、意外な人懐こさで志貴の心に入り込む。
「あんたにだけは、テオと呼ばれたい。……子供の頃の愛称だ、もう他に呼ぶ者もない」
陽気なラテンの色男の中に、時折垣間見える昏い情念と空虚な闇に強く惹かれる志貴と、付かず離れずの距離を保ちながらも執着するテオバルド。
そして、年上の幼馴染であり憧れの人でもある、駐在武官の衛藤一洋中佐。
2人から捧げられる真摯な愛の言葉をすべて信じることができず、志貴は退け続けるが、次第に心は揺れていく。
混迷を増す戦局の中、使命のために身動きが取れなくなっていく3人を、戦乱の大波が飲み込もうとしていた──。
◇◇◇
■性描写のある章には、※を付記しております。苦手な方はご注意ください。
■他サイトにも投稿しています。
文字数 219,287
最終更新日 2024.04.25
登録日 2024.01.20
ネット小説には、対話体小説が向いている。
登場人物が二人か三人による、ほぼ対話で進行する小説。
情景を抑えて、その場のやり取りを様々に想像していただく。
作者は登場人物の邪魔をしない、語るにまかせて筆をすべらす。
登場人物よ、どんどこと勝手にしゃべってほしい。私は、書き留める。
さあ、出てこいや……
文字数 20,504
最終更新日 2024.04.07
登録日 2023.05.20
戦で孤児となった於菊は、美濃金山城主・森長可の養女である美しい少女、万里に仕えることになる。豪商「松野屋」を実家とする万里との交流は、貧しい農民の出である於菊には想像もつかぬ広い世界をもたらした。長可の弟・乱丸と恋仲になった万里をほほえましく、同時にどこか危うい想いで見守る於菊と須磨。しかし、「松野屋」は森家の主家である織田家と敵対。遺された万里は荒波にもまれながらも、凛として気高くあろうとし、於菊と須磨も寄り添うが、時代は少女たちを容赦なく引き裂いていく。
※学生時代、とある賞に応募し、二次選考で落ちてしまった作品のリメイク版です。個人的にはとても気に入っているので、投稿させていただきます。読んでいただけると嬉しいです。
文字数 120,268
最終更新日 2023.04.14
登録日 2023.02.26
「おらたちは耐えた! でも限界だ!」
幾多も重なる税金に、不作続きの世の中、私腹を肥やしているのはごく一部の人たちだけだった。
領主は鷹狩りや歌に忙しく、辺境の地であるこの『谷の村』のことなど、一切知る由もない。
ただ、搾取され皆がその日を生き抜くのが精いっぱいだった。
そんなある日、村一番の働き手である 弥彦は 村はずれにある洞窟である箱を見つけた。
そこには、言い伝えでその昔に平家の落ち武者が逃げて隠れていたとされた洞窟で、刃の無い刀がいくつか土に埋まっている。
弥彦は箱を調べ、その場で開けてみると、中にはいくつもの本があった。 彼は字が読めないが村に来ていた旅の僧侶に読み書きを習い、その本を読み解いていく。
そして、時はながれ生活は更に苦しくなった。
弥彦の母は病におかされていた。
看病のかいもなく、他界した母の現場に現れた役人は告げた。
「臭いのぉ…。 悪臭は好かんので、ちと税を払え、皆の迷惑じゃ」
それを聞いた弥彦含め、村人たちの怒りは頂点に達し、どうせ今生きていても死ぬだけだと、自分たちの人生を賭け蜂起を決意した。
そして、村長が指名した村人たちを束ね導く存在に弥彦を。
そんな彼らの想いが駆け巡る。 歴史の中で闇に消えた物語。
文字数 100,824
最終更新日 2021.06.24
登録日 2021.05.21
日本「最怖」の怪談話として、知らない人はいない鶴屋南北の「東海道四谷怪談」
文政八(1825)年、江戸中村座で初演されて以来、歌舞伎だけではなく、映画等で数え切れないくらいリメイクされた日本を代表する怪談です。
愛する夫・伊右衛門に騙され、毒を盛られ、非業の死を遂げた女性お岩さんの怨霊が伊右衛門や、彼に協力した者達を取り殺す!
この世で最も恐ろしいのは、欧米ホラーのような殺人鬼などではなく「人の念」・・・特に「怨念」である。
世界的にも人気の高い「Jホラー」の古典にして最高傑作・・・そう言い切って良いでしょう。
しかし、この四谷怪談には全く別の話があるというのです。
明治から昭和初期にかけて活躍した小説家、岡本綺堂(1872~1939)氏の短いエッセイ「四谷怪談異説」によると、伊右衛門とお岩さんは仲睦まじい夫婦で、お岩さんは貧困のためにやむを得ず夫婦別々に暮らしていた二人が再び元のように一緒に暮らせることを願って、奉公先のお稲荷様に毎日祈願していた貞女だというのです。
朝、皆が寝静まっている早朝に屋敷の庭先の稲荷に熱心に祈願しているお岩さんの姿を屋敷の主人が目撃し、彼女から事情を聞き、二人が一緒に暮らせるよう力添えをしてくれたため、伊右衛門・お岩夫婦は再び一緒に暮らせるようになったというハッピーエンドストーリー。
現存する「於岩稲荷」は、お岩さんが夫婦が再び一緒に暮らせることを願って祈願していた祠だと言います。
・・・恐ろしい怪談話とは真逆の物語です。
本作は、そんな「もう一つの四谷怪談」を短編にしてみました。
タイトルの「夫婦元結岩咲花」は昔の歌舞伎・浄瑠璃の演目風に「めおともとゆい いわにさくはな」と読みます。
「元結」(もとゆい)は男女問わず髪を結う時に使う紐・糸のことで、伊右衛門・お岩夫婦が再び「元」に「結ばれる」とかけています。
なお、「半七捕物帳」で日本の「捕物小説」の祖となった岡本綺堂氏のエッセイ「四谷怪談異説」は、著作権が消滅しているため、青空文庫等で気軽に読むことが出来ますので併せてお読み頂けると幸いです。
文字数 5,507
最終更新日 2021.06.03
登録日 2021.05.31
昭和二十年八月九日、永井緑は命を絶たれるも、夫の隆のために霊魂は現世に留まった。
後に浦上の聖者と呼ばれた永井隆博士と妻の緑の絆を、戦争や原爆に断ち切られていいはずがなかった。
(400字詰め原稿用紙換算34枚)
この作品は、「ノベルデイズ」、「エブリスタ」にも掲載しています。
文字数 11,850
最終更新日 2021.04.06
登録日 2020.04.02
勝利王シャルル七世といえば「ジャンヌ・ダルクのおかげで王になった」と「恩人を見捨てた非情な暗愚」という印象がつきまとう、地味なフランス王です。
ですが、その生い立ちは「設定盛りすぎ」としか言いようがない。
これほど波乱の多い生涯を送った実在の人物はいないのでは…と思うほど、魅力的なキャラクターでした。
百年戦争はジャンヌだけじゃない。
知られざるキャラクターとエピソードを掘り起こしたくて……いや、私が読みたいから!
ついに自給自足で小説を書き始めました。
※表紙絵はPaul de Semantによるパブリックドメインの画像を使用しています。
文字数 2,101
最終更新日 2019.03.27
登録日 2019.03.27
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