結婚小説一覧
私はレイグという、侯爵位級の貴族様と婚約することが決まった。しかしそれは侯爵様の評判を上げるためのパフォーマンスの一環で、私たちの間に愛情関係なんていうものはなにひとつないのだった。
そしてそんなレイグ様には、ソフィーリアと言う妹がいた。彼女は兄が権力者であることを良い事に、兄を誘惑してあらゆる出来事を自分の思い通りに行ってきた。気に入らない者がいれば兄に泣きついて排除させたり、欲しいものを誰か別の人間が持っていれば無理やり奪わせたりもした。
そんな彼女が、自らの力をなくしてしまうかもしれない私の存在を、面白いと思うはずがなかった。
「この家によそ者はいらないのだけれど。あなたがここに来てから空気が濁ってたまらないの。食事だってあなたが近くにいると思いだけでおいしくなくなるし。早く出て行ってくれない?」
口をとがらせながら、心底面白くなさそうな表情で彼女は私にそう言った。
「そうは言っても…レイグ様がお決めになった事なのだからあなたに何か言われる筋合いは」
「うるさい!」
事実を的確に追及されそうになると、彼女はこうして感情的になる。
「あんたが彼を誘惑したんでしょ!彼の権力目当てに近づいておいてよくそんなことが言えたものね!」
それは自分の事でしょう?と言いたくて仕方がない。けれど言ったところで何も変わらないため、静かにやりすごす。
「…もういいわ。今度言っておくから。あんたに嫌がらせをされて仕方がないって。彼は絶対に私の味方をしてくれるのだから、そうなればあんたもおしまいよ」
捨てセリフを吐き捨てた後に、彼女は足早に私の前から姿を消していった。
「…そんなに出ていってほしいのなら、本当に出ていて行ってみようかな…」
――――
文字数 1,320
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
「幼馴染との関係を優先されるのですか?」
「幼馴染を愛して何が悪い。別に君と言う婚約者に嘘をついたわけでもないし、誰を傷つけいるわけでもない。なんら非難されるような覚えはないが、それでも僕を非難するつもりか?」
少しも現実を理解できていない様子の彼。…まぁそれも仕方がないかもしれない。恋は盲目と昔から言うし、今の彼はまさに幼馴染を前にして目の前が曇ってしまっているのだろう。
「それはそれは美しい感情であると思います。その幼馴染の方はすでにほかの男性と婚約されている。普通ならすでに愛情を失ってしまってもおかしくないかもしれませんが、あなたは違った。それでもなおこうして愛し続けている。確かにそれは素晴らしいことかもしれませんね」
私が言ったことはすべて事実だったのだけれど、どこか彼には引っかかったらしい。
「ま、まて…こ、婚約をほかの男としている…??そ、それでもなお僕が彼女を愛している…???な、なんの話だ?彼女は僕と婚約を…」
文字数 691
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
突如、ズィーガー公爵の妻となった男爵令嬢マリィ。
しかし、夫であるクリフォードは彼女に冷たく当たり目の敵にした。何故なら、クリフォードには真実の愛で結ばれた愛する人、元聖女であるシルヴィーがいたからだ。
マリィは親が勝手に決めた妻。当然、クリフォードは邪険にした。
だが、そんなクリフォードにマリィは笑みを浮かべ……。
「クリフォード様、実は私も今回の婚姻は不服なんです。お互い様ですね」
「は?」
クリフォードは知らなかった。この結婚を最も不服に思っていたのはマリィだと。
真実の愛? 存分に全うしてくださいませ。
私は私で幸せになりますので。
だが、そんなマリィにある日、赤ん坊が送られてきて……?
※序盤恋愛シーン無し。
※過去に書いた作品。供養がてら書き直したもの。
※のんびり更新。
※誤字脱字は不治の病。
文字数 139,703
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.12
「レイオン伯爵様、婚約を破棄されるおつもりというのは本当なのですか?」
伯爵の召使であり、同時に右腕としても活躍しているケイドは、そう疑問を投げた。そう言ったうわさを、彼なりの情報網が捕まえたのだろう。
「さすが、よく気づいたな。その通り、エルナとの婚約は終わりにしようかと考えている」
想像通りの答えであったためか、特別驚きはしないケイド。
「もしよろしければ、そのおこ心をお聞かせいただきたいのです」
「ああ。実は王国東側の地帯を支配する、アローゼ卿を知っているか?彼の令嬢との婚約にありつけることとなったのだ。評判においても、政治的な実力においてもかのものにかなうものなどいはしないだろう?であるならば、早々にエルナとの婚約など破棄してしまって、確かな力のある婚約へと踏み出したいのだ」
自信満々に、そして同時に上機嫌な様子でそう話をする伯爵に、ケイドはなにやら不満そうな表情を一瞬浮かべた。しかし浮かれてしまっている伯爵は、そんな大切な一瞬を見逃してしまったのだった。
「…そうでしたか。それでは今後の事は私にお任せください。後に問題を引かないように、丁寧に解決させて御覧に入れますので」
「ああ、それを頼もうとしていたところだ。まぁ相手は何の力も持たない平民出身のエルナ、少々乱暴に追放したとしても誰に非難されることもなかろうがな」
やや笑いながら余裕の様子でそう話をする伯爵に対して、ケイドはどこか緊張感を持ちながら話をしていた。
そしてしばらくの月日が経過した後に、この時の答え合わせが行われることとなるのだった…
――――
文字数 1,020
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
異世界でのダブルフェイスを悟られるな!百合×暗殺者×冒険譚!
主人公「……って、次のターゲット嫁じゃん……」
嫁「ええー……? 主人公が暗殺の標的なの? 仕方ないわね、殺すしか」
主人公「待って。判断がはやい」
◆毎日の楽しい時間つぶしになれば、幸いです。一話読むのに五分から十分を目指しますね。小説家になろうでも掲載しております◆
文字数 159,227
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.10.13
冷たい口調で、それでいて高圧的に言葉を発するのは、ミイアの婚約者であるレイノだ。彼は貴族家における地位を悪用し、この強引な婚約関係を成立させるに至った。しかしミイアはそれにありがたみなど感じていないため、彼に対して従うような態度を見せなかった。どうやら彼はそれが気に入らない様子。
「私の言葉一つで、君はここを追い出されるんだぞ?それが理解できていないのか?きみとてこの私との婚約を不意にされたくはないだろう?ここを追い出されたところで新たな相手など絶対に見つからないだろうしな」
イライラを隠さない様子で彼は続ける。自分の方が優位な地位にいると確信し、弱い者いじめでもしているかのような感覚にあるのだろう。
「…旦那様、そこまで攻撃てきた言葉を続けられてしまっては、私もここにいることが難しくなります…私が消えてしまってもよろしいと?」
静かに反論するミイア。口調は穏やかでありながら、その言葉に秘める思いは強い。
「出て行きたいのなら出て行けばいいじゃないか。そんなことを言えばこの私が引き留めてくれるとでも思ったのか?残念だが、私には君に対するこだわりはない。…そもそも君とて、そんな事をいっておきながらここを飛び出す覚悟などないのだろう?できもしない事を言うものではないなぁ」
これで彼女の意志を完全に自分のものにできていると信じ切っているのだろう。だからこそ彼には気づけなかった。彼女が発した言葉は脅しでも何でもなく、本気だったという事を…
――――
文字数 1,001
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
隣国の大貴族に嫁ぐことになった私。
それをズルいと言い出した義妹。
言い出したら決して諦めない義妹に困った両親は……失礼を承知で婚約者様に義妹のことを問い合わせた。
その答えは意外なものだった。
義妹も一緒に連れてこい――。
文字数 545
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
「い、いなくなった…?」
「はい…探しているのですが、姿がどこにも…」
「ま、まずいぞ…元婚約者とはいえ、僕の素性を知る数少ない人間だ…このままどこかに僕たちの機密情報なんかを流されでもしたら、僕もお前たち臣下も終わりだぞ…!」
「わ、わかっております…引き続き全力で捜索いたしますので…」
ま、まずい…妹との婚約変更を行ったにもかかわらずけろっとしていたから妙だとは思っていた…そうか、これが狙いだったのか…
「くっそ…このままじゃまずいな…」
「聞きましたわ旦那様!!お姉様が姿をくらましたと」
「だ、大丈夫だ…今全力で捜索隊があたってくれている…なあに、たかだか女の一人、逃げ隠れする場所なんて大方見当はついているとも…心配はいらないさ…」
文字数 663
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
結婚した私を待っていたのは使用人を適切に管理することだった――。
甘い新婚生活?
そんなの存在しないわ!
文字数 913
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
天敵はガッシュクロース公爵夫人。だけど、後半になるまでほとんと登場しません……。
主人公は23歳のものすごく貧乏な女子で、ガッシュクロース公爵夫人に執拗に狙われています。上司の命令で王子に会いに行くところから物語がスタートします。
基本的にはシンデレラストーリーにしています。
好きなのに、嫌いなフリをしてしまう沙織と、クーデーターを起こされる危機と常に背中合わせの王子の『恋と冒険の物語』を基軸として、思うようにならない状況が続きます。
ガッシュクロース公爵夫人:23歳の沙織が命を狙われたことになった因縁の相手。真麻、サテン、シルク、彼女は思うがままに高級な素材を駆使してファッションをリードしていた。1512年の公爵夫人。
※完成した作品のパラレルワールドのアナザーラインを書いてます。ストーリーラインは同じですが、キャラ設定など微妙に違います。気軽にお読みくださればと思います。
文字数 120,058
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.09.04
「婚約破棄…ですか。新しいお相手はあなたが溺愛されている幼馴染のユアですか?」
その言葉に動揺するような様子もなく、彼は静かに言葉を返した。
「さあ?どうだろうな♪しかし君との婚約破棄が、間違いなく僕の新たな一歩の礎となることは言える。これは通過儀礼なんだよ」
彼は全く詫びるつもりなんてない。自分のほうから強引な手段で結んだ婚約を、すでにその役目が終わったからと破棄するというのに。
しかしそれをそのまま受け入れればいいのに、私も私で同情を捨てきれなかった。最後の良心から彼に対して警告をしてあげることにした。
「あの…悪いことは言わないので、彼女との婚約はやめておいたほうが…彼女のことは私もよく知っていますが、きっとあなたの期待に叶うような人物では…」
「はっはっは!なんだなんだ命乞いのつもりか?いや、婚約乞いとでも言うべきか?残念だが、そんな言葉で僕を言いくるめられるなんて思わないことだな。子供だって君の言葉が負け惜しみに過ぎないということを理解するぞ?」
彼は聞く耳を持つことなく、そのまま婚約破棄を決してしまった。それがみずからの深い深い後悔へとつながることだとも知らずに…
文字数 1,001
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
『I LOVE YOU・・・①』『I LOVE YOU・・・②』『I LOVE YOU・・・③』の続編です。先にそちらを読んでもらえたらと思います。
子供たちも成長して・・・。
文字数 3,100
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.27
スクーカム「べ、別に猫がかわいいだなんて思ってないんだからな?」
ソマリ「は、はあ……?」
侯爵令嬢ソマリ・シャルトリューは、十五歳で無実の罪を理由に婚約破棄され修道院送りとなり、二十歳で隣国との戦に巻き込まれて命を落とす……という人生を、すでに21回も繰り返していた。
繰り返される人生の中、ソマリはそれまで一度も見たことが無かった猫と出会う。
猫は悪魔の使いとされ、ソマリの暮らす貴族街には侵入を許していなかったためだ。
ソマリ「これが猫……! な、なんて神がかり的なかわいさなのっ。かわいが過ぎて辛い……! 本気を出した神が作りし最高傑作に違いないわ!」
と、ソマリは猫のかわいさに心酔し、「どうせ毎回五年で死ぬんだし、もう猫ちゃんとのんびり過ごせればそれでいいや」と考えるようになる。
しかし二十二回目の人生ではなんと、ソマリの死因である戦を仕掛けた、隣国サイベリアン王国の王太子スクーカム・サイベリアンが突然求婚してきて!?
そのスクーカム、「流麗の鉄仮面」というふたつ名を持ち、常に冷静沈着なはずなのになぜか猫を見せると挙動不審になる。
スクーカム「くっ……。そのふわふわの毛、甘い鳴き声、つぶらな瞳……なんという精神攻撃だ……!」
ソマリ「あの、息苦しそうですけど大丈夫ですか?」
――よくわからないけれど結婚とか別にしなくて大丈夫です! 私は猫ちゃんをかわいがれれば他のことはどうでもいいんですからっ。
猫モフモフラブストーリー、開幕!
文字数 54,539
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.25
転生先は悪役令嬢だったけど、破滅回避のために第一王子ではなく第二王子の婚約者の座を死守したかったのに―――。
それも許されないとは...。
なんとしてでも幸せに暮らしてやりますわ!
文字数 50,040
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
「レヴァン様、いかがなさいますか?」
第二王子レヴァンの召使であるクルフは、ある内容についてそう言葉を問いかけた。
「ああ…第一王子でもあり、次期国王が内定している兄を打ち負かすためには、婚約というカードで戦うほかないわけだが…その相手というのが、本当にユリーアでいいものか…」
次期国王の座を狙うレヴァンは、なによりの障壁である第一王子ジーグクリフをどかさなければならなかった。しかし頭脳にしても、政治的な力にしても勝る点を持たないレヴァンは、婚約者の力をうまく利用し、政治的な立ち位置を強くすることでなんとかジーグクリフを打ち負かそうと考えていた。その中で決心したのが、かつて皇帝一家であったものの血を引くとされたユリーアとの婚約であった。
「仮にも、この国を支配していた帝の血を引く存在…ユリーアを婚約者とすることで、いまだに帝の夢を見ている者たちからの支持を得て、次期国王の座を奪うことができると思っていたのだが…」
しかしそううまくはいかなかった。彼らが考えていたほどには、かつての帝に夢を抱く人々は少なかったのだった。
「…このまま効果を期待できない婚約を続けても、時間の無駄だろう…早急に婚約破棄を決行し、新たな婚約者候補を探すのが正しいか…」
そう話し合った二人は、時間を経ずにユリーアとの婚約の破棄を内々に決め、表沙汰としては信用を落としてしまうために、秘密裏にユリーアの追放を行った。
…しかしこの判断が、自らを次期国王の座から遠ざける決定的な出来事としてしまうのだった…
――――
文字数 1,059
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
きっかけを欲したことに変わりはない。それは向こうの方だって同じだったことだろう。
文字数 187
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.29
中央ギルド内にある食堂で働くユベール・マトレはいつものようにボーイの仕事を続けていた。変わらない日の続く変わらない日常。そんな日常も客であった冒険者のマルク・エリソンドによって変わるのだ。
「君、俺と結婚しないか?」
「は?」
うっかりのキスが起こした関係にユベールは振り回される。
運命を信じる愚直な真面目冒険者×気弱で真面目なチョロいウエーター
⚠投稿期間のムラ、以前に投稿された内容に変更等が起きることがあります。
文字数 2,528
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.25
前作は結婚して、子供が産まれてハッピーエンドで幕を閉じました。
でも、実はその間にも、まだまだたくさんの出来事が溢れていました。
本作は付き合い始めた頃のオサムとユキコのお話しから始まります。そしてその後の2人の恋の行方、前回書ききれなかった理のセフレのことや、恋のライバル、さらに子供のお話もまだまだ続きがあって……。
ハッピーエンドのその先の二人のイチャイチャ激甘タイムは、いつまでも変わらない。あんなものじゃないんです。
2人の恋は、どこまでも波乱続き。
前作を更にパワーアップさせて、胸キュン、ホロリお涙ものも、♡♡モードもエンジン全開で発動しています。
本作から超長編になりますが、是非最後までお付き合いください。
文字数 288,028
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.03.02
小国であるアフェクシオン王国。
その国の第二王女が、ぜひにと請われて大国のアッロガンテ国へと輿入れする事になった。
嫁いだその日に結婚式という、忙しない日程での婚姻。
その結婚式の場で、夫となる国王が叫んだ。
「お前は聖女ではなかったのか!?」
言われた王女は驚き、焦る。
「私は確かに、自国では聖女と呼ばれておりました」
しかし、国王は納得しない。
「それならばなぜ、治癒魔法が使えないのか」と。
王女の国と、嫁いだ先では『聖女』の定義が違っていた。
※カクヨムでも公開中
文字数 29,818
最終更新日 2023.11.29
登録日 2023.11.18
「ラレミーナ、君は第二王女であることを良い事に、鍛錬をないがしろにしたばかりか王国の財宝をくいつぶしているそうだな。そんな君にここにいる権利はない。婚約の話とも合わせて、すべての関係を破棄の上に追放とさせてもらおう」
そんな事実など全くないというのに、それを事実であると信じ切ってしまっているグラーゼ王子。それもそのはず、彼は溺愛する妹であるアルシェナから、直接にその話を聞いたためだ。アルシェナは王女として婚約が内定したラレミーナの存在が面白くなく、その権力と立場を追い落とすためにありとあらゆる手段を使って攻撃を図っていた。王宮の中では、彼女に少しでも逆らえば追放というありえないような状況が現実のものとなっており、そんな彼女に目をつけられたラレミーナもまた、こうして失脚を狙われていたのだった。
「し、しかしグラーゼ様…私には前世の記憶を覚醒させて人々を幸福へと導くという使命があります…それを放棄してしまうのは、多くの人々の期待を裏切ってしまう事に…」
「そんなものはもうどうでもいいんだ。どうせ無理なのだろう?アルシェナが言っていたのだから間違いはない。結局君は聖女の記憶を呼び覚ますことなど、できはしなんだ。それさえ理解できたなら、もうどうだっていいんじゃないか?」
乱暴な口調でそう話す王子に、取り付く島もない。ラレミーナは一応その場において身を引き、落ち着いた後になって再び会話を試みたものの、一度この状態になってしまった王子になんの策も無意味だった。
――――
文字数 1,077
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
旦那様にはもう感謝の言葉しかありません。だって王宮に戻る必要がないからこそ、私はこうしていられるのですから。
文字数 157
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
「私は悪くありませんわ。お姉様に魅力が無いのが悪いんですのよ?だって私を選んだのは彼の方なんですもの」
私から婚約者を寝取った妹を詰めた時、私に言い放ったのがその言葉だ。まったくどこまで性根の腐った女なのか…
「婚約の契約もすでに行っておりますのよ?くすくす。お姉様は貧民の方とお付き合いされてはいかがかしら?薄汚い顔をした者同士、お似合いのカップルになること間違いなしでしてよ?くすくす。婚約式を上げられる時は私も読んでくださいね?盛大に汚水をぶっかけてさしあげますわ(笑)」
「…」
―それが今から数年前の事。そして現在――
「わ、別れることになったですって?」
私はその第一報を、親しくする臣下の女性から告げられた。
「そのようです。なんでも、旦那様の浪費癖を注意したところ、口論になってしまい、最後には殴り合いにまで発展してしまったそうで…」
「あらまあ…」
報告を聞いた時こそ驚いたものの、それ以上の感情はなかった。あの女ならあり得そうな話だからだ。
「もうじき、こちらにお越しになるそうですよ」
あの女がここに逃げてくるらしい。向こうに居場所がなくなったからって、どこまでも図々しい女…
そんな話をしてから1時間後、私が暮らす屋敷まで彼女は逃げて来た。
文字数 899
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
結果をもたらすのはあなたの想いではありませんか?
彼女は妹の全てを把握していた…だからこそ彼女の言葉に、異論を唱えることは誰にもできないのだった。
文字数 176
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
グノレー卿は自身の幼馴染であるフィーアを偏愛し、そのまま婚約関係を結び付けるものだろうと考えられていた。しかしある日突然、その彼女が姿を消してしまったのだった。
その原因が間違いなくグノレーにあると考えた周囲の人間は、彼をおとなしくさせるために迅速な婚約を進め、その話に乗った彼が婚約相手として見込んだのが、ユリアであった。
しかし半ば政略的な婚約であったため、ユリアに対するあたりは強かった。
「これくらいすぐにやってもらわないと困るんだがなぁ…」
「も、申し訳ありません旦那様…」
「これができないだけでなく、君は僕の気を心地よく満足させることもできていないじゃないか。せめてどちらかはできてもらわないと、今後の関係についても考え直さないといけなくなるなぁ…」
「…」
半ば脅しのようなその言葉の前に、ユリアも静かに飲み込むほかなかった。そしてこのような会話日常的に繰り返されていて、終わりを迎えるような様子は全くなかった。
そんな日の中にあって、ある知らせがもたらされた。
「なに!?フィーアが見つかっただって!!??」
文字数 1,005
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
まっすぐな思いをあなたはふみにじったのです。
そんなつもりはないのかもしれませんが、きっとそのことを理解するにはもう少しの時間が…ですね。
文字数 152
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
「クレーフ様が婚約破棄を?」
その知らせがもたらされたのは、朝方であった。まだ皆眠気も覚めぬこの時間帯に、大きな動乱がもたらされる。
「…婚約破棄、ですか…」
クレーフ婚約関係にありながらも、立ち位置的には微妙な関係であったフィーア。今回の件は彼女にとっても意外なものであった。
「まさかクレーフ様がこのような選択をなされるとは…フィーア様の心情も、さぞお辛いものでございましょう…」
「わ、私は別に…ただ気がかりなのは、彼のもとにいる大切な友人たちですね…」
婚約破棄など一向に構わないけれど、筋は通してもらわなければこまる。そちらから一方的にもたらされた婚約、そして今回の婚約破棄。ただのわがままでは絶対に済まさない。
「おそらく、かねてから親しい関係にあったシーナお嬢様と結ばれる選択をされたのでしょう…全く、我々に知らせもなく何たる裏切り…」
もはや彼の味方は誰もいない。こんなわがままに付き合ってくれるような人物はどれだけ身近な存在だったとしてもいるはずがない。ゆえに私は、きちんと彼に行ったことの責任を取らさなければならない。
文字数 689
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
私の婚約者であるクラウス伯爵は、信じられないほどのシスコンだ。
妹があれがほしいと言えばすぐに調達、旅行に行きたいと言えばすべての貴族家の予定をキャンセル、妹があの人間が気に入らないと言えば、即座に領外追放。
そんな日々のさなか、その矛先はついに私へとむけられた。
最初は私も信じていた。どれだけ妹好きであっても、最後には婚約者である私を信じてくれるのではないかと。
けれど、そんな期待はすぐに打ち砕かれた。
「お前のいう事が間違いに決まっているだろう!!!僕の妹が僕に嘘などつくはずがない!!!この性悪女が!!!妹に嫉妬しているんだろう!!自分に女としての魅力がないから、妹を貶めることで自分の株を上げようとしているんだろう!!お前の考えなんて子供でも分かる!!そんな女と婚約していただなんて、僕は自分が恥ずかしくなるね!!わかったらとっとと出て行ってくれ!!二度と妹の前に現れるなよ!!!」
…と、確かこんな感じだった気がする。気がするというのは、あの男の言葉をきちんと全て覚えていないからだ。…無理もない、あの時あの男は妹愛を私に半日くらい叫び続けていたのだから。
文字数 637
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
もともとの記憶をあなたに引き継ぐことを望んだのは、妹の方だったのではないですかね?だからこそ私には居場所が必要だったのですから…
文字数 107
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
十分な思いをあなたに分け与えることができたのなら、それこそ望まれる結果になったことと思いますが…
文字数 130
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
残念な気持ちが心にあるのなら、それをきれいにすることから始めた方が良いかもしれませんね。
文字数 126
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.11.28
別段普段と代わり映えのないある朝、はたと気づいた。
私には前世の記憶がある。
生まれ変わったのはモンスターが跋扈する異世界で、容姿と家柄も悪くない。
前世では波乱万丈、苦労も多く、その理由は借金、酒、女とだらしのない元旦那の存在だった。
この異世界転生を優雅に謳歌するため、私の人生設計を狂わす婚約は破棄したいのに、婚約者は絵に描いたようにモテまくる金髪蒼眼の王子様で……っ⁉︎
今世での私の男運の結末は……?
※一人称の練習も含んでいます。読みづらい、違和感などあれば教えて頂けますと大変参考になります。よろしくお願い致します。
※よく迷走しているので題名やらが謎にバッサリチョコチョコ変わったりする場合があります……滝汗
ご指摘、ご感想、ご意見など頂けましたら大変喜びます……(*´꒳`*)
どうぞよろしくお願い致します。
文字数 134,469
最終更新日 2023.11.28
登録日 2021.02.17
「ユアリーナとの関係?…そんなことを聞いてどうしたいんだ?」
私の投げた疑問に、全く答えるつもりなどないと言わんばかりのその態度。かつて私を建前のままに婚約者に仕立て上げ、用済みとみるや即座に切り捨てるような態度をとってきたこの男。こんな男が仮にも私の旦那様であっただなんて…
「…義妹であるユアリーナがかわいいのは理解できますが、そのために私を蔑ろにさせるのはあまりにも…」
「…ほう、僕に意見するか?お前も良い身分になったものだな。そうか、お前がそう言うのなら仕方がない。私は優しさからお前に情けをかけて婚約者の建前を維持したままとしておいたのだが、お前がそういうつもりならもういい。私の前から消え、二度と私の前に姿を現すな」
「そ、そんな…それはあまりにも…」
冷たい口調でそう言い放つと、彼はそれ以降何も言葉を発しなかった。…私が思った通り、もともとこの関係に愛などなかったのだ…分かってはいたことではあっても、こうして現実を突きつけられると心に刺さってしまう。…女とはこれほどまでに男の前にあっては無力なものなのだろうか…
「…分かりました。今までご寵愛を頂いたこと、心から感謝申し上げます…」
私は心にも思っていないことを彼に言葉で告げると、自分の後悔を踏み潰すかのようにその場を速やかに立ち去った。
文字数 1,039
最終更新日 2023.11.27
登録日 2023.11.27
「僕は崇高なる真実の愛に目覚めた…この感情がまさしくそれなら、こんなにもうれしい事はないというもの…」
狂気的な表情を浮かべながらそう言葉を発するのは、仮に私との婚約関係にあるフォーレリオ様だ。彼の言い分は全く理解できないけれど、彼が言うにはある日突然、金髪で碧眼の女性が自分を呼ぶ声が聞こえたのだという。彼が記憶の中からそれに符合する人物を探したところ、かつて出会った幼馴染たる女性がそれに該当するのだという。彼はそれを真実の愛と呼び、私との関係に終止符を打ち、その女性との関係を選ぶのだと言い始めたのだった。
「…真実の愛、聞いたことがありませんね…」
「それもそのはずだ。選ばれ死人間同士を結ぶとされるその気高き存在の前に、誰でもその境地に達することができるわけではないのだから。…ただ少なくとも、僕と彼女はその関係に相応しいとして選ばれたのだ。…この機を逃すわけにはいかない。僕がこの世に生まれた以上、愛を貫く権利は誰にも奪われはしないのだから!」
文字数 675
最終更新日 2023.11.27
登録日 2023.11.27