時は江戸時代――15歳の少女、鈴珠は10歳を迎える間近に両親に売られ、現在は遊女として生計を立てている。階級こそ高くはないものの、可憐な容姿に明るい笑顔、そして人当たりの良い鈴珠には一定の人気があり、生きていくにあたり収入に困ることはなかった。それでも、何処か生きる理由を見出だせず日々を過ごしていた。
すると、そんなある日のこと。平時のように客からの指名を待つ彼女の前に現れたのは、この世のものとは思えないほどの端麗な男性で――
文字数 33,317
最終更新日 2025.06.15
登録日 2025.05.31