死者との再会小説一覧
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件
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「お父さん。――貴方は幸せでしたか?」
父が亡くなって、一年が経つ。
一周忌を迎えた翌日、私、茅美代(ちがやみよ)は、父、乙瀬昭夫(おつせあきお)を名乗る男性に声をかけられた。
見た目は驚くほど生前の父に似て――父そのもの――であり、それでもあまりの怪しさに一度は突き放すも、次から次へと出てくる父しか知らないような話に、信じ始める私。
事故に遭いかけた男性を助けようとした幽霊の父は、善行のお陰かまさかのこの世に身体を持った。助けられた男性はそのお礼に、この世に現れた父に協力してくれることに。
そんな、馬鹿げた話。
でも。
死んだ筈の父が、今、生前の姿そのままで目の前にいる――。
どうせなら、しっかり母、姉、弟とも話をして欲しいと、私は夫や娘息子と一緒に、奔走し始める。
父親を失った家族と、死んだ筈の父親が紡ぐ、最初で最後の、サヨナラまでの時間。
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この話は、他サイトでも公開しています。
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【更新について】
・投稿初日は5話
・翌日から一週間は毎日1話
・10月いっぱい毎週月木1話
・11月から毎週月曜1話
の更新予定で、ブラッシュアップしながら最終回まで進めていきます。
文字数 62,547
最終更新日 2025.11.10
登録日 2025.09.01
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「さよなら」と言えなかった人へ。
もう一度、あなたの声をくれたのは――AIでした。
妻を亡くして半年。
AIエンジニアの高坂悠一の世界は、冬のままだった。
部屋の隅のハードディスクには、
生前の妻・沙織の声や映像がそのまま残っている。
触れるたび、胸の奥が痛む。
それでも、消せなかった。
ある夜、悠一はそのデータすべてを“解析対象”として読み込ませる。
声、表情、口癖、会話の癖……パラメータをひとつずつ積み重ね、
沙織を「再現するAI」の開発を始めた。
やがて、画面の向こうで、彼女は微笑む。
——もう二度と会えないはずの人が。
その奇跡は、悲しみに沈む人々に希望を灯した。
だが同時に、“亡き人への想い”を利用する悪意が生まれてしまう──。
愛する人と、もう一度話せたら。
それは救いになるのか、それとも依存への扉なのか。
失った声が導く、涙と再生のヒューマンドラマ。
文字数 6,645
最終更新日 2025.11.08
登録日 2025.11.07
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タチアイ人、通称、裁ち合い人はそのくなった死者と1度だけ再会させてくれる。
その変わり名前の通り、1度会ったらその人との縁を裁つ力を持ち、その人の事を忘れてしまう対価を払う。
都内の雑居ビルの2階に、裁ち合い人はいる。
小さなブラウンのテーブルと、パイプ椅子が二脚しか置かれていない部屋。
テーブルの上には、人間の手のひらくらいの小さな獏(ばく、悪夢を食べると言われる伝説上の生き物)が置かれている。
見た目は、長い鼻は象のようだが、白黒の小さな体はパンダのようだ。
タチアイ人、日和見 タイカ(ひよりみ たいか)は黒いハットを深くかぶり、白いコートを着て、黒い磨き抜かれたビジネスシューズを履いている。
口癖は
「死者と会いたいのに、忘れたくない?そんな調子がよい話しは、ヒヨリミの私の名前だけにしませんか?」
※こちらの作品は、カクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
文字数 8,740
最終更新日 2021.09.27
登録日 2020.11.19
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