第6回キャラ文芸大賞

第6回キャラ文芸大賞

選考概要

〇総評
全855作品が集まった第6回キャラ文芸大賞。その中から一次選考を通過したのは37作品。定番のあやかしものの人気が相変わらず根強い一方で、今年は特に後宮ものが数多く集まり、その注目度が窺える結果となった。

さらに選考を重ね、編集部内で大賞候補としたのは、「虐げられた無能の姉は、あやかし統領に溺愛されています」「鬼の御宿の嫁入り狐 ~捨てられた傷物乙女は、鬼の一家に愛される~」「餌付けされた女官は皇帝親子の願いを叶えるために後宮を駆け回る~厨でつまみ食いしていた美味しいご飯を作ってくれていたのは鬼とうわさの皇帝でした」「後宮の調達人」「紅国後宮亡霊祓い顛末記」「神様の夜カフェ『夜迷亭』~昨今、人もあやかしも悩みが尽きません」の6作品。

これらの候補作の中で、すでに読者賞に決まっていた「虐げられた無能の姉は、あやかし統領に溺愛されています」が、編集部内の選考でもやはり高く評価され、大賞とのW受賞に決定。そしてテーマ別賞では、あやかし賞に「鬼の御宿の嫁入り狐 ~捨てられた傷物乙女は、鬼の一家に愛される~ 」を選出。また後宮賞に「餌付けされた女官は皇帝親子の願いを叶えるために後宮を駆け回る~厨でつまみ食いしていた美味しいご飯を作ってくれていたのは鬼とうわさの皇帝でした」と「紅国後宮亡霊祓い顛末記」の2作品を選出した。
なお、最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「虐げられた無能の姉は、あやかし統領に溺愛されています」は、あやかし使いの名門に生まれながら、一族から無能呼ばわりされていた主人公が、とりわけ力を持つ鬼の統領に見初められるところから始まる異類婚姻譚。「虐げられ系」「ざまぁ展開」など人気の要素を取り入れつつも、登場キャラクターにきちんと個性を持たせて描ききっている点が高く評価された。

「鬼の御宿の嫁入り狐 ~捨てられた傷物乙女は、鬼の一家に愛される~」は、鬼の里で暮らす一族とそこに交ざり住むことになった妖狐の物語。鬼の青年をはじめとする旅籠屋一家のキャラがとくに魅力的で、彼らとヒロインとの交流も心温まると好評。きっちり感動させる終盤の展開も秀逸だった。

「餌付けされた女官は皇帝親子の願いを叶えるために後宮を駆け回る~厨でつまみ食いしていた美味しいご飯を作ってくれていたのは鬼とうわさの皇帝でした 」は、後宮で下級女官として働く主人公が、皇帝とその娘の周辺に関わる不穏な噂の裏側を探る物語。料理人に扮した皇帝と、そうとは知らずに接するヒロインとの掛け合いが微笑ましく、謎解き要素も綺麗にまとまっていた。

「紅国後宮亡霊祓い顛末記」は、道士の弟子として生活していた女性が、ひょんなことから亡霊祓いの依頼を受け後宮に潜入する物語。謎にくわえて、後宮を舞台にした恋愛模様も丁寧に描かれていた点が評価された。依頼人である哉藍との関係性やそれぞれの登場人物の思惑など、心情描写の光る作品だった。

また大賞候補作の中には是非出版化を進めたい、あるいは出版化の道を探りたい魅力のある作品が数多くあり、個別に連絡をしていく予定である。同じく大賞候補作以外にも出版化を検討したい作品もあり、編集部より個別にオファーあるいは出版化への挑戦の打診をしていきたい。

開催概要はこちら
応募総数 855作品 開催期間 2023年01月01日〜末日

編集部より

大正ロマン風の舞台設定や統領を始めとする個性豊かなあやかし達、主人公の一族への「ざまぁ」展開など魅力的な要素が盛りだくさんな作品だと感じました。主人公とあやかしの統領の距離が縮まる様子もしっかり伝わり、その微笑ましい恋愛模様が読者の心を掴んだのだと思います。


編集部より

鬼の一族とともに暮らす妖狐の少女という設定と幻想的な世界観がユニークでした。妖狐の少女と鬼の青年をはじめとする旅籠屋の人々の交流が優しく描かれており、読んでいて温かい気持ちになります。思わず読み返したくなる結末の工夫も巧みでした。


編集部より

皇帝扮する料理人の設定が非常にキャッチーでした。主人公の女官との関係性もハートウォーミングで、軽妙なやり取りに思わずクスっとできます。一方で、一つの謎を軸に、後宮の様子を描き出しつつ話をまとめる構成力に高い評価が集まりました。


編集部より

道士の弟子の主人公や依頼人の青年、主人公の師匠などユニークなキャラクターが多く、序盤から物語に引き込まれました。主人公の花琳と依頼人の哉藍の関係性の変化をはじめ、後宮を舞台にした人間模様や思惑が繊細な心理描写とともに描かれており、作品世界にグッと引き込まれた。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

奨励賞

投票ユーザ当選者

投票総数 4,500票 当選 10名