第3回ほっこり・じんわり大賞

第3回ほっこり・じんわり大賞

選考概要

前回よりさらに多い応募作品数となり、盛況だった第3回ほっこり・じんわり大賞。編集部内で最終的に大賞候補作としたのは「外資系企業のにちじょう4コマ」「恋もバイトも24時間営業?」「花屋敷の主人は蛍に恋をする」「煮物屋さんの暖かくて優しい食卓」「とべない天狗とひなの旅」「ノスタルジアをきみと【完結】」「涙のヒーロー・ゴッフレ」「古都鎌倉おもひで雑貨店」「飛び立つとき」「あやかしの髪結い処 〜北鎌倉あやかし日誌〜」「日比野さんちの日々 ~保育園児と小学生のポケットにはおもに昆虫と砂と勇気が詰まっている~」「余命 -24h」「【雑居ビル群像劇】アーク第3ビルヂング」の13作品。

和風ファンタジーから日常を題材にした現代文学まで、幅広いジャンルの作品が集まった。編集部内でとくに支持を集めたのは「余命 -24h」「古都鎌倉おもひで雑貨店」の2作品。検討の結果、両作とも感動的で商業ニーズが見込める秀作であるが、キャラ文芸としてしっかりまとまっている 「古都鎌倉おもひで雑貨店」 よりも、ストレートに心に訴えかける 「余命 -24h」がより本賞に相応しいと考え、大賞とし、「古都鎌倉おもひで雑貨店」は涙じんわり賞に選出することにした。
さらに、2作とはまた異なる魅力がある「煮物屋さんの暖かくて優しい食卓」に心ほっこり賞を、「ノスタルジアをきみと【完結】」に優秀短編賞を授与。その他、最終選考に残ったものの、惜しくも授賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「余命 -24h」は、肉体が砂になって消えた後、24時間だけ生前と同じ姿で行動することができる、という架空の病気を題材にした短編連作。オリジナリティのある設定を生かして、消えゆく人々の最期のひと時を感動的に描いていた。

「古都鎌倉おもひで雑貨店」は、不思議な雑貨店『おもひで堂』を舞台にしたオムニバス作品。鎌倉という舞台設定が目を引くほか、店を訪れる客の事情がそれぞれ切なく、読み手の涙を誘った。

「煮物屋さんの暖かくて優しい食卓」は、姉弟が営む煮物屋と客たちが織り成す人情小説。“食”を通じての心の交流が、定番ながらほっこりさせる。煮物に限らず料理が美味しそうで、支持を集めた。

「ノスタルジアをきみと【完結】」は、定年目前の主人公がタイムスリップし、若い頃の妻と一日を過ごす短編。老成した主人公の妻への思いと、昭和の日本の景色を高い筆力でまとめ上げていた。

開催概要はこちら
応募総数 628作品 開催期間 2020年08月01日〜末日

余命 -24h

366位 / 628件

編集部より

死後24時間だけ、生前と同じ姿で、己が望んだ場所で行動することができる、という条件の中で、性別も年齢も立場もさまざまな人達がそれぞれの選択をする様子が、非常に巧みに表現されていました。特に、夫婦の別れを題材とした2話目が秀逸で、「24時間後」に重点を置いたドラマがときに微笑ましく、ときにじんわりとさせました。


編集部より

ポイント最上位作品として“読者賞”に決定いたしました。主人公の優実が徐々に前向きになっていく様子に共感し、雄大との関係が一歩進むごとにドキドキしました。思わず応援したくなる恋愛描写が読者の心をつかんだのではないでしょうか。


編集部より

『おもひで堂』という不思議な雑貨店の、優しい空気感が伝わってくる作品でした。どこか訳ありの客たちが魅力的で、彼らの「思い出」が紐解かれると涙せずにはいられません。記憶喪失の主人公エイトの過去に少しずつ近づいていく展開にもハラハラさせられ、目が離せませんでした。


編集部より

姉弟が店長を務める「煮物屋」という舞台設定が非常にキャッチーでした。調理シーンやメニューの解説など、食に関する描写がとても丁寧で、美味しそうな料理の数々が脳裏に浮かびます。常連客との掛け合いも微笑ましく、彼らとのささやかな日常のエピソードに心温まりました。


編集部より

仕事一筋だった主人公の高史がちょっとしたすれ違いを知って妻を思いやる様子や、夫の小さな変化を喜ぶ佐知子の姿が印象的でした。タイムスリップから夫婦の関係を見つめ直し、幸せを再確認するストーリーが、短編ながら味わい深い感動を生み出しました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

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