『朱の狩人』9.月の未来図 (1)アップ
「かわいそうにね、仁」
気がつけば、両腕は垂らしたまま首だけを朱乃の指に支えられ、地面に膝をついた姿勢で、涙で濡れた頬を撫でられていた。
朱乃の指はひんやりとして冷たかった。そっと静かに、唇に張りついていた桜を拭うように輪郭を辿っていく。蘇った記憶に呼吸を乱れさせている仁の口にときおり深く指を差し入れながら、2度3度と撫でさする。
「どうして皆と生きていけるなんて……・愚かなことを考えたの……・」
哀れみを込めて朱乃が唇を寄せてきた。血の気配を濃厚に漂わせた口が唇を吸い込み、仁の体の中に別の記憶が弾けていく。
ドコマデ、イッテモ、1人ダカラ。
気がつけば、両腕は垂らしたまま首だけを朱乃の指に支えられ、地面に膝をついた姿勢で、涙で濡れた頬を撫でられていた。
朱乃の指はひんやりとして冷たかった。そっと静かに、唇に張りついていた桜を拭うように輪郭を辿っていく。蘇った記憶に呼吸を乱れさせている仁の口にときおり深く指を差し入れながら、2度3度と撫でさする。
「どうして皆と生きていけるなんて……・愚かなことを考えたの……・」
哀れみを込めて朱乃が唇を寄せてきた。血の気配を濃厚に漂わせた口が唇を吸い込み、仁の体の中に別の記憶が弾けていく。
ドコマデ、イッテモ、1人ダカラ。
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登録日 2017.02.17 17:27
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