『朱の狩人』9.月の未来図 (3)アップ
戻ってくるから。
仁は確かに内田にそう約束した。
けれど、それがどれほど儚い約束なのかは、言った当人が一番よくわかっている。
桜の花びらで身を包み、月のない夜空に浮かぶ人工の月と化した朱乃の後を追って、風を巻いて浮かび上がりながら、仁はみるみる早く浅くなる呼吸を感じていた。
空気が薄いというほど上空ではない、けれども息が苦しいのは、たぶん左脇腹と体内の傷のせいだろう。浮遊するのにエネルギーを取られて、出血はすぐに始まった。腰に巻き付けられている内田のシャツがねっとりとした温みに浸されていくのがわかる。荒くなる息に視界が揺れ、意識がずるずると半端に広がる。
仁は確かに内田にそう約束した。
けれど、それがどれほど儚い約束なのかは、言った当人が一番よくわかっている。
桜の花びらで身を包み、月のない夜空に浮かぶ人工の月と化した朱乃の後を追って、風を巻いて浮かび上がりながら、仁はみるみる早く浅くなる呼吸を感じていた。
空気が薄いというほど上空ではない、けれども息が苦しいのは、たぶん左脇腹と体内の傷のせいだろう。浮遊するのにエネルギーを取られて、出血はすぐに始まった。腰に巻き付けられている内田のシャツがねっとりとした温みに浸されていくのがわかる。荒くなる息に視界が揺れ、意識がずるずると半端に広がる。
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登録日 2017.02.19 21:38
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